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よくわかる予算の話 ~特別会計と一般会計、合わせた歳入・歳出は何兆円?~ 

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平成30年度予算案が3月28日に参院本会議で可決され、成立しました。

一般会計の総額は97兆7128億円(17年度比で0.26%増。6年連続で拡大)。

金額の修正はないので、その規模は17年12月22日の閣議決定の時と同じです

歳入の内訳は、税収が59兆790億円。新規国債発行(国の借金)が33兆6922億円。その他収入が4兆9416億円。

歳出の内訳は、社会保障費が32兆9732兆円。地方交付税交付金が15兆5150兆円。公共事業が5兆9789兆円。文教・科学が5兆3646億円。防衛費が5兆1911億円。国債の返済費が23兆3020億円。

予算に関する報道や、予算ができるまでの過程がわかりにくいので、今回は、特別会計も含めた国の予算に関する解説記事の作成に挑戦してみます。

平成30年度の一般会計予算はどうなっている?

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まずは、2018年1月以降、国会で審議中の予算案について情報を整理します。

29年度予算の歳入・歳出に比べて、30年度予算の歳入・歳出は以下のように金額が増減しました(以下「29年度予算 (当初)⇒ 30年度予算」という形で数字を明記)

一般会計の歳入の内訳から見ていきます。

歳入の内訳

一般会計歳入

  • 所得税:17兆9480億⇒19兆200億(6%増)
  • 法人税:12兆3910億⇒12兆1670億(1.8%減)
  • 消費税:17兆1380億⇒17兆5580億(2.5%増)
  • その他税収:10兆2350億⇒10兆3340億(1%増)
  • 赤字公債:28兆2728億⇒27兆5982億(2.4%減)
  • 建設公債:6兆970億⇒6兆940億(0.5%減)
  • 租税及び印紙収入合計:57兆7120億⇒59兆790億(2.4%増)
  • 公債金合計:34兆3698億⇒33兆6922億(2%減)
  • その他収入:5兆3729億⇒4兆9416億(8%減)
  • 歳入総額:97兆4547億⇒97兆7128億(0.26%増)

歳出の内訳

一般会計歳出

  • 国債費:23兆5285億円⇒23兆3020億円(1%減)
  • 一般歳出:58兆3591億円⇒58兆8958億円(0.9%増)
  • 社会保障関係費:32兆4735億円⇒32兆9732億円(1.5%増)
  • 文教及び科学振興費:5兆3567億⇒5兆3646億円(0.1%減)
  • 恩給関係費:2947億円⇒2504億円(15%減)
  • 防衛関係費:5兆1251億円⇒5兆1911億円(1.3%増)
  • 公共事業関係費:5兆9763億円⇒5兆9789億円(0.04%増)
  • 経済協力費:5110億円⇒5089億円(0.04%減)※ODA等に使われる
  • 中小企業対策費:1810億円⇒1771億円(2.2%減)
  • エネルギー対策費:9635億円⇒9186億(4.7%減)
  • 食料安定供給関係費:1兆174億円⇒9924億円(2.5%減)
  • その他の事項経費:6兆1098億円⇒6兆1904億円(1.3%増)
  • 予備費:3500億円⇒3500億円
  • 地方交付税交付金等:15兆5671億円⇒15兆5150億円(0.3%減)
  • 歳出総額:97兆4597億円⇒97兆7128億円(0.26%増

この数字の出典は財務省HP「平成30年度予算のポイント」です。

一般歳出の半分以上が社会保障関係費に消え、国の根幹に関わる教育、防衛、公共事業には5兆円ぐらいのお金しか使えません。

しかし、少子高齢化の中で社会保障関係費に関しては、抑制しても増え続ける歴史が続いています。

国の予算は20年間で28兆円ほど増えましたが、そのうち20兆円分が社会保障費に使われ、残りの金額の多くは国債の利払い費等に消えているのです。

平成29年度補正予算は2.7兆円規模。以下、その内訳。

  • ⽣産性⾰命:3931億
  • ⼈づくり⾰命:891億
  • 災害復旧等・防災・減災:1兆2567億
  • TPP等関連政策⼤綱実現:3465億
  • 厳しい安保環境に対応する自衛隊運用経費:1366億
  • 弾道ミサイル攻撃への対応:622億
  • 戦略的海上保安体制の構築等:287億
  • 情報収集衛星の開発等:204億
  • 漁業安全情報伝達迅速化事業:17億
  • 国⺠⽣活の安全・安⼼の確保:3064億
  • その他:3154億

予算案の編成過程

財務省でつくられた予算案は、内閣から提出され、国会で審議されます。

これが予算編成の過程で、編成されている間に前年度の予算が執行され、前々年度に執行された予算が決算されています。予算にまつわる三つの過程はどれも一年かかるので、一会計年度の中で、同時に処理されているのです。

今回は、分かりにくい「予算編成」の課程を追ってみます。ざっと言えば、以下の三つが大事です。

  • 予算全体の規模を決め、税収を見積もり、公債発行の額などを決める
  • 各省庁からの概算要求を査定
  • 査定後の修正を踏まえ、財務省主計局が予算原案を策定

この過程は漢字だらけの専門用語が並ぶので、新聞で見ていると頭がこんがらがってきます。情報を整理するための用語解説を並べながら、その過程を追ってみましょう。

5月ごろ

財務省のシーリング(基本的な方針)を踏まえ、各省庁が概算要求を作成開始。

6月ごろ

経済財政諮問会議から出された「骨太の方針」(経済財政運営等に関する基本方針)に基づいて、「予算編成の基本方針」の原案ができる

※経済財政諮問会議というのは、経済や財政などに関する重要な問題を審議する機関(内閣府に設置)。

8月末

それぞれの省庁が概算要求を財務省あてに提出。

9月~

財務省主計局による概算要求の査定が行われる。

 12月

上旬に、予算編成の基本方針を閣議決定。中旬に、財務省原案の閣議報告。その後、各省庁が財務省に減額された予算要求やゼロ査定(予算拒絶)をめぐって交渉再開。もう一度要求を出すバトルが始まります。この復活折衝が、事務方同士、大臣同士で行われ、火花を散らすわけです。この修正を経て、予算が閣議決定されれば、めでたく政府予算案ができます。 

1月以降

政府予算案が衆議院から順に国会で審議されます。財務大臣の財政演説があって、各党が代表質問し、予算委員会での審議が行われ、本会議で議決、というのが両議院の審議サイクルです。

概算要求と財務省の査定とのバトル

流れを追うと、大きなポイントは、各省庁の概算要求と、それを査定する財務省とのバトルです。

元海自幹部の方に聞いた話ですが、防衛省の側では出来る限り多くのミサイル等を確保したいのに、財務省の側は撃ったミサイルが「すべて当たる」と想定して数を決めてくるので、話がなかなかかみ合わないのだそうです。

「もっと多くの弾丸や砲弾、ミサイルがないといざという時に戦えないんだ」と言っても予算を切りつめたい財務省の方は「全部当たるか、ほとんど当たる」ということにして、数を減らしたいわけです。「これを説得できないと、自衛隊の装備を有効に動かせず、張子の虎になってしまうのだ」と言われていました。

筆者は「本末転倒ではないか」「まじか」と思ったのですが、財務省はこの種の「現場」無視の数字合わせをやることがあるらしいのです。

この逸話は極端な例ですが、予算折衝の大変さを教えてくれます。

名目GDPの中の民間部門と政府部門、輸出入の比率

では、政府でつくられる予算の数字を日本経済全体のGDPの中で見ていったら、どうなるのでしょうか。名目GDPに関して、その内訳は2017年(1~12月)の「国民経済計算」に出ています。

  • 1:民間最終消費支出(民間消費の合計)303兆5232億円
  • 2:政府最終消費支出(政府消費の合計)106兆9942億円
  • 3:総資本形成(政府と民間の投資合計)131兆2677億円
  • 4:在庫変動               -2907億円
  • 5:財貨・サービスの純輸出                     4980億円

(1)財貨・サービスの輸出  96兆5672億円
(2)財貨・サービスの輸入  91兆5866億円

  • 国内総生産(支出側)(≒1+2+3+4+5) 546兆4886億円

2017年(1~12月)の数字で見ると、546兆4866億円のGDPのうち、民間最終消費支出が303兆5232億円を占めており、これは、全体の55.5%に相当します。だいたい、民間の消費が6割を占めているわけです。

一般会計と特別会計を累計したら・・・

こうした前提を踏まえて、一般会計と特別会計を累計して政府予算を見てみます。

両者を合算した時の計算例が出ているのは直近で平成28年度なので、この年次の歳入・歳出を見てみます。

 

一般会計歳入歳出

一般会計(歳入)の代表的な項目

予算(一般会計)を見ると、平成28年度の歳入では、所得税と法人税、消費税の額が大きく、これだけで全体の半分ぐらいです。

  • 所得税 17兆9750億円(18.6%)≒18兆円で19%(四捨五入)
  • 法人税 12兆2330億円(12.6%)≒12兆円で13%(四捨五入)
  • 消費税 17兆1850億円(17.8%)≒17兆円で18%(四捨五入)

これに残りの税金などを足した、「租税及び印紙収入」で歳入の約6割(57.6兆円)がまかなわれています。これに公債(34.4兆円)とその他収入(4.7兆円)を足した金額(96.7兆円)が本年度の一般会計の歳入です。

一般会計(歳出)の代表的な項目

歳出のほうでは、社会保障費、地方交付税交付金等、国債費が7割。

  • 社会保障費      31兆9738億円(33.1%)≒32兆円で33%
  • 地方交付税交付金等  15兆2811億円(15.8%)≒15兆円で16%
  • 国債費         23兆6121億円(24.4%)≒24兆円で24%

公共投資(約6兆円)文教及び科学振興、防衛(ともに約5兆円)を足しても、全体の約6分の1にしかならないので、規模としては比較になりません。

歳入と歳出の総額は、96兆7218億円です。

金額は毎年変わりますが、国の税収を支えているのは所得税、法人税、消費税で、歳出の大半が、社会保障費、地方交付税交付金等、国債費に費やされています。

少子高齢化が続いているので、今のままで行くと、社会保障費の割合はどんどん大きくなるでしょうし、地方が疲弊していけば、地方交付税交付金等がもっと必要だ、と言う話になります。

一般会計の指標:プライマリーバランス(基礎的財政収支)

そして、一般会計を評価する際には、プライマリーバランス(PB)という指標が重視されています。基礎的財政収支とも言いますが、これは、公共投資や国防、教育と科学振興、社会保障など、政府の仕事にかかる費用を、借金をしないで、どれぐらい回していけるのかを計る指標です。その指標を見る手順は、以下の三つです。

  • 歳入から国債収入を引きます。
  • 歳出から過去の国債の元利払いを引きます。
  • 2を1でどれだけ賄えるかを計ります。

こうして、今の世代の支出を借金しないでどれだけ賄えているかを見るわけです。この数字がプラスマイナスゼロになり、国の成長率と国債の利子率が同じになると借金の伸びが止まります。そのため、この指標が財政健全化を見る上で役に立つわけです。

※2018年1月23日に内閣府がPB試算を公表。高成長を見こんでも2020年度の赤字幅が10.8兆円に拡大する見通し(17年7月試算時点は8.2兆円の見込み)。PBが黒字になる時期は従来試算の2025年度から27年度へと遅れることになった。

特別会計とは?

でも、これだけでは、本当は、政府予算の中身は分かりません。政府の予算には、一般会計のほかにも特別会計があるからです。これは、国の行う事業や資金の運用、一般会計とは別の経理などを含んだ会計です。

「何それ」と思われた方もいるかもしれませんが、政府に入るお金には、税収のほかに年金保険料や医療保険料などがあることを思い出してください。給料から引かれる所得税は一般会計の歳入に入りますが、公的な保険料のほうは、特別会計に入っているからです。そして、高齢者がもらう年金には、一般会計で集めた税金も含まれているので、二つの会計は複雑にリンクしています。

財政法第13条第2項では、政府が「特定の事業を行う場合」「特定の資金を保有してその運用を行う場合」「その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」には特別会計を組むことを認めています。

そして、特別会計には、以下の項目があります(カッコ内は所管省庁)。

  • 交付税及び譲与税配付金特別会計 (内閣府、総務省及び財務省)
  • 地震再保険特別会計 (財務省)
  • 国債整理基金特別会計 (財務省)
  • 外国為替資金特別会計 (財務省)
  • 財政投融資特別会計 (財務省及び国土交通省)
  • エネルギー対策特別会計 (内閣府、文部科学省、経済産業省及び 環境省)
  • 労働保険特別会計(厚生労働省)
  • 年金特別会計(内閣府及び厚生労働省)
  • 食料安定供給特別会計 (農林水産省)
  • 国有林野事業債務管理特別会計 (農林水産省)
  • 貿易再保険特別会計 (経済産業省)
  • 特許特別会計 (経済産業省)
  • 自動車安全特別会計(国土交通省)
  • 東日本大震災復興特別会計 (内閣府ほか主要省庁)

特別会計は、所管省庁の利権確保の手段になったり、天下り先になったりする危険性が、たびたび指摘されています。

新聞報道では一般会計の話しか出ていませんが、国の予算は、この特別会計と一般会計を足した総額で見なければ実態はつかめません。

特別会計+一般会計で、約240兆円もの歳入・歳出になる

特別会計では恐ろしく大きなお金が動きます。財務省の特別会計ハンドブック(平成27年度版)によると、2016年度の特別会計の、実質ベースで見た歳出は、201.5兆円。

一般会計の2倍!!

初めてこの数字を見た時、私は目がテンになりましたが、国の予算は特別会計まで見ないと本当の動きが分からないようになっています(以下、本記事の特別会計の数字と下記図表は財務省HP上にある『特別会計ハンドブック 平成28年度版「国の財政規模の見方について」』が出典)。

一般会計と特別会計

2016年度で特別会計の歳出をぜんぶ足すと403.9兆円になりますが、ここには一般会計とダブルカウントになる数字が入っています。会計間の重複計上などを抜くと、201.5兆円です。これに一般会計から重複分を引いた純計分の43.1兆円を足したものが、本当の政府の歳出(244.6兆円)になります。

歳入のほうを見ると、額面上は407.3兆円。こちらも重複分を抜いて二つの会計を足すと、本当の歳入額(246.4兆円)が出ます。

歳入のポイント 「税金+社会保険料」と「公債金+借入金」の規模は近い

歳入歳出

(出所:『特別会計ハンドブック 平成28年度版「国の財政規模の見方について」』)

歳入の内訳を見ると、以下の三項目が目を引きます。

  • 租税及び印紙収入    61.3兆円(24.8%)
  • 保険料及び再保険料収入 42.0兆円(17.0%)
  • 公債金及び借入金    97.6兆円(39.6%)

税金と保険料を足した金額と、政府が借りたお金がだいたい、同じぐらいなのです。この三つで歳入の8割ぐらいです。歳出のほうはどうなっているのでしょうか。

  • 国債費       92.0兆円(37.6%)
  • 社会保障関係費   86.4兆円(35.3%)
  • 地方交付税交付金等 18.3兆円(7.5%)
  • 財政投融資     17.1兆円(7.0%)

国債費と社会保障費だけで歳出の7割が費やされています。これに地方への交付金を足すと、だいたい8割ぐらいです。こうして見ると、政府予算の大部分は使い道が決まっており、なかなか、新しい政策的経費にお金を回せなくなってきていることが分かります。

なお、前掲の86.4兆円の社会保障関係費は社会保障に回されるお金の総額ではなく、これに地方政府負担分等を足して、社会保障給付費(※こちらが総額)が計算されます。2014年度の社会保障給付費は112兆1020億円となり、過去最大規模となっています。少子高齢化の中で社会保障給付費は例年、増加しているため、その抑制は今後も大きな政治課題であり続けるはずです。

特別会計の「剰余金」の累計は16.7兆円

前掲の『特別会計ハンドブック』には累計16.7兆円の剰余金が記されています。

各特別会計の歳入歳出の差額が剰余金として産出されているのです。

剰余金

16.7兆円。全部を足すと消費税の税収に匹敵する剰余金になります。

剰余金は機械的に翌年度に繰り入れされていますが、一つ一つがかなり巨額の規模です。

例えば、年金給付額が予定より下回っていますが、公的年金の受給総額は53.4兆円(2014年度)ですから、誤差は5~6%。消費税を1%増税すると2兆円程度増収になると言われているので、1.5%分に相当します。

年金維持のための増税なのに、こんなに見込み違いが出るようでは「5%から8%」もの増税が必要だったのかは疑わしくなってきます。

また、東日本大震災復興特別会計の1.4兆円。

しかし、地元の議論が紛糾して用途が明確化できず、翌年繰り越しになったわけですから、もう、復興増税の必要性は薄れてきたのかもしれません。

外国為替資金特別会計の規模は大きすぎる?

外国為替資金特別会計では、円売り・外貨買い介入に伴って取得した外貨を「資産」とし、 円を調達するために発行した政府短期証券を「負債」としています。

日本の外貨準備は、通貨当局が為替介入で使う資金ですが、これは通貨危機等で他国に対して外貨建て債務の返済が困難になった時に用いられる準備資産でもあります。

行き過ぎた円高や世界通貨危機等の非常時に備えて、財務省(外国為替資金特別会計)と日本銀行が外貨準備を保有することになっているのです。

そして、前掲の『特別会計ハンドブック』を見ると、過去の介入の規模と資産・負債のバランスシートが出ていました。

外貨準備金

日本の外貨準備は130兆円規模で、過去、通貨介入を行った金額の規模は数兆円~30兆円程度です。

国際通貨基金(IMF)へ最大 1000 億ドル相当の貸付と 600 億ドルの追加資金を行うために活用されたこともありますが、この規模でも20兆円以下です。

そして、日本の120~130兆円の外貨準備は平時、どうなっているのでしょうか。

この外貨資産は約 8 割以上が債券で運用されています(債券 84.2%、預金 9.5%、 SDR1.4%、金 0.1%、その他 4.8%〔2016 年 3 月末時点〕)。そして、「債券は、国債約 8 割、政府機関債、国際機関債等約 2 割で運用」されているそうです(『特別会計ハンドブック』)。

前掲ハンドブックでは、外国為替資金特別会計の解説のくだりで、その貸借対照表も公開されていました。

外為特会-

有価証券(外貨建て債券。大半は米国債と思われる)は130兆円規模です。

結局、外国為替資金特別会計は130兆円もの資産をキープしているのですが、非常時の通貨介入等で用いたお金は、過去30兆円規模が最大ですから、日本の外貨準備は過大なのです。

原則的には、日本は変動相場制ですから、非常時以外には通貨介入を行わないことになっています。昨今は、介入をやりまくると、トランプ政権から「為替操作国」指定をされかねないご時世でもあります。

固定相場制の国は、1ドル360円(※戦後初期の日本)、1元あたりXドル(中国)といったレートを守るために、通貨変動に対して為替介入を行わないとレートを維持できません。中国が巨大な外貨準備を確保したがるのは、これが理由です。

しかし、今の日本は、変動相場制に移行したのに、実際の介入規模よりも過大な外貨準備を持っています。

米国債売却は、日米同盟を揺るがす外交問題になりかねない難しさを備えていますが、日本国民に消費税増税を強いながら外貨資産だけが膨張しているのもおかしな話です。

高橋洋一氏(嘉悦大教授)は、外国為替資金特別会計を財源として消費税を減税すべきだとも述べていました。

日本経済の再建のためにも、本当は、このあたりの適正規模をチェックしなければいけないのではないでしょうか。

国会で「森友学園」ばかりが議論されるのはなぜ?

2018年3月には、森友学園問題を巡り、財務省が文書書き換えの責任を問われています。

国税庁長官が辞任しましたが、次は麻生財務相が責任を問われることになりそうです。

2017年に引き続き、18年も莫大な金額となる一般・特別会計の中身ではなく、森友学園ばかりが議論されています。

これを見て、筆者は、評論家の日下公人氏が、大きなお金ほどノーチェックになりやすいという逆説を指摘していたことを思い出しました。

日下氏は、ずいぶん昔に『「質の経済」が始まった』(2005)という著書で、昭和40年以降、「政府が用いた金額が3000兆円あったとすれば、そのうち、3割ぐらいは無駄があった」という議論を展開していました(※一般会計での計算で、特別会計はカウントしていないと思われる)。

日下氏は、国会議員でも、自分の実感が持てない大きな予算を検証するのは難しく、ノーチェックになりやすいのだと指摘していました。

イギリス政治を研究したパーキンソン氏も『パーキンソンの法則』という著書で「難しい事案はすぐに議決され、誰にもわかる簡単な事案の審議は長くなる」と述べています。原発の専門的な議論は参加者が理解できないので盛り上がらず、役所の事務用品の費用の議論ならみんなが分かるので、議論が盛り上がって長くなったりするわけです。

過去の日本でも、大本営の軍人が主要作戦の議論をすぐに終わらせ、東京の港場で用いる艀人夫の数を延々と議論していたという逸話が残っています。

自分が務める会社の会議を振り返った時、大事な案件が議論されずにあっさり決まり、どうでもよい差末事で管理職とスタッフが熱弁を交わしていたりすることはないでしょうか。

国会でも、そういうことがよく起こり、その結果、無駄な予算が垂れ流されるわけです。

難しい特別会計と一般会計の検証を放り出して、誰でもわかる「森友学園問題」をみんなで議論しようとした国会議員の方々は、「パーキンソンの法則」にひっかかってしまったのでしょう。

その結果、本年度も国民のあずかり知らぬところで、税金の無駄遣いがあちこちで発生することになりそうです。

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