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消費税10%の負担増は何万円?【年収別リスト】

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今回の選挙でもやはり、消費税は大きな争点です。

10%増税をすべきかどうかが関心を集めていますが、そもそも「消費税を増税した後に負担がどれだけ増えたのか」というデータは意外と認知されていません。

各人が自分の財布で計算していますが、全体的なデータがきちんとわかりやすく広がっていないような気がするのです。

筆者のように毎月の支出の記録を細かにつけないズボラな種族にとっては、増税されたら、どの程度、税負担が増えるかというデータがないのは非常に危険なことです。

というわけで、今回は勉強を兼ねて消費税の負担額について調べてみました。

生活者目線で、過去の増税の過程や収入別の税負担等について考えてみます。

(※当ブログでは9月27日に〔【消費税】自民党と民進党、希望の党の主張を比較〕と題した記事を公開していますが、今回は、収入別に見た負担増の違いなどに焦点を当てています)

年収別に見た増税時の負担額

まず、いちばん気になるのは、増税が行われた時に、自分の収入だと、どれくらいの負担増になるのか、という問題です。

年収別と税率でつくった負担額の図表が日経電子版(「年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は」2016.2.23)で公開されているので、それを参考に増税時の負担増の金額を割り出してみました。

単位は万円

年収   税率 負担差
8% 10%
~200        8.7 10.9 2.2
200~300    13.1 17 3.9
300~400   14.9 19 4.1
400~500   16.7 21.2 4.5
500~600   18.2 23.3 5.1
600~700   20.5 26 5.5
700~800   22.7 28.7 6
800~900   24.8 31.3 6.5
900~1000  25.3 32.4 7.1
1000~1500 29.7 37.3 7.6
1500~       35.1 45.7 10.6

2016年度の日本人(給与所得者)の平均年収は421.6万円なので、10%増税になった時、この収入レベルの方は、確実に年間で4万円以上は消費税の負担額が増えます。

4万円を12カ月で割ると3333円です。

イメージで言うと、若い人が月に一度、彼女と一緒にやや良さげなランチを食べに行く機会が失われるぐらいの負担感です。世帯持ちであれば、夫婦と子供一人(計3人)で月に一回、外食をする時の費用に近いでしょうか。

映画大好きな方であれば、月に3回ぐらいの映画代の金額になります。本が好きな方であれば、ハードカバーの本2冊ぐらいに相当します。

いろいろとモノに換算してみると、4万円というのは意外とバカになりません。

毎月の娯楽が何か一つ消えるぐらいの負担感なのではないかと思います。

平均給与別に見た増税時の負担額

平均給与別にみた増税時の負担額について、もう一段、掘り下げてみます。

2016年度の「民間給与実態統計調査」(国税庁)をもとに、平均をさらに、正社員と非正規社員、男性と女性の違いも踏まえて区分けしてみます。

以下のグループは、前掲の年収別の負担増の金額のどこに該当するのでしょうか。

(※以下の表記は「グループ:平均給与⇒8%から10%増税時の負担増の額」)

  • 全体平均:421.6万⇒4~4.5万
  • 男性平均:421.1万⇒4~4.5万
  • 女性平均:279.7万⇒3~3.5万
  • 正規平均:486.9万⇒4.5万前後
  • 正規男性平均:539.7万⇒4.5~5万
  • 正規女性平均:373.3万⇒3.5~4万
  • 非正規平均:172.1万⇒2万以下
  • 非正規男性平均:227.8万⇒2~3万
  • 非正規女性平均:148.1万⇒2万以下

だいたい、2万円~5万円ぐらいの幅で負担増になる人が多いようです。

この幅の年収だとだいたい、1%程度のお金を引かれることになります。

冷静に見ると、年収300万円以下の人は年収の1%以上を負担し、年収500万以上の世帯は年収の1%以下を負担する構造になっています。

やはり、消費税というのは、低所得者に負担が重い逆進性の高い税金です。

年収200万円以下で2万円引かれるのはかなり痛いのではないでしょうか。

なお、東洋経済オンラインでは毎年「最新!『平均年収トップ500社』ランキング」を公表していますが、この上位を占める7社は「年収1500万円以上」なので、前掲図表で言えば、増税時の負担が10.6万円と見積もられるトップ層に入ります。

企業名(平均年収)をあげると、M&Aキャピタルパートナーズ(2253万)、GCAサヴィアン(2153万)、キーエンス(1756万)、日本商業開発(1741万)、ストライク(1616万)、ファナック(1571万)、野村ホールディングス(1515万)です。

消費税5%⇒8%での負担増は何万円?

消費税増税で、一回あたりの負担増の金額の幅は年間で数万円程度になる方が多いのですが、すでに2014年も増税しているので、積み重なると、負担額はかなり大きくなるはずです。

消費税5%の時と8%の時の負担差を見てみましょう。増税がなければ、自由に使えたお金の金額は以下の通りです(※出所は前掲の日経電子版「年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は」2016.2.23)。

【 5%時と8%時の消費税負担額の差】

年収 負担差   税率
5% 8%
~200        2.9 5.8  8.7
200~300    4.5 8.6  13.1
300~400   5.5 9.4 14.9
400~500   6.1 10.6 16.7
500~600   6.3 11.9 18.2
600~700   7.3 13.2 20.5
700~800   8.2 14.5 22.7
800~900   8.9 15.9 24.8
900~1000  8.5 16.8 25.3
1000~1500 10.8 18.9 29.7
1500~       11.5 23.6 35.1

5%時と8%時の負担差の金額が「800~900万未満」で8.9万円、「900~1000万未満」で8.5万円というのは変ですが、何か異常値が出た元データを単純計算してしまったのかもしれません。ここは実質9~10万程度と見るべきでしょう。

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(※参考)

5~8%時の増税負担の増え幅に関しては昔の新聞記事では試算も出ていました。

東京新聞電子版(2012.4.4)は第一生命研究所の試算(勤労者1名の四人世帯)を紹介していたことがあります。その金額は以下の通りでした。

  • 年収300~350万円→5万2628円
  • 年収350~400万円→5万5546円
  • 年収400~450万円→6万2022円
  • 年収450~500万円→6万6583円
  • 年収500~550万円→7万2948円
  • 年収550~600万円→7万4539円

四人世帯分だと消費額が大きくなるから、日経の試算よりも負担幅は大きくなるわけです。

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消費税5%⇒10%での負担増は何万円?

8%増税の時の負担増の額は、もう召し上げられているので、そこに次回10%への増税での負担増分を足した金額が、2013年時点と2019年時点での負担差になります。

結局、5%から10%にまで上がった時の増税負担額は年間で何万円になるのでしょうか。(以下、年収:14年増税負担+19年増税負担=累計負担額)

  • ~200万:2.9万+2.2万=5.1万
  • 200~300万: 4.5万+3.9万=8.4万
  • 300~400万: 5.5万円+4.1万=9.6万
  • 400~500万: 6.1万円+4.5万=10.5万
  • 500~600万: 6.3万円+5.1万=11.4万
  • 600~700万: 7.3万円+5.5万=12.8万
  • 700~800万: 8.2万円+6万=14.2万
  • 800~900万: 8.9万円+6.5万=15.4万
  • 900~1000万: 8.5万円+7.1万=15.6万
  • 1000~1500万: 10.8万+7.6万=18.4万
  • 1500万以上:11.5万+10.6万=22.1万

さすがに消費税5%の時と10%の時の差はかなり大きくなります。

年収200万以下で5万円。平均年収の420万円前後でも10万円程度の負担額です。このぐらいの比率になると重く見えてきます。

ーーー

※参考

野田政権の頃に増税後の家計負担の変化が試算されています。

朝日新聞(朝刊2012.9.23)によれば、5%から10%に増税したら、以下の負担増になると算盤をはじいていたようです(※2011年4月と2016年4月を比較。当時は16年4月に10%増税をするつもりだった)。500万円世帯の金額は日経試算と同じぐらいです。

  • 年収500万円の4人家族(妻が専業主婦)⇒11.5万円増
  • 年収500万円の4人家族(共働き)⇒11.2万円増
  • 年収300万円の40歳未満の単身者⇒6.2万円増

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14年と19年の二回の増税負担を累計すると、10万円以上の負担になる方も多いので、このあたりを見ると、目が三角になる方も出てくるのではないでしょうか。

「年あたり10万円以上も消費税を増やされたくない・・・」

筆者はそう感じてしまいました。

しかし、政治家も官僚もマスコミも増税を勧める論理は巧妙です。

本音は10%に上げたいのですが、一気に5%から10%に上げたら負担額が大きすぎて国民に拒否されるので、二回に分けて実現の道筋を探りました。

まず、一回あたりの負担額が小幅になりますし、二回目の増税を訴える頃には、前回の増税による負担増の金額を忘れている人も出てくるからです。

やはり、この両者の累計は重要です。

そこで、また2016年度の「民間給与実態統計調査」(国税庁)に戻って、グループ別に2回の増税による負担増の金額を推定してみます。

【グループ別に見た消費税5%増税の負担増額】

(※以下の表記は「グループ:平均給与⇒5%から10%増税時の負担増の額」)

  • 全体平均:421.6万⇒10万前後
  • 男性平均:421.1万⇒10万前後
  • 女性平均:279.7万⇒7.5~8万
  • 正規平均:486.9万⇒10~10.5万前後
  • 正規男性平均:539.7万⇒10.5~11万
  • 正規女性平均:373.3万⇒9万前後
  • 非正規平均:172.1万⇒5万以下
  • 非正規男性平均:227.8万⇒6万前後
  • 非正規女性平均:148.1万⇒5万以下

10万円前後の負担増になる方が多いようです。

この10万円負担増だけでなく、本当は、社会保障の負担増も加味しなければいけないので、消費税の増税後、消費が盛り上がらないのは、生活実感から言えば当たり前の話です。

消費税10%増税で家計はどうなる

昔を振り返ると、2013年の6月末頃(増税判断前の参院選の頃)に、増税論を説く伊藤元重氏(東大教授)と増税延期論を説くセブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文氏のインタビューが掲載されていたことがありました。

「物価や消費、見通しは」(2013/6/30:日経朝刊11面)という記事では、伊藤教授が「欧州では頻繁に税率の引き上げに踏み切っているが、それによる景気への悪影響は見られない」と述べていました。

これに対して鈴木敏文氏が「同じ税の仕組みであっても欧州の人たちと日本では受け止め方が大きく異なる」「基本的にモノ余りの時代だから、税込み価格が上がった表示を見て買い控えようと考える人が増える」と指摘していたのです。

確かに、鈴木氏の言う通り、コンビニの商品を見ると割高感がある品物はよく売れ残っています。

筆者はたまにコンビニで缶コーヒーを買いますが、一週間前ぐらいに店内で見たのは、124~125円の缶コーヒーを差し置いて、100円の特売品だけがきれいに消えている光景でした。

  • 売れ残り組:ボス贅沢微糖、ボス無糖ブラック、エメラルドマウンテン、腕ダモーニングショット
  • 完売組:ボス・ザ・エスプレッソオリジナル、ボス・ザ・エスプレッソ微糖

鈴木敏文氏の言っていることは、実際に小売の現場で起きています。

教育無償化でお金を配るのかもしれませんが、これは、公平性に疑問が残ります。

みんなに子供がいるわけではないので、増税によって「教育無償化」を行うのは、結局、単身者や子供のない世帯から子供のある世帯への所得移転を行うのと同じです。

「子どもは社会で育てるものだ」という論理で教育無償化の公益性を主張する方もいるのかもしれませんが、子どものない世帯から見れば単なる負担増ですし、低所得層で子なしの方にとっては最悪の政策になります。

そうした理由で、教育無償化を行えば増税負担は緩和できる、という主張に筆者は賛同できません。

結局、お金を取られる人と配られる人に分かれるので、教育無償化分に消費税増税分を回しても、+と-が相殺されて終わりになるはずです。

そのため、10%増税を急ぐと、消費はしばらくもり下がるのではないでしょうか。

結局、10%への増税が通るかどうかは、国民の投票次第ですが、筆者は、そもそも、かなり多くの方が「5%⇒10%で家計にどれだけの負担が増えるのか」という情報を得ていないのではないか、という疑念を抱いています。

有権者に増税を訴えるのなら、その負担額がどの程度になるのかが、もっと研究されなければならず、その試算結果が多くの方に共有されなければいけないと思います。

そうした趣旨で、今回は増税負担にこだわって記事を書いてみました。

衆院選で一票を投じる際の参考になれば幸いです。

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