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2018年 米国中間選挙の日程と見所とは

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2018年には米国で中間選挙が行われます。

11月6日の米国議会選では435の下院全議席と上院33議席(総議席は100)が改選され、トランプ政権の政策の是非が国民に審判されるのです。

(※同時に、各地で州知事選も開催される)

米国大統領の任期は4年ですが、下院議員の任期は2年、上院議員の任期は6年です。

そして、上院議員は2年ごとに3分の1が改選されるため、大統領任期のちょうど真ん中にあたる時期に選挙が行われます。

これが中間選挙と呼ばれ、事実上の大統領への信任投票になっているわけです。

今までは大統領と議会の多数党が同じ共和党だったので、政策実現の期待が高まり、株価を上げる要因となっていましたが、中間選挙で共和党が負ければ、話が変わってしまいます。

米国では中間選挙で大統領の所属政党と議会の多数党が逆になることも多いので、18年の選挙結果は注目に価します。

共和党が勝つか、民主党が勝つか。

この選挙次第で、トランプ政権の残り2年の運命が大きく変わるので、現政権と民主党支持のリベラルマスコミも力を尽くしています。

しかし、トランプ大統領の支持率は減税法案の成立後は4割程度になり、共和党支持者の8割程度が現政権を肯定的に受け止めているので、意外と共和党は粘るかもしれません。

投票日は11月6日ですが、そこまでに各州で数多くの予備選が行われるので、本選前に株価も上下するのではないでしょうか。

今回は、最近の米国選挙報道と来年の各州の予備選日程を整理してみます。

そもそも下院と上院の違いとは

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一応、米国の下院と上院の違いを確認しておきます

(ご存知の方は本節を読み飛ばしてください)

下院は日本の衆議院に似ており、各州で人口比ごとに割られた議席が定められています(10年ごとの国勢調査の結果で議席数が変わる)。

下院の被選挙権が25歳以上なのも衆議院との共通点ですが、アメリカの場合は「米国籍取得から7年以上」という条件がつきます。

一方、上院は州の代表であり、50州から2名ずつ住民の直接選挙で選ばれます。

上院の被選挙権は30歳以上、米国籍取得から9年以上が条件です。

米両院の権限はほぼ対等ですが、下院には予算先議権と大統領の弾劾訴追権などがあり、上院には条約締結権、閣僚の承認、大統領の弾劾裁判権等があります。

そして、選挙では過半数に達しなくとも最多得票を獲得した候補者が当選するのです。

両院は以下の議席数になっています。

  • 下院:共和党239議席/民主党194議席 ※ポール・ライアン議長(共和党。今期で引退)
  • 上院:共和党51議席/民主党47議席+独立系2議席 ※オリン・ハッチ仮議長(共和党)/ペンス議長(共和党)

特に注目されているのが実質2議席差の上院選です。

もし「50対50」になってもペンス議長(兼副大統領)が一票を入れれば共和党法案は通りますが、わずかな造反者が出るだけで法案審議が止まることが、現政権にとって政策実現のボトルネックになっているからです。

※なお、大統領弾劾には両院の3分の2の賛成が必要です。民主党が切望するトランプ弾劾は下院と上院で出席議員の3分の2の賛成が必要なので、過半数さえ取れない現状ではまず無理だと言えます。

関連記事:トランプVS民主党 大統領罷免が難しい理由

中間選挙の見所:上院議席を巡る攻防戦

今回、上院では三分の一の議席が改選されます。

前述のように、上院は、実質的にわずか2議席差なので、ここで民主党が多数党に返り咲くかどうかが注目されています。

「全議席が改選される下院はどうなんだ?」

そんな疑問もあろうかと思いますが、米国議会選では再選率が非常に高いので、共和党の優位が崩れる可能性が高いのは上院のほうです。

Center for Responsive Politicsによれば、米議会の再選率は以下の通り。

  • 下院:1964年~2016年まで8割以上の再選率
  • 上院:1988年~2016年まで約8割以上の再選率(2000年と06年は「ほぼ80%」)

上院でも再選率は8割以上であることが多く、1976年、78年、80年では6割前後でした。

現職有利の構図は下院のほうが強いため、共和党の優位は、こちらのほうが維持しやすいと見られています。

しかし、2議席差しかない上院では再選率8割でも共和党の優位が揺らぎかねません。

上院の改選対象となる33人の内訳は共和党8名、民主党系が25名(無所属含む)なので、普通は共和党が守りやすい戦いになるのですが、共和党はライアン下院議長と3名の議員が引退します。

(※共和党ではユタ州のオリン・ハッチ議員、アリゾナ州のジェフ・フレーク議員、テネシー州のボブ・コーカ―議員の3名が引退。民主党の引退議員はミネソタ州のアル・フランケン議員のみ)

共和党は落選者が出ても、その分の議席数を取り返せばよいのですが、17年以降、選挙では民主党が巻き返してきています。

そのため、18年の中間選挙は固唾をのむ局面が続くことになりそうです。

※関連記事:米国上院議員 2018年改選33名の略歴・政策を一覧

中間予備選の注目点:共和党内の「主流派VS反体制派」のバトル

昨年末には、2018年の中間選挙の行方を伺わせる選挙結果が出ています。

セッションズ氏が司法長官となり、上院議員を辞任したことに伴う補欠選挙が17年の12月22日に行われ、共和党のムーア候補が民主党のジョーンズ候補に敗れたのです。

アラバマ州は生え抜きの保守派であるセッションズ氏が当選した地域なので、ここで民主党が勝ったことが注目されました。

この投票に先立つ9月26日の共和党予備選では、党幹部が推したストレンジ元アラバマ州司法長官が党内の「反体制派」に位置するムーア元同州最高裁判事に敗れたことが報じられていました。

メディアの報道では「主流派」対「反体制派」という構図で描かれがちですが、反体制派とされる動きに、主流派に飽き足らぬ共和党保守派が加勢していることがあるので、実際はもっと複雑です。

一応、ここで共和党内の勢力について整理してみます。

共和党内の保守派は、米国建国以来の小さな政府、財産権擁護(低税率)、国防強化、キリスト教的な美徳等の価値観を堅持することを目指す勢力です(例えば、強硬な保守系政策の実現を求める「フリーダムコーカス」等)。

(※トランプ氏は宗教保守層に対して、連邦最高裁判事に保守派のゴーサッチ氏を任命して支持を広げた。減税法案が通ったので小さな政府を求める層への訴求も期待できる)

共和党主流派は中道勢力から保守に近い議員までを取り込んだ勢力なので、個別政策で民主党に近い政策を持つ議員をも幅広く取り込んでいます。

主流派は議会内の「数の取引」において民主党的な政策(富の再分配や徴税強化等)に妥協することが多く、その不徹底さを保守派の支持者は嫌い、そうした議員(と議員支持者を)「名ばかり共和党員」等と批判することがあります。

また、反体制派(反主流派)と呼ばれるのは、トランプ台頭に伴って過激な愛国的主張や孤立主義、反移民、反自由貿易等を訴えるグループです。

このように、共和党内では路線が必ずしも一枚岩ではありません。

そのため、「今後、各州の予備選で内部抗争が進めば本選で民主党に塩を送ることになりかねない」という警戒感が広まっています。

全米で見ると、アリゾナやネバダなど、リベラルに近い穏健派の有権者が多い州も目立つからです。

※2月19日にミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事(12年大統領選候補)が西部ユタ州から出馬することを表明。トランプ氏も「全面的に支援する」と発言。ロムニー氏はたびたびトランプ氏を批判してきたが、このたび両者の和解がなされた。

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中間選挙のフィクサー? スティーブン・バノン氏

そこで注目されるのが、右派サイト「ブライトバート・ニュース」を率いるスティーブン・バノン元大統領首席補佐官です。

※関連記事:バノン氏来日講演と略歴

トランプ氏を当選させたバノン氏は、共和党内の反体制派を支援しているからです。

アラバマ州予備選では、マコネル共和党上院院内総務の指示でストレンジ氏の応援に大枚がはたかれたのに、それが実を結ばず、反体制系のムーア氏(元同州最高裁判事)が勝利しました。

これに対して、アラバマ州の共和党コンサルタント、ジョナサン・グレイ氏は、「このムーア氏の勝利に予備選で保守派との対決を恐れる共和党議員は震え上がった」「アラバマの人々は、ワシントンからの指図に『あっかんべー』をした」等と述べています(ロイター:2017/9/28「米共和党の反体制派、アラバマ予備選勝利で勢い付く」)。

こうした抗争に乗じて、バノン氏は、どう動くのでしょうか。

時事通信(11/21)によれば、バノン氏はトランプ政権の政策に反対して実現を阻んだ上院共和党のマコネル院内総務を目の敵にしており、「われわれは戦争に突入する。これは枕投げではない。本当の意味での戦いだ」と述べています(【米中間選挙へ復讐誓うバノン氏=刺客擁立で「共和党内戦」】※「枕投げ」というのは意訳と思われる)。

そして、11月7日投開票のバージニア、ニュージャージー両州の知事選では民主党候補が共和党候補を破ったので、その後、民主党側が勢いづきました。

トランプ氏は現在、法案成立のために共和党主流派と連携しているので、皮肉にも、かつて自分を当選に導いたバノン氏と「ぶつかる」事例も出てきています。

(※2018年1月、ジャーナリストのマイケル・ウルフ氏の新刊『炎と怒り』にて、バノン氏がトランプ大統領の長男らが大統領選挙期間中にロシア人弁護士と会ったことに関して「反逆的だ」と述べた発言が記載され、トランプ氏は激怒。トランプ氏は1月3日に「解任されたとき、彼(バノン氏)は職だけでなく正気も失った」等と批判している。

中間選挙で民主党が過半数を獲得できる?

トランプ政権発足の後、ジョージア州連邦下院補欠選では共和党が勝利しました。

しかし、その後、17年11月のヴァジニア州知事選挙では民主党が勝利。

アラバマ州上院選で共和党のロイ・ムーア候補は民主党のジョーンズ候補に敗北しました。民主党候補がここで勝利したのは52年ぶりです。

共和党は党内闘争の激化の結果、民主党に敗れたので、2018年にも似たようなパターンを繰り返すことが懸念されています。

その後、3月13日にペンシルベニア州の第18選挙区で行われた下院補欠選挙は民主党のコナー・ラム氏(元連邦検事補:33歳)が共和党のリック・サコーン氏(州下院議員:60歳)に僅差で勝利

(接戦であったため、集票作業が長引いていたが、サコーン氏はラム氏に敗北を認めることを3月21日に電話で伝えた)

ここは大統領選でトランプ氏がヒラリー氏に20%の差をつけて勝った地域なので、民主党の復調ぶりが印象づけられました。

アラバマではムーア氏のスキャンダルが敗因になったのですが、ペンシルヴェニアのサコーン氏にはそんな問題はなかったので、この結果には大きなインパクトがありました。

トランプ氏は鉄鋼業が盛んなアラバマ州の投票日に合わせて、鉄鋼とアルミニウムに25%の輸入関税をかけたのですが、それでも勝てなかったのです。

※関連記事:米国が鉄鋼とアルミニウムに輸入関税をかけた理由

普通、連邦下院議員の再選率は8割以上(通常は9割以上)なのですが、この影響を重く見て、「今回の選挙はそうはいかない」という見方も浮上しています。

WEDGE(2018/3/16)では、西山隆行 (成蹊大学法学部教授) が以下のように指摘していました(「トランプ支持の「鉄鋼の町」で民主党候補が勝利できた理由」)

  • 現時点で引退する共和党要職者や、上院議員や州知事を目指す下院議員が30名以上存在する。
  • 大統領選挙でトランプがクリントンに優位したものの、得票率の差がペンシルヴェニア選挙区よりも小さい下院の選挙区は119ある
  • 初当選した大統領が直面する中間選挙では大統領の所属政党が大きく議席を減らす傾向がある
  • 共和党内にもトランプ氏に反感を抱く人々が存在する

その後、トランプ大統領はUSTRの情報をもとに米国の知的財産権が中国に侵害されていると3月21日に断定。

米国は「通商301条」をもとに1300品目にわたって中国に関税をかけ、中国側も米国の農産物に対抗関税を課しました。

※関連記事:対中関税1300品目の内訳に迫る

農産物に焦点を当てたのは、中間選挙の勝利のために共和党にとって農業票が手放せないからです。

中間選挙での上院改選8州のうち4州が農業州。下院選でも共和党は農業が盛んな米国中央部で多くの議席を獲得しています。

 

中間選挙と米中貿易のバトルが重なり、再び米国政治に大変動が起きる可能性が高まってきました。

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予備選挙のスケジュール

米国には、予備選の後に二回目の決選投票を行う州もかなりあります(過半数の票を得た候補者がいないと二回目の投票が必要なケース等が見られる)。州ごとに選挙法が違うので、12月以降に決選投票が行われる州も3州ほどあるようです。

中間選挙は3月6日のテキサス州予備選から始まり、上院議員の候補者に関しては、共和党がテッド・クルーズ氏(現職)、民主党は下院議員のベト・オルーク氏を選びました。同州ではこの二人が11月の本選挙で対決することになります。

最後に、”federal voting asistance program”というサイトで2018年の予備選のスケジュールを見てみます。

Upcoming Eventsによれば、その日程は以下の通りです。

  • 3月6日:テキサス州
  • 3月20日:イリノイ州
  • 5月8日:オハイオ州
  • 5月8日:ノースカロライナ州
  • 5月8日:インディアナ州
  • 5月8日:ウェストバージニア州
  • 5月15日:ペンシルベニア州
  • 5月15日:ネブラスカ州
  • 5月15日:アイダホ州
  • 5月15日:オレゴン州
  • 5月22日:ケンタッキー州
  • 5月22日:テキサス州予備選決選
  • 5月22日:アーカンソー州
  • 5月22日:ジョージア州
  • 6月5日:アラバマ州
  • 6月5日:ミシシッピ州
  • 6月5日:サウスダコタ州
  • 6月5日:アイオワ
  • 6月5日:モンタナ州
  • 6月5日:ニュージャージー州
  • 6月5日:ニューメキシコ州
  • 6月5日:カリフォルニア州
  • 6月12日:バージニア州
  • 6月12日:サウスカロライナ州
  • 6月12日:ノースダコタ州
  • 6月12日:ネバダ州
  • 6月12日:メイン州
  • 6月19日:アーカンソー州予備選決選
  • 6月19日:コロンビア特別区
  • 6月26日:ユタ州
  • 6月26日:オクラホマ州
  • 6月26日:サウスカロライナ州予備選決選
  • 6月26日:コロラド州
  • 6月26日:メリーランド州
  • 7月17日:ノースカロライナ州予備選決選
  • 7月17日:アラバマ州予備選決選
  • 7月24日:ジョージア州予備選決選
  • 8月2日:テネシー州
  • 8月4日:ヴァージンアイランド
  • 8月7日:ミズーリ州
  • 8月7日:ミシガン州
  • 8月7日:ワシントン州
  • 8月7日:カンザス
  • 8月11日:ハワイ
  • 8月14日:バーモント州
  • 8月14日:ウィスコンシン州
  • 8月14日:コネチカット州
  • 8月14日:ミネソタ州
  • 8月21日:ワイオミング州
  • 8月21日:アラスカ州
  • 8月25日:グアム
  • 8月28日:アリゾナ州
  • 8月28日:オクラホマ州予備選決選
  • 8月28日:フロリダ州
  • 9月6日:デラウェア州
  • 9月11日:ニューハンプシャー州
  • 9月11日:ニューヨーク
  • 9月12日:ロードアイランド
  • 9月18日:マサチューセッツ州
  • 11月6日:総選挙
  • 12月4日:アーカンソー州総選挙決選
  • 12月8日:ルイジアナ州総選挙決選
  • 19年1月8日:ジョージア州総選挙決選

※米国の政治日程全般について⇒関連記事:世界の政治日程〔米国含む〕

この予備選で民主党の巻き返しが成功するのかどうか。

また、共和党が、見事、防衛に成功するのかどうかが注目されています。

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