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【消費税】自民党と立憲民主党、他野党の主張を比較

更新日:

2017年の衆院選では、消費税増税の是非や、その使い道をどうするかが衆院選の争点になりました。

報道ステーション(9/30~10/1)の調査(複数回答)によれば、有権者の重視する政策は「外交・安全保障」が45%、経済政策が「49%」、子育て・教育が「31%」、年金・社会保障が「49%」でした。

朝日新聞(10/3~4)の調査では、安倍首相が掲げた消費税10%増税と用途変更に賛成した人は42%、反対した人が40%でした。

10月16日の産経・FNNの調査では増税使途分を「子育てや教育無償化に回す」ことに賛成したのは37.7%。

「予定通り国の借金返済中心」は28.5%。「引き上げに反対」は32.1%。有権者も賛否両論が分かれています。

この問題をどう考えるべきなのでしょうか。

消費税の選択肢

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安倍首相は消費税の「10%への増税」(19年10月実施)を前提に高等教育や幼児教育の無償化を行い、全世代型の社会保障へ転換することを訴え、「希望の党」の小池代表は「増税凍結」を訴えました。

自民党は民進党の前原氏が代表選で掲げた政策をまねて「争点つぶし」を図り、選挙を有利に進めようとしていた時に、「希望の党」は「増税凍結」という逆の手を打ったわけです。

(※追記:その後、民進党が事実上、消滅。9月27日に民進党は前原代表の判断で希望者に小池氏の「希望の党」への合流を容認した。民進党は候補者を出さず、残留議員は無所属で立候補。残留組は新党「立憲民主党」を旗揚げした)

従来のアベノミクス支持者には「消費税8%への増税が景気失速を招いた」と見る人が多いことから、増税凍結には訴求力があると見たのでしょう。

しかし、アベノミクス(特に金融緩和)を支持してきた学者やエコノミストには「増税凍結」では生ぬるく、「消費税は5%に戻してやり直すべきだ」という人々(若田部昌澄・早大教授や片岡剛士・日銀政策委員会審議委員など)もいます。

消費税の選択肢には「10%への増税」「現状維持」「5%への減税」がありますが、望ましい選択肢はどれなのでしょうか。

以下、衆院選での各党政策を比べてみます。

安倍首相:増税断行と用途変更

  • 低所得者家庭への高等教育の無償化、授業料の減免措置拡充、給付型奨学金の支給額を大幅増。
  • 幼児教育の無償化。
  • 「2020年度までに3歳から5歳まで、すべての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。0歳から2歳児も所得に低い世帯では全面的に無償化します」
  • 介護人材の確保、処遇改善(他産業との賃金格差の是正)
  • 「2020年度までに32万人分の受け皿整備」「2020年代初頭までに50万人分の介護の受け皿を整備」
  • 「人づくり革命」のために消費税率10%への引上げ分のお金を活用
  • 2%の引上げで5兆円強の税収を見こむ。現在はこの1/5を社会保障に用い、4/5が借金返済に使われているが、使い道を少子化対策に回す(増税負担の軽減)。
  • 2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は困難になるが、財政再建の旗は降ろさない(計画変更)。

公明党・山口代表:増税断行と用途変更(+軽減税率)

  • 「財政再建よりも社会保障の機能強化への配分強化は国民に信を問う価値がある」(産経:2017/9/27)。
  • 「教育負担の軽減を図り、幼児教育や高等教育の無償化を進めていく」「給付型奨学金などは実行し、幼児教育の無償化も段階的に一部実現しているが、大々的に行う」「莫大な財源が必要になる。そのためには、12年に民主、自民、公明の3党が合意した社会保障と税の一体改革で定められた消費税増収分の使い道を大きく変更することが必要になる」(公明新聞:2017/10/1 共同通信社での講演)
  •  10%増税論で自公両党がまとまり、従来の「軽減税率」を提唱するチャンスを得ることになった

関連記事:飲食と税金 軽減税率8%でどう変わる

立憲民主党/民進党(=無所属)

立憲民主党:枝野幸男氏:増税延期

  • 目下の消費税増税は延期すべき
  • 「消費税については、将来的な国民的な負担をお願いしていくことは堂々と訴えるべき」(しかし)「現下の経済状況、例えば法人税が減税されている中で、大衆増税がなされるというようなこと、使い道についての信頼がない」(毎日電子版:結党改憲詳報 2017/10/2)
  • 財源案は所得税や相続税、金融課税の強め、再分配機能を強化すべきと主張
  • 児童手当や高校授業料無償化において所得制限廃止を掲げている。

前原代表(無所属候補):増税断行と用途変更

  • 負担が増えても社会保障や教育が良くなったと実感できる「増税の成功体験」が必要だと訴える。
  • 消費税1%分(2.8兆円)で幼児教育と国立大学の文系授業料を賄う構想。
  • 安倍増税案について「なぜ今、選挙なのか。2年先の増税の使途を組み替えるのには理由にならない」(産経1面:2017/9/27)

(※今回の選挙では「民進党」ではなく「無所属」)

希望の党・小池代表:増税凍結

  • 「実感の伴う景気回復を確保するまで消費増税は立ち止まる。さもなければまた景気の腰折れを招く」(日経朝刊3面:2017/9/26)
  • 「社会保障費は今後も膨れあがるなか、増税分の議論だけでいいのか。改革の方向で進めたい」(産経1面:2017/9/27)
  • 公約では「消費税増税を凍結し消費の冷え込みを回避する一方、300兆円もの大企業の内部留保に課税する」と表明。増税を嫌う企業が内部留保を雇用創出や設備投資に回すことを狙っている。
  • 消費税法に増税の条件(経済状況の好転)を定める「景気条項」がないことを問題視している。消費税引き上げの前提に「国会改革」(議員定数・報酬の削減、一院制実現に道筋をつける)や「ワイズ・スペンディング」(不要不急のインフラ整備の徹底的見直し)をあげた。

関連記事:会社に税金をかけたがる政治家は「内部留保」がわかっていない?

維新の会・松井代表:増税中止

  • 消費税増税を凍結。
  • 国民に負担を求める前に身を切る改革で財源を捻出し、教育無償化を実現。
  • 国会議員の定数・歳費の3割削減。 国・地方の公務員総人件費を2割削減
  • 消費税の地方税化(地方共有税の創設)。その理由は低所得者負担が大きい消費税で所得の再分配を図るのはおかしい
  • ただ、この案は「地方交付税制度等の見直し」(減額は確実)を伴う

共産党・小池書記長:増税中止

  • 消費税10%増税を中止。2014年4月に8%増税を行った後、41か月で家計消費が前年同月を上回ったのは、たった4カ月。37か月はマイナス。
  • 3年以上経過しても、深刻な消費不況が続いている。10%への大増税をやれば、経済もくらしもどん底に落ちる。
  • 財源としては大企業と大資産家に応分の負担を求める。法人税増税や株式配当や譲渡益への課税を上げる。
  • しんぶん赤旗(2017/9/27)の「使途の『見直し』でなく中止を」では「原則としてあらゆる商品やサービスに課税される消費税は低所得者ほど負担が重い天下の悪税」だと主張している。

※そのほか、社民党も庶民の生活を脅かすという理由で増税に反対。

消費税増税は断行すべきか凍結すべきか

自公政権は増税。希望の党や立憲民主党、共産党、社民党は増税反対でした。

筆者は小池都政には賛同できませんが、筆者は「10%増税」と「増税凍結」ならば、後者のほうがましだと考えています。

(意外と、しんぶん赤旗の主張が力強いことに驚かされました。恐らく、筆者は共産党にも希望の党にも投票しませんが・・・)

最近の報道では、「日本の経済成長が延々と続いている・・・」という麗しい話がよく出てきますが、筆者には、いま一つ、その話の実感が持てません。

アベノミクス開始以降、平均値で見た給料の伸び率と、物価の上がり具合を比べると、実質値で給料が伸びているわけではないからです。

平成27年と28年の「民間給与実態統計調査」で全体の給与平均を見ると、一見、微増のように見えます。

413.6万(13年)⇒415万(14年)⇒420.4万円(15年)⇒421.6万(16年)

しかし、2015年を100として物価(消費者物価指数:生鮮食品及びエネルギーを除く総合)の上昇率を比べると、給料の伸び以上に物価が上がっています。

両者を2015年を「100」として換算すると、以下の数字になります。

  • 給料:98.3(13年)⇒98.7(14年)⇒100(15年)⇒100.3(16年)
  • 物価:97.2(13年)⇒99(14年)⇒100(15年)⇒100.3(16年)

2015年の給料を「100」とした場合、13年は98.3、16年は100.3なので、13年から15年までの給料の伸び率は「2」

2015年の物価を「100」とした場合、13年は97.2、16年は100.3なので、13年から16年までの物価の伸び率は「3.1

物価上昇率を含めて計算した実質での日本人の平均給与の金額は-1.1%。実質値での給料増にはならないのです。

(※関連記事:日本の平均年収は420万円

選挙が見込まれる2017年に麗しいニュースが増えたのは、財務省寄りの経済学者やエコノミストが「景気はよくなったから増税しよう」という論調を造り始めたからなのではないのでしょうか。

※増税による大学教育無償化の問題点

産経ニュース(9/25)は以下の二つの慎重論を紹介(「衆院選の争点は? 自民…教育無償化、大学の質懸念 民進…前原氏、「知らんぷり共闘」)

  • 「大学を出るための税金を(大卒より生涯賃金が低い)中卒、高卒の人の税金で賄うのは公平か」(麻生太郎財務相)
  • 若年人口の減少と大学数の増加により、定員割れとなる大学が増える中で「ほぼ無試験での入学者まで支援すれば、大学間の競争はなくなり、教育の質が低下しかねない」(教育関係者)

関連記事教育無償化のメリット・デメリット

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消費税増税でどれだけ負担が増えるか

では、増税が行われた時に、どれくらい負担が増えるのでしょうか。

それを年収別に検証してみます。

日経電子版(「年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は」2016.2.23)で公開されている年収と税率別につくった負担額の図表をもとに、その負担増の金額を割り出してみました。

消費税負担増:8%⇒10%

単位は万円

年収  税率負担差
8%10%
~200       8.710.92.2
200~300   13.1173.9
300~400  14.9194.1
400~500  16.721.24.5
500~600  18.223.35.1
600~700  20.5265.5
700~800  22.728.76
800~900  24.831.36.5
900~1000 25.332.47.1
1000~150029.737.37.6
1500~      35.145.710.6

2016年度の日本人(給与所得者)の平均年収は421.6万円なので、10%増税になった時、この収入レベルの方は、確実に年間で4万円以上は消費税の負担額が増えます。

4万円を12カ月で割ると3333円です。

イメージで言うと、若い人が月に一度、彼女と一緒にランチを食べに行く機会が失われるぐらいの負担感です。

世帯持ちであれば、夫婦と子供一人(計3人)で月に一回、外食をするぐらいの費用かもしれません。

映画好きな方であれば、月に3回ぐらいの映画代の金額になります。本が好きな方であれば、ハードカバーの本2冊ぐらいに相当します。

いろいろとモノに換算してみると、4万円というのは意外とバカになりません。

毎月の娯楽が何か一つ消えるぐらいの負担感なのではないでしょうか。

増税時の負担額について、もう一段、掘り下げてみます。

2016年度の「民間給与実態統計調査」(国税庁)をもとに、平均給与をさらに、正社員と非正規社員、男性と女性の違いも踏まえて区分けしてみます。

以下のグループは、前掲の年収別の負担増の金額のどこに該当するのでしょうか。

(※以下の表記は「グループ:平均給与⇒8%から10%増税時の負担増の額」)

  • 全体平均:421.6万⇒4~4.5万
  • 男性平均:421.1万⇒4~4.5万
  • 女性平均:279.7万⇒3~3.5万
  • 正規平均:486.9万⇒4.5万前後
  • 正規男性平均:539.7万⇒4.5~5万
  • 正規女性平均:373.3万⇒3.5~4万
  • 非正規平均:172.1万⇒2万以下
  • 非正規男性平均:227.8万⇒2~3万
  • 非正規女性平均:148.1万⇒2万以下

だいたい、2万円~5万円ぐらいの幅で負担増になる人が多いようです。

この幅の年収だとだいたい、1%程度のお金を引かれることになります。

冷静に見ると、年収300万円以下の人は年収の1%以上を負担し、年収500万以上の世帯は年収の1%以下を負担する構造になっています。

やはり、消費税というのは、低所得者に負担が重い逆進性の高い税金です。

年収200万円以下で2万円引かれるのはかなり「痛い」はずです。

消費税5%⇒8%での負担増は何万円?

消費税増税で、一回あたりの負担増の金額の幅は年間で数万円程度になる方が多いのですが、すでに2014年も増税しているので、積み重なると、負担額はかなり大きくなるはずです。

消費税5%の時と8%の時の負担差を見てみましょう。増税がなければ、自由に使えたお金の金額は以下の通りです(※出所は前掲の日経電子版「年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は」2016.2.23)。

【 5%時と8%時の消費税負担額の差】

年収負担差  税率
5%8%
~200       2.95.8 8.7
200~300   4.58.6 13.1
300~400  5.59.414.9
400~500  6.110.616.7
500~600  6.311.918.2
600~700  7.313.220.5
700~800  8.214.522.7
800~900  8.915.924.8
900~1000 8.516.825.3
1000~150010.818.929.7
1500~      11.523.635.1

5%時と8%時の負担差の金額が「800~900万未満」で8.9万円、「900~1000万未満」で8.5万円というのは変ですが、何か異常値が出た元データを単純計算してしまったのかもしれません。ここは実質9~10万程度と見るべきでしょう。

ーーー

(※参考:5~8%時の増税負担の増え幅)

東京新聞電子版(2012.4.4)は第一生命研究所の試算(勤労者1名の四人世帯)を紹介していたことがあります。その金額は以下の通りでした。

  • 年収300~350万円→5万2628円
  • 年収350~400万円→5万5546円
  • 年収400~450万円→6万2022円
  • 年収450~500万円→6万6583円
  • 年収500~550万円→7万2948円
  • 年収550~600万円→7万4539円

四人世帯分だと消費額が大きくなるから、日経の試算よりも負担幅は大きくなるわけです。

※朝日新聞(2012/8/11:朝刊9面)では消費税が5%から8%まで上がれば、年収500万円の4人家族〔勤労者1名〕の場合、社会保険料を含めると年間33万の負担増になると試算。

※16年初に麻生財務相は消費税を8%⇒10%に上げた時の一人当たり負担額は27000円と発言。試算方法の変更に合わせて従来は14000円としていた金額を変えた。世帯当たりで見ると3.5万円ではなく6.2万円かかるとのこと。質問者の共産党の小池晃氏は「政府の統計は信用できない」と反発(朝日新聞:2016/1/20朝刊3面)

消費税5%⇒10%での負担増は何万円?

8%増税の時の負担増の額は、もう召し上げられているので、そこに次回10%への増税での負担増分を足した金額が、2013年時点と2019年時点での負担差になります。

結局、5%から10%にまで上がった時の増税負担額は年間で何万円になるのでしょうか。(以下、年収:14年増税負担+19年増税負担=累計負担額)

  • ~200万:2.9万+2.2万=5.1万
  • 200~300万: 4.5万+3.9万=8.4万
  • 300~400万: 5.5万円+4.1万=9.6万
  • 400~500万: 6.1万円+4.5万=10.5万
  • 500~600万: 6.3万円+5.1万=11.4万
  • 600~700万: 7.3万円+5.5万=12.8万
  • 700~800万: 8.2万円+6万=14.2万
  • 800~900万: 8.9万円+6.5万=15.4万
  • 900~1000万: 8.5万円+7.1万=15.6万
  • 1000~1500万: 10.8万+7.6万=18.4万
  • 1500万以上:11.5万+10.6万=22.1万

さすがに消費税5%の時と10%の時の差はかなり大きくなります。

年収200万以下で5万円。平均年収の420万円前後でも10万円程度の負担額です。このぐらいの比率になると重く見えてきます。

14年と19年の二回の増税負担を累計すると、10万円以上の負担になる方も多いので、数字を見ると目が三角になる方も出てきそうです。

しかし、増税派の政治家や官僚、マスコミの論理は巧妙です。

本音は10%に上げたいのですが、一気に5%から10%に上げたら負担額が大きすぎて国民に拒否されるので、二回に分けて実現の道筋を探りました。

まず、一回あたりの負担額が小幅になりますし、二回目の増税を訴える頃には、前回の増税による負担増の金額を忘れている人も出てくるからです。

そのため、この両者の累計は重要です。

ここで、また2016年度の「民間給与実態統計調査」(国税庁)に戻って、グループ別に2回の増税による負担増の金額を推定してみます。

【グループ別に見た消費税5%増税の負担増額】

(※以下の表記は「グループ:平均給与⇒5%から10%増税時の負担増の額」)

  • 全体平均:421.6万⇒10万前後
  • 男性平均:421.1万⇒10万前後
  • 女性平均:279.7万⇒7.5~8万
  • 正規平均:486.9万⇒10~10.5万前後
  • 正規男性平均:539.7万⇒10.5~11万
  • 正規女性平均:373.3万⇒9万前後
  • 非正規平均:172.1万⇒5万以下
  • 非正規男性平均:227.8万⇒6万前後
  • 非正規女性平均:148.1万⇒5万以下

10万円前後の負担増になる方が多いようです。

この10万円負担増だけでなく、本当は、社会保障の負担増も加味しなければいけないので、増税後に消費が盛り上がらないのは当たり前の話です。

消費税増税が景気に与える影響

筆者が問題だと思うのは、10%への増税論が日本経済のダメージを無視していることです。

実際に、2016年度税収は7年ぶりに前年割れとなり、8000億円も減っています。

56.3兆円(2015年度)⇒55.5兆円(2016年度)

17年に改定されたGDP基準によれば、2015年度と16年度の実質GDP成長率はともに1.3%なのですが、どういうわけか、16年度は税収が減っているのです。

普通、経済成長に応じて税収が増えるので、この数字はやや不可解です。

新基準での実質GDP成長率の推移を見ると、増税が行われた14年度の落ち込み具合は際立っています。

  • 2.6%(13年度)-0.5%(14年度)1.3%(15年度)1.3%(16年度)

1.3%という数字はよさげに見えますが、GDP基準改定後は、ややおめでたい数字が目立つようになりました

内閣府経済社会研究所によれば、名目GDPの推移(単位は兆円)は以下の通りです。

年度201320142015
新基準507.4517.9532.2
旧基準482.4489.6500.6
新-旧2528.331.6

2000年代は「新基準ー旧基準」の差額が16兆円から20兆円程度なのに、第二次安倍政権移行の13年~15年の差額は25兆円から31.6兆円に大きく上振れしています。

そして、このGDP基準改定にともなって、「2014年の8%への消費税増税のダメージはさほど大きくなかった」という説が浮上しています。

内閣府の景気動向指数研究会は2014年の消費税増税時の景気の悪化は「後退」とまでは言えないと結論しました。その座長は、延々と消費税増税を薦めてきた立正大・吉川洋教授なので、こうした調査は増税論を広める布石と見るべきでしょう。

この研究会は、今の景気拡大はバブル期(4年3カ月)よりも長く、戦後3番目となる可能性が高まったとみなしていますし、最近は、2014年前後の消費の推移を例にとり、旧基準で見ると増税後に消費はL字型になったが、新基準で見るとV字回復したという人も出てきました。

民間最終消費支出は新旧基準で見ると以下の規模(単位:兆円)で推移しています。

年度201320142015
新基準300298.4299.9
旧基準295.7293.2292
新-旧 4.35.27.9

・・・

時代の変化に統計の基準を合わせるのは大事なことです。

しかし、日本では14年増税の影響が問題視され、増税を薦めた財務官僚らの見識が疑われた後に基準を変えたので、そこに「政治的意図」が入っているのかもしれません。

新項目をカウントしたらGDPが大きくなるので、後だし的に増税の影響を小さくカウントできるのではないでしょうか。

消費税10%増税で家計はどうなる

昔を振り返ると、2013年の6月末頃(増税判断前の参院選の頃)に、増税論を説く伊藤元重氏(東大教授)と増税延期論を説くセブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文氏のインタビューが掲載されていたことがありました。

「物価や消費、見通しは」(2013/6/30:日経朝刊11面)という記事では、伊藤教授が「欧州では頻繁に税率の引き上げに踏み切っているが、それによる景気への悪影響は見られない」と述べていました。

これに対して鈴木敏文氏が「同じ税の仕組みであっても欧州の人たちと日本では受け止め方が大きく異なる」「基本的にモノ余りの時代だから、税込み価格が上がった表示を見て買い控えようと考える人が増える」と指摘していたのです。

確かに、鈴木氏の言う通り、コンビニの商品を見ると割高感がある品物はよく売れ残っています。

筆者はたまにコンビニで缶コーヒーを買いますが、一週間前ぐらいに店内で見たのは、124~125円の缶コーヒーを差し置いて、100円の特売品だけがきれいに消えている光景でした。

  • 売れ残り組(定額):ボス贅沢微糖、ボス無糖ブラック、エメラルドマウンテン、ワンダモーニングショット
  • 完売組(100円特売):ボス・ザ・エスプレッソオリジナル、ボス・ザ・エスプレッソ微糖

鈴木敏文氏の言っていることは、実際に小売の現場で起きています。

結局、10%への増税を掲げた自公政権が選挙に勝ちましたが、筆者は、かなり多くの方が「5%⇒10%で増える家計負担」を計算しないで投票したのではないかと危惧しています。

消費税減税こそが有望な選択肢では

筆者は、GDP新基準に基づく景気回復、経済成長の継続という麗しい話を信じられません。

そして、新基準改定前に出た論説ですが、片岡剛士氏(日本銀行政策委員会審議委員)の5%減税への提言はまだ有効だと考えています。

(出所:消費低迷の特効薬は消費税減税だ | 片岡剛士 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

「家計最終消費支出の落ち込みが続く主因は2014年4月から始まった消費税増税である」「消費税増税の影響は税率が変わらない限り恒久的に続く。家計消費の低迷を打破するには、2017年4月の消費税率引き上げ撤回し、消費税増税時期を白紙に戻すことで先行きの消費への不安材料を払しょくし、合わせて8%の消費税増税の悪影響を乗り越える二段構えの財政政策が必要である」

5%への減税論は、早稲田大学教授の若田部昌澄氏も述べていました。

もともと、デフレ脱却の論理は、金融緩和と財政政策(公共投資もしくは減税)の組み合わせを推奨するはずです。

しかし、金融緩和と増税を一緒にするのは、アクセルとブレーキを一緒に踏むようなものです。

その意味で、安倍首相の10%増税論とアベノミクス推進論は矛盾しています。

金融緩和をするなら公共投資もしくは減税を並行させるという、マクロ経済学の常道に帰っていただきたいものです。

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