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【FRB議長】パウエル氏はハト派? 今後の舵取りの課題とは

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アメリカの連邦準備理事会(FRB)は2月3日にパウエル議長を中心にした新体制となりました。

物価がいま一つ伸びない中で資産価格が上がる中で、どの程度、FRBは利上げすべきなのかという難題が、今後、新議長に投げかけられるわけです。

その上に、減税がどの程度、景気を加速させるかという複雑な変数が混ざるので、その判断はさらに難しくなります。

2月5日(米国時間)にパウエル氏は宣誓式を行い、第16代のFRB議長に正式に就任します。

1月31日のFOMC(パウエル氏は理事として参加)の会議後声明文には、物価が「今年は上向く」と書かれ、「さらなる段階的な利上げ」が予告されたため、今後、1年に3回とされた既定路線よりも、利上げ回数が増える可能性が出てきました。

31日の米長期金利は一時的に2.75%にまで上がり、株価等に悪影響を及ぼしたので、今後、FRBの動向は、やはり目が離せません。

グリーンスパン元FRB議長も株式市場をバブルと評していますが、90年頃の日銀のように猛烈な利上げを行うと、株価急落につながるケースもあるので、米国株等に投資するならば、きちんとFRBの動向に目を光らせなければいけないでしょう。

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FRB議長:パウエルFRB理事の経歴

  • 本名:ジェローム・パウエル(Jerome H. Powell)
  • 年齢:64歳(1953/2/4生)
  • 学歴:プリンストン大政治学士号/ジョージタウン大法学士
  • 現職:FRB理事

昨年の候補者選定は、最終的にパウエルFRB理事とテイラー・スタンフォード大教授、イエレン現議長の3人に絞られ、現行路線に近いパウエル氏が指名されました。

トランプ氏は不動産業者なので、もともとは低金利志向で、あまり学者が好きではないので、結局、実務家のパウエル氏で落ち着いたのかもしれません。

エコノミストでないFRB議長は約40年ぶりです。

(※テイラー氏は「テイラー・ルール」(現在のインフレ率が目標インフレ率を上回った時、または実質GDP成長率が潜在GDP成長率を上回った時に金利を機械的に上げる。逆の場合は利下げ)で知られる経済学者。利上げ志向が強いと見られていた。テイラー氏のようなルール一辺倒の路線やアカデミズムはトランプ政権との相性が悪そう)

現行路線は維持してもイエレン続投では「新政権」の仕事をした感がないので、パウエル氏で落ち着いたのではないでしょうか。

そのパウエル氏の経歴を見てみます。

パウエル氏は弁護士であると同時に投資銀行家でした。

1997年から投資会社カーライル・グループのパートナーでした(2005年まで)。その後、ブッシュ(子)政権で財務省次官補を務め、2012年5月からFRB理事となりました。

今までの金融政策の意思決定に際しては、イエレン議長と共に緩やかな利上げを支持してきています。

市場評価はイエレン氏と同じハト派ですが、金融理論に偏らない現実派だとも言われます。

(※金融でのハト派は利上げ消極派。タカ派は利上げ積極派のこと)

ドッド・フランク法(金融規制改革法)の一部緩和や、銀行の自己勘定取引を制限するボルカー・ルールの修正についても発言してもいます。ただ、今の制度を擁護しているとの声もあり、金融規制緩和を進めるトランプ政権の方針との相性は未知数です。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によれば、パウエル理事は金融政策では中立的と評価されています。

ただ、2012年のFRB理事就任以降、連邦公開市場委員会(FOMC)で反対したことはないので、どちらかと言えば利上げに慎重なハト派に近いと見られています。

現在の候補者の中で、パウエル理事は唯一の共和党員であり、イエレン氏と交代後も政策の継続性を保てることから、上院で民主党議員からの支持も見込みやすい人材でした。

ムニューチン財務長官も推薦していましたが、強いて問題点を挙げれば「新味がない」ということかもしれません。

次期FRB議長の課題:金融政策の独立性

オバマ政権の場合、大統領府とFRBの方針は大筋で一致していたので、オバマ大統領がイエレン議長の采配に口出しをしたりする必要性がありませんでした。

バーナンキ議長やイエレン議長がFRB理事と決めた方針で金融政策が回っていたわけです。

ところが、トランプ政権になると、大統領の意向とFRBの方針にずれが生じ、トランプ氏が金融政策について発言し、口先介入を試みることが多くなりました。

しかし、FRBには、各国の中央銀行と同じく「金融政策の独立性」を保つ義務があります。また、政治の側も、従来は金融政策への権力による介入を戒めていました。

レーガン政権下でインフレ退治のために金利を引き上げたボルカー元FRB議長(任期:1979~87)は以下のように述べています。

FRBの信頼性、つまりFRBが価格安定の維持を約束し、党派的な政治圧力に対する抵抗力を持つことは、致命的に重要だ。独立性は、単なるスローガンではない」(出所:ロイター〔次期FRB議長、「面の皮の厚さ」必要か〕2017/10/19)

トランプ大統領は口出しが好きなので、この「金融政策の独立」が守られるかどうかも、今後の注目点の一つになります。

政権とFRBがバランスよく動けばよいのですが、トランプ政権が景気刺激策に踏み込み、それをFRBが利上げで冷やしたりするような支離滅裂な展開は望ましくありません。

タカ派が増えたFRBの今後のかじ取り

パウエル新議長体制には明確に「ハト派」と見られる人物はパウエル氏とプレイナード理事しかおらず、あとは中道路線かタカ派です。

ハト派が少ないので、利上げ路線が強まると見られています。

新体制を人事面で見ると、17年10月に金融監督を担当するクオールズ副議長が就任し、新理事にグッドフレンド氏(カーネギーメロン大教授)が指名されました。

FRBには空席が3つあるので、トランプ政権はさらに3人の理事を追加で指名でき、それが今後の不確定要素になっています。

現在の物価動向の分かりにくさも、今後の舵取りを難しくしています。

バーナンキFRB議長時代の12年1月、FRBは2%のインフレ目標を決めましたが、歴史的な低失業率の中で、数か月を除けば6年にわたり「未達」が続くという、「低インフレの謎」を残したまま、イエレン氏は退任することになりました。

完全失業率と見られる数字の中でも物価が上がらないのはなぜか?

その謎はまだ解けていません。

タカ派は低金利政策を続ければやがてはインフレが手に負えなくなると警告し 、利上げを急ぐべきだと主張し、インフレ目標の達成を迫るので、今後は利上げが続くだろうとも言われています。

金融規制が緩和される中で資産価格が上がっているので、これに対してFRBがどう判断するのかという問題もあります。

これに関して、エコノミスト(2018/1/9:P30~31)では、小野亮氏(みずほ総合研究所主席エコノミスト)は以下のように述べていました。

  • 米エール大のシラー教授によれば、 米国の景気循環調整後、S&P株価収益率 (CAPEレシオ)は21月時点で23倍を超え、 上昇局面では1997年夏の水準に匹敵する高さ。
  • 年初のFOMCでは「潜在成長率の低迷を背景に中立的な実質金利も低下していると考えれば、 資産価格は割高でない」という見方。資産価格の動向に強い警戒感は持っていない(資産価格を裏付けとした債務の急激な積み上がりがみられないことも考慮されている)
  • トランプ政権は金融規制の 見直し · 緩和を公約しているので資産・債務両面でのバプル拡大の恐れがある。
  • 金融監督に携わる通貨監督局 (OCC) や連邦預金保険公社(FDIC)、 消費者金融保護局 (CFPB ) のトップが替わり、 裁量的な規制緩和の士台が築かれた。
  • 長年、当局が発表し、金融バブルの抑制に貢献してきたとされるガイダンス等についても「適切な規制手続きにのっとっていない」として無効となる可能性が指摘されている。

低インフレや金融資産の高騰、規制緩和・・・。

判断を難しくする要因が多いので、今後のFRBの動向には注視が必要です。

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