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ノースロップ・グラマン社(NOC)の株価はこれからも上がるのか

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  ノースロップ・グラマン(NOC)は2017年に株価が大きく伸びた企業の一つです。

 トランプ氏のアジア歴訪で本年の大きな政治イベントはほぼ終わったので、しばらくは2018年の経済や企業の株価等がどう動くのかについて書いてみます。

 今回は、筆者が4月頃に約20万円(1668ドル:238.3ドル×7株)ほど購入したグラマン社を取り上げてみます。

グラマン社(NOC)の株価は北朝鮮情勢の緊迫化に伴い、上昇した

 グラマン社の株価は、トランプ政権の成立以降、上昇傾向が続いています。

 筆者は大統領選前に一回、グラマン社の株を買い、投票日前に下がったのを見て売り払うというアホなことをした後、17年4月頃にもう一度、グラマン社を買いました。

 というのは、その頃は、北朝鮮情勢が緊迫し、軍事企業の株価上昇の見込みが素人の筆者でもわかる情勢になっていたからです。

 軍事企業のなかではロッキードマーティン社(LMT)の株価上昇が目立っていたのですが、4月初めにグラマン社は同業者の間で、やや低めの株価になっていたから、買ったのです。

 現在(11/25)の株価は302ドル前後なので、4月頃に240ドルだったのに比べると大きく上がりしました。

(LMT社は4月初めに270ドル、11月25日現在で315ドルぐらいなので、NOC社のほうが伸び率が高い)

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(NOC社のHPより転載)

 かなりの急上昇ではあるので、「バブルではないか?」と思われた方もいるかもしれません。

 米朝関係の緊迫化が株価上昇を後押ししたのは間違いないでしょう。

 しかし、筆者は、NOC社は株価相応の実力を持つ企業だと考えています。

グラマン社は米国軍事の基幹技術を担っている

 非常にシンプルに考えますと、現在、米国が世界ナンバーワン国家であるのは、経済力と軍事力が世界ナンバーワンであるためで、その軍事力は米国の防衛企業が支えています。

 その雄はLMT社やNOC社、ボーイング社(民需割合が半分程度)等です。

 グラマン社は米国空軍の基幹となるステルス爆撃機(B2)をつくり、新鋭ステルス攻撃機F35のレーダーをつくっています。ある意味では、米国空軍の優越性の基になる技術を握っているわけです。

 グラマンは米軍の次世代無人爆撃機の開発にも関わっているのですが、特に注目すべきなのは、高性能のレーダーや電子機器の技術、無人システムなどです。

 自衛隊もグラマン社のE-2C(情報中枢を担う早期警戒機。航空戦の「目」を担う重要機)を運用しています。

 グラマン社は航空機を動かす情報機器や電子システムに優れ、また、軍の中枢を担う情報システム(C4ISR)でも最先端の技術を誇っているのです。

(※C4ISRとは、指揮(Command)、統制(Control)、通信(Communication)、コンピューター(Computer)の4つのCと、情報(Intelligence)、監視(Surveillance)、偵察(Reconnaissance)のこと)

 電子機器や情報システムに強みを持つグラマン社は、サイバーセキュリティ等にも優れているので、民生部門でも大きな活躍の可能性を持っています。

  グラマン社の日本語版記事では、以下のように自己紹介していました。

  • ノースロップ・グラマンは、F-35Aの主要構成品であるレーダー、通信、航法の各システム及び中央胴体部を防衛省殿に納入し、これらの製品を通じて日本の産業界とのパートナーシップ構築に重点を置いています。
  • 航空自衛隊殿は、F-4、F-35、E-767AWACS、C-130航空機に、レーダー、電子戦装置、航法装置、IFFシステム等の様々なノースロップ・グラマン製ミッション及びフライト・アビオニクス(※飛行のための電子機器類のこと)を搭載し運用しています(※F4は戦闘機、E767は早期警戒管制機、C130は輸送機)。
  • 海上自衛隊殿は、ノースロップ・グラマン製の空中照射レーザー・機雷探知システム(ALMDS)とAQS-24A機雷掃討ソナーをMCH-101掃海ヘリコプターに搭載して運用しています。
  • 陸上自衛隊殿は、ノースロップ・グラマン製のロングボウ・レーダーとAPR-39レーダー警報装置をAH-64Dに搭載して運用しています。
  • ノースロップ・グラマンは世界有数のグローバル・セキュリティー・カンパニーとして、各国政府機関及び民間のお客様に対し、無人システム、サイバー、C4ISR、ロジスティクス及び近代化の分野において、革新的システム、製品、並びにソリューションを提供しております。

 要するに、グラマン社の技術がなければ、自衛隊は動けません。

 ある意味では、この技術が日本を北朝鮮の野心から守っているので、北朝鮮情勢が緊迫化したら、株価上昇になるのは当然のことではあります。 

グラマン社のパフォーマンスはどうなっているのか

 『米国株四季報』では、グラマン社(NOC)について「米政府向け売上げが8割の国防大手。航空分野でステルス爆撃機や無人偵察機、電子分野では防衛用機器、早期警戒システム等扱う。2015年に米政府が新型爆撃機の開発企業に選定。F16レーダーの性能向上に米空軍が同社技術を採用」と説明しています。

 グラマン社の経営情報を同業他社のレイセオン(RTN)と比べながら、ざっと見てみます。

 【売上高】(単位はドル。四捨五入。14年=14年12月)

  • NOC:240億(14年)⇒235億(15年)⇒245億(16年)
  • RTN:228億(14年)⇒232億(15年)⇒240億(16年)

 【純利益】(単位はドル。14年=14年12月)

  • NOC:20.69億(14年)⇒19.9億(15年)⇒22億
  • RTN:22.44億(14年)⇒20.74億(15年)⇒22.11億ドル

 【総資産】(単位はドル。四捨五入。14年=14年12月)

  • NOC:244億(15年)⇒256億(16年)
  • RTN:293億(15年)⇒240億(16年)

 【フリーキャシュフロー】(単位はドル。14年=14年12月)

  • NOC:11.89億(15年)⇒14.07億(16年)
  • RTN:11.38億(15年)⇒15.59億(16年)

 では、一株当たり利益(EPS)はどうでしょうか。(※EPS=当期純利益/発行済株式総数。増資による株式数増を考慮した「希薄化後EPS」で比較)

 【一株当たり利益】(単位はドル。14年=14年12月)

  • NOC:9.75(14年)⇒10.39(15年)⇒12.19(16年)
  • RTN:7.18(14年)⇒6.8(15年)⇒7.44(16年)

 そして、現在、1株当たり利益に対して株価が何倍まで買われているのかをブルームバーグで見ると、グラマンのPERは23.67倍。レイセオンは24.76倍でした。

 また、直近の配当利回りは、グラマンが1.32。レイセオンは1.71でした。

グラマンは売りか買いか

 結論として、2018年を考えた時、グラマンは売りか買いかを考えてみますと、現時点で筆者はこの株を売りたいとは思いません。

 その理由は以下の三つです。

  • 米国対北朝鮮の核開発を巡るバトルは鎮静化したが、再燃の可能性が高い
  • 基本的にアジアは米中覇権競争の場になっており、ロシアと欧州も緊張関係が続いているので、緩やかな「冷戦」に近い状態がしばらく続く。
  • グラマン社は米空軍の基幹技術を握っているため、米政府から見ても見捨てがたい事業となっている。さらには、トランプ政権の米軍強化の路線にも載っている。米軍は戦死者を減らしたいので、陸戦よりも海空軍に力を入れると見る。

 まだ、売る気にはなれません。

 S&P500とグラマンを比べてみると、株高に見えても、実は、最近、やっとS&P500の平均値に到達したぐらいのレベルのようです。

 

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 B2爆撃機をつくり、次世代の無人爆撃機を空母から離着陸式試験で成功させたグラマン社がやっとS&P500の水準に到達したというレベルの株価だったわけです。

 筆者の個人的な感想からいえば、その評価は不釣り合いに見えます。

 この企業の技術力と今後の安保情勢の厳しさを考えれば、グラマンの株価はまだ天井には到達していないのではないでしょうか。

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