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フェイスブック 株価は5年で500%のトータルリターン 今後は社会的責任が問われる?

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投資家のソロス氏は1月25日にグーグルとフェイスブックに対して「人々がどう考え、どう行動するかについて、本人に気づかせずに影響を与えている。極悪だ」と痛烈に批判しました。

フェイスブックも猛烈な成長を遂げ、その後、社会的責任が問われるようになりました。

そのため、マーク・ザッカーバーグ氏も17年9月には、「人々に民主的な価値を届ける」ことがフェイスブックの使命だと訴える動画を公表しています。

「フェイスブック(以下、FBと略)を民主主義の基盤を崩すために悪用するな」と言ったのですが、FBも国民の投票行動に大きな影響を与える一大SNSとなり、同氏も社会的責任が問われるようになっています。

フェイスブックが「ニュース」から撤退するとも報じられていますが、単なるSNSから社会的機関になったFBは、今後、どうなるのでしょうか。

この記事では、最近の株価の値動きと、同氏の政治的メッセージを踏まえ、FBの今後の展開について考えてみます。

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フェイスブックの株価推移をチャートで一覧

まず、ロイターHPのデータでフェイスブックの株価の動きを追い、他のテック系企業と比べてみます。

青太字がアマゾン、がグーグル、水色がフェイスブック、がマイクロソフト、黄土色がアップルです。

 

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フェイスブックだけがまだ、年初の水準に戻っていません。

次に、ここ2年の株価の動きを見てみます。

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アマゾンの伸び率は150%、FB、MSFT、AAPLは75%ぐらい、GOOGLは50%ほどです。

次に5年チャートを見てみましょう。

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5年の伸び率で見るとフェイスブックが600%。

アマゾンは450%、アップルやグーグルが200%、マイクロソフトが250%近い水準です。

新規上場なので、FBの伸び率がダントツです。

しかし、これだけ伸びると、今後の伸びしろがどれだけ残っているのかが気になります。

 

【FBの指標】

  • 52週レンジ:132.9~195.32
  • 1年トータルリターン:32.82%
  • 年初来リターン:0.51%
  • 株価収益率(PER) :28.8
  • 12ヶ月1株当り利益 (EPS) :6.16
  • 株価売上高倍率(PSR) :12.66

 

初期からの投資先とみれば言うことなしのFBですが、利用者は善良なる市民から思想的に偏向した政治活動家、テロリストまで様々なので、その社会的責任が問われ、ザッカーバーグ氏は17年9月に政治的なメッセージを出しています。

ザッカーバーグ氏のメッセージ:フェイスブックの使命とは

2017年9月のメッセージはTIME(2017/9/21)に全文掲載されています。

(記事名は”'I Care Deeply About the Democratic Process.' Mark Zuckerberg Reveals Facebook Election Meddling Plan”)

その一部を抜粋・和訳してみました。

  • 私は民主的な過程とその保全について深く心配しています。
  • Facebookの使命は、人々に声を与え、人々をより近づけることです。
  • それらは民主的に深く根差した価値観であり、我々はそれらを誇りに思っています。
  • 私は誰かが民主主義を損なうために私たちのツールを用いることを望みません。
  • それを私たちは支持できません。
  • I care deeply about the democratic process and protecting its integrity.
  • Facebook’s mission is all about giving people a voice and bringing people closer together.
  • Those are deeply democratic values and we’re proud of them.
  • I don’t want anyone to use our tools to undermine democracy.
  • That’s not what we stand for.
  • 選挙の健全性は、世界中の民主主義の基盤です。
  • だからこそ、我々はチームをつくって選挙保全に取り組み、ある国が他国の選挙に干渉することを妨げています。
  • 以前にも分かったように、私たちのチームは、最近のフランスの選挙を含む多くの国の選挙に影響を与えようとする数千もの偽の口座を見つけ出し、閉鎖しました。
  • 全ての干渉を止められると伝えたいのですが、それは現実的ではありません。
  • 世界には常に悪い人がいるでしょう。全政府を干渉から守ることはできません。
  • しかし、私たちはそれをもっと難しくすることができます。
  • The integrity of our elections is fundamental to democracy around the world.
  • That’s why we’ve built teams dedicated to working on election integrity and preventing governments from interfering in the elections of other nations.
  • And as we’ve shared before, our teams have found and shut down thousands of fake accounts that could be attempting to influence elections in many countries, including recently in the French elections.
  • Now, I wish I could tell you we’re going to be able to stop all interference, but that wouldn’t be realistic.
  • There will always be bad people in the world, and we can’t prevent all governments from all interference.
  • But we can make it harder.

こうしたことを述べ、ザッカーバーグ氏はロシアの干渉に関する継続的な調査について米国政府と積極的に協力していることを強調し、必要な情報を議会にも提供し、FBへの嫌疑を晴らしていると述べました。

ザッカーバーグ氏には政治色があるので、マスコミには大統領候補になりうると見る人もいます。

 2024年にザッカーバーグは40歳になる。これは1901年に42歳で米国大統領になったセオドア・ルーズベルトよりも2歳若い年齢だ。彼が運営するフェイスブックの利用者数は世界10億人にのぼり、3億2,400万人の米国人が利用している。

ザッカーバーグは特にミレニアル世代から強く支持されている。2024年にこの世代は大きな票田を形成する。資産額が現在、446億ドル(約5兆円)の彼は世界で6番目に裕福な人物であり、選挙資金も潤沢だ。

ザッカーバーグのこれまでの歩みは、インターネットを通じ人々をつなげていくことだった。今年9月には妻のプリシラと「チャン・ザッカーバーグ・イニシアティブ」を設立。30億ドルを投じ、全ての疾病を2100年までに根絶しようとしている。また、太陽光のソーラー・ドローンで発展途上国にインターネット環境を届けるプロジェクトも進めている。アフリカでは教育関連の投資も行なっている。

(フォーブス「マーク・ザッカーバーグが米国大統領になる日 2024年の未来予想図」2016/11/1、Zara Stone )

筆者はたまに戦術や戦略の本に目を通しているのですが、その中でよくあるパターンに「自分が大勝した兵法で次の敵に倒される」というものがあります。

例えば、ローマ史の中では、カルタゴ(地中海南部、アフリカ北岸にあった商業国家)の英雄ハンニバルがスペインにわたり、アルプス越えをしてイタリア本土に攻めてきます。カンネーの戦いでローマ軍を包囲殲滅して戦史に名を残しましたが、ハンニバルは、ローマ軍がカルタゴに攻めてきた時に、同じような包囲戦(ザマの戦い)でスキピオ(ローマを代表する名将の一人)に敗れています。

トランプ氏は、1)富豪の出馬(スポンサーに左右されないことをPR)、2)貧困層救済、3)過激発言によるPR、4)SNSの活用、という四つの戦法を使いましたが、このうち、1)2)4)はザッカーバーグでも可能です(4に関しては本家本元)。

トランプ氏は、不法移民取り締まりで、ジェフ・ベゾスをはじめとしたIT系富豪の反発を買いましたが、あまり怒らせると、4年後の大統領選でこれらの強敵と戦う未来図が展開しかねません。

しかし、先ほどのメッセージには、FBのまじめな一面が出ていましたが、一方では、中国市場参入のために怪しげな取り組みをしている、というニュースも流れています。

FBが中国市場参入のために検閲ソフトを作成中?

2016年11月には、ニューヨークタイムズがフェイスブックが中国市場参入のために検閲ソフトを開発していると書いていました(英語版では22日付ですが、日本の新聞では、日本時間に合わせたのか、23日と書かれている)。

まず、産経ニュースの紹介記事を見てみます(「フェイスブックが中国参入へ検閲ソフト開発 米NYタイムズが報道」2016/11/24)。

(※ニューヨーク・タイムズは)「米フェイスブックが中国への参入を認めてもらおうと、中国政府向けにフェイスブック内に出回る情報を検閲するソフトウエアを開発したと報じた」

「このソフトを使えば、フェイスブック内に特定の情報が表示されないように操作することができるという」

「同紙によると、フェイスブック自体は直接検閲せず、提携する中国企業がフェイスブックに拡散する情報を監視。その情報を中国国内で非公開にするかどうかを管理するとみられる。フェイスブックはまだ、中国当局にソフトを提示していないようだ」

22日のニューヨークタイムズでは”Facebook Said to Create Censorship Tool to Get Back Into China”(フェイスブックは中国に入るために検閲の道具をつくると述べた)という物騒な題名の記事が出ています。

プランの段階だったようですが、フェイスブックの未来を考える上で、これは非常に大事な話です。

この英文記事の中で特に気になる箇所をピックアップしてみます(傍線・着色は筆者)。

”Facebook does not intend to suppress the posts itself. Instead, it would offer the software to enable a third party — in this case, most likely a partner Chinese company — to monitor popular stories and topics that bubble up as users share them across the social network, the people said. Facebook’s partner would then have full control to decide whether those posts should show up in users’ feeds.”

”The current and former Facebook employees caution that the software is one of many ideas the company has discussed with respect to entering China and, like many experiments inside Facebook, it may never see the light of day.”

まだこの検閲ソフトは用いられていませんが、実際に検閲が行われる時は、フェイスブックは直接に手を汚さず、中国企業にこのソフトを渡し、その企業が投稿の中身を監視。投稿を公開させるかどうかを決める権限を与えます。

非常に怖い話ですが、元スタッフもしくは現スタッフの話によれば、これは中国市場参入のためのアイデアの一つであり、まだ日の目を見てはいません(不幸中の幸い?)。

とはいえ、アイデアレベルでもそういう議論をするほど、フェイスブックは中国市場を取りたがっているのでしょう。

筆者は、それはマズイのではないかと思うのですが、現状でも、フェイスブックは政府の要望に答えて、ユーザーの投稿のブロックをやっているようなのです。

ニューヨークタイムズの元記事を見ると、フェイスブックは、他のネット企業と同じく、パキスタン、トルコ、ロシア等(計20カ国)の要望を受け、2015年7月~12月までにコンテンツのうち55000ピースをブロックした、とも書かれていました。

55000ピースを20で割ると、一ヶ国あたりは2750ピース。6か月で割ると、それぞれの国で、1か月で45~46ピースがブロックされていることになります。

このピースの中身の説明がなかったのですが、中国を例に考えれば「天安門事件」のようなワードがブロックされているのでしょうか。

フェイスブック検索で40~50ぐらいのフレーズがブロックされているということなのでしょうか。

結構、政治的圧力を受けながらフェイスブックを運営している国が多いわけです。

新聞・メディアで自由に中国記事が書きにくいのと似た現象が起きているのですが、この上に、中国で「検閲ツール」がプラスされるかどうか、という争点が、今後、浮上してくる可能性があります。

ニューヨークタイムス(NYT)紙も、半ば警告的なコメントをかきつらねています。

「このプロジェクトは、14億人の中国人市場へのアクセスを得るために、フェイスブックが「世界をもっとオープンにし、つなげていく」という中核使命の宣言の一つに関して自発的に妥協する可能性があることを示すものだ」

”But the project illustrates the extent to which Facebook may be willing to compromise one of its core mission statements, “to make the world more open and connected,” to gain access to a market of 1.4 billion Chinese people. Even as Facebook faces pressure to continue growing”

筆者の下手な邦訳で申し訳ないのですが、NYT紙のMIKE ISAAC氏はかなり厳しい目でフェイスブックを見ています。

NYTですが、この記事は、非常に公平な観点で書かれています。

※リスニングが苦手な筆者には聞き取り不能でしたが、ニューヨークタイムズ紙のサイト内には動画も出ています(URL:”Facebook’s Censorship Tool” By CNBC | Nov. 23, 2016)。

訪中に熱心なザッカ―バーグ氏 共産党幹部と面談

顔出しをしない筆者は、もともとフェイスブックがさほど好きではありません。

しかし、顔出しで実名のSNSを謳いながら、中国進出のためにポリシーを妥協するのはいかがなものかと思います。

CEOのザッカ―バーグ氏は2016年の3月に訪中し、中国共産党関係者や政財界の人物と会談を繰り返していたようです(「中国でフェイスブック解禁できるか? ザッカーバーグ氏が説得行脚 「グレートウオール」突破に期待高まるが…」2016.3.27)。

  • 国営新華社通信によると、ザッカーバーグ氏は(※3月)19日、北京市内で党序列5位の劉雲山政治局常務委員(宣伝担当)と面会。
  • ザッカーバーグ氏は「中国はインターネット大国であり世界でも重要な影響力がある」と持ち上げ、「われわれはよりよく中国を理解し、中国を紹介し、中国とともに歩み、インターネットを通じてよりよい世界を創造したい」と中国と寄り添う姿勢を強調した。
  • ザッカーバーグ氏は同日、・・・中国の電子商取引最大手アリババ集団の馬雲(ジャック・マー)会長と「イノベーション」をテーマに会談。
  • FB創業者と中国指導部との“蜜月”を思わせる展開は、中国のネットユーザーにFB解禁への期待を抱かせた。

ザッカ―バーグ氏は50億人をネットにつなぎたいと言っていたので、中国を見過すごせないと考えたのかもしれません。

しかし、これは量の議論であって、自由な情報空間の有無という質の議論ではありません。もともと、「顔出し+実名」で参加者をつのってきたフェイスブックであるなら、もう少し、言論の自由を抑圧する政府との付き合いは慎重であってほしいものです。

米国で民主主義の擁護を謳う以上、今後、中国進出を巡って、ザッカーバーグ氏がどんな判断をするのかは、重大な社会的責任を伴うからです。

※参考:グーグル社の中国撤退の場合はどうだったのか?

 NHKのサイトで、2010年3月頃の、グーグル中国撤退騒動の話がまとめられているので(「米グーグル,中国市場からの“撤退”を表明」2010年5月「放送研究と調査」)、そのポイントを紹介してみます。

(グーグルが)「2006年に中国市場に参入した際には,民主化や少数民族問題など中国政府の望まない情報を非表示にするという自主検閲を受け入れたため,ヤフーなど他のネット関連事業者とともにアメリカ議会の公聴会で集中砲火を浴びた」

「グーグルはその後,中国市場でのシェアを30%以上と,中国の事業者『百度』に次ぐ2位にまで伸ばした。しかし2010年1月,中国政府による厳しいネット検閲に加え,同社の無料メールサービス「Gメール」が中国国内からと見られるハッカー攻撃を受けたことなどを理由に,中国市場からの撤退を検討」

(交渉後)「中国政府は譲歩する気配を一切見せなかったため,グーグルが正式に中国市場からの撤退を決めた」

その後、中国のネットユーザーがgoogleにアクセスすると香港のサイトに転送されるようになりましたが、グーグル社は結局、中国市場のシェアよりも、自社のポリシーを守ることを選んだわけです。

グーグルのライバルとして、フェイスブックは有力な対抗馬なので、「ライバルが入れないでいる中国に入り込んで、一気にシェア拡大を計ろう」というアイデアが出てきたわけですが、果たして、それが吉と出るか、凶と出るか。

もともとの理念を忘れるようなことがあれば、フェイスブックのブランドそのものが成り立たなくなるのではないかと思うのですが・・・。

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