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DeNAまとめサイト全滅。「MERY」も無断転用で記事を大量削除

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ブロガーやネットライターにとっては見過ごせない事件がディー・エヌ・エー(DeNA)のまとめサイトで起きています。

大規模な無断転用によって11月29日にWELQ(医療・健康まとめサイト)を皮切りにして他の8サイトが休止したのですが、2日に生き残っていたファッション系の「MERY」でも記事の大量削除が始まり、ほぼ全滅に近い状態になっています。

問題が起きたディー・エヌ・エー(DeNA)のまとめサイトは以下の通りです。

  • WELQ(ウェルク):医療
  • iemo(イエモ):インテリア
  • FindTravel(ファインドトラベル):旅行関連
  • cuta(キュータ):出産・子育て
  • UpIn(アップイン):マネー
  • CAFY(カフィ):料理
  • JOOY(ジョーイ):メンズファッション等
  • GOIN(ゴーイン):自動車
  • PUUL(プウル):マンガ・アニメ
  • MERY(メリー):女性向けファッション等

ブロガーやネットライターにとって「他山の石」とすべき案件なので、今日は、この問題を取り上げてみます。

(※当記事は公開後、随時、新情報をもとに加筆修正しています)

DeNAは後手に回り、炎上が大規模化した

医療系サイトなのに、記事の内容に医療の専門知識を持つ者のチェックが入っていなかった。

また、効果が疑わしい医療記事が多数、掲載されていたーー。

こうした問題が起き、WELQはクオリティを疑われました。

まずはここが炎上し、「ほかのサイトは大丈夫か?」という話になり、他の部門に火の手が移ります。

そして、ディー・エヌ・エー(DeNA)のキュレーション(まとめ)系の全サイトが燃え尽きてしまったのです。

同社の守安功社長は、この件について、以下のように述べています。

「WELQも含めたキュレーションメディアの記事制作のプロセスに問題があるというご指摘もございました。さらに、当社に対する責任所在の考え方についてのご指摘も頂戴しました。これらのご批判を真摯に受け止め、改めて弊社の運用の実態がどういうものであったかを調査しました。その結果、共通する運営体制・方針の9つのメディア(※前掲のため列挙略)に関して、マニュアルやライターの方々への指示などにおいて、他サイトからの文言の転用を推奨していると捉えられかねない点がございました。この点について、私自身、モラルに反していないという考えを持つことができませんでした」

これは「炎上 」がもたらした大惨事ですが、このコメントの中で特に重要なのは、組織的に不正な手法を用いてしまったことと、社長自身がそれが問題だと認識していなかったことです。

1ブロガーや1サイト運営者ぐらいなら、「ああ、そういう人もいるよね」というぐらいで終わることもありますが、野球球団まで持っている上場企業が著作権法の基礎を無視した運営を組織立ってやっていたので、社会的な批判を浴びることになりました。

「大手なんだからしっかりしろよ」と睨まれただけで終わらず、集中砲火を浴びてしまったわけです。

炎上が始まったのが「医療サイト」からだったのも重要な点です。

医療情報は命や健康にダメージが出かねない案件を扱うので、その内容には厳格な質の管理が求められます。ここで適当な情報を流していたので、社会的に糾弾されることになりました。

この経緯に関しては、ITMEDIAの記事(11/30)が詳しく説明しています(東京都、WELQ問題でDeNAを“呼び出し” 「同様な他サイトへの対応も検討」。)

 28日朝、東京都議会議員の音喜多駿(おときた・しゅん)氏が、都福祉保健局の健康安全部にWELQの問題点を報告しており、医薬品の無許可販売の監視などを担当する薬事監視担当課が28日、「事情を聞きたい」と、DeNAの担当者に対して来庁を依頼していた。DeNAの担当者が多忙のため面会は実現していないが、「余裕ができたら連絡してほしい」と伝えており、今後、面会して協議したいとしている。

同課の河野安昭担当課長は、「医学的根拠がない情報が流れているかもしれないと、音喜多議員から報告を受けた。WELQは医薬品販売サイトではないため、従来は監視対象ではなかったが、情報サイトであっても、『特定の商品がこういう病気に効く』と記載すると法的には医薬品に当たる。WELQの記事は薬機法の観点からも問題があると判断した」と話す。

DeNA社は役所から呼び出しを受けるレベルにまで来ても、即座に対応していません。ここには、同社に危機意識がなかったことがうかがえます。

社長の言葉どおり、モラルに反していることが認識できていなかったわけです。

記者会見に出席した創業者の南場氏は、夫の闘病を看護した際にネット情報を調べていたが、WELQが医療情報を扱っていたことに気づかなかったとも述べています。

報道で現状を知り、愕然としたそうですが、ここで南場氏が気づいていれば、何か対策を講じることはできたのかもしれません。

今となっては、まさに「後の祭り」としか言いようがありませんが・・・。

「知って犯す罪」と「知らずに犯す罪」のどちらが重くなるかを考えてみると、知っている場合には「ヤバい。このあたりでやめとこ」という話になりますが、知らない場合は、どこがヤバいかも分からないため、ブレーキがかかりません。

危険地帯に入ってもアクセルモードのまま営業拡大が続き、最後は大ダメージを受けて、全滅してしまいました。

DeNAぐらいの規模でしたら、さすがに「知らなかったんだ。許してください」と言っても世の中は許してくれないでしょう。

DeNAはトップに編集系の見識を持つ人がいない?

この企業の中心になる三人の経歴を見ると、「編集に関する見識がないのではないか?」という疑問が出てきます。

南場智子氏の著書(『不格好経営』)の略歴によれば、同氏は津田沼大を卒業後、1986年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、90年にハーバード大でMBA取得しています。96年にマッキンゼーで役員となり、99年には同社を退社してDeNAを始めました。代表取締役としてDeNAを2005年にマザーズ上場に導きました(DeNAは07年には東証第一部に指定替え)。その後、11年に病気療養中の夫の看病のために代表取締役兼SEOを退任し、代表権のない取締役となっています。

守安功氏は98年に日本オラクルに入社。99年11月にSEとしてディー・エヌ・エーに入社。その後、モバオクやポケットアフィリエイト、モバゲータウンの立ち上げなどを行い、06年に取締役になっています(13年4月から代表取締役社長兼CEO)。

川崎修平氏も02年にSEとしてディー・エヌ・エーに入社。04年大学院単位を取得し、SEとして働いた後、07年6月に取締役に就任しています。

この三名の経歴を見る限り、「編集」という二文字は出てきません。

ドコモの「iモード」の場合でしたら、リクルートの編集者だった松永真理氏とエンジニアが一緒に開発をしていましたが、DeNAには、松永氏の役割を担う人材がいないように見えるのです。キュレーションサイトを収益の柱にしようとしていたのですが、そのわりには編集系を担う人材がいなかったので、とんでもない手落ちが生じてしまいました。(WithNewsの記事によれば売上は以下の通り)

「WELQは月間2000万UUあり、10メディアでは月間約1億6千万UUあります。キュレーションメディア全体の売り上げは、2016年度第2四半期で約15億円あり、その半分超を「MERY」が占めています。

理系優位のDeNA社が気付かなかった落とし穴

これは、理系が強いネット企業では、今後も起こりうる事案なのかもしれません。

よくよく考えて見れば、キュレーションサイトの記事は、他サイトやブログの記事をちょこちょこ紹介してつなぎ合わせ、全体として用語解説や事件、人物等のトピックを解説しているので、厳格な基準で言えば、オリジナルの創作者を守る著作権法の趣旨には合いにくいのです。

著作権法の枠組みの中では、オリジナルの主張を述べる「本文」があり、それを補強する材料として「引用」を入れる文章を想定しています。オリジナル部分がほとんどないキュレーション記事は「引用」の羅列なので、盗作と見なされる危険性があります。

(以下、著作権なるほど質問箱の著作権法の解説)

法律の要件ですが[1]引用する資料等は既に公表されているものであること、[2]「公正な慣行」に合致すること、[3]報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること、[4]引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること、[5]カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること、[6]引用を行う必然性があること、[7]出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)(第48条)の要件を満たすことが必要です(第32条第1項)。

厳格な基準では、文字数がいくら、引用数がいくら、という比率があります。雑誌記事では、本文の文字数よりも引用の文字数が大幅に上回っていることを理由に訴えられることもあるぐらいなので、厳密な目で見ると、キュレーション記事には、アウトになりそうなものがたくさんあります。

独自論点を出さずに文字数を増やしてSEO上の優位を狙い、人の努力の上にあぐらをかく構図になっているので、今後、この種のサイトに対しては社会の目が厳しくなるのではないでしょうか。

例えば、グーグル社も近年、独自コンテンツのないサイトに対して厳しくなってきました。このDeNA社の事件は、グーグル検索の基準やアドセンス審査の厳格化等にも影響を与えうる出来事だと言えます。

DeNAの「まとめサイト」と「NAVARまとめ」はそっくり

筆者が気になるのはDeNA社の失敗を他山の石にしない企業が残っていることです。

リクルート、サイバーエージェント、ヤフーでも記事公開停止が起きたのに、NAVERまとめを運用するLINE社はいまだに粘っています。

LINE社は、前掲例で言えば「プラットホームの枠内にいるからセーフだ」という主張を繰り返しています。

しかし、著作権法違反や無断盗用であることが明白なものを延々と放置しながらも、プラットホームは責任を問われないままでいるのは奇妙な話です。プラットホームに管理責任がないとは考えにくいからです。

数が多すぎると違反を全部、監督できなくなるのは当然ですが、まとめサイトの場合は、オリジナルの文章や画像なしで転用のみでページをつくっているものが多すぎます。

ブログが「オリジナル記事をユーザーが自分で書く」という信義則(よく破られていますが)を元に運営されているのに比べると、まとめサイトの場合は「オリジナル記事なしに画像は他から断りなく拝借する」というケースが常態化しています。

運営の仕方のなかに「著作権法違反、無断盗用は当然」という開き直りがあれば、今後、この種のまとめサイトを見る社会の目が厳しくなってくるのは避けられないでしょう。

※LINEの「NAVERまとめ」の記事の品質は限りなく怪しい

 Withニュースの記事 (信原一貴「まとめサイトの盗用、ある“浴衣画像”が「収拾つかない」事態に」2016年12月7日)では、浴衣の着付けを例に画像無断転載のサイトの例に「NAVARまとめ」を筆頭に挙げていました。

「浴衣結」の運営会社エスアイピー(大阪市)に連絡をしてみると「画像を盗まれすぎて、収拾がつかなくなっている」と回答が返って来ました。浴衣結には着付け手順を解説するイラストも多数載っていますが、これらも一緒に盗用されているといいます。担当者は「さまざまな面で多大な迷惑をこうむっている」。転載許可の問い合わせが来ることは「ほとんどない」といい、使用許諾を出したまとめサイトは「nanapi」と「OKWAVE ガイド」だけです。まず目についたのが、まとめサイトの代表格「NAVERまとめ」です。

 信原氏が挙げたNAVERまとめの記事リンク先があったので、そのページに飛んで使われている画像を見ると、17個の着付けの画像が二種類のサイトから転用されていました。www.yukatamusubi.comが12個、www.yukatakitsuke.net/が5個。本文の文字要素には元記事に似た着付けの説明が並んでいます。許可なく他社がサイトで用いている独自画像だけで記事を構成しているのですが、LINE社の基準ではこれでよいらしいのです。

DeNAは利益率低下の打開策が裏目に出た

DeNAのHPの公開情報を見ると、かなり厳しい結果になっています(業績ハイライト | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】)。

(※断り書きがない場合、単位百万円)

  • 13/3:売上収益202467/税引前利益79215 
  • 14/3:売上収益181313/税引前利益54920 
  • 15/3:売上収益142419/税引前利益28443 
  • 16/3:売上収益143709/税引前利益20853
  • 17/3:売上収益143806/税引前利益23178

比率で見ると、17年3月にパフォーマンスが盛り返しているようです。ただ、それをどこまで信じ切れるか、という問題は残っています。

  • 13/3:1株当たり当期利益333.34円/売上収益営業利益率38%
  • 14/3:1株当たり当期利益242.56円/売上収益営業利益率29.3% 
  • 15/3:1株当たり当期利益115.35円/売上収益営業利益率17.4%
  • 16/3:1株当たり当期利益78.76円/売上収益営業利益率 13.8%
  • 17/3:1株当たり当期利益212.49円/売上収益営業利益率 16.1%

株価は12月に大きく下落し、その後、一進一退を経て、最近は持ち直しています。

(以下、SBI証券HPで見たここ1年のDena社の株価推移)

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16年9月20日には3820円あった株価は、年末(12/30)には2554円まで下落し、翌年の春には2200円台で底打ちし、最近は2800円が見えてきたというのが現状です。

2017年1月には自動運転車の開発での日産とDeNAが協力する等、明るいニュースもありましたが、南場氏が代表取締役に復帰しても、まだ信用回復の道のりは遠そうです。

『週刊現代』(2013/12/17:P56~57)では、新清士氏(ゲーム業界に詳しいジャーナリスト)がDeNAの経営について、スマホ時代への対応が不十分だったことを指摘しています。

ガラケー時代にはユーザーがDeNAのサイトで情報を登録してゲームを遊んでくれたのに、スマホ時代になるとユーザーが直接グーグルやアップルからゲームをダウンロードしてしまうため、DeNAやグリー等は落ち目になったというわけです。

そして、次の収益源化を狙った「まとめサイト」が炎上し、裏目に出てしまいました。

今後、DeNA社は経営を立て直すことができるのでしょうか。

ドラッカーは経営者に求められる資質として、何が正しいかを追求する「真摯さ」をあげました。

「いかなる一般教養を有し、マネジメントについていかなる専門教育を受けていようとも、経営管理者にとって決定的に重要なものは、教育やスキルではない。それは真摯さである」(『ドラッカー名著集3 現代の経営 下巻』P262)

DeNA創業者の南場智子氏もその著書『不格好経営』(P258)で「ユーザー、仲間、パートナー、そして社会に誠実な会社か。respectとappreciationに満ちた会社か」が大事なのだと書いています。

3月17日には第三者委員会調査報告書が公開され、そこでは、7000~21000件の記事と746000件の画像で著作権等の侵害が行われたというショッキングな調査結果が明らかになりました(以下、筆者関連記事8/5「DeNA社が「MERY」を再開 まとめサイト復活か?」)。

DeNA社の経営陣にどれだけの真摯さがあるのか。また、今後、何を求めていくのかが注目されています。

(※追記:2月3日、米グーグル社はまとめサイト対策で、日本語版検索アルゴリズムを変更したことを発表。ウェブマスター向け公式ブログは、低品質サイト対策のために評価方法を改善したことを明らかにした。3月には、全世界的な規模で検索のシステム変更が行われました)。

DeNA問題の「第三者委員会報告書」を読む

その後、DeNA社の「まとめサイト」を巡る第三者委員会の調査報告書が3月13日に公開され、大量の著作権侵害が行われたことが明かされました。その対象になったのは7000~21000件の記事と746000件の画像と見られています。

DeNA社は創業者の南場氏を加えて代表取締役を2人とし、守安功社長は月額報酬の半分を半年間減給。10サイトを統括した村田マリ氏はDeNA社の執行役員と「iemo」と「FindTravel」の代表取締役を辞任することになりました。

イエモとメリーは「株式会社ペロリ」が運営していたのですが、この企業をDeNA社が買収。その後、DeNA社はペロリ社の人材とノウハウを活かして、ほかの8つのサイトを増やしました。

権利侵害としては小規模の案件が多く、被害額の算定が難しい著作権の問題であるため、この被害者が組織を立ち上げたとしても、著作権侵害で訴訟を提起するのは難しいようです。

報告書(要約版)では著作権侵害について、画像は747463件と断定されていますが、文書の記事は376671件の中の「1.9%~5.6%」という形でぼかしています。

そうなるのは文書における著作権侵害はグレーゾーンの範囲が大きいからです。総数を比率で割ると、7156件~21093件になるのですが、ネットニュース等では最大の数字を用いて「21000件の著作権違反」と報じています。

中央値を取れば、だいたい1万4000件ぐらいの著作権侵害と見るべきなのかもしれません。

まとめサイトは「プラットフォーム」なのか?

顧客からのクレームや外部からの批判、内部社員からの声で、まとめサイトは著作権違反が疑われていたのですが、DeNA社法務部は企業が責任を負って運営する「メディア」ではなく、ユーザーが投稿によってつくりあげる「プラットフォーム」なのだ、という論理を建てました。

これは、いまだに粘る「NAVERまとめ」が自社を正当化している理由と同じものです。

普通、ブログやSNS等の1メンバーが著作権法違反をして記事を書いたら、その個人の責任となり、ブログ運営会社(プラットホーム)のせいにはなりません。運営会社は問題発生後にその記事を公開停止にすればよいわけです。

しかし、ニュースサイトのような「メディア」に運営する社員が著作権法違反の記事を書いたり、お金を払ってライターにその種の記事を書くように求めたら、その責任が運営企業に問われます。

これはプラットホームの枠を超えて、雑誌や新聞などのように自分自身で書く「メディア」の世界に入ってきたからです。この問題に関して、DeNA社の報告書は、以下のように結論を出しました。

DeNAが運営する10サイトは、いずれも、一般ユーザーが投稿できる機能を備えていたので、プラットフォームの部分が存在したことは間違いない。しかし、全記事に占める一般ユーザーの投稿の割合は、MERYは約14.5%、Find Travelは約10%あったものの、他の8サイトはおおむね5%以下であり、そのほかの記事は、サイトの運営主体であるDeNAがその作成過程に様々な形で関わっていたので、その部分に関しては、プラットフォームではなくメディアであったと評価される

プラットフォームとメディアが混ざっているのに、プラットフォームだと言い逃れたことを、報告書は「不適切だ」と批判しています。

まとめサイトは「質」の問題を抱えている

そして、記事の内容の質を担保するための編集体制、外部ライターに執筆を依頼する上でのマニュアルも不適切だったと評価されています。

質の担保という点で、特に致命的だったのが、人命と健康にまつわる医療サイトのWELQでガセネタ記事が大量生産されてしまったことでした。

DeNA社の医療系まとめサイトに関して、報告書は以下のように断じています。

DeNAが運営するサイトにおいて、これらの記事につき内容の確認を行っていたのは編集担当者や外部編集ディレクターであり、これらの者は医療や医薬品の効能効果についての専門的知見を有していなかった。医師等の専門家の監修を付けることが必須であると認識されていたにもかかわらず、記事の大量生産という方針とそぐわないことや、コストがかかり過ぎるといった考え方から、医師等の専門家の監修を付けることが見送られ、2016年9月頃になってようやく、その具体的な検討が開始されたにすぎなかった。

要するに、命や健康にかかわる問題について、記事の粗製乱造が繰り返されてしまいました。最後の一文は、暗に「後の祭りだ」と言っているように見えます。

DeNA社はペロリ社を買収した後、まとめサイトの大量展開を急いだわけですが、記事の質を担保する方策も、法令順守の意識や体制も不十分なままでした。

この欠点を補うために、「MERY」は小学館とともに再開し、小学館のスタッフが記事作成を請け負う形に変更されました。

問題発生の原因は「反・大企業病」の称揚?

この報告書の中で気になるのは、DeNA社においては「”反・大企業病”に対する行き過ぎた称揚」が問題を生んだと見られています。

「DeNAは『永久ベンチャー』を標ぼうし、スピード感のある意思決定が重視されていた」「『永久ベンチャー』という理念は、組織の硬直化、意思決定の鈍化といった大企業病に陥るまいとする誇り高き理念であったにもかかわらず、キュレーション事業においては、それが『速ければ易きに流れてもよい』ことを意味するかのごとく曲解されて、慎重な意思決定やリスク分析がないがしろにされ、当たり前のことを当たり前にやることへの軽視に繋がってしまった」

近年、話題になった東芝は「大企業病」が問題視されていましたが、こちらはその逆の「拙速な判断」が危機を生んだとみられています。

これは、東芝とは真逆の失敗事例だとも言えそうです。

DeNA社は「MERY」を「まとめサイト」として再開?

8月3日にDeNA社は小学館と共同で「MERY」と称したサイトを年内に再開させることを決めました。

小学館が記事をつくり、DeNAがシステムを運用する方式で「MERY」の名を冠したサイトを公開。小学館が三分の二、DeNAが三分の一を出資し、新会社「MERY」を設立します。

新「MERY」はクラウドソーシングを用いて不特定多数の書き手に記事執筆を依頼したり、一般利用者からの投稿記事を掲載せず、独自コンテンツを作成する方針だとされています。

各紙で「まとめサイト」と報じられていますが、実質的には過去の名を用いて独自コンテンツで勝負するのかもしれません。

ITpro(2017/8/3)の記事によれば、小学館が記事をつくり、DeNAがシステムを運用する方式で「MERY」の名を冠したサイトを公開。小学館が66.66%、DeNAが33.34%が出資し、新会社「MERY」を設立します (玉置 亮太「DeNAと小学館がデジタルメディア新会社、「MERY」ブランドを継続へ」)。

新たな「MERY」はクラウドソーシングを使い、不特定多数の書き手に記事執筆を依頼したり、一般利用者からの投稿記事したりせず、独自の記事を作成する方針だとも言われています。

前掲記事では、報道発表の文言が紹介されています。

  • 「従来のMERYにおける運営体制を抜本的に刷新して、全ての記事を新たなプロセスに則り作成し、新しいMERYの誕生を目指す」
  • 「何かの寄せ集めで記事を作ることは想定していない」(DeNA)
  • 「現状の方向性としては、一般投稿記事は一切載せない」(小学館)

「若い女性に支持されている」(小学館)と見て、サイトの名前を引き継ぎ、実質的には違った形式のサイトを再開する方針のようです。

果たして、今後、DeNAはどこに向かって進んでいくのでしょうか。

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