証券市場

geralt / Pixabay

全投稿記事 経済問題 経済統計・予測

2018年、日経平均株価と為替はどうなる? 専門家の予測実績を検証してみた

更新日:

今回は、2018年の日経平均と株価の予測を整理しつつ、専門家の為替と株価予測の精度を検証してみます。

いわゆる「適温相場」が18年2月に崩れて以来、落ち着かない市況が続いているので、株価の行方に懸念が広がっているからです。

スポンサーリンク

2018年の日経平均株価予測の一覧

まず、『週刊ダイヤモンド』(2017/12/30~1/6:P24)に掲載されたエコノミストの株価予測を紹介してみます。

日経平均予測:最高値最低値

  • 広木隆(マネックス証券):30000円(12月)22000円(1月)
  • 大場敬史(岡三証券)26000円(12月)22000円(2月)
  • 松野利彦(SMBCフレンド証券):26000円(12月)20000円(3月)
  • 松浦寿雄(野村証券):25500円(12月)22000円(9月)
  • 吉野貴晶(ニッセイアセットマネジメント):24500円(12月)22000円(1月)
  • 宮島秀直(パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ):24250円(3月)21500円(8月)
  • 圷正嗣(SMBC日興証券):25000円(7月)21500円(2月)
  • 菊池正俊(みずほ証券):25000円(6月)21000円(10月)
  • 居林通(UBS証券 日本株):24000円(4月)20000円(10月)
  • 土信田雅之(楽天証券):24000円(5月)18000円(10月)

果たして、誰の予測が当たるのでしょうか。

2月の「適温相場」崩壊を予測した人はいたのか

18年4月2日時点で、以下のように日経平均は推移しています(以下、ロイターのチャート)。

日経平均2018

2月の株安予測は大場敬史氏(岡三証券)と圷正嗣氏(SMBC日興証券)が当たっていました。

22000円と21500円なので、ほぼ近似値と言えます。

他の経済記事では、智剣・OskarグループCEOの大川智宏氏が18年1月20日に出した予測が紹介されています(『ダイヤモンド・ザイ3月号※雑誌は寿命を延ばすために発売日と月号表示をずらしている)。

大川氏は、17年も米国金利は上がっていたが、減税法案への期待がその金利上昇の悪影響を抑えていた。しかし、その期待はすでに株価に織り込み済となった。そのため、「今後は『金利が上昇すれば、株安になる』というセオリーが復活。当面は上昇余地もありますが、2019年年初から大幅下落する」と予測していたのです。

関連記事を見ると、大川氏は以下の2点を主張していました。

  • 金融緩和の結果、「世界中でおカネが余り、行き場を失ったため、投資対象として魅力のないもの」までが買われるようになり、「一様に買われている状態」ができた。
  • 17年はPBRの高い銘柄でも買われて株価が上がり、PBRの低い銘柄との差が拡大したが、「収益力を示すROEの差」はPBRほどは広がっていない。「収益力や資産価値などの裏付け以上に株価が膨れ上がっている」のが現状。

つまり、「日経平均価格はすでにバブル」と見ています。大川氏は、日経平均の最安値は19000円(5月)最高値は23000円(8月)と予測していました。

株高要因

  • 広木隆:生産性革命/米国の減税とインフラ投資/日本の物価上昇
  • 大場敬史:海外投資家の買い/好調な世界経済/株主還元
  • 松野利彦:好調な世界経済/規制緩和/株主還元
  • 松浦寿雄:米国と中国の好景気
  • 吉野貴晶:デフレ脱却/五輪経済効果/AI実用化
  • 宮島秀直:米税制改革/中間選挙/米投資家の世界投資
  • 圷正嗣:世界景気回復/緩やかなインフレ/企業の資金活用
  • 菊池正俊:海外投資家の日本買い/安倍政権の安定/企業統治改革
  • 居林通:米国の減税/人手不足対応投資/中国からの輸入インフレ終了
  • 土信田雅之:なし

株安要因

  • 広木隆:地政学リスク/ロシアゲート/ショート巻戻し
  • 大場敬史:地政学リスク/中国経済/米金利上昇
  • 松野利彦:地政学リスク/政治リスク/新興国デフォルトリスク
  • 松浦寿雄:地政学リスク/中間選挙/FRBバランスシート縮小
  • 吉野貴晶:地政学リスク/英EU離脱/中国景気
  • 宮島秀直:米インフラ投資期待外れ/米朝軍事緊張/ユーロ信頼低下
  • 圷正嗣:中国景気/北朝鮮リスク/米金利上昇
  • 菊池正俊:中国景気/米欧金利引締め/消費増税の決断
  • 居林通:中国の投資減速/米景気減速/国内企業のコスト増
  • 土信田雅之:国内税制/資源価格/中国の動向

・・・

米国の中間選挙や中国経済は人によってプラス要因にもマイナス要因にもカウントされています。

米国経済や中国経済は好景気/景気減速のいずれかで見方が割れていました。

上述の「地政学リスク」というのは、日本の場合、北朝鮮の核ミサイル開発に伴う問題が大きな割合を占めています。

スポンサーリンク

マネックス証券の日経平均3万円予測はどうなった

2月~3月に株安が起きたので、「広木隆氏らの3万円予測はどうなったんだ?」という疑問を抱いた人もいるかもしれません。

基本的にマネックス証券の予測は大筋では変わっていないようです。

現在、この三氏の3万円達成時期の予測は以下の通り。

  • 松本大(社長):2019年12月末
  • 広木隆(チーフストラテジスト):2019年3月期末。達成時期の後ズレシナリオを追加
  • 大槻奈那(チーフアナリスト):2019年度末

関連記事:マネックス 松本大の日経平均3万円予測の根拠とは

2016~17年の日経平均株価予測

誰の予測が当たるのかは、今一つ、わかりかねるので、参考として、2017年の日経平均予測で誰が当たったのかを検証してみます。

2017年の日経平均予測の検証

ヤフーファイナンスで見ると、日経平均は11月~12月頃に23000円台に突入しました。

日経平均_

2017年の値動きを見ると、最高値予測が見事に大当たりしたのはマネックス証券の広木隆氏です。

やや惜しかったのがSMBC証券の松野利彦氏(1000円ずれ)でした。

以下、表記は「高値(月)安値(月)」です。

  • 小川佳紀氏(岡三証券):21000円(4月)16500円(10月) ※1
  • 飯塚尚己(シティグループ証券):20250円(12月)18250円(9月) ※1
  • 石黒英之(岡三証券):21000円(12月)17000円(5月) ※1
  • 松浦寿雄(野村証券):22000円(2月)17000円(8月) ※1
  • 居林通(UBS証券 日本株):19000円(1~2月)15000円(12月) ※1
  • 壁谷洋和(大和証券):21000円(12月)17000円(5月)※2
  • 謝名憲一郎(明治安田生命保険):20000円18000円(8月)※2
  • 山田一郎(富国生命):21000円(3月)16000円(10月)※2
  • 広木隆(マネックス証券):23000円(12月)18500円(1月)※3
  • 松野利彦(SMBCフレンド証券):22000円(11~12月)18000円(6月)※3
  • 圷正嗣(SMBC日興証券):21500円(11月)18000円(6月)※3
  • 吉野貴晶(大和証券):21000円(11~12月)17000円(5月)※3
  • 宮島秀直(パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ):20750円(11~12月)19000円(5月)※3
  • 菊池正俊(みずほ証券):21000円(4月)17000円(9月)※3
  • 土正田雅之(楽天証券):20850円(5月)16500円(11月)※3
  • 大場敬史(岡三証券):20850円(5月)16000円(10月)※3

※1:週刊東洋経済(16/12/31~17/1/7新春合併号:P67)

※2:エコノミスト(16/12/27:P26)

※3:ダイヤモンド(16/12/31~17/1/7新春合併号)のP28図表は高値/安値のグラフ。P29の2017年末予想を見ると、広木氏が22500円、松野氏が22000円、松浦氏と圷氏と吉野氏が21000円、宮島氏が20750円、菊池氏が2万円、土信田氏と居林通氏が18000円、大場氏が17500円。

全部で16人ですが、2017年日経平均株価の予測値が15000円~22500円ぐらいの幅に入っています。16年は15000円~19000円ぐらいだったせいか、上限が一割ぐらい上がると見ている方が多かったのです。

2012年末の政権交代以来、日経平均株価で20000円を超えたのは2015年の一時期しかないので、大胆な予想は難しかったのでしょう。

2016年の日経平均予測の検証

さらに、2016年末の日経平均予測を『ダイヤモンド』(2015/12/26ー2016/1/2:P41)で見てみます。

  • 大川智宏(UBS証券):23500円 ⇒高すぎ
  • 窪田真之(楽天証券):23000円 ⇒高すぎ
  • 松浦寿雄(野村証券):23000円 ⇒高すぎ
  • 阪上亮太(SMBC日興証券):22000円 ⇒高すぎ
  • 松野利彦(SMBCフレンド証券):22000円 ⇒高すぎ
  • 宮島秀直(パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ):21000円 ⇒やや高
  • 石黒英之(岡三証券):18500円 ⇒実際の値に近い
  • 広木隆(マネックス証券):18000円 ⇒やや安

2016年の日経平均株価の終値は19114円なので、19000円台をスパッと当てた人はいませんでした。

しかし、この8人の中では石黒英之氏(岡三証券)が600円差なので、かなり実値に近い予測値です。

8人中、近い値が出たのはわずか1名なので、やはり、予測を当てるのは難しいようです。

8人のコメントを見ると、株価変動の要因に米大統領選やFRBの利上げ、原油価格の変動等が挙げられていますが、ずばり「トランプ当選」で株高になると書いた人も、英国のEU離脱について言及している人もいませんでした。この二つは想定外だったのでしょう。

2018年のドル円為替予測の一覧

次に、『週刊ダイヤモンド』(2017/12/30~1/6:P26)に掲載されたエコノミストのドル円為替の予測を紹介してみます。

  • 池田雄之輔(野村証券):120円(6~12月)110円(1月)
  • 田中泰輔(ドイツ証券):122円(11月)110円(2月)
  • 村田雅志(ブラウンブラザーズハリマン):122円(9月)114円(1月)
  • 深谷幸司(FPG証券):118円(11月)112円(1月)
  • 高島修(シティグループ証券):120円(9月)110円(12月)
  • 佐々木融(JPモルガン):115円(1月)107円(7月)
  • 野地慎(SMBC日興証券):115円(3月)103円(11月)
  • 唐鎌大輔(みずほ銀行):114円(1月)101円(11月)

為替予測は難しいので、当たる人は一人か二人ぐらいかもしれません。

その難しさを過去の予測で見てみましょう。

2016~17年のドル円為替予測を検証する

2017年のドル円予測の検証

まずは2017年から検証してみます。

ドル円 2017

ドル円の為替予想は以下の予測値が並んでいました。為替に関しては1月が最高値になるという見通しのほか、特に当たった予測がありません。

  • 尾河真樹(ソニーフィナンシャルホールディングス):117円(2~4月)105円(5月) 、年末110円 ※4
  • 唐鎌大輔(みずほ銀行):117円(2~4月)104円(12月末) ※4
  • 内田稔(三菱東京UFJ):118円(1月)98円(12月末) ※4
  • 田中泰輔(ドイツ証券):125円(12月末)105円(4月) ※5
  • 池田雄之輔(野村證券):122円(12月)110円(1月) 、年末120円 ※5
  • 高島修(シティグループ):120円(11月)105円(4月) 、年末118円 ※5
  • 深谷幸司(FPG証券):120円(11月)107円(5月) 、年末110円 ※5
  • 村田雅志’(ブラウン・ブラザーズ):120円(6月)110円(12月末) ※5
  • 佐々木融(JPモルガン):120円(1月)99円(12月末)  ※5
  • 亀岡裕次(大和証券)121円(1月)95円(10月) 、年末99円 ※5

※4:『エコノミスト』(2016/12/27:P27)

※5:『ダイヤモンド』(2016/12/31-2017/1/7新春合併号:P30~31)では、田中氏、池田氏、高島氏、深谷氏が17年後半に円安予想。村田氏、佐々木氏、亀岡氏は17年後半に円高予想になっています。

トランプ氏の政策はドル高志向なので120円超えの予測が多めに出ましたが、結局、108~114円の範囲で推移しました。

2016年のドル円予測の検証

前掲の『ダイヤモンド』(2015/12/26ー2016/1/2:P43)を元にドル円の為替予想のほうも検証してみます。

  • 池田雄之輔(野村証券):135円(16年末)⇒高すぎ
  • 高島修(シティグループ証券):129円(16年末)⇒高すぎ
  • 田中泰輔(ドイツ証券):128円(16年末)⇒高すぎ
  • 村田雅志’(ブラウン・ブラザーズ・ハリマン):128円(16年末)⇒高すぎ
  • 植野大作(三菱UFJ):127.5円(16年末)⇒高杉
  • 深谷幸司(FPG証券):126円(16年末)⇒高すぎ
  • 唐鎌大輔(みずほ銀行):118円(16年末)⇒ほぼ当たり
  • 亀岡裕次(大和証券):114円(16年末)⇒やや低

2016年12月30日のドル円の終値は117円ぐらいですから、惜しくも1円だけずれていたのが唐鎌大輔氏でした。

8名の昨年のコメントを見ると、やはり、トランプ当選や英EU離脱が為替変動要因になることは書かれていませんでした。この二つの出来事は想定外だったことが伺えます。

やはり、エコノミスト予測も的中率は高くない?

2015年初の予測を『エコノミスト』(2015/1/20:P20~21)をもとに検証してみると、2015年12月の為替は1ドル113円~117円ぐらいで動いており、12月30日の日経平均株価の終値は19033円なので、鈴木氏、岡田氏の二人の予測が実際に近い値です。岡田氏の株価予測はほぼぴったりです。

(12月以外で為替の高値予測を出している人の場合は「〇月為替」と表記しています)。

  • 門司総一郎(大和住銀投信):25000円/125円(10月為替)⇒株価高すぎ
  • 石黒英之(岡三証券):23000円/135円⇒株価高すぎ。円安すぎ
  • 広木隆(マネックス証券):22000円/130円⇒株価高すぎ。円安すぎ
  • 渡辺英茂(三井住友):21000円/125円(8月為替)⇒株価やや高
  • 藤戸則弘(三菱UBJ):20800円/130円⇒株価やや高。円安すぎ
  • 山田勉(カブドットコム証券):20000円/135円⇒円安すぎ
  • 黒瀬浩一(りそな銀行):20000円/130円⇒株やや高、円安すぎ
  • 菊池正俊(みずほ証券):20000円/120円(平均)⇒株やや高。年間平均高 
  • 鈴木和仁(しんきんアセット):19500円/127円⇒円安すぎ 
  • 岡田允彦(住友生命保険):19000円/125円、円安すぎ 

・・・

色々な株価、為替予測を見てきましたが、やはり、的中率はさほど高くないようです。

年末に検証すると、毎年、一人か二人ぐらいしか当たっていません。

それが本当に高い確率で予測できるのなら、とっくの昔にこの人たちは巨富を得ているはずなので、当たり前の結論ではあります。

株や為替で本当に大儲けしていたら、日本よりも税金の安い国で楽しく暮らしているに違いありません。

そういう人は予測の場には出てこないのでしょう。

株価でも為替でも予測値は似たような範囲に集まりがちですが、この背景には、大勢から外れたことを言って見放されたくないという心理が働いています。

これは情報分析や未来予測に関わる仕事ではよくある話です。

アメリカではCIAを始めとしたインテリジェンスの専門家が情報部門部門のコミュニティーをつくっていますが、その世界では「常識的」な範囲に収まるように報告書が作成されがちだとも言われています。

インテリジェンスコミニティ―では予測者の横並び志向がダメなレポートの発生源になることも多いのです。

ここ数年で見ると、株価、為替で実際の値に近かったのは多数派から外れた予測のほうでした。

未来予測では「みんなが言うこと」は当てにならないことが分かります。

トランプ当選を予測できたのは、ごく一部の人たちでしかなかったことを思い出し、多数派の意見を盲信しないように、機転を働かせていきたいものです。

【スポンサーリンク】

-全投稿記事, 経済問題, 経済統計・予測

Copyright© トランプ政権と米国株投資 , 2018 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.