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米閣僚一覧

トランプ政権の閣僚の顔触れが揃いました。

公職未経験の経営者や軍人らが閣僚入りし、人材の交代が行われました(本記事は2016/12/13に公開後、随時更新)。

川上高司(拓殖大大学院教授)は、この陣容を四つにグループ分けしています(『トランプ後の世界秩序』P25~33)

  • インナーサークル(トランプ側近と身内):ペンス副大統領やクシュナー上級顧問等
  • 軍人・強硬派:マティス国防長官、ケリー首席補佐官、セッションズ司法長官等
  • 実業家:ムニューチン財務長官、ロス商務長官等
  • 論功行賞と女性:カーソン住宅都市開発長官、ヘイリー国連大使、デボス教育長官等

トランプの意図が見える人事としては、通商強硬路線のライトハイザーUSTR長官やCO2規制に反対するプルイット環境保護局長官、資源開発を妨げる規制に反対するジンキ内務長官、エネルギー長官のペリー氏などが挙げられます。

大使人事では、親イスラエル派のフリードマン(弁護士)や知日派のウィリアム・ハガティ(民間コンサル会社在籍時に3年間東京に在住)、習主席の「長年の友人」であるテリー・ブランスタッド(元アイオワ州知事)等、駐在国寄りの人材が指名されました(テリーは緩衝役とみられる)。

政権の歩みを振り返ると、まず、発足から半年までの間に辞任劇が相次ぎました。

  • 2/13:マイケル・フリン大統領補佐官(ロシア疑惑で辞任)⇒マクマスター元陸軍中将が後任
  • 7/21:スパイサー大統領報道官(兼広報部長代行)辞任
  • 7/27:プリーバス首席補佐官が辞任(政権の内部情報をリークしたとされた)⇒ケリー国土安全保障長官が後任
  • 7/31:アンソニー・スカラムチ広報部長(52歳、投資会社創業者)が辞任⇒後任はサラ・ハッカビー・サンダース。

8月18日には、選挙期間中からトランプの有力な側近だったスティーブン・バノン首席戦略官兼上級顧問が辞任しました

関連記事:スティーブン・バノン来日講演と『炎と怒り』の要旨

北朝鮮政策に関して「軍事的解決策はない」と発言したことを契機に、「反移民」「保護貿易」「米国優先」等の主唱者が退任し、ケリー首席補佐官やマティス国防長官らを軸にした政権運営が固まったのです。

その後、17年秋には、9月29日にプライス米厚生長官が辞任

その原因はプライスがプライベートジェット機を国内出張のためにチャーターし、多額の公費を使ったためです。5月以降、26回の国内出張を行い、40万ドル(4500万円程度)を用いただけでなく、外国への出張に軍用機を用いて多額の交通費を用いたことが問題視され、事実上の解任に至りました。

18年には政権一周年を経て、運営が安定することが期待されたのですが、3月6日に国家経済会議議長のゲーリー・コーンが辞任してしまいました。

後任は、保守派の経済評論家でCNBCのコメンターを務めるラリー・クドロー氏です。

政権の要石となり、減税法案の成立に貢献していたコーンは、3月に決まった鉄鋼業への輸入関税に反対し、辞任を決意。

同氏の辞任後は関税を巡る米中のバトルが繰り返されています。

また、3月13日にはレックス・ティラーソンが国務長官から解任され、後任にCIA長官だったマイク・ポンペオが指名されました

(CIA長官は、副長官を務めていたジーナ・ハスペルが後任。ティラーソンが解任されたのは、北朝鮮問題などを巡り、トランプと見解が合わなかったため)

さらには、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)も4月9日に辞任

マクマスターは、その見識と能力を高く評価されていましたが、トランプと不仲であることが災いしたようです。

後任は、ジョン・ボルトン元国連大使となります。

(ボルトン氏は、在沖縄米軍の一部を台湾移転すること、北朝鮮の体制転換、イラン核合意の破棄などを主張している)

さらに、3月28日にはシュルキン退役軍人長官が金銭問題を理由に解任されました(欧州を公式訪問した際に公費で観光等を行っていたため)。

その後任には、大統領医務官のロニー・ジャクソン海軍准将が指名されましたが、勤務中の飲酒疑惑などのスキャンダルが浮上し、指名を辞退。

なかなか落ち着かない政権運営が続いています。

改めて、18年の米国政治を動かす閣僚の顔ぶれを見ていきましょう(以下、敬称略)。

【目次】

副大統領:マイク・ペンス(元インディアナ州知事)

本名はマイケル・R・ペンス(Michael R. Pence)。マイクは略称です。

ペンスはインディアナ州のコロンバス市に生まれました(1959年1月7日、59歳)。

副大統領指名を受ける際に「自分はまずキリスト教徒であり、次に保守主義者であり、共和党員である」と述べたように、ホワイトハウスHPの経歴でも、冒頭に宗教的な価値観の話が紹介されています。

移民の子であるペンスの両親はインディアナの町でコンビニ経営に成功し、同はそこで勤勉さと信仰、家族の大切さを学びました。

ペンスはハノーバー大で歴史を学び、81年に卒業。大学時代に信仰心の意義をつかみ、インディアナ大学のロースクールで弁護士資格を取ました。この頃に生涯の妻となるカレン夫人と出会っています。

88年と90年の下院選に立候補するも落選。その後、ペンスは地元のラジオ番組等でパーソナリティを務め、地道に実績と知名度を高めました。

00年の選挙で初当選し、インディアナ州選出の下院議員を6期連続で務めました(01~13年)。連邦下院予算委員長等を歴任し、小さくて効率的な政府、浪費の削減、経済発展、教育の機会均等を擁護しています。

そして、ペンスは13年以降、インディアナ州知事に転じました。ここでも「小さな政府」と低税率を訴え、同州の歴史で最も大きな所得税と法人税の減税を実現。州の競争力を高め、新しい投資と高収入の雇用を創造しました。

政策として「小さな政府」を掲げているペンスは保守派草の根運動のティーパーティー運動にも参加しています。

また、ペンスは保守的な価値観を強く持つ政治家です。

同が知事時代のインディアナ州では、15年3月に州内の個人や企業が宗教的な理由で同性愛者やトランスジェンダー等へのサービスを拒否できる法律(「宗教の自由回復法」)が発効しました(この賛否が全国の注目を集めた。なお、ペンスの宗派はキリスト教福音派)。

ペンスが副大統領に指名された際に「普通の人」であることを訴えたのは有権者を安心させるためでした。これは共和党主流派からの信任を活かしてトランプとのつなぎ役を務めるのが狙いでもあります。

(※ペンスを副大統領に推したのはクシュナー/イヴァンカ夫妻)

ペンスが地盤とするインディアナ州は中西部から北東部に到るラストベルト(さびついた工業地帯)にあるので、この副大統領指名には、労働者票の取り込む意図が含まれていました。

トランプ当選後はペンスが政権移行チームを率い、17年1月20日に正式に副大統領に就任しました。

ペンスは議会対策や内政に尽力し、その後、欧州やアジアなどを訪問。外交面でも力を発揮しています。

17年以来、「日米経済対話」では麻生副総理のカウンターパートとして交渉を行っています。

地元のインディアナ州には日本企業が多いので、我が国のよき理解者となることが期待されています。

大統領首席補佐官:ジョン・ケリー(元海兵隊大将・前国土安全保障省長官)

ジョン・F・ケリー(John Francis Kelly、68歳:1950年5月11日生)は米南方軍司令官(中南米から西インド諸島の防衛を担当)を務めていました。

ケリーはメキシコ国境の警備の脆弱さを問題視し、不法移民の阻止を重視していますが、軍人時代の実績は高い評価を得ています。

(国土安全保障省長官就任時には、同省HPに「彼とその家族は人生を通じて国に奉仕したーー彼以上にこの国に奉仕した人物を知らない」と記載されていた)

そのため、閣僚の中では上院でいち早く人事(国土安全保障長官)を承認されました。

国土安全保障省長官はアメリカで三番目に大きな省です。

この省は運輸保安、関税、国境防衛、税関、米市民権と移民受入れに関わる業務、緊急事態管理、沿岸警備、大統領警護を含む22の部局を持ち、229000人のスタッフを擁しています。

新政権発足から半年ほど、ケリーはこの省の長官として国境警備やテロ対策、メキシコ国境の壁建設、麻薬売人の入国規制、イスラム教徒の入国(禁止?)関連の仕事に携わりました。

ケリーの経歴は以下の通りです。

マサチュセッツ州のボストンに生まれ、1970年に海兵隊に入隊。72年には軍曹となりました。ノースカロライナ州のキャンプ・レジュで第二海兵師団の歩兵を務めています。

その後、76年にマサチュセッツ大を卒業し、海兵隊士官になりました。

海上任務や偵察大隊の指揮(空母フォレスタルで勤務)、軍の教育任務、議会への連絡、欧州での連合軍最高司令官の補佐業務等を幅広くこなし、01年に本国に帰ります。

02年には准将に昇格し、第一海兵師団で師団長を補佐しました。イラクでの戦闘任務にも従事しています。

04~07年までは海兵隊本部に帰り、キャンプ・ペンドルトンを拠点として第一海兵遠征軍を指揮しました。

08年ではイラクのアル・アンバール州で多国籍軍を指揮。その後、本国に配属され、中将として09年3月以降、複数の本国の海兵師団を指揮。

12年10月から16年1月までの間、アメリカの南方軍を指揮し、FBIやDEA(麻薬取締局)と連携して麻薬の流入、テロの脅威をもたらす人々の流入、南方から米国への犯罪組織の侵入を阻止する任務に携わります。

8月18日にスティーブン・バノンが辞任して以降、ケリーは大統領府に「規律」をもたらし、今日まで政権を支えてきました。

大統領上級顧問:ジャレッド・クシュナー(実業家、トランプ娘婿)

クシュナー(37歳、1981年1月10日生)はニュージャージー州で敬虔なユダヤ教徒の不動産実業家の長男として生まれました。

03年にハーバード大を卒業し、07年にニューヨーク大学ビジネス・スクール・ロー・スクールにてMBAと法務博士号を取得しています。

同は、04年に脱税や違法献金等で実刑判決を受けた父親から事業を継承。06年に弱冠25歳で若き日のトランプと同じく巨額の買収を手掛けました。

週刊誌「ニューヨーク・オブザーバー」(千万ドル)や41階建てのマンハッタン5番街の高層ビル(41億ドル)等を購入し、09年にトランプの娘イヴァンカと結婚しています。

ユダヤ教徒であり、ユダヤ人コミュニティーとのつながりを持つクシュナーの影響はトランプのイスラエル寄りの中東政策にも反映されています。

クシュナーは15年にワン・タイムズスクエアの株式の過半数(50.1%)を買収。

やり手のビジネスマンとして活躍し、2016年大統領選では人事、戦略、演説、資金集め等に関わり、勝利に大きく貢献しました。

上級顧問は上院の承認が要りませんが、米国では大統領の親族を政府機関で雇用することを禁じているので(反縁故法)、クシュナーは無報酬です(雇用」ではないという理屈を通すため)。

クシュナーは事業で大成功を収めましたが、義父のトランプは「不動産よりも政治の方が好きなのではないか」と述べ、今後のクシュナーの活躍に大いに期待しています。

2017年4月の米中首脳会談以降、トランプ政権が中国との貿易交渉を行い、北朝鮮問題への対処を期待した際にはクシュナーの意向が働いていました。

しかし、北朝鮮はその後、長距離弾道ミサイルの発射と核実験を行い、この路線の限界があることが露呈しています。

その後、トランプ政権は方針転換し、2018年には中国製品に関税を賦課する方針を打ち出しました。

そのほか、クシュナーは、ロシア疑惑に関して、トランプJr.と共にロシア人弁護士と会ったことへの釈明に追われるなどの難題も抱えています。

関連記事:2018年の米露関係とロシア疑惑

国家安全保障担当大統領補佐官:ジョン・ボルトン(元国連大使)

この役職はNSC(アメリカ合衆国国家安全保障会議)を司り、大統領に安全保障問題について献策する大統領の指南役です(キッシンジャー等が務めていた閣僚級ポスト)。

新しい大統領補佐官(安全保障担当)に指名されたジョン・ロバート・ボルトン(John Robert Bolton)はメリーランド州ボルチモア出身です(1948年11月20日生、69歳)。

ブッシュ(子)政権の頃に国連大使を務めていました(05年8月1日~06年12月9日)。

その経歴は以下の通り。

  • 70年:イェール大卒(最優等)
  • 74年:同大で法務博士となる。その後、保守系の政治活動に参加。
  • 81~89年:国際開発庁や司法省で勤務
  • 89~93年:ブッシュ(父)政権で国務次官補
  • 94年:アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所副所長
  • 01~05年:国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)
  • 05~06年:国連大使

ボルトンは国連大使として、06年の北朝鮮への制裁決議の採択やバンコ・デルタ・アジアでの不正資金凍結を推進しています。

日本の国連常任理事国入りと台湾の国連加盟を支持。親イスラエルの外交政策です。

17年1月には、沖縄米軍の一部を台湾に移転するプランをWSJ紙で提言し、「一つの中国」の見直しを提唱しています。

退任後はガストン・インスティテュートの会長を務め、トランプ政権発足の頃には、国務長官候補の一人としてその名が挙げられていました。

※関連記事:ボルトン大統領補佐官は「一つの中国」再交渉を目指す

行政管理予算局:ミック・マルバニー(元共和党下院議員)

行政管理予算局は、大統領府にて予算編成の見積もりや、予算教書の作成等を担う機関です(米国では予算編成権は議会にある)。

同局長官(閣僚級)の経歴は以下の通り。

1967年7月21日(現50歳)にバージニア州アレクサンドリアに生まれ、ノースカロライナ州で育ちました。

シャーロットカトリック高等学校⇒ジョージタウン大⇒ノースカロライナ大(1992年に法務博士号を取得)へと進学し、その後は法律事務所で勤務。

2007年から09年までサウスカロライナ州上院議員を務め、2010年中間選挙で「ティーパーティー」運動の支持を得て下院議員に当選します(サウスカロライナ州選出)。

2012年と14年に再選し、歳出削減を主張する強硬派議員として知られました。

トランプはマルバニーの指名に際して「米国は20兆ドル近い債務を抱えるが、マルバニーは責任をもって財政を管理し、国を借金漬けから救ってくれると確信している」と期待の意を表明。

マルバニーはトランプの意向を受け、軍事費を増やし、他の省庁の多くを軒並み削減する大胆な予算教書を作成しました。

関連記事:2018ー2019年米予算

大統領補佐官兼国家経済会議議長:ラリー・クドロー(著名経済評論家)

米国家経済会議(NEC)は政策策定や調整全般に関わる経済政策の司令塔です。

ゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任し、その後任にCNBCのコメンテーターであるラリー・クドローが指名されました。

クドローは大統領選の頃からトランプに減税をはじめとした経済政策をアドバイスしていました。

その経歴と主張は以下の通り。

1947年8月20日にニュージャージー州のユダヤ系家庭に生まれ(現70歳)、69年にロチェスター大を卒業。71年にプリンストン大のウッドロー・ウィルソン公共・国際問題研究所で政治学と経済学を学びました。

修士取得前に大学を出て、87年からベアー・スターンズにてチーフ・エコノミスト兼シニア・マネージングディレクターとして働きます。

レーガン政権の頃は米行政管理予算局(OMB)の幹部を務めており、減税を訴えたアーサー・ラッファーとも親交があります。

幾つかのシンクタンクに関わり、経済評論家として活躍。CNBCの「ザ・クドロー・レポート」等のホストを務めてきました。

もとは自由貿易派ですが、トランプ大統領の指名を受諾してからは、鉄鋼関税や中国への知的財産権侵害への制裁にも賛成しています。

過去の経済予測には当たりはずれがあり、サブプライムショックの予測は外しました。

ただ、16年の景気後退とトランプ当選後の株価上昇に関しては、予測が当たっています。

現在、トランプ減税と規制緩和で3~4%の経済成長は可能と見込んでいます。

為替に関しては「強いドル」を支持。その論拠としてはレーガン政権下でドル高と同時に好景気が続いたことなどを列挙しています。

ドル高推奨なので、パウエルFRB理事長の利上げを後押ししていくはずです。

関連記事:ラリー・クドロー新NEC委員長は「強いドル」復帰を目指す

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米通商代表部(USTR)代表:ロバート・ライトハイザー(元USTR次席代表)

ライトハイザー(1947年10月11日生:70歳)はレーガン政権時代にUSTR次席代表を務め、対日鉄鋼協議で日本に輸出の自主規制を認めさせたタフ・ネゴシエイターです。

その後、米鉄鋼業界等に関わる弁護士に転じました。長年、中国が不公正な貿易やWTO違反を行っていると批判してきました。

ブルームバーグ記事(「米通商代表にライトハイザー起用、対中強硬派の元次席代表」1/3)ではトランプのコメントが紹介されています。

「ライトハイザーは米経済の最も重要なセクターの幾つかを保護する合意を取りまとめた幅広い経験を有している。多くの米国民から富を奪い取った誤った通商政策の転換に素晴らしい貢献をしてくれるだろう」

また、中国グローバル化研究センター(CCG)副主任の何偉文は「レーガン政権2期目に政権の通商チームは二国間交渉で日本に強い圧力をかけた。ライトハイザーが選ばれるのなら、対中強硬姿勢が見込まれ得る」と見込みました。

ライトハイザーは14日の上院公聴会にて、農産物の市場開放では「日本が第一の標的だ」とも述べていました(もともとTPPに反対していた)。

TPP離脱後、トランプ政権はTPP以上に有利な協定の妥結を目指すわけです。

ライトハイザーは豊富な貿易交渉の実務経験をもとに、NAFTA再交渉など、各国との通商条約の見直しを担っています。

関連記事:NAFTA再交渉の行方

通商製造政策局長:ピーター・ナバロ(元カリフォルニア大教授)

ピーター・ナヴァロ(Peter Navarro、68歳:1949年7月15日生)は経済学者・公共政策学者です。

カリフォルニア大学アーヴァイン校の教授で、CNBC経済番組でレギュラー出演者として出演したり、ビジネスウィーク誌やNYT、WSJ等に寄稿したりと幅広く活躍しています。

2000年代から中国の軍拡に警鐘を鳴らし、12冊の著書を刊行し、近年には『米中もし戦わば』(赤根洋子訳)が注目されました。この人は「力による平和」を論じ、「抑止力なくして平和はない」というリアリズム的な世界観を元に外交政策を考えています。

この人は対中強硬派で、『Death By China』を執筆し、自ら監督・脚本を務めてもいました

選挙期間中からトランプの経済政策の顧問をしており、12月21日に政権以降チームが通商政策の具体化を計って「国家通商会議(NTC)」を新設することを発表した際に、その責任者に指名されました。

NTCは国家安全保障会議(NSC)と連携し、経済と安全保障の双方から国家戦略をつくる機関となると見られていましたが、この機関は廃止され、その後、トランプは4月末の大統領令で通商や産業政策を助言する「通商製造政策局」を設けました。

17年春頃からは対中外交が硬軟併用の路線に変わり、ナヴァロの地位を格下げします。

この局は通商交渉の実務そのものを担当せず、商務省との調整役等でしかないからです。

しかし、18年に入り、対立していたコーンが辞任。対中対話路線のティラーソンも辞任し、ナヴァロにとって影響力拡大のチャンスがやってきています。

※関連記事:『米中もし戦わば』書評とピーター・ナバロの紹介

国務長官:マイク・ポンペオ(前CIA長官)

マイク・ポンペオは1963年12月30日(現64歳)に生まれ、ハーバード大学法科大学院を卒業し、陸軍士官学校に入ります。

その後、陸軍士官として冷戦時代にベルリンの壁を警備していました。

退役後には航空機部品を扱う企業をつくり、経営者となります。

2010年に保守派のティーパーティー運動の支持を受け、カンザス州で下院議員に当選。下院情報委員会に所属しました。

ゲイや中絶に反対する熱心な福音派キリスト教徒であり、全米ライフル協会の終身会員でもあります。

イラン核合意の反対を主導し、ヒラリー国務長官(当時)が無策だったベンガジ(リビア東部)での米領事館襲撃事件に関する特別委員会に名を連ねています。

2017年秋ごろからティラーソン国務長官の辞任が噂され、その後任候補として、ポンペオの名前が挙げられています。

ポンペオに関しては、リベラル系のメディアが酷評しています(トランプ人事はこの種の人物ばかり)。

しかし、筆者はハンフィントンポストの批判記事を見た時、記者の意図に反して、ポンペオの主張の背景が分かってしまいました。

ハフポス記事(「次期CIA長官、マイク・ポンペオの人物像とは?拷問の実行を擁護したことも」Christina Wilkie、2016/11/28)は、CIAによる「強化尋問」(拷問のこと)擁護に関して、ポンペオの二つの発言を批判しています。

「強化尋問によって我々が得た情報は貴重なものだ。オサマ・ビンラディン容疑者確保の直接的な要因になったからだ」「(ビンラディンが殺害された)あの晩のシチュエーションルームの写真を、オバマ大統領が公開したのは素晴らしいことだ。しかし、彼は実際に作戦を実行した兵士たちに背を向け、擁護しなかった」

これはボンベオを非人道的だと批判する記事です。

しかし、ポンペオは戦争の現実を直視すべきだと言いたかったのではないでしょうか。

ボンベオは、オバマ大統領はビンラディン殺害で米国で喝采を浴びながら、そのための汚れ仕事をした現場兵士に対して、何ら報いもしなかったと批判しています。

結局、拷問で手にした情報でビンラディンを殺したなら、オバマも一蓮托生なのに、自分だけ喝采を浴びるのはおかしいと言っているわけです。

ハフポス紙は、そのほかにもアメリカ国家安全保障局(NSA)が行った違法な情報収集(スノーデンに暴露された話です)をボンベオが擁護したことを批判(ポンペオは「戦時だから仕方ない」という論理)。

トランプ政権では、シビアな現実主義者が評価される傾向があるようです。

※関連記事:マイク・ポンペオ新国務長官は北朝鮮やイランへの強硬派

国防長官:ジェームズ・マティス(元中央軍司令官)

ジェームズ・マティス(James.Mattis:67歳、1950年9月8日生)は海兵隊軍人からアメリカ軍の最高の要職にまで昇り詰めた人物です。

マティスの経歴を見ると、1950年にワシントン州に生まれた後、セントラル・ワシントン大学と国防大学を卒業。

1969年に海兵隊に入隊しているので、軍人時代に大学に通ったものと思われます(22歳で海兵隊少尉)。

軍歴はライフル歩兵小隊の指揮に始まり、小隊指揮官から中隊指揮官に昇進。

1990年の湾岸戦争「砂漠の盾」作戦で歩兵大隊を指揮し、9.11以降のアフガン戦争では「不朽の自由作戦」ではアフガニスタン南部で遠征旅団司令官を務めました。

2003年のイラク戦争では第一海兵師団司令官としてファルージャ総攻撃で活躍し、戦後に中将となります。

07~09年にはアメリカ統合戦力軍とNATO変革連合軍の司令官を兼務しました。

その後、2010年以降、オバマ政権時代の中央軍司令官人事が混乱し、マティスもその渦中に入り、中央軍司令官に就任します。

2010年6月にマクリスタルがローリングストーン紙でオバマ政権批判を繰り広げたことで辞任。後任は対反乱作戦(COIN)を主導したディビッド・ペトレイアス(国務長官候補で名前が上がった人)で、この人は7月にアフガン駐留軍を率いることになりました(治安維持で成果を上げた後、CIA長官に就任)。

そして、2010年7月にマティスが中央軍司令官に就任したのですが、2013年にオバマ政権がイラン核合意に向けて動き出した時、強硬に反対して解任されてしまいます(政権交代に伴い、民主党政権の思惑に翻弄され、苦戦を続けた大将にスポットライトが当たった)

国家安全保障法によれば、退役から七年以上経たないと元軍人は国防長官になれないので、13年退役のマティスはこの法律に抵触しましたが、上院は超党派で特別法を可決。1月に国防長官に就任しました。

マティスは「狂犬」(マッドドッグ)と呼ばれていますが、テロリストへの水責め拷問に反対しており、実際は、良識的な軍人です(綽名の由来は、女性にヴェールを着ることを強制し、それを拒んだ者を殴りつけたイスラム教徒を殺すのが楽しいと発言した際のマスコミ報道)。

「狂犬」「戦う修道士」(独身でひたすら軍のために働いていた)等、印象的な綽名が目立ちますが、実績を挙げ、超党派で尊敬を集めている人物なので、これだけで同にレッテル張りをすべきではありません。

上院公聴会の発言等は非常に知性的・理性的ですし、反トランプ政権路線のニューズウィーク(日本語版2016.12.13 /トーマス・リックス)でもマティスの起用に関しては肯定的です。

(マティスは)「孤立主義には反対し、『アメリカは今後も世界に関わっていくべき』で『歩み寄り』は民主主義政府の根幹をなすもの』とも考えている」

(彼は)「財政面でも保守派的で、そういう人物が国防総省のトップにいるのは悪くない」

マティスは兵士に非常に人気がある。彼の起用は、トランプ政権下では働きたくないという国防総省のキャリア組を慰留する効果も期待できる」

マティスは陸軍砲兵大隊指揮官が尋問中にイラク人抑留者の耳元で発砲したのを批判するなど、現実の行動に関しては熟慮を求めるタイプです。

発言が過激でも現実の判断は冷静だったので、アフガンとイラクの治安維持作戦をつくる上では、この人とペトレイアスの二人が大きく貢献しています(マティスは軍事戦略の著書を執筆する理論家でもある)。

トランプ大統領は「現代のパットン将軍だ」と激賞し、就任以来、大統領も一目置く軍のプロとしての重責を果たしてきました。

筆者は、元自衛官の方が「元海兵隊の将軍が政権要職に入るのは日本にとってプラスだ」と言っているのを聞いたことがあります。

海兵隊は日本との接点が多いので、欧州との接点が多い陸軍出身者よりも望ましいという見方もあるわけです(日系人のハリスが太平洋軍司令官をしているのも、日本の国防上は重要な意味がある)。

マティスは1月に上院の承認を得、2月上旬に訪日し、トランプの代理として日米同盟維持・強化の路線を確認しました。

その後、韓国やヨーロッパを訪問し、米韓同盟やNATOの支持を確認。トランプの信任が厚いので、今後、マティスは同政権の外交・安保政策に影響力を発揮しています。

関連記事:マティス国防長官のアジア政策

北朝鮮問題では軍事作戦を政権幹部につまびらかに説明し、最終的には軍事的選択肢がありうることを主張。

12月に発表された国家安全保障政策は、マティスやケリー、マクマスターらの同盟重視の考え方が濃厚に反映されています。

国土安全保障省長官:キルステン・ニールセン(元大統領次席補佐官)

キルステン・ニールセンは1972年5月14日 (45歳)に生まれ、フロリダ州クリアウォーターで育ちました。

彼女はジョージタウン外務省の学士号を取得し、1999年にバージニア大学で法学博士号を取得。エドムンド・A・ウォルシュ外交大学院を卒業しました。

ニールセンは女性で、サイバーセキュリティーの専門家です。

ニールセンは、ブッシュ政権の頃、国土安全保障委員会で、大統領を補佐する仕事を務めました。交通安全管理局でも政策立案と行政に携わりました。

その後、トランプ政権に入るまでには、ジョージ・ワシントン大学のサイバー・国土安全保障に関わるタスクフォースの上級メンバーとなりました。

サンセシス社を創業し、そこではオバマ政権から多くの仕事を受注しています。

2017年8月からケリーがホワイトハウスを指揮するようになると、ケリーのスタッフだったニールセンは国土安全保障にかかわる仕事を引き受けるようになりました(大統領次席補佐官に就任)。

そして、2017年12月7日に、ケリーの代行を務めていたエレイン・デューク(副大臣)に替わり、国土安全保障省長官に就任します。

就任時には「テロリストの脅威から国境とサイバー空間を含む全領域において米国の安全水準を引き上げる現政権の仕事を担うこと」を誓約しました。

そして、現在は移民制度を家族ベースからメリットベースの制度(能力本位で移民の受入れを決める)に変えることに力を尽くしています。

国家情報長官:ダン・コーツ(前上院議員)

ダン・コーツ(1943年5月16日生、74歳)は20年以上のキャリアを持つベテラン議員です。

ダンはミシガン州出身で、1971年にインディアナ大学のロースクールを卒業して弁護士となり、共和党の下院議員(1981~89年)、上院議員 (1989~99年/2011~17、インディアナ州選出)を歴任しました。上院では情報特別委員会や経済関連の委員会で仕事をしており、ブッシュ前政権の時代には駐ドイツ大使も務めています。

16の情報機関を統括する国家情報長官の指名に関して、トランプは『ダンは、米国の情報機関を率いるのに必要な深い専門知識と健全な判断力を明確に示してきた』『国家情報長官として承認されれば、彼(コーツ)は米国の全情報機関から尊敬され得るリーダーシップを発揮し、米国に危害を加えようと試みる者たちを絶えず警戒する私の政権で陣頭指揮を執ってくれるだろう』と述べました(AFP通信「トランプ、米国家情報長官にダン・コーツ前上院議員を指名」2017/1/8)。

前掲記事は、コーツがロシアのクリミア併合時に米国が行った制裁を主導し、ロシアからブラックリストに載せられ、同が光栄だと述べたことも紹介しています。

ダンの登用は、共和党の対露強硬派を配慮した人事とも見られています。

CIA長官:ジーナ・ハスペル(前CIA副長官)

CIAは中央情報局(Central Intelligence Agency)の略です。

その長官は情報収集、分析、隠密行動、対外諜報、外国の情報機関との連絡等を司ります。

ジーナ・ハスペル(Gina Haspel)は1956年8月1日に生まれ(現61歳)、1985年にCIAに入局しました。

19歳の頃に入局して以来、30数年にわたり、CIAでキャリアを重ね、ポンペオ前長官が国務長官に就任したことに伴い、女性初のCIA長官として重責を担うことになりました。

副局長になる前に、マイク・ポンペオはハスペルを「際立った情報機関の局員であり、30年以上の経験をもって仕事にあたる献身的な愛国者」だと激賞しています。

ハスペルは海外活動のエージェントとして活動したり、各地の情報機関の拠点の長を務めました。ワシントンでは、国家機密機関を管理する部局の長も務めています。

対テロ作戦の実施に関してジョージ H. W. ブッシュ賞、ドノバン賞など受賞し、公務員の最高の賞に位置するPresidential Rank Awardをもらっています。

ただ、リベラル派からは対テロ作戦の実施にあたり、タイのCIAキャンプで人権侵害を行ったのではないか、とも批判されています。

保守からは評価が高いのですが、リベラルマスコミからはこき下ろされているようです。

司法長官:ジェフ・セッションズ(元共和党上院議員)

2月8日に上院で承認されたセッションズ司法長官の本名は「ジェファーソン・ビューレガード・セッションズ3世」(Jefferson Beauregard Sessions III:71歳、1946年12月24日生。ジェフは通称)。

トランプとほぼ同年代で、アラバマ州選出の上院議員でした。

アラバマ州出身のセッションズはハンティントン大学に進学。アラバマ大学で学位を取って弁護士になりました。

共和党員のセッションズは陸軍に入隊し1973年~77年まで予備役を務めています(大尉で除隊)。

その後、1975年~77年まではアラバマ州南部の連邦地区検事補佐、81年~93年までは同州の検事。94年に同州の司法長官となり、97年に上院議員に当選。2008年まで三選を続けました。

ブッシュ政権時代には、イラク戦争やブッシュ減税に賛成。不法移民の合法化を目指す法案否決運動を主導。

セッションズにハンフィントンポストが書いた批判記事では、八つほど懸念事項が並べ立てられています(「ジェフ・セッションズとは何者か? トランプが司法長官に起用、「KKKに共感する」との発言も」Jack Sommers、11月22日)。

  1. 黒人公民権運動家を訴追し、人種差別だと批判を受けた。
  2. 「KKKに共感する」と発言、冗談だったと釈明
  3. アメリカ在住者の不法な市民権取得に反対
  4. セッションズの強硬な主張をまとめた冊子「入国ハンドブック」は、外国人嫌悪の烙印を押された
  5. 合法移民の削減も提唱
  6. トランプが公約に掲げた「すべてのイスラム教徒のアメリカ入国禁止」を賞賛
  7. 「メキシコとの国境に巨大な壁を作る」という公約も支持
  8. トランプの女性侮辱発言を擁護

しかし、トランプ当選を予見した藤井厳喜は、セッションズは、黒人も白人も同じ基準で厳しく犯罪に対処し、アラバマ州の公立校の人種差別廃止に尽力し、同州のKKKを壊滅に追い込んだとも述べていました。

保守層とリベラル層とでは、評価が全然違うことに注意が必要です。

実際は、この人の影響でトランプが選挙中に日本叩きをやめたとも見られています。

ニューヨーク在住のジャーナリストである肥田美佐子はフォーブス電子版記事(トランプ外交ブレーンが語る日米関係、「日本たたき」をやめた真相 2016/9/30)で、その経緯を書いています。

トランプが日本叩きをやめたのは日本の外交当局がセッションズ上院議員らに接触して同盟国日本を標的にするのはおかしいと訴えたためだと書かれた日経記事(9月1日付)を見て、その真偽を本人に聞いたところ、コンタクトしてきた日本人外交官の発言を教えてくれたそうです。

「『He(彼)』は、日米が良好な同盟国であると強調していた」

「彼が言うには、米国が、中国との間で抱えている不和や困難と同じものをあたかも日本との間でも抱えているかのようにトランプが話すのは正しくない、と。日米関係は、米国と中国との関係よりはるかに良好だ、とね。彼(日本人外交官)の主張は正しい」

メキシコにとって、セッションズの閣僚入りは恐ろしい話ですが、この人は日米同盟には肯定的です。

新政権発足後、トランプはセッションズ司法長官がロシア疑惑を巡る捜査から外れたことに失望し、「就任後すぐに捜査から外れるべきではなかった。そうするなら私に伝えるべきだ。その場合は他の誰かを選んだ」等と批判を繰り返していました。

しかし、セッションズは、結局、司法長官の職にとどまっています。

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財務長官:スティーブン・ムニューチン(元デューン・キャピタルCEO)

トランプは選挙中に財務責任者として資金調達を担ったムニューチン(Steven Mnuchin:55歳、1962年12月21日生。ムニューシンとも表記される)を財務長官に指名しました。

トランプは選挙中に大手銀行やヘッジファンド批判を行い、税金の抜け穴をふさぐことを公約していましたが、なぜか、元ゴールドマンサックス(GS)幹部のムニーチュンが財務長官になります。

これはウォール街のパワーがよくわかる事例です。

ニューヨーク出身のムニューチンはGS幹部の息子として生まれ、イェール大を卒業し、父と同じくGSに就職しました。

GSのパートナーとなり、巨富を手にしています。

(ムニューチンは17年間で推計4000万ドルの純資産を稼いだとも言われている)

ムニューチンはGSのパートナー(共同経営者)を17年間務め、退社後はヘッジファンドを設立。

2000年代に一時期、ジョージ・ソロスのもとで働いたり、アメリカの西海岸で金融業を行ったり、破綻したカリフォルニアの銀行(インディマック)買収し、ワンウェストとして再出発させたりしています。

さらには映画事業に手を伸ばし、ラットパック=デューン・エンターテインメント社を設立。ここはアバターやX-MEN等を作ったところです。20世紀フォックスと組んだ「アバター」、ワーナー・ブラザーズと組んだ「ゼロ・グラビティ」を大ヒットさせたりもしました。

私生活面をみると、2回離婚し、現在は美人妻をつれて3人の子供を育てています。

こうしたユニークな経歴を持ち、1億1800~3億9200万ドルもの資産を持つ富豪が財務長官になりました。

(※ムニューチンは1月に財務長官との利益背反という批判を回避するために、9400万ドル以上の財産を売却することを明らかにした)

ムニューチンとコーンが政権入りしたせいか、新政権発足後はアンチウォール街的な政策はトーンダウンしましたが、18年にコーンが辞任。

今後の動向は要注目です。

なお、90年代のクリントン政権ではロバート・ルービン会長、2000年代のブッシュ政権ではポールソンが閣僚入りしていますが、田村秀男(産経新聞特別記者)は、GSが歴代政権に元CEO等を送り込んでいる理由を、米国は最大の債務国であり、世界中から資金を集めるウォール街と政治の中心地のワシントンが運命共同体だからだとも指摘しています(川上高司ほか『トランプ後の世界秩序』P77)

ムニューチンは上院財政委員会での公聴会では、規制緩和や減税政策(労働者や企業向け)による米国経済の活性化、ドル高の容認、アメリカの労働者を第一とする通商政策(貿易不均衡の是正)等を訴えました(ABCニュース記事(2017/1/19 ”Steve Mnuchin Failed to Reveal $100 Million in Assets, Links to Tax Haven Company By LAUREN PEARLE)(※日本語は筆者訳)。

  • ムニューチンは国税法の改革を支持し、それらは「より簡素で有効に」すべきだとした。
  • 私の第一の優先事項は経済成長だ。中でも税制改革が最も重要である」「過剰な規制が経済成長を損なっている」
  • 同は「100%」モスクワへの制裁強化に賛同すると述べた。「法の中で最大限の制裁を行う」と誓った。
  • 同は現在のロシアへの制裁解除に反対したが、追加制裁を勧める質問に対しては答えることを拒んだ。
  • 同は必要ならば米国の財政破綻を回避するために債務上限の引き上げに支持することも示した。
  • 「トランプは経済成長志向の減税政策を持っており、我々はその計画の費用に対しては敏感だ」
  • 同はNAFTAは再交渉されるべきだと繰返し、我々はメキシコに対する再交渉に有利な立場を利用できるという楽観的な見通しを示した

減税関連記事:米国の法人税が21%、日本が30%の時代が来る

なお、公共投資に関しては、必ずしもトランプと同意見ではありません。

大統領選の頃のトランプはクリントンのインフラ銀行創設計画を「政治家と官僚に牛耳られる」と批判していました。そして、税優遇を用いて民間投資を勧めることを提言しましたが、ムニューチンは、その後、新政権はインフラ銀行の創設を検討することを示唆したのです。

トランプは巨額の税控除というインセンティブを与えて民間企業に投資してもらう案ですが、ムニューチンの案は、それだけだと儲からない地域への公共投資が手薄になる、という面を考慮しています(※民間企業は儲からない投資はしないので、公的機関としてインフラ銀行を立ち上げ、全国へのインフラ補修投資などを展開しようとする考え)。

トランプ政権のインフラ投資政策を具体化する上では、ムニューチンの動向も注目を集めています。

2018年1月には「ドル安は貿易とビジネスにとって良いことだ」と発言し、世界の為替を揺さぶりました(ムニューシン・ショック)。

商務長官:ウィルバー・ロス(元「WLロス&カンパニー」会長)

ウィルバー・ロス(Wilbur Ross:80歳、1937年11月28日生)は、59年にイェール大を卒業し、61年にハーバード大でMBAを取得。64年から66年までは研究員としてウッド・ストラウザーズ・ウィンスロップ社等で勤務。長く務めたのはフォールクナー・ドーキンス・サリバン証券で、64年~76年まで経営を担っています。

76年には米投資会社NMロスチャイド&サンズに入社し、2000年まで専務取締役を勤めました。その後、2000年に投資ファンド会社の「WLロス&カンパニー」を設立し、2016年まで経営を続けました。

ロスは繊維や電気、鉄鋼、石炭、鉄鋼等、多様な業種で会社を再建して財をなしたので、「再建王」とも呼ばれています(※産経記事〔12/11:1面〕によれば推定保有資産は25億ドル)。

有名なのは2000年に破綻した鉄鋼会社LTVを2002年に買収し、その後に買収した競合企業を合わせてインターナショナル・スチール・グループを設立した再編事業です。

ロスは1997年に日本でタイヨウ・ファンドを設立し、99年に幸福銀行(現関西アーバン銀行)を買収して再建。

2010年以降、日米交流団体「ジャパン・ソサエティ」会長をも務めた知日派です(05~10年までは理事)。

2011年の東日本大震災では1388万ドルの義援金を集めて寄付し、14年には日本政府から旭日重光章を授与されました。

ロスはTPPに肯定的だったこともありますが、トランプ政権を支える側に回ってからは、米国の自動車産業等に不利だとして、TPP脱退を支持しています。

内政面では、大統領選の頃、カリフォルニア大のピーター・ナバロ教授と連名で減税による税収減対策として「向こう10年でトランプの経済計画が見込む歳入増加分約2兆4000億ドル(242兆1000億円)のうち、貿易政策の強硬化だけで4分の3ほどを創出できる」とも主張していました(WSJ日本語版「トランプ陣営顧問、貿易政策で大幅歳入増見込む」2016/9/26)。

※関連記事:トランプ政権のインフラ政策

上院公聴会では、23か国で実際に企業経営を行ってきた経験を踏まえ、「私は反貿易主義者ではない。貿易を支持している。しかし、私が支持するのは良識ある貿易だ。米国の労働者や製造業拠点に不利な貿易は支持できない」と述べました。

ダボス会議での中国側の主張に対しては「中国は、世界の大国の中で最も保護主義的な国だ。彼らの商業に対する関税障壁と非関税障壁は非常に高い。彼らは自分たちが主張している自由貿易を実践できていない。我々はその現実をそのレトリックに近づけていきたい」と反論しています。

そのほか、ロスとトランプとの出会いに関しては興味深い逸話があります。

両の出会いは、カジノ事業「トランプ・タージマハル」の再建業務がきっかけでした(フォーブス「トランプを借金地獄から救った男、ウィルバー・ロス次期商務長官の人生」2016/12/10)。

「数ヶ月ほどで経営は行き詰まり、トランプは巨額の支払いに追われることになった。その時、破産アドバイザーチームの債権者代表を務めていたのがロスだった。ロスはカジノを強制破産させ、トランプを債務から救い出そうと動いた。ロスはその頃、トランプが乗ったリムジンめがけ、群衆が押し寄せる様子を目撃し、トランプの人気ぶりに驚いたという」

「トランプはタージマハルの持ち株の50%を手放し、それと引き換えに支払い条件の緩和を受け、カジノの経営は継続する。トランプはその後も同種の取引を続けた結果、借金地獄から抜け出し、長者リスト『フォーブス400』に返り咲いた」

トランプも「再建王」のお世話になりましたが、ロスの側もトランプの人気を見て「ただ者ではない。有望株だ」と目をつけています。

借金の海に沈んでいた経営者が、その後、大統領にまで出世したわけですから、同には先見の明がありました。

この時にトランプが大統領になることまで予見できたのかどうかを誰かに聞いてみてほしいものです。

当初は財務長官就任が期待されましたが、高齢のため世界を飛び回る財務長官は無理と判断して商務長官となりました。

ロスは商務大臣就任後、貿易交渉に盛んに顔を出し、「公正な貿易」の実現に向けて力を発揮しています。

2018年には輸入関税の賦課(鉄鋼25%、アルミ10%)を大統領に進言し、実現させました。

※関連記事:米国が鉄鋼とアルミニウムに輸入関税をかけた理由

国連大使ニッキー・ヘイリー(元サウスカロライナ州知事)

ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley:45歳、1972年1月20日生)はインド系アメリカ人です。

共和党州下院議員(04年当選)を経て2010年からサウスカロライナ州知事(全米最年少)を務め、14年に再選されました。

ヘイリーの両親がサウスカロライナ州に移住後、ヘイリーは生まれ、生まれながらにアメリカ市民権を取得。

10代には家族の洋服店を手伝い、クレムソン大学で会計学を専攻しました。

両親はインドのパンジャーブ州出身のシク教徒ですが、ヘイリーはキリスト教のメソジストに改宗しています(メソジストはサッチャーも入っていた新教の一派)。96年に結婚した夫の名に改名しました。

ヘイリーはサウスカロライナ初の女性知事、全米50州の最年少知事でもありました。

マイノリティ系に人気があり、共和党のホープとも見られていたためか、トランプは「ヘイリーには、背景や党派に関係なく人々をまとめて重要政策を推進してきた実績がある」と高く評価し、国連大使に指名しました。

(※ヘイリーは保守派から副大統領候補として期待されているため、この指名は将来の布石として外交経験を踏ませる人事だといわれている)

この人事には女性層やマイノリティーへの配慮も含まれていますし、インドへの配慮もあるのかもしれません。

ヘイリーは2017年に北朝鮮への制裁強化に尽力。秋口の国連総会では、制裁案成立の立役者となり、政権内での評価が上がりました。

また、国連において、トランプ政権のイスラエル外交の方針を訴えてもいます。

関連記事:トランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都と認定

今後、活躍が注目される女性閣僚の一人です。保守派は、ヘイリーに国際経験を積ませることで、将来的な大統領候補にしようとしているとも言われています。

運輸長官:イレイン・チャオ(元労働長官)

チャオはトランプの重要政策であるインフラ整備を担います。

トランプ政権はインフラ投資でPPP(官民パートナーシップ)を推進することを公約しています。

PPPというのは(Public Private Partnership)の略語なので、日本語で言えば「官民連携」という言葉に相当します。民間資金やノウハウを公共施設の整備や効率化、サービスの改善等に活かす方法のことです。

トランプは、選挙期間中から、アメリカでも道路や橋、トンネル等の老朽化が深刻化しているので、10年間で1兆ドルのインフラ投資計画を立ち上げることを公約しました。投資減税等のインセンティブを用いて、官民パートナーシップを推進することを主張していたのです

チャオは指名承認の議会公聴会で「エクイティ会社や年金基金、寄付基金が(インフラに)投資できる推定数兆の資本を最大限に利用する」ためには、「大胆な新しいビジョン」が必要だと述べています。

この人の人生を見てみます。

趙小蘭は英語では「イレーン・ラン・チャオ」(Elaine Lan Chao:54歳、1953年3月26日生)と呼ばれています。

ニッキーがマイノリティ系知事として注目されるのと並んで、チャオはブッシュ政権の頃、2001年にアジア系アメリカ人の女性で初の閣僚入り(労働長官)を果たした人物です。

チャオは台北市で上海出身の商船船長(趙錫成)の家庭で生まれました。

趙家は8歳の頃に米国に移住し、ニューヨークのロングアイランドに居住しています。

チャオは1975年にマウントホーリオーク大学で経済学を学んだ後に父の船会社で2年間勤務します。

79年にハーバード大でMBAを取得。

シティバンクニューヨーク支店勤務、ホワイトハウス実習生(83年)、バンク・オブ・アメリカ副社長等の経歴を経て、86年に連邦政府入りしました。

86年に運輸省海事管理局次長、88年に連邦海事委員会議長、89年にブッシュ父政権にて運輸副長官を務めます。

(そのほか、募金仲介団体のユナイテッド・ウェイでCEOを務めたり、ヘリテージ財団で特別研究員となったり、ウェルズ・ファーゴ等の企業取締役会に参加したりと幅広く活躍)

93年にケンタッキー州選出の共和党上院議員(ミッチ・マコーネル)と結婚。

チャオの父は江沢民と大学時代と同級生で、夫は共和党主流派の有力議員なので、チャオは中国と米国に幅広い人脈を持っています。

2001年にはブッシュ(子)政権にて労働長官に就任し、その後、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の特別研究員等を歴任しました。

チャオは米国、中国、台湾のどこにも人脈を持ち、幅広く活動を展開しています。

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内務長官:ライアン・ジンキ(元共和党下院議員)

ライアン・ジンキ(Ryan Zinke:56歳、1961年11月1日生)はモンタナ州出身。オレゴン大学を卒業。

もともと地質学を学んでいたので、鉱物に詳しい政治家です。

外観は強面で、米海軍では1986年から2008年まで特殊部隊(シールズ)で働いていました(中佐で退官)。

カリフォルニアのナショナル・ユニバーシティでMBAを取得するなど、軍事以外にも見識の幅を広げています。

2008年にモンタナ州上院議員として当選。共和党上院議員として2011年まで在籍。

2014年には下院議員として当選。2016年に再選されています。

内務省には連邦政府所管の土地開発の権限があるので、トランプ政権は、石油・天然ガス開発の積極策を提唱するジンキを長官にあてることで、資源開発の規制緩和を進めようとしています(同は、CO2が気候変動の原因だとする説の懐疑論者でもある)。

関連記事:アメリカのエネルギー政策

環境保護局長官:スコット・プルイット(元オクラホマ州司法長官)

スコット・プルイット(1968年5月9日、49歳)はオバマ政権が企てた火力発電所のCO2排出規制に反発し、無効訴訟を起した人物です。

石油と天然ガスの産地であるオクラホマ州から起きた訴訟は全米の過半数の州が参加したため、オバマは在任中に規制を導入できなくなりました。

そのほか、過去に水圧破砕法によるシェール採掘の規制への異議申し立てを行っています。

トランプはこの指名について「EPAはあまりにも長い間、制御の利かない反エネルギー政策に税金を注ぎ込み、何百万という職が失われ、またわが国の優れた農業、その他の多くの事業や産業を、至る所でむしばんできた」(プルイットは)「この流れを逆転させ、わが国の空気と水をきれいで安全に保つというEPAの最重要使命を取り戻してくれるはずだ」と述べています(AFP通信「環境長官に温暖化懐疑派、トランプ人事に怒りの声」2016/12/9) 。

ブルイットはトランプと同じく、地球温暖化の原因がCO2排出だとする説には懐疑的です。

この人事は環境政策に関して、オバマ政権とは真逆路線になることを意味しています。

藤井厳喜によれば、プルイットが「オバマ政権の下で石油産業や石炭産業が大打撃を受けたので、これを何とか逆転しよう」「責任ある環境保護と企業の自由の双方を促進する」と述べたそうです。

エネルギー長官:リック・ペリー(元テキサス州知事)

リックは略称。本名はジェームズ・リチャード・ペリー(67歳、1950年3月4日生)。

西テキサス出身。1968年にテキサスA&M大学(※AはAgriculture、MはMechanicaを意味する)に進学。卒業後は空軍に入隊。1972~77年まで、アメリカやヨーロッパ、中東でC-130輸送機のパイロットを務めました(大尉で退官)。

政治キャリアは民主党州下院議員から始まります(1984年当選)。

1988年の大統領選ではアル・ゴアを支持。1989年に共和党に所属を変更。1990年に州農政監察官に当選。同州下院議員となり、1998年の中間選挙でテキサス州副知事に当選しました。

その後、2000年にジョージ・W・ブッシュが大統領となり州知事辞任をしたため、テキサス州知事となります。2002年以降、連続当選を続け、2015年には大統領選に挑戦し、途中で辞退しました。

エネルギー産業が盛んなテキサス州出身のためか、エネルギー規制には否定的で、地球温暖化の原因をCO2とする説にも懐疑的です。

ペリーは2012年の共和党予備選では「三つの省庁を廃止する」と宣言したのですが、その時に「エネルギー省」という名前を思い出せずに恥をかきました。

そのペリーがエネルギー省長官となるのは異例の人事です。

トランプはペリーが「何百万人もの雇用を生み、エネルギー価格の低下に貢献した(←民衆の生活コストを下げたことを評価)」と評価しています。

内務省には連邦政府所管の土地の開発規制に関する権限を持っているので、トランプ政権は規制緩和に肯定的なペリーを置くことで、資源開発を進めようとしたわけです。

保険福祉省長官:アレックス・アザー(イーライリリーUSA社長)

プライスの後任となったアレックス・アザー(Alex Michael Azar II/1967年6月17日生:50歳)は 2018年1月24日に保険福祉省長官に就任しました。

同はペンシルベニア州ジョンズタウンに生まれ、1981年から85年までメリーランド州ソールズベリーのパークサイド高校に通い、その後、88年にダートマス大学を卒業。91年にイエール大で法務博士の学位を取得。

90年代前半にはアントニン・スカリアやケネス・スターの下で働き、96年から01年の間、ワシントンの法律事務所でキャリアを積みました。

2001年8月には米国保健福祉省の法務顧問となり、05年~07年には米国保健福祉省次官補を務めています。

アザーはブッシュ政権終了後、製薬大手のイーライリリー社に10年間勤務(5年間は同社USA社長)。また、医薬品業界のロビー団体である、バイオテクノロジー・イノベーション協会の取締役をも務めています。

トランプはアザーが医療保険制度改革と薬価引き下げを担うことを期待しています。

住宅都市開発長官:ベン・カーソン(元神経外科医)

ベンは愛称。本名は「ベンジャミン・ソロモン・カーソン・シニア(Benjamin  Solomon Carson, Sr.:66歳、1951年9月18日生)。

この人も医師です。ベンはミシガン州のデトロイト出身、幼少時に両親が離婚し、陸軍士官学校卒業後、イェール大学を卒業。この時は心理学専攻。ベンもミシガン大学で医師の資格を得ました。

「ジョン・ホプキンス小児センター」で小児神経外科部長となります。

カーソンはベトちゃんとドクちゃんの分離手術(シャム双生児分離手術)を成功させた医師です。

医師としてはトップレベルの評価を得、2013年に引退。

その後、共和党の大統領選候補者として名乗りを上げ、撤退しました。

途中からトランプを支持し、選挙の功労人事で今回の任命に至っています。

住宅都市開発長官に指名されたのは、候補者に名乗りを上げた際に、都心近接地域の環境改善という住宅問題の政策を掲げていたためだとも言われています。

中小企業庁長官:リンダ・マクマホン(プロレス団体WWE創設者)

リンダ・マクマホン(69歳、1948年10月4日生)は全米最大のプロレス団体WWE(世界レスリング・エンターテイメント)の元CEOです。

1980年代からWWFの運営に関わり、90年代末からテレビ番組に登場(プロレスラーではなく、当然、一出演者として)。

09年にCEOを辞職し、2010年11月にはコネチカット州の上院選に出馬。共和党候補となりましたが、民主党候補のリチャード・ブルーメンタル州司法長官に敗北しています。

2012年上院選でも共和党候補者になり、民主党候補のクリス・マーフィー下院議員と戦っています(落選)。

共和党の支援者でもあり、このたびの大統領選挙では番組で接点のあったドナルド・トランプを支持しました(リンダの夫はWWEのイベントにトランプを呼び、会場を盛り上げたことがある)。

トランプはマクマホンを「彼女は従業員13人だったWWEを800人以上の世界的団体に育てた」「彼女は米国の起業家精神を国中に解き放つだろう」と評価しています。

労働長官:アレクサンダー・アコスタ(元フロリダ国際大学法科大学院長)

16年に労働長官に指名されたアンドリュー・パズダー(CKEレストランツ・ホールディングスCEO)は不法移民を働かせていた問題が発覚。

店舗従業員から不祥事(低賃金で働く従業員への賃金引上げ拒否が原因)で訴えられ、スキャンダで上院での承認の見通しが立たなくなりました。

トランプは、労働省から「監督される」側にいたファストフードチェーン経営者を労働長官に据えることで行政を変えようとしたすが、パズダーは指名を辞退。その後、フロリダ国際大学法科大学院長のアレキサンダー・アコスタを指名しました。

ホワイトハウスHPの記事によれば、アコスタの経歴は以下の通りです。

「彼は三代にわたって大統領から指名され、上院の承認を得てきた。その地位の中には全米労働委員会委員も含まれている(※これはブッシュ政権時代)。アコスタはヒスパニックで初めて司法次官補となり、フロリダの南部で合衆国地方検事として働いた。13年以来、アコスタは、フロリダのヒスパニックコミュニティで最も大きな地方銀行であるUSセンチュリーバンクの議長を務めてもいる」

トランプは、同を「米国人の機会均等を熱心に訴えた」人物として推し、同の長官就任は「米国労働者を支援するために労働省を率いる自信を与えてくれる」とも述べていました。

「米国経済、製造業、労働力を再活性させるわが政権の目標を達成するためのキーパーソンになる(原文はキーパーツだが、人間なので、キーパーソンと意訳)」と評価し、期待を寄せているようです。

(出所:President Donald J. Trump Nominates R. Alexander Acosta to be Secretary of Labor | whitehouse.gov 2/16)

トランプのコメントはかなり力が入っています。もともと白人労働者票を得て当選したので、労働長官人事は同政権にとって非常に重要な位置づけにあります。ヒスパニック系の取り込みも図っていることも見落とせない重要なポイントです。

教育長官:ベッツィ・デボス(慈善活動家/米児童連盟委員長)

ベッツィ・デボス(60歳、1958年1月8日生/カルビン大卒)は夫婦で投資会社を設立し、会長を務めていました。

義父は米直販大手のアムウェイの共同創業者です。

産経記事(12/11:1面)によれば推定保有資産は51億ドル!。

共和党への大口献金を行う富豪で、ブッシュ(子)大統領が再選された2004年大統領選では資金集めに大きく貢献しました。

1996年~2000年、2003~2005年に共和党のミシガン州委員長を務めています。

16年の大統領選ではジェブ・ブッシュ元(フロリダ州知事)等を支援しましたが、党内融和の一環として閣僚入りしています。

デボスは全国児童連盟会長を歴任し、学校選択の自由やチャータースクール(民間運営校)普及、バウチャー制度の実現等を訴え続けてきました。

しかし、教育や行政の経験はないので、上院での指名は難航しました(その後、承認)。

トランプはデボスを「優秀で情熱的な教育家だ」と評価し、学校選択の自由の実現と教育行政における官僚主義を打破を期待しています。

農務長官:ソニー・パーデュー(元ジョージア州知事)

パーデュー(71歳:1946年12月20日生)はジョージア州ペリー出身で、出身校もジョージア大です

1972年にはジョージア大学ヴェリナ医学校で医師資格を取得。しかし、その後、米空軍に入隊(除隊時は大尉)。ジョージア州議員を経て、2003年から11年までジョージア州知事を務めました。

大統領選ではトランプに農業政策をアドバイスしています。

ブルームバーグ記事(「トランプが米農務長官にソニー・パーデュー指名へ-関係者 (1)」1/19)では「トランプの大統領選勝利は、景気回復を望む農村部の有権者から強い支持を得たことが一因」だが、「米国の移民法が一段と厳格に運用された場合、農業事業者は労働力不足に陥る恐れもある。不法滞在の労働者は米国の農業労働力で大きな割合を占める」とも報じています。

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