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軍事企業の株購入 良いのか悪いのか

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10月が始まりましたが、今月の10日は北朝鮮の朝鮮労働党の創建日なので、この近辺で北朝鮮のミサイルが発射されるのではないかと言われています。

また、10月中旬(15日頃)には、米空母ロナルド・レーガンを中心とした空母打撃群が朝鮮半島近海で韓国海軍と合同訓練を行う予定です。

このあたりでまた米朝の緊張関係が高まる可能性があります。

そして、それに伴って軍事企業の株価が上がるかもしれません。

本年4月以降、ロッキードマーティンやノースロップ・グラマン等の軍需系企業の株価が伸びていることがたまに新聞などでも報じられるようになりました。

他紙に比べると「独特」の1面記事を公開する東京新聞では、9月17日朝刊でGPIFが軍需産業の株を買っていたことを問題視する記事が掲載されています(ネット版でも閲覧可能)。

読者によって賛否両論が分かれると思いますが、色々な意味で考えさせられる内容ではあるので、今回は、軍需産業(防衛産業)をどう見るべきかを書いてみます。

軍事企業10社の株をGPIFが購入

該当の記事は「GPIF年金運用 軍事上位10社の株保有 本紙調べ」(2017年9月17日 朝刊)です。そこでは、GPIFが以下の10社の軍需産業の株を買っていたことが報じられています。

(※以下、軍事部門の売上順位:時価総額。東京新聞から転記)

  1. ロッキードマーティン(米):665億円
  2. ボーイング(米):857億円
  3. BAEシステムズ(英):219億円
  4. レイセオン(米):450億円
  5. ノースロップグラマン(米):418億円
  6. ゼネラルダイナミクス(米):570億円
  7. エアバス(欧):481億円
  8. ユナイテッドテクノロジー(米):822億円
  9. レオナルド(伊):44億円
  10. L3テクノロジー(米):125億円

この記事では「公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、軍事部門の売上高が世界で十位以内に入るすべての企業の株式を保有している」ことについて「国民年金や厚生年金の保険料の一部が、武器の製造で収益を上げる世界の主要な軍事関連企業を支えている」と中根政人記者が署名記事で憤っています。

前掲10社はいずれも世界で名の通った軍事企業ですが、ここ数年、国際情勢が不安定化したため、多くの軍需産業(防衛産業)の株価は上昇を続けていました。

法律で恣意的な運用を禁じるために「GPIFは、委託を受けた運用会社が代表的な株式指数を基に、各国の企業の株を機械的に購入する仕組み」になっているので、軍事株の購入は禁じられていないわけです。

前掲記事では「諸外国では、スウェーデンやノルウェーの年金基金は、非人道兵器の製造や環境破壊、人権侵害で問題が指摘される企業への投資を排除できるルールがある」ことを紹介し、日本でもこの種の規定を導入すべきだと述べています。

軍事企業の株購入の是非について

前掲記事では、軍事企業の母国はIS掃討戦を進めていることや、紛争が激化すればするほど株価が上がることを指摘しています。そして「年金積立金が、国民の知らないうちに『軍事支援』に転用されている構図は、倫理上許されるとは思えない」と結んでいました。

しかし、筆者は、この記事には見落としている観点があると思います。

欧米諸国はISをはじめとしたテロの激化に対処し、秩序を保つために戦っているので、侵略とは違います。反撃をしているのです。

そして、日本は、この種のテロが鎮圧されることで恩恵を受ける側にいます。

受益者の日本が正義派ぶって説教しても、欧米諸国には何の説得力もありません。

東京新聞は昔ながらの軍産複合体批判をしているわけですが、実際のところ、日本を守っているのは、前掲10社に含まれる米国の軍需産業がつくった高性能な装備です。

例えば、F15戦闘機はボーイング社からのライセンス生産、ミサイル防衛システムはレイセオン社、F35戦闘機はロッキード・マーティン社がつくっています。

実際は、日本国民1億2千万人は米国の防衛産業の恩恵を受けており、この兵器がなければ、日本は今頃、中国の一自治区やロシアの一共和国にでもなっていたかもしれないのです。

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(アラスカで演習中のF15。出所はWIKI画像)

軍事企業から買ったF15は日本防衛に大貢献

1980年代は軍事的な緊張も高まりましたが、その時に日本がF15とF16を大量導入したことで、その後20年以上、我が国の「航空優勢」が保たれることになりました。

この意味では軍需産業=防衛産業だったわけです(しかし、軍需産業が暴走し始めると「死の商人」になる)。

軍需産業には戦争で儲ける危険な面もありますが、日本やNATO、オーストラリアなどの「同盟国の防衛」に関して、アメリカの軍需産業は多大な貢献をしてきたわけです。

実際に、本年9月にも、自衛隊が用いるF35Aのお披露目の式典では、防衛省や自衛隊の代表も交えて「この戦闘機は今後の日米同盟の象徴だ」というPRがなされています(LMT社HP)。

F4戦闘機の役割終了に伴い、日本では最新鋭のステルス機であるF35AをLMT社から購入することにしました。

ステルス機というのは、敵のレーダーに映らない航空機のことです。米軍の中で、F22は制空権を確保するためのステルス戦闘機であり、F35は空中での戦闘だけでなく、対地・対艦攻撃を担う多目的機として位置づけられています。

すでに中国ではステルス機の開発がかなり進んでいるので、日本もステルス機を配備しなければ、やがては中国の最新鋭戦闘機に対抗できなくなります。

すでに戦闘機の数では中国の戦闘機の数が勝っているので、日本は「質」で対抗するしかないのです。

日本の現状を見る限り、この問題に関しては、軍隊と装備には「国民を守る」という肯定的な面と、「侵略に悪用される危険性がある」という怖い面があることを、功罪を踏まえて冷静に見直すことが大事です。

結局、これは比較考量の問題なのですが、我が国は年金での株購入以前に、前掲の米国の軍需産業から装備(兵器)をたくさん買っています。

だとすれば、GPIFの軍事株購入は、日本国民を守る装備をつくっている企業の株を買っているだけなのかもしれないのです。

(※前掲記事では「非人道兵器」の製造を批判しているが、現代兵器はみな、恐ろしい破壊力を持っているので、何をもって非人道的とするかはわかりにくい。「クラスター弾や機雷が非人道的だ」と定義しても、護衛艦の大砲やミサイルにも大きな破壊力があるので、「後者はよくて前者は悪い」という論理が成り立つのかどうかは疑問が残る)

軍事企業は悪? では、何で自由主義国を守るのか

米国株についてのブロガーの記事を見ると、ロッキードマーティンやグラマン、レイセオン等の軍事株について、これはいわゆる「死の商人」への投資ではないのか?という逡巡をつづられている方もいます。

確かに、そうなのかもしれません。

しかし、日本もアメリカもヨーロッパも、これらの軍事企業のつくった兵器がなければ、厳しい国際社会の中で独立を守ることはできなくなります。

今、欧米と日本が独立を守れなければ、台頭するのは中国とロシアです。

ロシアよりも中国のほうが人権にいっそう抑圧的ですが、この両国が世界を支配する時、今よりもっと不自由で生きにくい世界になる可能性が高いのです。

軍需系企業にも、当然ながら、功罪の両面があるわけです。

軍事企業でなくても、企業活動には正と負の両面を伴うことが多いので、投資に関しては、それをしっかりと考慮に入れることが大事だと思います。

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