blickpixel / Pixabay

全投稿記事 経済問題 経済統計・予測

お金の使い道 若者と高齢者の比較 世代別資産分布と消費行動の違い

更新日:

今日は消費行動についての幾つかの調査を紹介しますが、その前に消費全般のデータを見てみます。

2018年1月31日に発表された総務省の家計調査(平成29年12月分速報)では、消費支出の名目値は増えましたが、物価上昇率を踏まえると、実質微減になっていました(※この統計と平成29年5月分速報を足すと、以下の年次統計値になります)。

【二人以上の世帯】

【消費支出】(名目/実質は伸び率)

名目(%) 実質(%)
2013 290454 1.5 1
2014 291194 0.3 -2.9
2015 287373 -1.3 -2.3
2016 282188 -1.8 -1.7
2017 283027 0.3 -0.3

【勤労者世帯】

名目 実質
2013 1 0.5
2014 -0.7 -3.9
2015 1.1 0.1
2016 0.2 0.3
2017 1.3 0.7

勤労者世帯の実収入はあまり増えていません。

消費は14年以降にマイナスが続いているので、その原因は8%への消費税増税である可能性が濃厚です。

こうしたご時世の中で、日本の消費行動はどうなっているのでしょうか。

【目次】

スポンサーリンク

賃金増を切望する消費者

当たり前すぎるタイトルではありますが、デフレで低迷が続いた日本では、まさにこれが一番の問題になっています。

毎日新聞の地方版(2017年2月14日 高知県)は帝国データバンクの調査として、個人消費の動向を報じました(「個人消費 動向『悪い』が49.7% 活性化には『賃金の増加』 四国企業へ調査 /四国」)。

 帝国データバンク高松支店が四国の企業を対象に調査したところ、49・7%の企業が現在の個人消費の動向を「悪い」と回答し、「良い」は9・6%にとどまった。活性化に必要な条件としては、72・9%が「賃金の増加」と答えた。

昨年12月から翌月にかけ、四国4県に本社を置く企業を対象にアンケート調査し、314社から有効回答を得た。

これまでの消費活性化政策で効果があったものを聞いたところ(複数回答可)、最高は「エコカー減税・補助金」の42%で、「所得税減税」の41・7%が続いた。

個人消費の活性化に必要な条件を尋ねると(同)、最高は「賃金の増加」の72・9%で、「将来不安の払拭(年金など)」が43%で続いた。

・・・

【深尾昭寛】

四国の調査ですが、前掲の2年連続の消費減退というデータを踏まえると、各県でもあてはまりそうな話です。

難しい言葉がいろいろと並んでいますが、結局、「金がないからモノが買えない 」と言っているように見えます。

消費税増税が問題だったとは書いていませんが、消費活性化で効果が上がった政策に「減税」が上がっているのが印象的です。

お役所に近いメディアや学者は「減税=バラマキ」という論調になりがちですが、企業への調査では、「税金は下げたほうがいい」という率直な答えが出てきています。

消費行動の人気ベスト3は「家電」「海外旅行」「車」

マクロのデータはパッとしませんが、その中で個々の消費者は、どのように動いているのでしょうか。

それを見るうえで興味深いデータが明治安田生命保険によって発表されています。

2016年9月16日に発表された「シニア層と若年層の世代間ギャップに関するアンケート」です。

これは2016年の8月に行われたネット調査で、全国の20歳から79歳までの男女の1080件の有効回答を集めた調査です。

その中の「消費意欲の有無 欲しいもの・したいと思うこと(複数回答)」を見ると、全年齢層でのベスト3は、以下の三つでした。

  1. 家電:34.4%
  2. 海外旅行:31%
  3. 車:26%

この三つはどの年代でも高い割合を誇っています。

ただ、年代別に%の高い項目を見ると、20代の「靴:24.4%」、50代の「家:28.3%」などが目を引きます。

女性の項目では「ブランドのバッグ」は20代~50代の間で20%台の水準なのも気になるところです。

クレジットカードを使わない20代

そして、「支払い方法」の調査では、意外な結果が出ています。

20代の若者が最もクレジットカードを使わず(現金:75% クレジットカード:19.4%)、最もクレジットカードを使うのは60代(現金:67.8% クレジットカード:35.6%)なのです。

ネットでビジネスをする際にはクレジットカードが決済手段として多用されるので、「クレジットカードの使用率」は重要な数字なのですが、よく見ると30代と50代~70代のクレカ使用率は30%台でした。

今の20代にクレカは不人気なようなのです。

若者の消費行動は堅実化?

2016年には静岡県で消費者教育推進事業の一環として18~39歳の若者を対象にした調査が実施されています。

堅実な地域柄が反映されているためか、そのお金の使い道(複数回答)では「貯金」が筆頭に来ています。

エコのミカタというサイトで伊藤愛沙美氏がその概要を紹介しています。

【お金の使い道】は「貯金(54.8%)」「買い物(54.2%)」「趣味・習い事(42.5%)」「旅行(27.1%)」「交際費(17.3%)」の順。

(※男性は「趣味・習い事(53.6%)」「金融商品による資産運用〈貯金除く〉(12.9%)」、女性は「買い物(61.1%)」「美容(18.3%)」の比率が高い)

 「消費行動」で重視するのは「価格(90.3%)」「品質(65.6%)」「見た目(27.2%)」「評判(22.6%)」「ブランド・メーカー(22.2%)」の順になっています。

(出所:堅実な若者の消費行動、重視することは「価格」【静岡県調べ】

・・・

筆者は「貯金」はお金の使い道なのか?という疑問を感じましたが、このデータからは割安品を探し、貯金に励む若者の姿が浮かび上がってきます。

これを見て、「若者らしくない」とおっしゃる方もいるかもしれません。

しかし、若い世代の給料は中高年よりも安いことが多いので、経済的に見たら、合理的な消費行動を取っているだけなのかもしれません。

貯金志向の20代、旅行大好きな70代

前掲の明治安田生命保険の調査に戻ります。

そこで、筆者がいちばん気になった項目は、「もしも5万円の臨時収入があったらどうするか」という項目です。

全体を見ると「貯金する:42.3%」と「旅行に行く:18.4%」が目立ちます。

この二つを年齢別にみると20代が「貯金:48.3% 旅行:11.7%」なのに対して、70代は「貯金:33.3% 旅行:33.9%」となっています。

60代以降の旅行好きな傾向を伺わせる結果となっていました。

そして、総務省統計局でも高齢者の消費行動を調査し、その結果をグラフ化しています。

f:id:minamiblog:20170226225450p:plain

(出所:統計局/平成27年/統計トピックスNo.90 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)−「敬老の日」にちなんで−/4.高齢者の家計

この図表では60歳代の高齢者が旅行好きなのが際立っています。

統計局HPの解説は以下の通り。

「『パック旅行費』の支出金額をみると、最も多いのは世帯主の年齢が60歳代の世帯で、次いで70歳以上の世帯となっています。最も多い60歳代の世帯の支出金額は、最も少ない30歳未満の世帯と比べ3.2倍になっています」

園芸品などの支出も多額になっています。

高齢者には資産がある?

筆者は「高齢者にわりとお金のある人が多く、若者はあまり豊かでない」という生活感覚を持っているのですが、海外旅行が大好きな高齢者が多いのを見て、こうした感覚はそれなりに当っているのかもしれないと感じました。

卑近な例をあげれば、60代の筆者の両親はここ6年の間に2回ほどヨーロッパに旅行に行きましたが、30代の筆者は同じ期間に旅行には出かけていません。筆者は20代ではありませんが、身近なケースが見事に統計で裏づけられてしまっています。

どうしてそうなるのだろうか?と思ったのですが、恐らくこれは、日本で資産をたくさん持っているのが高齢者の世代であることとも関係があるのです。

そこで、財務省の「年代別金融資産保有総額」のグラフを見てみましょう。

f:id:minamiblog:20160921063049p:plain

出所:内閣府「説明資料〔相続税・贈与税〕平成27年10月27日(火)財務省 

数字の差にショックを受けた方もいるかもしれません。

しかし、今の日本で資産を持っているのは50代以上の方々なのです。

特に60歳代の方々がたくさんの資産を持っています。

この資産分布を見ると、お金のない若者たちから年金を必死に取り立てるよりも、お金のある高齢者がお金のない高齢者を助けるような社会であったほうが望ましいのではないか、という気がしてきます。

f:id:minamiblog:20160921063056p:plain

(出所:内閣府「説明資料〔相続税・贈与税〕平成27年10月27日(火)財務省)

前節で紹介した統計局HPの解説を見てみます。

「二人以上の世帯のうち高齢者世帯の貯蓄現在高をみると、平成26年は1世帯当たり2499万円となりました」「貯蓄額の低い世帯から高い世帯へ順番に並べた際にちょうど中央に位置する世帯の値(中央値)をみると、平成26年は1588万円となっています」

やはり、見事なまでに資産分布が高齢者に偏っています。

「これだけお金があったら海外旅行にも行けるんだろうな~」

これは筆者の感想ですが、現役世代が豊かでないということは、日本経済が先細りする危険性を示しているように思えてなりません。

(※最後に、参考までに若者~中高年層の出費と、高齢者が警戒すべき「収入の崖」について付記しておきます)

若者~中高年のお金の使い道 :結婚・出産・教育の平均費用

日経電子版でマネー研究所が人生のライフサイクルの各段階で必要な金額を試算しています。

わかりやすい記事なので、これを参考に、若いころと中高年の各段階で、どれくらいお金を準備すべきかを考えてみます。

まず、結婚と出産に関して「結婚500万円、出産50万円 晩婚・晩産で費用は増加|マネー研究所|NIKKEI STYLE」という記事が出ています。

その要旨を紹介してみましょう。

結婚式の平均費用:385.5万円!?

筆者には信じられない数字ですが、結婚式の統計を取ると、ずいぶん高い平均費用が出てきます。

  • 「リクルートマーケティングパートナーズ(東京・中央)の結婚情報誌「ゼクシィ」の「結婚トレンド調査2016 首都圏」によると、結婚式と披露宴・パーティーの費用の平均は385.5万円。結納や新婚旅行など前後のイベントも含めると500.4万円だった」
  • 総額で500万円を超えたのは調査を始めた1994年以降、初めて

この数字は収入層でかなり差がありそうです。

日本の平均年収420万円を下回る筆者の周辺で結婚式に380万円もかけている人はいません。

セレブ層と下層の平均値で385万円なのかもしれませんね。

出産の平均費用:50万円

  • 入院料・分娩料を中心に全国平均は16年度で約50万円。最高の東京都で約62万円、最も低い鳥取県で約39万円とこれも地域差が大きい。
  • 子ども1人につき加入している健康保険から出産育児一時金が42万円出ることに加え、妊婦検診費なども最寄りの自治体から助成がある。
  • 働く女性なら、産休期間中に健保組合などから出産手当金も支給される

筆者が知っている例で、国民健康保険から外れたまま出産してしまったという、不幸な例がありました。健保に入っていないので、自費となり、家計は火の車になり、夫婦仲も炎上しました。

きちんとチェックしてから出産しないと大変なことになります。

教育の平均費用:「子供1人あたり1000万円」

日本の人口減の要因ともいわれる教育費。その1000万円の構成が「教育費、高3夏までに500万円ためて 出産後から準備|マネー研究所|NIKKEI STYLE」に出ています。

  • 文部科学省によると、幼稚園から高校までの授業料や給食費、学習塾、習い事などにかかった「学習費」の総額は、すべて公立に通った場合で523万円。
  • 日本政策金融公庫によると、国公立大学の受験費用や授業料などの総額はおよそ485万円。
  • 前掲二種の金額を足すと1008万円
  • 幼稚園からすべて私立だと、大学が文系なら2465万円、理系だと2650万円。
  • ファイナンシャルプランナー(FP)の菅原直子さんは「子供が高校3年の夏を迎えるまでに、国公立大の4年分の授業料などがまかなえる500万円以上が最低限の目安」と助言している

やはり、私立は高いですね。

公立校が受験指導能力を失い、塾や予備校通いが必要になり、教育費が上増しされるわけですが、次の選挙に向けて各党は、公立校立て直し案もないまま、教育無償化を目指しています。

日本の教育行政は歪んでいますが、家計のレベルでは、自衛するしかないのが現状です。

中高年~高齢者に迫る収入減の危機

退職後に関しては「中高年、収入急減の「5つの崖」 まず役職定年に備え|マネー研究所|NIKKEI STYLE」という記事が出ています。

その5つの崖とは何なのでしょうか。

第一の崖:役職定年

人事院の2007年調査では500人以上の企業の4割弱が導入。対象年齢は55歳が最も多く、次いで57歳だった。

役職定年前の賃金水準に関しては以下のデータが紹介されています。

  • 「変わらない」:11%
  • 「下がる」:86%

そして、下がる企業のうち約8割が「75~99%」、約2割が「50~74%」の水準に下がると答えたそうです。

第二の崖:定年

 原則65歳までの雇用確保が義務付けられ、多くの企業が再雇用制度を導入するが、収入は大きく減りがちだ。厚生労働省の調査によると、5割の企業で再雇用後の基本給が定年時の「50%以上80%未満」の水準に、3割の企業で「50%未満」に下がる。

日本労働組合総連合会の「連合・賃金レポート2016」では60~64歳男性の年間賃金は平均385万円(医療業など除く)で、55~59歳時に比べて37%減る

企業によっては5~6割減もありうるそうですから、要注意です。

第三の崖:再雇用終了/公的年金生活

厚生年金の受給者の平均月額(15年度)は男性の場合、基礎年金と合わせて約16万6000円。年収で約199万円だ。妻がずっと専業主婦なら、妻の基礎年金と合わせて200万円台後半だ。

高収入でも受給額は年40~50万程度多いぐらいの人が多いとのこと。財政上の理由で、公的年金はこれから支給減の傾向が強まることも考慮が必要です。

第四の崖:企業年金終了

企業年金はかつてのように終身でもらえるケースが激減しており、現在は10~15年程度の有期型が多い。4つ目の崖はこの有期型企業年金の終了だ。

記事では企業年金が「15年間で打ち切りになることを認識していなかった男性の例が紹介されていました。人間は、自分の聞きたくないことはスルーしてしまうようです。

第五の崖:配偶者死亡で年金減少

「夫の現役時代の平均年収を600万円、妻は専業主婦などとして計算すると、夫婦ともに生きていれば受け取る年金額は計288万円」

この記事では「夫の年金総額(厚生年金と基礎年金)の4分の3に相当する金額が遺族年金として支給される」という勘違いに注意を喚起しています。この「計算に夫の基礎年金部分は含まれない」のが現実です。

記事では遺族年金の計算ミスが多いことに注意を喚起していました。

ライフサイクルに備えた貯蓄と収入減対策が必要

なかなか厳しいデータが並んでいます。

結局、各自が何らかの収入増を図るしかなさそうです。

企業の側も「退職金が出るだけありがたいと思え」というスタンスになってきているからです。

株の投資。副業、何か手に職をつける・・・自衛には、いろいろなプランがありえます。筆者の知人(40代)は、人工知能の勉強をしてビジネスを立ち上げようとしていました。

貯金をしてもほとんど利子がつかないというのは、かなりの痛手です。その代案としては、米国株の高配当銘柄を狙うという手もあります。

ある程度、お金のある中高年層であれば、配当でも稼げるかもしれません。

米国株の場合は為替差損のリスクもありますが、よく考えてみると、日銀の円安誘導でも円の貯蓄は価値が目減りするので、円とドルで資産は二分するぐらいでちょうどよさそうです。

いずれにせよ、知恵をこらして自衛するしかありません。

【スポンサーリンク】

-全投稿記事, 経済問題, 経済統計・予測

Copyright© トランプ政権と米国株投資 , 2018 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.