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アメリカのエネルギー政策 シェールオイル・ガス輸出はどうなる

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トランプ政権発足後の米国におけるエネルギー政策の展開を整理してみます。

17年から18年にかけての施策をみてみます。

米国第一のエネルギー政策

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トランプ大統領は新政権発足後、まず、「An America First Energy Plan」(アメリカ第一のエネルギー政策)という政策を公表しました。

そこでは「勤勉に働く米国民のためにコストを下げ、米国の資源を最大限に生かし、米国を外国資源への依存から解放するエネルギー政策に全力で取り組むことを公約する」とうたわれていました。

  • 「我が国の気候変動計画や水質規制のように有害で不必要な政策を除く」ことによって「7年間で300億ドルの給料を増やす」
  • シェールオイルとシェールガス開発を推し進め、何百万ものアメリカ人に富と雇用をもたらす。
  • 50兆ドルと見込まれる未開発のシェールオイルとシェールガスを、特に連邦本土に住むアメリカ人のために使う
  • エネルギー生産からもたらされる利益を我々の道路、学校、橋、公共インフラを再建するために用いる。
  • 石炭産業をクリーンにし、再建する
  • 国益にとって有害なオペックカルテルや他の国々からの独立を達成する。
  • こうした公約を並べ、エクソンモービルCEOだったレックス・ティラーソン氏を国務長官に就任させ、他の閣僚にはオバマ政権が強化した環境規制をなくすための布陣を固めました。

内務長官にライアン・ジンキ氏(元共和党下院議員)、環境保護局長官にスコット・プルイット氏(元オクラホマ州司法長官)、エネルギー長官にリック・ペリー氏(元テキサス州知事、本名はジェームズ・リチャード・ペリー)を指名したわけです。

スコット・プルイット氏はオバマ政権が進めた火力発電所のCO2排出規制に反発し、無効訴訟を起した人物です。

リック・ペリー氏はエネルギー産業が盛んなテキサス州で知事をしており、ライアン・ジンキ氏も石油が取れるモンタナ州から下院議員として選出されました。

この3人はCO2排出が気候温暖化の原因だとする説には懐疑的な面々です。

キーストーンXLとダコタ・アクセス・パイプラインの推進

そして、新政権は、1月24日に「キーストーンXL」と米中西部の「ダコタ・アクセス・パイプライン」建設計画の推進や環境面での規制緩和のために大統領令を出し、オバマ政権が環境保護のために推進を止めた案件を逆転させました。

大統領が推進を指示したのは、カナダの原油を米テキサス州の製油施設に運ぶ「キーストーンXL」と米中西部の「ダコタ・アクセス・パイプライン」。

トランプ氏は事業によって「多くの雇用が生まれる」と強調した。

大統領はまた、商務長官に対し、米国で整備されるパイプラインへの国内産の鉄鋼製品使用を促進するよう命じた。

優先度の高いインフラ事業などについて、規制の負担を軽減し、許認可を迅速化することも求めた。

(時事通信「トランプ米大統領、パイプライン建設推進=前政権の方針転換2017/1/25」)

キーストーンXL計画では、米モンタナ州と接するカナダ西部のアルバータ州産のオイルサンドから取り出した原油を米テキサス州の製油施設に輸送します。

トランスカナダ社によれば、この計画で1日で最大130万バレル(アメリカ国民が1日に消費する石油の約10分の1に相当するともいわれる)を輸送でき、70億ドルの総事業費で2万人の雇用が生まれます。

当初、2013年の稼働を目指したこの計画は、CO2排出削減や環境保護などのためにオバマ政権に差し止められ、2015年11月に最終的に否認されました。

トランスカナダ社は2016年6月に北米自由貿易協定(NAFTA)に基づき、その却下が不当だと米国政府を提訴したのですが、トランプ政権への移行に伴って、再開のめどがついたわけです。

また、ダコタ・アクセス・パイプラインは米ノースダコタ州のバクケン油田⇒サウスダコタ州、アイオワ州⇒イリノイ州の油田工場に至る1886km、総工費38億ドルの巨大地下石油パイプライン計画です。エネルギートランスファーパートナー社やダコタ・アクセスLLC社が担う計画でしたが、このプランも16年9月にオバマ政権に差し止められていました。

トランプ政権で再開されれば、アメリカのエネルギー自給率の向上、経済活性化や地方税収の増加、雇用促進(※トランプ氏は28000人の雇用増を見込んでいる)などが期待できます。

「クリーンパワープラン」の廃止

そして、3月28日には、オバマ政権が定めた「クリーンパワープラン」を廃止します。

オバマ政権では大統領令で州政府に火力発電所にCO2排出削減を義務付けたのですが、トランプ大統領は「エネルギー自立と経済成長に関する大統領令」を出し、それを撤回しました。

石炭を含む、化石燃料や原子力、再生可能エネルギーを用いて信頼性の高い電力供給を実現することを目指しました。

オフショアエネルギー戦略の実施

さらに、トランプ氏は4月28日に「アメリカ第一のオフショアエネルギー戦略の実施」に関する大統領令を出しています(出所:Presidential Executive Order Implementing an America-First Offshore Energy Strategy | whitehouse.gov)。

ここでいうオフショアは「沖合」という意味合いなので、海洋油田開発等の規制を緩めるための措置です。

この大統領令では3節~11節で、規制緩和の条項を並べました。

  • 国防長官と協議し、提案されている石油・天然ガスのリース販売計画の見直し(地域はメキシコ湾、チュクチ海、ビューフォート海、クック・インレット、大西洋中部、南大西洋等)
  • 商務長官は、特に明示されない限り、米国海洋保護区法(National Marine Sanctuaries Act 16 U.S.C.)の下、国家海洋保護区の指定・拡大を控える
  • 内務長官は海洋エネルギー管理局(BOEM:Bureau of Ocean Energy Management)長官に財務保証規制の政策が適正か検討し、必要があれば見直
  • しを行う。外縁大陸棚での環境規制等を検証する。
  • BOEMは空気品質の管理等の規制を見直す。
  • 商務長官は大気管理に関する基準の見直しを行う。
  • 内務長官は北極大陸棚における探査掘削に関する規制を見直す。

これにより、国防総省、商務省、内務省などが管轄する規制が緩和されます。

※18年に入り、トランプ政権は1月4日に米国の大部分の沖合で石油と天然ガスの掘削を認める方針を出した。連邦政府管轄の26カ所の沖合鉱区のうち、25カ所で開発事業者へのリースを許可する方針。これが2019~24年の開発計画に反映されれば、アラスカ方面の沖合から太平洋、大西洋、メキシコ湾も含む沿岸で掘削可能になる(最終計画は2019秋までに作成)。オバマ政権が2010年のメキシコ湾での原油流出事故後に強化した環境規制が緩和された。

パリ協定離脱を宣言

6月1日には「パリ協定離脱」の声明を発表。

トランプ大統領は「(米国に不利なのに)他の国々が利益を得て、米国の労働者がコストを負担させられている」として、「米国にとってより公正な協定に変えたうえで、再加入するか、全く新しい枠組みをつくる交渉を始める」と宣言しました。

緑の気候基金への拠出(※30億ドル=3300億円相当)をやめる方針を明かし、パリ協定が中国やインドに対するCO2排出規制が緩い枠組みであることを批判。

米国は独自路線をゆくことを宣明しました。

米国のエネルギー支配(覇権)を目指す

その後、トランプ大統領は6月29日にエネルギー省で演説し、政策目標として、「米国のエネルギー支配」(American energy dominance)」を掲げました。

これは米国がエネルギーを経済的な武器として利用するOPEC等の地政学的リスクから独立して自由を確保し、世界にエネルギーを輸出することで米国の影響力を拡大することを目指します。

つまり、「支配」というのは米国がエネルギー市場のシェアで世界に優位に立つことを意味しています。

トランプ大統領は、演説にて、輸出の最大化や競争的なエネルギー市場の支持、米国の雇用創出などをうたったのです。

(具体的には、メキシコへの天然ガス輸出パイプラインの建設承認やLNGの輸出承認等が含まれる)

米国議会でも米国産 LNG の輸出を促進するための法案が議論され、11月のトランプ訪日時にも、LNGの輸出は日米首脳会談で話題に上りました。

12月18日発表の国家安全保障戦略の中にも、前述の「米国のエネルギー支配」は重要項目にあげられており、今後は、米国からのLNG輸出の促進に関する議論が活性化することになりそうです。

現在、米国産LNGを輸出する際には、LNGの液化施設やパイプライン等の陸上輸送インフラに関する国家環境政策法(National Environmental Policy Act of 1969)の環境影響評価を通し、天然ガス法に基づくエネルギー省の輸出承認を得なければなりません。

これはかなり厳格な仕組みなので、2018年以降に、議会で新しいLNG輸出の枠組みを定める法案が実現するかどうかが注目点となります。

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