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在韓米国人が国外避難訓練 退避勧告が出たら米軍は北朝鮮を攻撃?

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米軍は、毎年、在韓米軍の家族等を中心にして有事に備えた避難訓練を行っています。

2017年には、在韓米国人の避難訓練が10月23日から27日まで行われました。

(韓国には約28000人の米軍の家族や米外交官らが在住。一時的な滞在者まで含めると韓国にいる米国人は約26万人とされる)

9月23日の産経ニュース(「在韓米軍の家族らが有事に備え避難訓練」)によれば、在韓米国人は以下のルートで有事に退避するようです。

  • ソウルの竜山(ヨンサン)基地やソウル南方の平沢(ピョンテク)、南部の大邱(テグ)から輸送ヘリコプターで釜山(プサン)西方の金海(キメ)に移動し、輸送機で日本に避難する。
  • 一部は、平沢に隣接する烏山(オサン)米空軍基地から民間航空機を利用したり、釜山から船舶で避難したりする。

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(※CIAサイトの地図に文字・矢印を追加)

駐韓米大使館は、米軍基地のある各国で毎年行っている定期訓練だと述べました。

しかし、トランプ大統領は9月に(最悪の場合は)「北朝鮮を完全崩壊」させると述べ、その後、朝鮮半島情勢を「嵐の前の静けさ」と評したので、この訓練の裏にある意図が憶測されていました。

結局、2017年に軍事攻撃は行われず、米国は北朝鮮の挑発がない限り、2月中に米韓合同軍事演習を行わないことで合意したので、18年初の段階では、やや緊張が緩和されています。

しかし、五輪閉幕以降は恒例の米韓軍事演習が開始されるので、再び緊張が深まるでしょう。

【北朝鮮関連の2018年政治日程】

  • 1/8:金正恩誕生日
  • 2/16:金正日誕生日
  • 2/9~25:韓国で平昌五輪
  • 3/9~18:平昌パラリンピック
  • 3月下旬~4月:米韓共同軍事演習「フォールイーグル」
  • 4/15:金日成生誕106周年
  • 4/25:建軍節(北朝鮮軍建設の記念日)
  • 8/15:朝鮮戦争休戦日
  • 8月下旬:米韓合同演習「フリーダムガーディアン」
  • 8/25:先軍節(金正日総書記の軍政開始記念日)
  • 9/9:北朝鮮の建国記念日
  • 10/10:朝鮮労働党創立記念日

この日程を踏まえて、この記事では、在韓米国人の避難訓練の内容を紹介してみます。

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在韓米国人の国外避難訓練とは

この訓練に関して、コリア・ウォッチャーの辺真一氏が10月22日に「韓国でまたまた米国人の疎開訓練!ハワイでは核攻撃に備えた退避訓練!」と題したコリア・レポートを出していました。

辺氏のサイトで全文が公開されています(以下、概要)。

  • 米国は軍事攻撃を開始前には自国民の被害を紛争地域から疎開させる。
  • クリントン政権下の1994年6月に北朝鮮核施設への先制攻撃を決めた時(※その後取りやめ)に、米政府は駐韓米大使を通じて米国人に国外避難を指示していた。
  • 駐韓米軍は2016年から本格的に韓国在住の米市民のための「非戦闘員救出作戦訓練」を行っている。
  • これは旅券などの身元確認の書類を持ってソウル龍山基地など、韓国に散在する集結場所や退避統制所に集まる非戦闘員を航空機や鉄道、船舶で安全に退避させる訓練だ。
  • 16年10~11月の訓練では龍山基地で身元確認の腕輪を渡され、保安検査後、一部は輸送ヘリで南方の京畿度・平澤に移動して大邱にある米軍基地で一泊。翌日C130輸送機で釜山にある金海空軍基地から日本の沖縄基地に運ばれた。
  • 17年6月(5~9日)の訓練では17000人以上が参加。各集結所では行動マニュアルや行政手続きの説明、荷造り(最大27kg)、ソウルから南方への移動、日本への退避等が進められた
  • 北朝鮮のICBMの標的となったハワイでも12月から月1回、全域で約15分間の避難訓練が実施される。

各紙のメディアの情報源としては米軍機関誌「スターズ&ストライプス」の名前が挙がっています。

※在韓邦人の退避に関して

現在、日本政府は米国・オーストラリア・カナダと有志連合を組み、それぞれの自国民を有事に救出する枠組を検討しています。

産経新聞(2017/10/25:1面)によれば、邦人救済に自衛隊機を活用することに韓国政府が難色を示す可能性が高いため、有志連合の中に位置づけることで、それを円滑に進めようとしています。

12月17日の報道(産経1面)によれば、日本政府は北朝鮮有事の際に、陸自のCH47大型ヘリ(1機あたり50人を輸送可能)を投入して韓国の釜山から対馬までをピストン輸送する計画を立てていたようです。

空自のC130輸送機と海自「おおすみ」型輸送艦も投入して「非戦闘員退避活動(NEO)」を実施する計画が立ち上がっていたのです。

在韓米国人への退避勧告が出たら、極東情勢は一変

しかし、これはあくまでも「訓練」なので、それだけで米軍が攻撃を決断したと取るのは早計でしょう。

北朝鮮の動きによっては米軍が攻撃をしかける可能性がありますが、シリア攻撃とは違って、トランプ政権は安倍首相に事前協議を行うことを伝えています。

そうしなければ米国民や米国の友好国の人民が逃げる時間を確保できないからです。

米軍が北朝鮮ミサイル施設等を狙って限定攻撃をしかけても、北朝鮮が全力で応戦すればソウルを火の海にできるので、トランプ政権といえども、そう簡単に開戦はできません(全面戦争時の死者予測は50万とも100万ともいわれる)。

「アメリカ・ファースト」を掲げながら、米国人の犠牲をいとわず、朝鮮半島で戦争に踏み込んだ場合は、トランプ氏にとっても公約違反になってしまいます。

そのため、在韓米国人への退避勧告なしに米国がいきなり奇襲攻撃をしかけるとは思えません。

米国の動向を見るうえでは、在韓米国民への避難勧告が出るかどうかが、一つの大きな指標になっているのです。

(※そのほか、本格的な戦争前には米軍はベテランの多い予備役を招集するので、これがもう一つの開戦の合図とされている)

ネットニュースや週刊誌は北朝鮮危機を何度も取り上げますが、その一方では、「本当にやるの?」という懐疑的な見方もあります。

例えば、デイリーNKジャパンの高英起編集長は4月頃に以下の2点の動向に注意を喚起していました(J-CASTテレビウォッチ「韓国に米国人がまだ20万人、避難の動きなし...「先制攻撃はない」と見る根拠に」2017/4/24)。

  1. 在韓アメリカ人20万人に避難の動きがない
  2. 米大使館も避難勧告を出していない

この二つがなければ米軍の攻撃は起きないと言っていたのです。

2017年の避難訓練は【1】の兆候でしたが、結局、【2】に関する動きは出ませんでした

在韓米国人への退避勧告等は国務省HPで確認可能

米国務省HPを見ると、8月には北朝鮮旅行への警告を出しましたが、韓国に対してはずっと沈黙しています。

国務省HPには「Alerts and Warnings」というページがあり、世界各国の米国民の旅行者に様々な警告を出しています。HP上の解説によればワーニング(警告)のほうが重度の危機で、アラート(警報)のほうが短期的な危機という意味合いのようです。

2017年の警告・警報を見ると、ここで朝鮮半島が出てきたのは11月9日の北朝鮮への旅行に対する警告でした。

特別に以下の諸外国と比べてアラートレベルが高いわけではありません。

  • 1月23日:ホンジュラス旅行への警告
  • 1月27日:リビア旅行への警告
  • 2月14日:エルサルバドルの旅行への警告
  • 2月15日:レバノン旅行への警告
  • 3月21日:アフガニスタン旅行への警告
  • 4月11日:イスラエル、ヨルダン川西岸、ガザ旅行への警告
  • 5月2日:チュニジア旅行警告
  • 5月10日:イエメンの旅行への警告
  • 6月5日:ハリケーンと台風シーズン2017旅行警報
  • 6月6日:チャド旅行への警告
  • 6月7日:ブルキナファソ旅行警告
  • 6月14日:イラクの旅行への警告
  • 6月16日:コロンビア旅行への警告
  • 6月21日:アルジェリア旅行への警告
  • 6月26日:ブルンジ旅行への警告
  • 6月27日:ウクライナの旅行への警告
  • 6月29日:マリ旅行への警告
  • 7月17日:フィリピン旅行への警告
  • 7月19日:エジプト旅行への警告
  • 7月20日:ヨルダン旅行警告
  • 7月20日:南スーダン旅行への警告
  • 8月3日:ソマリア旅行への警告
  • 8月15日:イラン旅行への警告
  • 8月22日:メキシコの旅行への警告
  • 8月24日:バングラデシュ旅行への警告
  • 8月25日:エチオピア旅行への警告
  • 9月8日:ケニア旅行警告
  • 9月25日:エリトリア旅行への警告
  • 9月28日:トルコ旅行への警告
  • 9月29日:キューバ旅行への警告
  • 10月2日:カメルーン旅行への警告
  • 10月12日:モーリタニア旅行への警告
  • 10月16日:コンゴ民主共和国への旅行への警告
  • 10月18日:シリア旅行への警告
  • 10月19日:スーダン旅行への警告
  • 10月23日:ベネズエラ旅行への警告
  • 10月24日:熱帯サイクロンシーズンの南太平洋旅行への警報
  • 11月7日:トーゴ旅行警報
  • 11月9日:北朝鮮旅行への警告
  • 11月21日:サウジアラビア旅行への警告
  • 11月16日:ヨーロッパの旅行警報
  • 11月21日:中央アフリカ共和国旅行警告
  • 12月6日:ホンジュラス旅行警報
  • 12月6日:世界の米国民への警告(※テロ関連)
  • 12月7日:ハイチ旅行への警告
  • 12月8日:パキスタン旅行への警告

中東とアフリカの国々がやたらと目につきます。

むろん、北朝鮮が米国領に向けて長距離弾道ミサイルを撃ったり、核実験をしたりすれば、シナリオが一変する可能性が出てきます。

しかし、在韓米国人に向けたアナウンスを見る限り、戦争が起きそうな気配はありません。

もし、米朝開戦となったら・・・

その後、北朝鮮は11月29日未明に長距離弾道ミサイルを発射しました。

ミサイルは高度4000キロ以上に達し、53分ほど飛行を続け、日本海における我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下しました。普通に打てば、米国東海岸まで届いた可能性があるため、その後、日米韓は警戒を強め、さらなる制裁強化で一致しました。

これを受けて、12月3日、米上院軍事委員会に属する共和党のリンゼー・グラム上院議員は「軍事衝突は近い。国防総省は在韓米軍の家族を退避させるべき」とテレビ番組で訴えています(ロイター記事:2017年12月4日)。

グラム氏は「軍事衝突は近付いている。残された時間は少ない」とも述べました。

その開戦の想定を、2018年元日(1月1日)の産経記事で見てみましょう(以下、要点)。

  • 可能性が高い日時は3~4月の米韓軍事演習時や11月の中間選挙を控えた夏。
  • 元空将の織田邦男氏はロシア大統領選投票日の3月18日以降と予測(ロシアがさらに反米になることを避けるため)
  • 限定空爆は北朝鮮の反撃で韓国等に被害が拡大するので、ありえない。
  • そのため、圧倒的な航空戦力で一気に北朝鮮を壊滅させる必要がある。
  • 攻撃目標は約600カ所。一カ所につき戦闘機4機が必要。米空母の出撃回数は1日150回。空母5隻でも必要な出撃回数2400回に届かない。
  • 日韓駐留の米空軍第七飛行隊に「20個飛行隊の増援が必要だ」(織田氏)
  • 北朝鮮の海軍力は低いので、米空母は沖合50kmまで接近可能と見れば、出撃回数は4倍になりうる。
  • 開戦前2週間は情報漏洩を防ぐために「インフォーメンション・ブラックアウト」が行われ、日韓に情報は流れなくなる。
  • 米軍は被害拡大を避けるため、米陸軍による北朝鮮制圧は避ける可能性が高い

2018年も米朝関係は予断を許さない状況が続くことになりそうです。

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