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【VPUとXLU】米国公益事業セクターETFの比較

更新日:

2018年1月30日(米国時間)にトランプ大統領は議会に向けて1.5兆円規模のインフラ投資を具体化する法案作成を要望しました。

  • 安全で、高速で、信頼性が高く、最新のインフラを国民に提供するよう両党に求める。
  • 今夜、議会に、我々に必要な新しいインフラ投資のために1兆5千億ドル以上を生む法案作成を呼びかける。
  • 連邦のドルは、国や地方自治体との連携、必要に応じた民間投資を活かしながら活用されるべきだ。
  • どちらの法案も許可と承認のプロセスを合理化しなければならない。これを2年以上、1年までに短縮する必要がある。
  • 我々は、米国に光輝く新しい道路、橋、高速道路、鉄道、水路を建設する。これは、米国の心、米国の手、米国の砂利で行うべきだ。

大統領には法案作成の権限がないので、10年単位の公約実現を目指し、演説にて議会に要望を投げかけました。

ただ、大規模投資に関しては、もともと財政均衡論の強い共和党内にも異論があります。

さらには、2018年には中間選挙があるので、共和党と民主党が大きな政策実現に向けて歩み寄るのは難しく、インフラ投資法案の実現は選挙の後に「おあづけ」になりそうです。

共和党が大敗すれば法案実現はなくなり、現有議席の意地に成功すれば、18年末から19年にかけて、同法案に関わる大きな投資機会がやってくるでしょう。

この記事では、米中貿易戦争の勃発に伴い、安全パイとして、18年以降、再評価されつつある公益事業セクターのETFを比較してみます。

トランプ政権のインフラ投資政策とは

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いちおう、前置きとしてトランプ政権のインフラ政策の概略を整理してみます。

トランプ氏は大統領選で、道路、橋、空港、配電網、水道等の近代化のために10年間で1兆ドルのインフラ投資を行うことを公約しました。

ブレーンであるピーター・ナヴァロ氏とウィルバー・ロス氏は、1兆ドルのインフラ投資に関して民間企業に1370億ドルの税額控除を与え、投資計画を担ってもらえば、その税額控除分がプロジェクトに携わる労働者や企業から得られる税収で回収できると考えたのです。

(※この場合、儲からない地方のインフラの修繕などは進まないため、大統領選でクリントン氏は法人税増税でねん出した財源を用いて5年間で公共事業に2750億ドルを投資すべきだと提言していた。2500億ドルを政府の直接投資とし、250億ドルをインフラ銀行設立のために使う案だった)

その後、トランプ政権はホワイトハウスHPに「米国インフラを再建するトランプ大統領の計画」(2017/6/8)と題した動画を公開。

そこでは、以下のような素案を出しています。

  • 官民の両者により10年間で1兆ドル(110兆円規模)のインフラ投資を実現する
  • 政府のインフラ資金:2000億ドル(22兆円程度)
  • インフラ投資の期間短縮(10年⇒2年。許認可行政の短縮)
  • 地方インフラ投資:250億ドル
  • 地方インフラ投資への優先予算枠:1000億ドル
  • 変革プロジェクト(労働者教育):150億ドル
  • 2年間で教育実習を行う労働者の規模:100万人

※関連記事:トランプ政権のインフラ政策は2018年に実現するのか

全体的には道路や空港などの交通インフラが多いのですが、水道や電気設備なども範囲に含められているので、実現すれば、その経済効果は公益事業セクターETFにも及ぶはずです。

中間選挙を見ないと、その成否は読めませんが、インフラ投資計画が法案化されれば、米国経済に多大な影響が出てくるはずです。

米国公益事業セクターETFの比較

こうした政権の動向を踏まえ、米国の公益事業セクターETFの銘柄を比較してみます。

バンガード社の【VFH】、ステート・ストリート社の【XLF】、ブラックロック社の【IYF】を重点的に取り上げ、世界各国の情報金融企業に投資する【IXG】も紹介してみます。

(※ETF:S&P500等の「指数」に連動する投資を行い、市場平均の伸び率と同程度の成果を目指す上場投資信託。数十~数百の銘柄に分散投資を行い、個々の銘柄に投資する際よりもリスクを減らすことを目指す。情報技術やヘルスケア、必需品等の分野〔セクター〕に特化して分散投資を行うのがセクター別のETF。米国ではバンガード社、ステートストリート社、ブラックロック社等が数多くのETFを市場に提供している)

【VPU】 バンガード®・米国公益事業セクターETF

  • 公益事業セクターの株式で構成される「MSCI USインベスタブル・マーケット・公益事業25/50インデックス」と連動
  • 投資先は米国の公益事業セクターの大型株(5割近く)、中型株、小型株。
  • 電力、ガス、水道企業のほか、独立系発送電事業を行う企業など、70以上の銘柄で構成されている。

【VPUの株価チャート】(赤線は200日移動平均線)

株価の伸び率を各年で比較してみます。

VPU 初値 最安 最高 終値 上昇率
08~現在 87.6 47.0 124.9 118.1 34.8%
2018 116.6 105.2 122.0 118.1 1.3%
2017 106.9 105.7 124.9 116.6 9.1%
2016 93.3 92.9 115.4 107.0 14.7%
2015 102.6 88.2 107.0 93.9 -8.5%
2014 83.2 81.8 106.5 102.4 23.0%
2013 76.4 76.0 89.5 83.3 9.0%
2012 77.5 73.0 81.4 75.3 -2.8%
2011 67.2 64.4 77.4 76.9 14.4%
2010 65.7 59.6 68.3 67.1 2.1%
2009 61.1 47.0 66.7 65.2 6.7%
2008 87.6 53.3 89.3 61.1 -30.3%

【XLU】公益事業セレクト・セクターSPDR® ファンド

  • S&P500指数を構成する企業群から公益事業に関わる企業を選んだ公益事業セレクト・セクター指数に連動。
  • 電力、ガス、総合公益事業、水道、独立系発電事業者・エネルギー販売業者などの大型株を中心に約30程度の銘柄で構成。

【XLUの株価チャート】(赤線は200日移動平均線)

株価の伸び率を各年で比較してみます。

XLU 初値 最安 最高 終値 上昇率
08~現在 42.2 22.7 56.9 53.0 25.5%
2018 52.7 47.6 54.8 53.0 0.5%
2017 48.5 48.0 56.9 52.7 8.6%
2016 43.0 43.0 53.0 48.6 13.0%
2015 47.7 41.0 49.4 43.3 -9.3%
2014 37.9 37.3 49.1 47.2 24.6%
2013 35.4 35.2 41.4 38.0 7.3%
2012 36.2 34.1 38.2 34.9 -3.5%
2011 31.5 30.2 36.2 36.0 14.2%
2010 31.3 28.1 32.2 31.3 0.1%
2009 29.3 22.7 32.0 31.0 5.9%
2008 42.2 25.8 43.7 29.0 -31.2%

【IDU】iシェアーズ米国公益事業ETF

  • ブラックロック社のIシェアーズシリーズのうち、米国の大手の公益事業に投資するETF。
  • ダウ・ジョーンズ 米国公益事業セクター指数に連動。米公益株に分散投資。

【IDUの株価チャート】(赤線は200日移動平均線)

株価の伸び率を各年で比較してみます。

IDU 初値 最安 最高 終値 上昇率
08~現在 102.1 53.6 142.2 134.4 31.7%
2018 133.0 119.9 138.6 134.4 1.1%
2017 121.7 120.5 142.2 132.9 9.2%
2016 107.2 107.0 132.3 121.8 13.6%
2015 119.0 102.0 123.9 107.9 -9.3%
2014 95.7 94.1 123.2 118.3 23.6%
2013 87.6 87.2 102.5 95.8 9.4%
2012 89.1 83.7 93.4 86.4 -3.1%
2011 77.4 73.8 88.9 88.3 14.1%
2010 75.4 68.5 78.5 77.1 2.3%
2009 69.5 53.6 76.4 74.8 7.6%
2008 102.1 62.3 104.6 69.4 -32.1%

【JXI】iシェアーズ グローバル公益事業 ETF

  • 世界各国の公益事業企業に投資。60以上の公益事業関連の銘柄で構成。
  • 連動している指数は「S&P Global 1200 Utilities Sector Index(TM)」
  • 米国が投資先の6割(60.16%)を占める。米国以外の投資比率は以下の通り。
  • 英国:6.65/スペイン:6.2/仏:4.2/伊:4.1:日本:4/香港:3.6/独:3.2/カナダ:1.8/豪州:1.6/デンマーク:1.2/その他:3.4

【JXIの株価チャート】(赤線は200日移動平均線)

株価の伸び率を各年で比較してみます。

JXI 初値 最安 最高 終値 上昇率
08~現在 69.6 34.2 71.4 48.8 -29.9%
2018 49.7 45.5 50.5 48.8 -1.9%
2017 44.7 44.4 53.0 49.5 10.8%
2016 43.5 42.6 49.7 44.7 2.8%
2015 49.1 42.7 50.7 44.0 -10.3%
2014 43.9 43.2 51.1 49.2 12.0%
2013 41.7 40.8 46.5 44.2 5.9%
2012 42.6 39.6 43.4 41.2 -3.2%
2011 45.2 39.4 48.2 41.9 -7.3%
2010 48.3 39.8 48.9 45.1 -6.7%
2009 46.3 34.2 48.8 48.0 3.7%
2008 69.6 40.2 71.4 46.9 -32.6%

【VPU/XLU/JXI/IDU】の株価伸び率を比較

ここで、この四つのETFに関して、各年初から18年10月12日までの株価伸び率を比較してみます。

VPU XLU IDU JXI
18~ 1.3% 0.5% 1.1% -1.9%
17~ 10.5% 9.2% 10.5% 9.1%
16~ 26.6% 23.1% 25.4% 12.1%
15~ 15.1% 11.0% 13.0% -0.7%
14~ 42.0% 39.7% 40.5% 11.1%
13~ 54.6% 49.6% 53.5% 17.0%
12~ 52.4% 46.3% 50.9% 14.5%
11~ 75.8% 68.1% 73.7% 7.9%
10~ 79.8% 69.2% 78.3% 1.0%
09~ 93.3% 80.7% 93.4% 5.3%
08~ 34.8% 25.5% 31.7% -29.9%

VPUとIDUがほぼ同じ軌道で値動きし、XLUがやや低めになっています。

米国投資型の上記三種に比べると、世界投資型のJXIの伸び率はいま一つです。

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【VPU/XLU/JXI/IDU】の分配金

では、分配金のほうはどうなっているのでしょうか。

モーニングスターHP(8/29閲覧)で年間累計の分配金推移を見てみます。

VPU XLU IDU JXI
2017 3.7074 1.7524 3.4778 1.7924
2016 3.413 1.6583 3.8705 2.1321
2015 3.414 1.5898 4.5546 1.6623
2014 3.089 1.5061 3.4055 1.7461

【VPU/XLU/IDU/JXI】の配当利回りなど

さらに、それぞれのETFを指標で比較してみましょう。

まず、米国に投資する3銘柄を比較してみます。

(以下、運用資産と配当額の単位はドル。その他は%。利回り=直近配当利回り(税込)、TR=トータルリターン。データはブルームバーグHP〔2018/9/15閲覧〕)

VPU XLU JXI
運用資産(億$) 28.9 77 1.5
直近配当 1.016 0.44 0.83
配当利回り 3.35 3.24 3.32
経費率 0.1 0.13 0.47

経費率はVPUがもっとも低く(VPU<XLU<JXI)、トータルリターンはVPUが大きく(JXI<XLU<VPU)、配当利回りもVPUが最も高くなっています。

さらに、同じIシェアーズのIDUとJXIを比べ、米国投資型と世界投資型を比べてみましょう。

IDU JXI
運用資産(億$) 6.3 1.5
直近配当 0.987 0.775
配当利回り 2.87 3.77
経費率 0.43 0.44

米国に投資するJXIのほうがトータルリターンが高めに出ていますが、配当利回りはIWGのほうが高いようです。

米国公益事業セクターETFのポートフォリオ

最後に、それぞれのETFの投資先について調べてみます。

規模別にみた構成銘柄

※なお、上記ETFの構成銘柄を規模別にみると、XLUとJXIで巨大企業の比率が多いことがわかります(モーニングスターHP:8/29閲覧)。

VPU XLU IDU JXI
巨大企業 0 0 0 7.07
大企業 64.97 77.43 67.57 73.03
中企業 30.17 22.57 30.17 19.9
小企業 4.78 0 2.26 0
零細企業 0.08 0 0 0

業種比率

【VPU】

(※データは2018/3/31時点。バンガード社VPU紹介記事を参照)

  • 電力 : 57.4%
  • 総合公益事業 : 29.4%
  • ガス : 5.6%
  • 水道 : 3.5%
  • 独立系発電事業者・エネルギー販売業者 : 3.3%
  • 再生エネルギー系発電事業者 : 0.8%

【XLU】

(※データは2018/8/27時点。ステートストリート社XLU紹介記事を参照)

  • 電力 62.53%
  • 総合公益事業 32.42%
  • 独立系発電事業者・エネルギー販売業者 2.79%
  • 水道 2.26%

【IDU】

(※データは2018/8/27時点。ブラックロック社IDU紹介記事を参照)

  • 電力:57.09
  • 総合公益事業:30.77
  • ガス:5.34
  • 独立系発電事業者・エネルギー販売業者:3.49
  • 水道:2.79
  • 現金など:0.53

【JXI】

(※データは2018/8/27時点。ブラックロック社IDU紹介記事を参照)

  • 電力:58.97
  • 総合公益事業:31.43
  • ガス:4.89
  • 水道:2.42
  • 独立系発電事業者・エネルギー販売業者:1.68
  • 現金など:0.61

最後に、チャールズシュワブ社のHPでETFの構成銘柄を見てみます(2018/8/28閲覧)。

それぞれのETFの上位20銘柄の構成比率は以下の通りです。

【VPU/XLU/IDU】の組入れ上位20銘柄の比率

社名 VPU XLU IDU
NextEra Energy Inc 9.6 11.61 10.08
Duke Energy Corp 6.95 8.14 7.06
Southern Co 5.96 6.5 5.69
Dominion Energy Inc 5.68 6.67 5.78
Exelon Corp 4.99 6.06 5.28
American Electric Power Co Inc 4.26 5.03 4.38
Sempra Energy 3.41 4.39 3.81
Public Service Enterprise Group Inc 3.17 3.8 3.3
Consolidated Edison Inc 2.98 3.52 3.06
Xcel Energy Inc 2.9 3.48 3.02
PG&E Corp 2.7 3.15 2.83
Edison International 2.64 3.13 2.74
WEC Energy Group Inc 2.55 3.05 2.65
PPL Corp 2.43 2.96 2.57
DTE Energy Co 2.37 2.9 2.52
Eversource Energy 2.34 2.84 2.46
FirstEnergy Corp 2.05 2.37 2.05
American Water Works Co Inc 1.92 2.26 1.96
Evergy Inc 1.85 2.22 1.92
Ameren Corp 1.83 2.22 1.93
20銘柄累計 72.58 86.3 75.09

【JXI】の組入れ上位20銘柄

ティッカー 社名 JXI
NEE NextEra Energy Inc 7.02
DUK Duke Energy Corp 4.91
D Dominion Energy Inc 4.03
SO Southern Co 3.96
IBDSF Iberdrola SA 3.94
EXC Exelon Corp 3.67
ENEL:MTAA Enel SpA 3.4
NG.:XLON National Grid PLC 3.29
AEP American Electric Power Co Inc 3.06
SRE Sempra Energy 2.65
PEG Public Service Enterprise Group Inc 2.3
ED Consolidated Edison Inc 2.13
-- Engie SA 2.12
XEL Xcel Energy Inc 2.11
-- E.ON SE 2.1
-- CLP Holdings Ltd 1.99
PCG PG&E Corp 1.97
EIX Edison International 1.91
WEC WEC Energy Group Inc 1.85
PPL PPL Corp 1.79
20銘柄累計 60.2

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