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四季報業界地図2018 13年版以降の注目業界ランキングを比べてみた 

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 日経平均株価が22000円台に入り、2018年に株高が到来するという期待が高まっています。

 そのせいか、「失われた20年」の記憶が強い筆者も、2019年の消費税増税までは、日本経済は調子よく回るのかもしれないと考え始めました。

(ただ、北朝鮮問題は解決のめどが立たず、核兵器を巡った「トランプVS金正恩」のバトルも膠着状態なので、来年に再燃の危険性が残っている)

 北朝鮮を巡る安全保障リスクは続きますが、これを除けば、巡航速度で今年と同じぐらいの好景気が続くような気がするわけです。

 だいたい、日本のエコノミストの間では、来年の実質経済成長率は1.1%~1.9%程度で予測されています。

 そこで、2018年を占うために『四季報業界地図』の「注目業界」を見てみます。 

2018年版の四季報「注目業界ランキング」 

 ご存知の方には不要な説明ですが、『四季報業界地図』は「巻頭特集」「注目業界ランキング」「業界ごとの勢力地図」という順番で構成されています。

 一番の「売り」は三番目の各業界ごとの主要会社の比較やシェア、トレンドなどの解説です。

 これに対して、「注目業界ランキング」は記者が経済動向を見て決めた順番なので、編集部の価値判断が見えやすい箇所になっています。

 2018年の上位20の注目業界は以下の通りでした。

(※以下、「順位:業界(国内市場規模)」という形式で表記。四季報の注目業界ランキングには、たまに個別企業名や地域名等が入ります。市場規模は四捨五入)

  • 1位:AI(3.7兆円)
  • 2位:VR(1.5兆円)
  • 3位:ドローン(国内0.04兆/世界0.5兆円)
  • 4位:ポイント(0.9兆円)
  • 5位:東芝(売上4.8兆円)※今後の展開を注視している
  • 6位:有機EL/液晶パネル(9.7兆/1.7兆)
  • 7位:欧州(GDP16兆ドル)※反EU運動に注目
  • 8位:広告(6.3兆円)
  • 9位:eコマース(15.4兆円)
  • 10位:陸運・物流(42.9億トン)
  • 11位:IoT・ビッグデータ(0.24兆円)
  • 12位:フィンテック(世界2.6兆円)※2016年の数字
  • 13位:地方銀行(預金319兆/貸出243兆)
  • 14位:東京五輪(32.3兆円)
  • 15位:ゲーム(国内1.4兆/世界9兆)
  • 16位:動画配信(0.2兆)
  • 17位:映画/アニメ(映画0.2兆/アニメ1.8兆)
  • 18位:宇宙開発(世界35.8兆)※日本政府予算は3500億円
  • 19位:カーシェア・ライドシェア(世界1.3兆円)
  • 20位:自動運転(世界4.7兆円)

 全体的には先端技術に関わる業界が注目されています。

 技術に注目しているのは、AI、VR、ドローン、有機EL/液晶パネル、IoT・ビッグデータ、フィンテック、宇宙開発、カーシェア・ライドシェア、自動運転などです(有機EL/液晶パネルでセットにしたのは、アイフォンで有機ELが採用され、液晶業界に打撃となったためのよう)。

 ゲーム、動画配信、映画、アニメなどはソフト部門。

 陸運・物流などの「汗を流す」業界も、ヤマト宅配問題などがあって注目されています。

 東芝と欧州は業界ではありませんが、どんな事件や問題が浮上するのかが、市場関係者にチェックされているのでしょう。

 そのほか、ポイント、広告、eコマースなどはネットとの接点が深い業種です。

四季報の注目業界ランキングの推移(2013~2018)

 四季報のランキングセレクトはやや異色です。

「業界」と言いながらも、多少、違うものも混じっているからです。

「東京五輪」というのは、正確に言えば「五輪に関係する業界」でしょうし、EUや東芝は業界ではありません。

 17年度では「財閥」という項目が書かれたこともありました。これは「財閥系企業の動向に注目」というぐらいの意味だと思います。また、イスラム国の台頭の後、16~17年に「国際紛争・宗教対立」という項目が第二位に出てきました。これはテロ拡散の趨勢は無視できないと考え、ピックアップされたのでしょう。

 ここで、安倍政権成立から2018年までの注目業界の中で数年間、上位を占めてきたもののランキング変動を見てみます。どんなものがここ数年、注目されてきたのでしょうか。 

 (以下、年は13=2013年版、業種の右に記載した数字はランキング上の順位)

年  13 14 15 16 17 18
AI         3  1
VR         12  2
ドローン       7 20  3
ビッグデータ     11 12 19 11
クラウド     12 12 22  
フィンテック         9 12
動画配信   3 8 10 17 16
ゲーム   1 9 11 16 15
スマホ 1 4 10    
IoT         19 11
自動運転         8 20
エコカー   11 17 14    
TPP     1 4    
LNG        
シェールガス   7 14      
航空機   12 18      
宇宙開発         14 18
東京五輪       1 8 14
芸能プロ     19   5  
新宗教     20 3 6  

近年のランキングの傾向から何を読み取るか 

 これは、第二次安倍政権成立後の四季報記者の主観的な判断ですが、その年々に強い印象を残した業種が顔を出しています。

  製品のライフサイクルのように、市場が急成長し、安定期に入ると注目度が下がるパターンは、スマホに典型的です。市場に満ちわたり、飽和状態になると注目度が下がるわけです。

  AI、VR、ドローン、有機EL/液晶パネル、IoT・ビッグデータ、フィンテック、自動運転等は市場に製品やサービスが投入され始めた頃にランキング入りしています。

 政治案件のTPPは、トランプの強烈パンチにより、一気に圏外にノックアウトされています。

 やはり、政治マターに絡む投資は難しいものです。

 このランキングには、前掲の「国際紛争・宗教対立」のように謎の項目が出現しますが、15年には「国内宗教団体」(新宗教)という項目が初ランキング入りし、16年、17年にトップ10入りしました。

 四季報記者がここに注目した理由を誌面から探ると、宗教団体の政治参加や「日本会議」と安倍政権の関係などのためだったようです。

 筆者がランキングで気になったのは、5年連続でランキング入りした「動画配信」と「ゲーム」です。

 確かに、動画がここ数年、新しい宣伝手段になっていますし、ゲームはもはや、現代では他のエンタメ市場を食い荒らしています(映画やアニメに近い画像やストーリーを備えたゲームが出現し、ゲーム市場での人気度を前提にドラマやアニメがつくられるようになった)。

 この中で、市場拡大のおこぼれにあずかれるのはどこかを、しっかりと考えてみたいものです。

(※参考:2016~17年版の四季報の注目業界ランキングの変動)

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