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バンガードトータルストックマーケットETF【VTI】とS&P500ETF【VOO】を比較する

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今日は、アメリカの自己啓発本の著者であるアンソニー・ロビンズ氏が書いた『世界のエリート投資家は何を見て動くのか』(鈴木雅子訳、三笠書房)を参考にしながら、お勧めの米国ETFを並べてみます。

この本は、何が「売り」の本なのかというと、12名の著名投資家へのインタビューがまとめられています。

並んでいるのは、ウォーレン・バフェットからカール・アイカーン(1.7兆円のファンドを運用する「モノ言う株主」)、ジョン・C・ボーグル(バンガード・グループ元社長)など、そうそうたる顔ぶればかりです。

ロビンズ氏は、前作では、資産のリスク管理のプロであるレイ・ダリオ氏(ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者)へのインタビューを掲載し、この著作では、多数の長者へのインタビューを敢行しました。

読んでみて、印象に残った箇所を中心に紹介し、その後、お勧めのインデックスファンドを整理してみます。

投資では「防御は攻撃の10倍重要」

この本の前半では、28年間、顧客のために儲け続けた投資家のチャールズ・シュワブ氏が「私にとって、防御は、攻撃の十倍重要だ」と述べたことを紹介しています。なぜかと言えば、50%損をしたら100%儲けなければ取り返せないからです。

これは誰でも身に覚えのある話ですが、筆者も元手20万円でFXを初め、17万5千円まで減った時に、取り返すのは難しいと思い、FXをやめた記憶があります。瞬発力の低い筆者はFXに向かず、12.5%減でも取り返せないと思ったからです。50%の損なんてもってのほかです。

やはり、非常時の価格変動から身を守れないような投資は望ましくありません。

(ちなみに、FXをやめた後に買った米国株の銘柄〔60万円分〕は半年後に12.5%以上の値上がり益となりました)

インデックス・ファンド推奨論

ご存じの方には要らない説明ですが、本書全般に関わるワードなので、一応、説明を入れておきます。

アクティブファンドは、お金を預かった運用者(もしくは組織)が市場の平均値以上の利益を出すことを目指すファンドです。

一方、バンガードS&P500等のインデックスファンドは、メカニカルにリスク分散を行い、市場の平均値に近い水準で利益増を目指します(バンガードS&P500(VOO)では、上位三業種を筆頭に、情報技術22.3%、金融14.5%、ヘルスケア14.5%などと、各業界をまたいで分散投資をかける。詳細は最終節参照)。

本書は、どちらかというと、インデックスファンドを推奨しています。

例えば、資産10億$⇒239億$を実現したデイビッド・スウェンセン氏(エール大学財団最高財務責任者)は、こんなことを言っていました。

「アクティブ運用ファンドの実績は、市場平均を大きく下回ります。運用資産1億ドル以上のファンドの中で、1984年から1998年の15年間に『バンガード500インデックス・ファンド』より高い利回りを実現したのは、わずか約4%に過ぎません」「言い換えれば、96%アクティブ運用ファンドが市場平均を下回るわけです」

これは、米国ETFお勧め本などにも掲載されている統計ですが、スウェンセン氏は、アクティブファンドの成果は、この統計以下だとも述べていました。

「その統計は、氷山の一角にすぎなくて、現実は、もっとひどい」

「過去10年間に、何百ものファンドが業績不振で破綻しました」

(そして)「業績のいいファンドが常に悪いファンドを吸収するのです」

要するに、経営が続かなくなった「悪いファンド」はカウントされていないわけです。

スウェンセン氏は、既存のファンドには構造上の矛盾があると述べ、アクティブファンドは大した成果もないのにお金を取りすぎだと見ています(バンガード等のインデックス・ファンドはアクティブファンドよりも顧客にとってのコストが安い)。

「金融機関の『利益追求』と真に顧客本位の販売、運用、管理をするという『受託者責任』の間には、本質的な矛盾が存在しており、『企業が利益を上げると、個人が受け取る利回りは下がる』のです」

スウェンセン氏は分散投資の原則から一つの特定資産に30%以上は使うべきではないと述べています。

具体的なポートフォリオとしては、「低コストで市場全体を所有」できるバンガードのS&P500のようなインデックスファンド(30%程度)に、新興国マーケットの外国株を10%、先進国外国株を15%、不動産投資信託を15%。

株式で7割を運用し、残りの30%を通常の米国債15%、物価連動型の米国債15%で運用するのがよいと書かれています。

米国にも不況はあるが「米国経済の回復力を過小評価しないこと」が大事だと述べています。

基本的には、米国市場を中心に、他国市場も取り込みながら分散投資をかけるというスタイルです。

アクティブファンドはどう評価すべきなのか

一応、この本では、一方的にならないよう、アクティブファンドを擁護する著名人の発言を紹介しています。

メアリー・キャラハン・アードス氏(JPモルガン社長)は、前掲の論理に対して、JPモルガンの実績を挙げ、同社が「優秀なマネージャーを集め、長期間にわたり、大きな業績をあげてきたからこそ、運用資産が2兆5000億円まで成長した」と反論していました。

(ここだけを取り出すと、自慢にしか見えませんが、本書の中で出てくるアードス氏は卓越した女性経営者です。3人の子供を育てる立派な母であり、従業員の可能性を引き出す立派なリーダーでもあることが紹介されています)

チャールズ・シュワブ氏は「人口の98%は、主にインデックスファンドに投資すべきだ」と述べています。

要するに、平均値よりも高い運用益を挙げられる人の比率はそれだけ少ないのでしょう。

面白いことに、インデックスファンドの業績を上回り続けたバフェット氏も、自分の死後の遺産運用に関しては、バンガード社のS&P500のインデックスファンドを推奨していました。

ウォーレンは、自分の死後に妻、そして夫婦名義の信託口座に残す財産の資産配分率を教えてくれた。「10%を短期米国債、90%を低コストのS&P500インデックスファンド(バンガードをお勧めする)に投資する」

結局、天才は2%以下で、一代しか続かないことが多いわけです。

裏を返せば、人口比で2%以下の優秀なマネージャーだけを集めてアクティブファンドをつくった場合は、事業体として成り立つのかもしれません。

インデックスファンド創始者は何を意図したのか

筆者がこの本で、一番、感銘を受けたのは、1976年にインデックス・ファンドを創始したジョン・C・ボーグル(バンガード元社長)のインタビューです。

ジャック・ボーグル氏は若かりし日に、株の先輩にこんなことを教えられたようです。

「株式市場について知るべき知識を全部教えてやる。誰も何も知らないことだ」

ボーグル氏はフィラデルフィアのウェリントン・マネジメント社で経営者に出世しましたが、他社の合併・買収の判断を誤り、積極的に個別ファンドの運用に関与することを禁じられます。

アクティブファンドの運用サイドに回れなくなり、その時に思いついたのが、インデックスファンドだったわけです。今、大をなしているバンガード社のS&P500等のインデックスファンドも、ボーグル氏の人生最大の失敗がなければ、生まれることはありませんでした。

ボーグル氏は言います。

(若いころは)「『常に成功する投資マネジャー』がいると思ったが、そんなものは存在しない」
「投資の95%は運で、残りの5%が技術だ。98%が運で、2%が技術かもしれない」

そして、投資コストを理解することの重要性を力説し、ファンドの実質的な利回りを比較します。

「アクティブ運用ファンドでは平均的な利回りを得るのに、約2%の料金がかかる」のに対して、インデックスファンドの料金は0.05%程度なので、投資家に入る利益は1.95%もの差が出ます。

さらには、アクティブファンドは配当金の半分以上、もしくは全部を取ってしまうので、インデックスファンドほどは儲からないと指摘しています。

ボーグル氏は、一部の天才的な投資家だけでなく、普通の投資家が儲けられる仕組みを考えたわけです。

・・・

アンソニー・ロビンズ氏の『世界のエリート投資家は何を見て動くのか』には、天才たちがサブプライムショックやギリシャの債務危機等を予見した事例や、慈善事業への傾倒など、興味深いポイントも数多く書かれています。

最後に、初心者でもわかる米国ETFを並べてみます。

バンガード・トータルストックマーケットETF【VTI】とは

まず、米国市場全体に分散投資をかけるVTIの株価の推移を見てみます(マネックス証券のデータから作成)。

VTI chart

『米国会社四季報 2017秋冬号』(東洋経済新報社)によれば、VTIの概要は以下の通りです。

  • 米国上場で投資できる銘柄のほぼ100%を対照にした指数に連動。
  • 組入銘柄は3613だが、上位10社で16%を占める。
  • 業種比率は金融が20%、ITが18%。
  • 経費率は0.04%。1単位あたりの分配金は0.539~0.727ドル(16年9月~17年6月)

バンガード社のデータ(2017/9/30)によれば株価収益率は22.3倍。

業界(セクター)別の投資比率は以下の通り。

  1. 情報技術: 23.2%
  2. 金融:14.6%
  3. ヘルスケア:14.5%
  4. 一般消費財・サービス:11.9%
  5. 資本財・サービス:10.2%
  6. 生活必需品:8.2%
  7. エネルギー:6.1%
  8. 公益事業:3.1%
  9. 素材:3%
  10. 不動産:3%

 

ブルームバーグ社のデータ(2017/12/14閲覧)でVOOに組み入れられた上位10社の比率を見てみます。

  1. アップル:3.94%
  2. マイクロソフト:2.89%
  3. アマゾン:1.99%
  4. フェイスブック:1.93%
  5. ジョンソン・エンド・ジョンソン:1.69%
  6. JPモルガン:1.6%
  7. エクソンモービル:1.59%
  8. バークシャーハサウェイ:1.55%
  9. アルファベット(GOOGL):1.39%
  10. アルファベット(GOOG):1.39%

上位十社の銘柄はVTIと同じですが、投資する割合がVOOのほうが高くなっています。

ETFの指標

はどうでしょうか。

【トータルリターン】

  • 3か月:7.17%
  • 1年:19.52%
  • 3年:12%
  • 5年:15.46%

【他の指標】

  • 直近配当額:0.553%(2017/9/22)
  • 直近配当利回り:1.61%

なかなかに魅力的な数字が揃っています。

バンガード・S&P500ETF【VOO】とは

次に、米国のS&P500社に分散投資をかけるVTIの株価の推移を見てみます(マネックス証券のデータから作成)。

VOO chart

『米国会社四季報 2017秋冬号』(東洋経済新報社)によれば、VOOの概要は以下の通りです。

  • 直近は511銘柄を保有し、上位10社で2割の投資比率を構成。
  • 業種比率はITが23%、金融とヘルスケアがともに14%。
  • 経費率は0.04%。1単位あたりの分配金は0.883~1.296ドル(16年9月~17年6月)

バンガード社のデータ(2017/9/30)によれば株価収益率は21.9倍。

業界(セクター)別の投資比率は以下の通り。

  1. 金融: 20.5%
  2. テクノロジー:18%
  3. 資本財:13.3%
  4. ヘルスケア:13.2%
  5. 消費者サービス:12.4%
  6. 消費財:9.1%
  7. 石油・ガス:5.7%
  8. 公益:3.2%
  9. 素材:2.6%
  10. 通信サービス:2%

ブルームバーグ社のデータ(2017/12/14閲覧)でVTIに組み入れられた上位10社の比率を見てみます。

  1. アップル:2.94%
  2. マイクロソフト:2.4%
  3. アマゾン:1.69%
  4. フェイスブック:1.6%
  5. ジョンソン・エンド・ジョンソン:1.4%
  6. JPモルガン:1.32%
  7. エクソンモービル:1.32%
  8. バークシャーハサウェイ:1.32%
  9. アルファベット(GOOGL):1.14%
  10. アルファベット(GOOG):1.13%

ETFの指標はどうでしょうか。

【トータルリターン】

  • 3か月:7.25%
  • 1年:20.41%
  • 3年:12.26%
  • 5年:15.63%

【他の指標】

  • 直近配当額:1.176(2017/9/22)
  • 直近配当利回り:1.92%

トータルリターンはVOOのほうが微妙に高く、配当面でも+幅が大きくなっています。

筆者の所感では500社も分散投資すれば十分なので、VTIよりもVOOのほうがお勧めではないかと思います。

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