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エクソンモービル社(XOM)は売りか買いか 

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 今回はエクソンモービル社(XOM)について書いてみます。

 私は6月に80.5ドルでXOM株を20株買いました(累計1600ドル)。

 80ドルあたりがXOM株の下限になると思ったのですが、その後、8月下旬に76.5ドル前後に下がり、秋には83ドル台まで上がったので、筆者は読みを外したものの、結果的には損を出さずに済んでいます。

 今後、XOM株が下がることもありそうですが、もともと長めに持つことを考えて買ったので、大きな株価下落がなければ持ち続けるつもりでいます。

 エクソンモービルは高配当株なので、何かとよく言及されるため、今回は、この企業について調べてみます。

エクソンモービル(XOM)は米最大手のエネルギー企業

 エクソンモービル(Exxon Mobil Corporation)は言わずと知れたアメリカ最大手の総合エネルギー企業です(連続増配34年、S&P格付はAA+で、NYダウ30銘柄の一つ)。

 7万人以上の従業員を擁するXOMは20兆円以上の売上高(2016年は1975億ドル)を誇り、世界の200カ国以上でエネルギー事業を展開しています。

 原油や天然ガスの生産と輸送、石油製品、石油化学品の製造などを手がけ、スーパーメジャー6社のなかで最大の規模を誇っています(本社はテキサス州)。

 資源の探査と開発(川上)からガスや石油等の精製と販売(川下)を行い、「エクソン」「エッソ」「モービル」の3ブランドを展開しています。

 同社の2016年報告書では、川上では39か国で積極的な探査と開発を行い、世界の16カ国に石油化学の拠点を持っているとも書かれていました。

 2012~14年までは川上(upstream)が稼ぎ頭でしたが、15年以降の資源安により、16年は川下(downstream)と化学事業が収益の柱になっています。

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(出所はXOMの年次報告書

 中国など新興国の成長が減速し、米国でのシェールオイル増産、OPECの生産水準維持などの要因があって原油価格が下がり、XOMもそのあおりを受けました。

 OPEC諸国は2016年11月に8年ぶりの減産合意を行い、12月にはOPEC非加盟国の一部とも減産合意を重ね、2017年には原油価格が底打ち感を見せています(一進一退のため断定はしかねる)。

 原油価格の下落がもたらしたメジャー5社へのインパクトについて、経産省の「エネルギー白書2017」は以下のように述べています。

「スーパーメジャー」と呼ばれる世界を代表する5社(ExxonMobil、Shell、BP、Chevron、Total)の石油・天然ガス開発企業においても、2016年の純利益は2014年比で約76%、投資額は約37%減少しています。

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 エクソンモービルを含むメジャーの利益はどの程度、減ったのでしょうか。

 その規模がXOMの2016年年次報告書にもグラフ化されています。

 投下資本(有利子負債+自己資本)に対して、どれだけの利益が上がったかを計る使用資本利益率で見ると、どの社も見事に減っています。

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 シェブロンが一番悲惨ですが、エクソン社は何とか川下と化学でふんばっています。

エクソンモービル(XOM)の政治力

 1999年12月にエクソン社とモービル社とで石油大手同士の合併を行い、エクソンモービル社ができました。その結果、北米とヨーロッパ中心だったエクソン社は、南米、アジア、中東アフリカへと事業範囲を広げていきます。

 合併吸収後、XOMは巨大な政治力を発揮しましたが、その事例としては、以下の二つが有名です。

 その概要を『石油の帝国』(スティーブ・コール著/森義雅訳、ダイヤモンド社)で見てみます。

 当時、モービル社は70年代から独立闘争が続くインドネシアのアチェ州でガス田(アルンガス田)開発を続けており、合併後にその問題を引き継ぐことになります(アルンガス田はエクソンとの合併前の10年間にモービル海外石油ガス生産収入の1/5を占めた)。モービル社はインドネシア政府と交渉し、インドネシア軍にアルンガス田を警備させることを認めさせました。

 また、独裁体制が続く中央アフリカのチャド共和国では、高い政治リスクに見合った有利な契約を政府との間で締結しています。

「本契約の期間中、将来いかなる政府も、当事者間の合意に基づかないで、契約共同体に反し、直接もしくは間接に、共同体の義務を加重し、あるいは支払い負担を増加させ、もしくは本契約によって享受される共同体の権利と経済的便益に有害な効果をもたらす行為を行わないことを国(チャド)を保証する」

 要するに、何が起きても、エクソンに不利な契約改定は認めないというわけです。

 その後、エクソン社はロシアでの資源採掘にも踏み込みました。

 1996年にはサハリン1の開発条件に合意し、プーチン政権発足後まで交渉を続け、2002年にロシア政府との契約締結にこぎつけます。プーチンは当初、大統領令によって開発プロジェクトを進めようとしたのですが、その時にティラーソン社長(当時)は納得せず、「事業を大統領令に基づいては進めたくない、耐久性のある法律に基づいて進めたい」と迫りました。

 その後、立法がなされたことについて、ティラーソン氏は「正確にロシア法に沿って細部まで注意を払いたかった。もしそれができないなら、プロジェクトを進めるつもりはなかった」と述べています。

 米国をバックにして、エクソン社はロシア政府にも屈しない交渉力を発揮したわけです。

エクソンモービル社(XOM)の経営指標

  XOMの経営指標を『米国株四季報』(秋冬版)で見てみます。

(以下、EPSと一株当たり配当金以外の単位は億ドル。四捨五入。14年=14年12月。CF=キャッシュフロー。EPS=当期純利益/発行済株式総数。増資による株式数増を考慮した「希薄化後EPS」で比較)

  13 14 15 16
売上高 3902 3648 2368 1975
営業利益 403 341  129 
純利益 326  325  162  78 
EPS 7.37 7.59 3.85 1.88
1株配当 2.46 2.7 2.88 2.98
  • 営業CF:303.44億(15年)⇒220.82億(16年)
  • 投資CF:▲238.24億(15年)⇒▲124.03億(16年)
  • 財務CF:▲70.37億⇒▲92.93億(16年)
  • フリーCF:▲23.04億(15年)⇒70.79億(16年)

 そして、現在、1株当たり利益に対して株価が何倍まで買われているのかをブルームバーグで見ると、PERは23.49倍。また、直近の配当利回り(税込み)は3.69でした。

エクソンモービル(XOM)は買いか売りか

 筆者は株価が底をつけばまたどこかで上がるだろうと安直にXOM株を買ったのですが、XOM社の株価が復活するかどうかは何とも言えません。

 資源安の原因は中国の景気減速でしたが、資源市場に関して、これを打ち消す好材料が出てきているわけではありません。また、OPEC諸国の減産合意が続き、2017年秋に底打ち感が出てきましたが、行き先は不透明です。

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(XOMの株価推移。出所は同社HP)

 筆者の予想は極めてシンプルで、「長期的には世界の資源需要の伸びは止まらない以上、その基幹となる石油やLNG価格には必ず揺り戻しが来るはずだ」という考え方です。

 そのため、欧米の石油メジャーの中で最大規模を誇り、川上と化学事業で一定のリスクヘッジができるXOMを選んで株を買ったわけです。

 XOM社の株価推移は一定の範囲で上下するボックス相場になっているので、株高を期待する銘柄というよりは、底値になった時に買い増し、配当増を狙う株だとも言えます。

 そのほか、石油メジャーの経営に影響を与える今後の予定としては、サウジアラムコのIPOが挙げられています。

 最近、ブルームバーグ(2017/10/14)は「サウジアラムコの国際市場IPOを19年に先送り検討」と題した記事を公開していました。関係者の見解をもとに「国内IPOは18年に実施される可能性」があるが、政府は、国際市場での新規株式公開(IPO)を2019年に先送りすることを検討していると報じたのです。

 サウジアラムコは米国の石油メジャーの巨大なライバルなので、今後、その動きにも注視が必要でしょう。

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