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マネックス 松本大の日経平均3万円予測の根拠とは

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マネックス証券の松本大社長は2017年の11月9日に記者会見の席で「日経平均株価が2019年3月までに3万円に達する」という大胆な予想を発表しました。

年の暮れが近づく頃合いに、来年の株価を気にしている方もいるかもしれないので、参考までに、松本大氏が株価上昇を見込む理由を紹介してみましょう。

本記事での松本氏発言等の出所は『週刊新潮 2017年11月23日』所収の〈「松本大」が説き明かした「日経平均3万円」のインパクト」P25~27〉です。

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マネックス 松本大氏が日経平均株価3万円を予測

週刊新潮記事によれば、松本氏は以下のように述べています。

  • 「アメリカのダウ平均はブラックマンデーの時に比べて12倍になっています」
  • 「日本の株価はバブル崩壊以降は下がり続け、その後も上がったり下がったりと波はあるものの、ずっと横ばいのまま来ています」
  • (しかし)「これからの日本の株は海外の株と同じように長い目で見た場合には上がっていきます」

その上昇の目途として「日経平均株価が2019年3月までに3万円に達する」という予測を出しました。

松本氏は、株高の理由として、以下の3点を挙げています。

株価上昇の理由①:金融緩和の継続

  • 衆院選で与党が勝ち、「国会同意人事である日銀総裁人事について政府側が提案するものに反対する勢力がかなり小さくなった」
  • 黒田再任でも交代でも「これから4年間程度は金融緩和が続くことが確認できた」

株価上昇の理由②:「株高=国益」の合意形成

  • 約145兆円を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立法人)が3年前に株式運用を全体の5割まで高めると発表
  • 高等教育を支援する奨学金の基金等も「年金と同じような仕組みで運用されて」いるため、「株価が下がると子供を大学に行かせられなくなってしまう人が出てくる」
  • そのため、「国民の財産を守るためには、株価の上昇が必須」となったので「株価が上がることは金持ち優遇ではなく、日本国民全体のためになることで重要だ、と皆が考えるようになる」
  • 日本でも「"株価が高いことは良いことだ”というコンセンサスができやすくなる」ため、「政府は株価を上げるための政策をより実現しやすくなります」(※日本も米国と同じく株高は大事というスタンスになるという予測)

株価上昇の理由③:良好な経済指標、ポジティブな金利環境、日経銘柄の新陳代謝

(※本節の出所はZoo Online 2017/11/10

  • 「日経平均は入れ替えが少なくて経済の成長を正しく表していない。しかし、最近では日本でも、インデックスからの強制退場という形で新陳代謝が速くなってきた」
  • マネックス証券の大槻奈那氏によれば「日本は低金利」で「米国やユーロ圏は金融政策の正常化が進んでおり金利差が拡大しつつある」だけでなく、企業の経常利益に対する支払金利の比率は年々低下しており、日本にとっては極めてポジティブな金利環境」にあるという。また、「消費者信頼感指数は3 者揃って右肩上がり」であり、「銀行の資本力は過去最強であり、金融危機発生のリスクは当面低い」。

こうした背景を基に、記者会見に同席した広木隆氏は「足元が2万3,000円だとすれば、あと7000円、言い換えれば約30%上昇すれば届く水準だ」と強調。

〈日経平均株価は「EPS×PER」で計算できる。3万円に到達するためには、ざっくり言えば、利益の見通し(予想EPS)がここから2割伸び、バリエーション(PER)が1割拡大すれば良い〉という。

(※日経平均は指数なので「日経平均のEPS」はないので、上記EPSは「日経平均株式会社」という企業があると仮想した場合の試算)

簡潔に言えば、今の勢いが維持された場合、「今期(2018年3月期)の着地見込みが前期比20%増益であるため、来期(2019年3月期)が通年で7.5%増益というのは、非常に保守的な見積もり」になるのだそうです。

※その後、マネックス証券は株価3万円到達の後ズレ予測を公開。以下、3万円到達予想時期です。

  • 松本大(代表取締役社長):2019年12月末
  • 広木隆(チーフ・ストラテジスト):後ズレシナリオ(2020/3月末)となる見込み(日本・海外ともに景況感の悪化が見られるため)
  • 大槻奈那(チーフ・アナリスト):2019年度末頃まで

マネックス 松本大氏の予測は当たるのか(1)国会は金融緩和路線が多数派

確かに「日本株はここ20数年、一進一退を繰り返していたので、世界が好景気の中で、我が国にもついに米国並みの株高が来る可能性がある」「ちょうど、政治的にも金融緩和路線がさらに続き、株高を肯定する社会風土になれば、次のチャンスが来る」という見方は十分にありえるようにも思えます。

実際、衆院選の頃の各党の金融政策を見ると、反対勢力が消滅した構図が見てとれます。

  • 自民党:大規模金融緩和の継続。インフレ目標2%達成を目指す。
  • 公明党:アベノミクスを支持。
  • 希望の党:日銀の大規模金融緩和は当面維持/出口戦略を政府と日銀一体となって模索。
  • 維新の会:アベノミクスは是是非非。やや賛成ぐらいの立場。
  • 立憲民主党:アベノミクスの成果は上がらず、国民の所得を削り、中間層を激減させたままでは、本当の意味で活力ある経済は再生しない。
  • 共産党:アベノミクスは大企業と株主優先。格差が拡大した。

金融緩和への強硬な反対派は立憲民主党と共産党だけなので、政治的には、株高にしやすい状況になったわけです。

ただ、正直に言えば、政治面の大変動や中国経済の展開などは、不透明です。

松本社長も、記者会見で北朝鮮リスクについては言及していましたが(3万円説はこれを除外したケースでの想定)、突然に米朝開戦となれば、日本は株高どころではなくなります。

中国経済に関しても、党大会前に一生懸命に成果を出さなければいけないために好景気が演出されるが、その後は反動が来るという予想を出す人がいます。

松本氏の予測は、「順当にいけばそうなる」という話と見るべきでしょう。

マネックス 松本大氏の予測は当たるのか(2)週刊誌の予測はたいてい外れるが・・・

この松本氏発言を見て、今までにさんざん空振りを続けてきた週刊ポストの強気株価予想を思い出した方もいるかもしれません。

例えば、2017年初には「日経平均は史上最高値『4万円』へ」(『週刊ポスト』2017/1/1~1/7)という、トンデモ感のある予測が出ていました。

その記事を見ると、1)トランプ政策によるドル高円安、2)人民元切上げによる中国マネー日本還流、3)ライバル失速〔サムスン凋落、EU離脱ドミノでドイツ凋落〕、4)原油高でオイルマネーが日本に向かう等の理由で、日経平均4万円になるという謎のストーリーが描かれていました。

1回だけでは飽き足らず、同誌の1/13~20号でも「『日経平均4万円』への爆騰カレンダー」なるものを掲載し、FRB利上げ、欧州選挙での極右陣営敗北、米中融和会談の実現で株価上昇・・・という楽観シナリオを描いていたのです。

その通りにはならなかったことは後から見れば明らかですが、ここ数年、ポスト誌の予測は、実際にどの程度当たった(または外れた)のでしょうか。

2016年の『週刊ポスト』の日経平均株価予測が当ったかどうかを、過去記事とその後の株価推移で確認すると、さんざんな結果になります。

  1. 「そして株のプロたちが『日経平均2万3000円』と言い始めた」(2016/2/12:P34~)
  2. 「そして日経平均2万5000円も見えてきた」(2016/2/19:P32~)
  3. 「投資のプロが注目する日経平均2万5000円への『3つのシグナル』 株価『3月反転攻勢』の機は熟し過ぎるほど熟した』」(2016/3/11:P38~)

前掲記事(1)によれば、どうも23000円という数字の出元は、「三菱UFJ国際投信による『半年後、株価2万3000円になる』という衝撃的なレポート」のようです。この23000円予測と同じ論調なのは第一生命経済研究所のレポート(2016/1/20、年内に23000円予測)や野村証券投資情報部の小高貴久氏(※年末に23000円予測)だと書かれています。

どうも、日本企業は実力に比して異常に割安になっているというのが論拠らしいのですが、ロイターのサイトで見ると、半年後の8月~9月頃の株価は16000円台で上下を繰り返していました。

大統領選でトランプVSヒラリー真っ盛りの不透明感の中で、株価がガンガン上がるわけがないので、よくそんな予測が出てきたものだと思います。

前掲記事2の上方修正の論拠はマイナス金利導入です。前掲記事3の論拠はソフトバンクを初めとした大手企業の自社株買い、原油価格上昇、日銀の3月緩和が挙げられていますが、25000円にまで急上昇する論拠としては怪しい話です。

年末まで引き延ばしても16年12月の最高値は19593円(12/21)あたりがピークです。最後は19114円なので前掲の予測1~3は16年内で見れば当たっていません。

『週刊ポスト』の経済記事の中には大手紙では書けないような提言(「消費税を5%に戻せばいい(2016/4/8)」等)も出てくるので、筆者もたまに参考にしていますが、株価予測はいま一つです。

2015年以前の記事を見ても、「SMBC日系証券が強気予想!『日経平均は3万円を超える』これだけの根拠」(2015/9/4)等、残念な予測に終わった記事が目につきます。

さらに、『週刊現代』の日経平均株価と為替の予測が当ったかどうかを見ても、なかなか悲惨な結果です。

同誌が日銀内部資料(もしくは極秘レポート)を入手した場合の予測はいま一つです。

  • 「激震!株価1万4000円割れへ 最悪の事態を想定せよ!日銀内部資料を入手」(2016/2/6 ※記事内で1ドル=93円の超円高になると書かれている)
  • 「日本経済『12月ショック』に備えよ 日銀の『極秘レポート』入手 株価1万3000円割れ、1ドル80円の衝撃」(2016/11/19)

どちらも現実の株価と為替では実現しませんでした。

そして、15年以前の予測はけっこう寒い結果になっています。

  1. 「2014年、『日経平均3万円』までは見えた!」(2013/12/21)
  2. 「株をやる人もやらない人も 株価2万円に備えよ」(2014/12/20)
  3. 「2015年『1ドル=160円』を覚悟せよ」(2014/12/27)

1は悲劇的な大外れ(2万円到達せず)、2はやや勇み足(株価20000円超えをしたのは15年5月15日~8月19日頃なので、外れたわけではないが、全体トレンドとしては2万円以下が長い)、3も大外れ(MAXで1ドル120円台)でした。

過去記事を見ていると、予測を当てることの難しさを思い知らされます。

マネックス 広木隆氏の株価予測は2017年に当たっていた

ダイヤモンド等の経済誌では、毎年、アナリストの日経平均予測が10人ぐらい載っていますが、当たるのは一人か二人ぐらいです。

予測の成功率は低いのですが、興味深いことに、ダイヤモンド(16/12/31~17/1/7新春合併号)に載っていた2017年の日経平均株価予測を見ると、マネックス証券の広木隆氏の予測が、ほぼ当たっていました。

以下、表記は「高値(月)安値(月)」です。

  • 広木隆(マネックス証券):23000円(12月)18500円(1月)
  • 松野利彦(SMBCフレンド証券):22000円(11~12月)18000円(6月)
  • 圷正嗣(SMBC日興証券):21500円(11月)18000円(6月)
  • 吉野貴晶(大和証券):21000円(11~12月)17000円(5月)
  • 宮島秀直(パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ):20750円(11~12月)19000円(5月)
  • 菊池正俊(みずほ証券):21000円(4月)17000円(9月)
  • 土正田雅之(楽天証券):20850円(5月)16500円(11月)
  • 大場敬史(岡三証券):20850円(5月)16000円(10月)

この種の予測は、当たる時は立て続けに当たることもあるので、もしかしたら、広木氏や松本氏はいま、そういう運が乗り移っている時期なのかもしれません。

リスクの予想は困難ですが、広木氏の意見も参考にしながら、来年の戦略を練りたいものです。

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