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政策一覧

トランプ政権の主要政策の日本語訳をまとめてみます。

「実質経済成長率4%」「10年間に2500万人の雇用を生む」「規制が強いる2兆ドル相当の負担を軽減」「NAFTA再交渉」「不法移民の入国規制」「メキシコとの間に国境の壁を建設」等が印象的ですが、これらは政権発足時に公開された文書に明記されています。

2018年に入り、トランプ大統領はTPP再交渉もありえると明言しましたが、通商政策は強行路線となり、その言動に各国から注目が集まっています。

この記事では政権発足時の6文書を翻訳し、その上に必要に応じて他の文書の訳を加えていきます。

(※出所はみなホワイトハウスHPですが、18年に同HPがリニューアルされ、古い政策文書の多くは現時点では見れなくなっています)

雇用と成長を取り戻す

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2008年の不況以来、米国労働者と企業は第二次世界大戦以降、最も遅い景気回復のなかで苦しんでいる。米国はこの期間に30万人近い製造業の雇用を失い、1970年以来、米国人の労働力が急落する状態を共有している。国の借金は倍増し、中流層は減少した。

経済を回復軌道に戻すために、トランプ大統領は実質GDPで4%の経済成長を取り戻し、次の10年に2500万人の新しい米国の雇用を生む大胆な計画を描いている。

その計画は米国の労働者と企業がより多くのドル(苦労して得た所得や利益)を得るのを助けるために、成長を後押しする税制改革に始まる。大統領の計画ではどの税率区分の米国人にとっても税率が下がるだろう。税制は簡素化され、世界で最も高い法人税が下げられる。時代遅れで複雑すぎ、厄介すぎる税制を直すことは、米国の経済を解放し、何百万もの新しい雇用を生み、経済成長を活気づける。

生涯を通じて雇用を生んできた人間、またはビジネスマンとして、大統領は米国の小企業や起業家、労働者のために「ワシントン」という障害物を取り除くことがどれだけ大事かを理解している。2015年だけで、連邦の規制が米国経済に課したコストは2兆ドルを上回った。

大統領は新しい連邦規制の一時猶予を提言し、連邦の機関や省庁の長に雇用を失わせるような規制はないかどうかを調べさせている。それは廃止されるべきだからだ。

数十年もの間、交渉に従事した経験から、大統領は米国のために最もよい条件で貿易協定を結ぶための交渉が死活的に重要であることを理解している。今ある貿易協定を再交渉し、未来の協定のためにより厳格な姿勢を取ることで、我々は沿岸地域と経済の背骨たる米国の製造業を支える協定を確保し、もっと高収入の仕事を得ることができるだろう。

米国労働者を害する不正で不公平な貿易に携わっている国々にしかるべき結果をもたらす。大統領は、そうすることで我々が本気であることを貿易相手に見せようとしている。米国の労働者と企業が次々と立ち上がることで、大統領の政策は経済成長を解き放ち、2500万の新しい雇用を生み、アメリカを再び偉大にするのである。

※関連記事:米法人税は21%、日本は30%の時代が来る

全てのアメリカ人のための貿易協定

あまりにも長い間、米国人が認めることを強いられてきた貿易協定は、ワシントンのエリートとその関係者の利益のために、勤勉に働くこの国の男女をないがしろにするものだった。その結果、労働者(ブルーカラー)の町や市では、工場が閉ざされ、報酬のよい仕事は海外に行ってしまった。米国は巨額の貿易赤字に直面し、製造業の拠点は壊滅した。

長年の間、交渉に従事した経験から、大統領は米国の労働者と企業にとって貿易がどれほど重要かを理解している。厳格で公正な協定があってこそ、国際貿易は我々の経済成長のために活かされ、米国沿岸に何百万もの雇用を戻し、我が国の疲弊した自治体を再活性化することができる。

この戦略は、TPP(環太平洋経済連携協定)脱退といくつかの新しい貿易協定が米国の労働者の利益にかなうことを確認することで開始される。

トランプ大統領はNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉を約束している。もし我々の相手国が米国の労働者に公正な取引を与えるための再交渉を拒むのならば、大統領は米国のNAFTA脱退を(関係国に)通知するだろう。

失敗した貿易協定を拒み、それを機能させるだけでなく、合衆国は貿易協定に違反し、米国の労働者を害する国々に制裁を与える。大統領は商務長官に全ての貿易協定違反の調査と、合衆国政府のあらゆる処置を用いて、それらの違反を終わらせることを指示する。

こうした戦略を実行するために、すでに大統領は最も強く、最も賢い貿易担当者のチームを指名している。わが国民は最も有力な交渉者を手にするのだ。

あまりにも長い間、ワシントンの支配者集団が自分たちのために貿易交渉を行ってきた。トランプ大統領は貿易政策を彼自身で監視し、民衆のために実施する。そして、米国を第一にした政策を実施する。公正かつ厳正な貿易協定のために戦うことで、我々は雇用を米国沿岸に戻し、給料を増やし、製造業を維持することができる。

※関連記事:トランプのNAFTA再交渉

ーーーーー

2018年1月、ダボス会議演説でトランプ氏は「米国は、相互に利益をもたらす二国間の貿易協定を全ての国と交渉する用意がある」「そこにはTPP内の国々が含まれる」「個別もしくはグループとして全ての関係国の利益のため、再交渉を検討する」とも発言。TPP復帰の可能性を示唆した

アメリカ第一のエネルギー政策

エネルギーは米国の生活の不可欠な一部であり、世界経済の基礎である。トランプ政権は勤勉に働く国民のためにコストを下げ、米国の資源を最大限に生かし、米国を外国資源への依存から解放するエネルギー政策に全力で取り組むことを公約している。

あまりにも長い間、我々は、エネルギー産業を厄介な規制で抑圧してきた。トランプ大統領は我が国の気候変動計画や水質規制のように有害で不必要な政策を除くことを公約している。これらの規制を廃止することはアメリカの労働者を大いに助け、次の7年間に300億ドルの給料を増やすだろう。

健全なエネルギー政策は米国には広範な未開発の国内資源が保たれているという認識のもとに進められる。

トランプ政権はシェールオイルとシェールガス開発を推し進め、何百万もの米国民に富と雇用をもたらす。我々は50兆ドルと見込まれる未開発のシェールオイルとシェールガスを、特に連邦本土に住む米国民のために使わなければならない。

我々はエネルギー生産からもたらされる利益を我々の道路、学校、橋、公共インフラを再建するために用いる。

安上りの資源は米国農業を大いに活性化するだろう。

トランプ政権は石炭技術をクリーンにすることと、あまりにも長い間、害されてきた米国の石炭産業を再建することを公約している。国内のエネルギー生産を活性化することは米国経済に有益であるだけでなく、国家安全保障のためにもなるだろう。

トランプ政権は我々の国益にとって有害なオペックカルテルや他の国々からのエネルギーにおける独立を達成する。同時に、反テロ戦略の一部となる建設的な協力関係を促進するために、我々は湾岸諸国の同盟国と共に活動する。

最後に、エネルギーに対する我々のニーズは環境に対する管理責任を伴わなければならない。クリーンな空気と水を守り、自然生物の生息地と天然資源を保全することは高い優先順位に位置する。

トランプ大統領は我々の空気と水を守る主任務にかかわるEPAに再び焦点を合わせる。我々の明るい未来は、経済を活性化し、安全と健康を確保するエネルギー政策にかかっている。

トランプ政権のエネルギー政策に基づいて、こうした未来は現実化するだろう。

※関連記事:アメリカのエネルギー政策 シェールオイル・ガス輸出はどうなる

我が国の警察当局を守る

安全な共同体の中で暮らすことはあらゆる米国人の基本的権利の一つである。トランプ政権は我々の街路から犯罪と暴力を取り除く警察官の権限を強化する。

トランプ政権は法と秩序を担う政権になるだろう。

トランプ大統領は警察官を尊重し、共同体を守る彼らの任務を支援する。国内に漂っている警察への危険な反感は問題だ。トランプ政権はそれを終わらせる。

トランプ政権は暴力的な犯罪を減らすことを公約している。2015年に殺人犯は米国の50の大都市で17%増加した。それは過去25年間の中で最大の伸び率だ。我々の首都の中で、過去4年間で殺人は50%以上増えた。シカゴだけで何千もの発砲が過去1年の間に行われている。

我々の国はより強力な法執行、共同体の関与、効率的な警察を必要としている。我々の仕事は暴徒や暴力で国をかき乱す者たちにとって快適な生活をつくることではない。

我々の仕事は子供たちが街路を安全に歩けるようになることを望む親たちのためにより快適な生活をつくりあげることだ。バスを待つ高齢者にとっても快適な生活のために。学校から家に帰る子供たちのために。

法執行を支援することは我々の市民が自分自身を守る権利を指示することでもある。我々は国民の憲法修正第二条の権利を、司法制度のあらゆる段階において支持する。トランプ大統領は不法移民や犯罪者、暴力、麻薬が我が国に入るのをせき止める国境の壁の建設を公約した。

彼は我々の国境法を強化し、無法になじんだ不法移民の大群の発生を止め、彼らを保護する「聖域都市」をも終わりにすることに尽力している。法の執行を支持することは国内に住む犯歴を持った不法な外国人を追放することをも意味している。

政府の第一の義務は無実の者を保護することだ。トランプ大統領は全ての米国人、特に近隣の安全を長い間、確保できなかった人々のために戦う。

我々の軍隊をもう一度強化する

わが軍の男女は世界で最も偉大な戦力であり、米国の自由の守護者である。

そのため、トランプ政権はわが軍を再建し、退役兵には国への奉仕に見合った措置を保証するためにあらゆる手段を講じる。米国を守るための措置にはあらゆる資産が必要だ。我々は他国がわが軍の能力を上回ることを容認できない。

トランプ政権は最高水準の軍事即応性(※非常時に即応する能力)を追求する。トランプ政権は防衛予算の歳出削減措置を終わらせ、わが軍の再建計画の概要を示す新予算を議会に提出する。

我々はわが軍の指導者に軍の未来の需要を満たす手段を提供する。我々は北朝鮮やイランのような国々のミサイル攻撃から基地を守るためにミサイル防衛システムを最先端のレベルに進化させる。

サイバー領域は急成長する戦争の領域だ。我々は我が国の防衛秘密とシステムを守るためのセーフガードを築くためにあらゆる措置を講じなければならない。我々はサイバー能力で防衛と攻撃の機能を進化させることに高い優先順位を置く。米国で最も賢く、優れた人材を、このサイバー部隊という死活的に重要な領域で雇うつもりだ。

わが軍は英雄的な人々から成ることを国民が忘れないようにしなければいけない。

我々はわが軍のメンバーとその家族のために、彼らが民間人の生活に戻る際に最良の医療と教育を保障しなければならない。

我々はいつでも、どこでも、退役兵が必要とする措置を講じたい。もはや(ケアを求めて)長いドライブをしなくてもよい。もはやスケジュールやリストを並べなくてもよい。これ以上の官僚的な対応はいらない。

我が国への奉仕と犠牲を経た退役兵には適切なケアと支援が提供される。トランプ政権は退役軍人省を、女性退役兵を含んだ21世紀のメンバーに対応できる組織に変革する。退役兵を幻滅させてきた、腐敗し、無能な退役軍人省の幹部の解雇から改革を始め、官僚制を改革し、医師と看護婦を支援し、時宜にかなった方法でサービスを受けられる省庁にするのだ。

トランプ政権下で米国は退役軍人の要望を叶えることを約束する。

※関連記事:軍事企業の株価は2018年にどうなる

アメリカ第一の外交政策

トランプ政権は米国の国益と安全に特化した外交政策を公約している。力を通じての平和が外交政策の中心となる。

この原理は争いを減らし、(相互理解の)共通の基盤をもたらすことで、世界をもっと安定し、平和にする。IS(イスラム国)や他のイスラムテロ集団を打倒することは我々の最優先事項である。

それらの集団を倒し、滅ぼすために、我々は必要とあらば攻撃的な連合作戦をも行う。トランプ政権は国際的な協調国とともにテロ集団の資金源を断ち、諜報の共有を拡大し、過激派集団の宣伝と人材確保を妨害するためのサイバー空間での活動を行う。

次に、我々は米軍を再建する。我々の海軍は1991年には500隻以上あったが、2016年には275隻にまで縮小した。今の我々の空軍は1991年の時の約3分の1の規模である。トランプ大統領はこの流れを反転させる。我が軍の優勢は疑いないものでなければならない。トランプ大統領はこのことを理解しているからだ。

最後に、国益に基づいた対外政策を追求する中で、我々は外交活動を押し進める。

世界は知らなければならない。米国は敵を探すために海外で活動するのではなく、我々は古い敵を友とし、古い友を同盟国とすることを喜びにしていることを。

世界は、米国がより強く、より尊敬される国となることで、もっと平和で繁栄になるだろう。

※以下、「全てのアメリカ人のための貿易協定」と同じ内容が続くので省略

※関連記事:米国の「新しい国家安全保障戦略」とは

トランプの教育政策/移民政策

(※本節はトランプ氏の2017年議会演説の抜粋)

学校選択制の導入と生徒の安全確保

  • 教育は我々の時代では市民権の問題だ。
  • 学校選択制に資金を提供するために、私は何百万人ものアフリカ系米国人とラテン系の児童を含む、恵まれない青少年のための教育法案の提出を両党の当事者に求めている。
  • 家族は、子供のために適切な公立校、私立校、チャータースクール、マグネットスクール、宗教系学校、ホームスクールを自由に選ぶべきだ。
  • 貧困のサイクルを壊すには、暴力のサイクルも壊さなければならない。
  • 2015年の殺人率は、ほぼ半世紀で最大の単年度の増加率となった。
  • シカゴでは、16年だけで4000人以上が銃で撃たれている。殺人率は17年までにさらに高まった。こんなことを認めるわけにはいかない。
  • あらゆる米国の子供は、安全なコミュニティで成長し、偉大な学校に通い、収入のよい仕事にアクセスできるべきだ。
  • そのためには、警察だけでなく、我々が力を合わせなければいけない。

能力ベースの移民制度を導入

  • 我々の労働者を守る。それは移民に関する法制改革を行うことを意味する。
  • 今の制度は時代遅れだ。我が国の労働者の給料を下げ、貧乏にし、納税者に大きな圧力をかけている。カナダやオーストラリアのように世界の多くの国々は能力ベースの移民制度をつくっている。
  • それは自分の生活を養える人々に対して国の門戸を開くという原則だ。
  • まだ米国ではこのルールは実施されていない。我が国で最も貧しい国民を守るための公的な資源は制約されている。
  • 学者の見解によれば、我が国の移民制度のコストに米国の納税者は年あたり数千億ドルを支払っている
  • 今の低スキル労働者を中心にした移民制度から、能力ベースの移民制度に変えることは多くのメリットをもたらす。
  • それは数限りないお金を節約し、労働者の給料を上げ、移民や中間層などを含めて、多くの苦しんでいる家庭を助ける

トランプの規制緩和

規制と管理調整のコストを減らすための大統領令

(略)

1節:目的

行政機関の政策は、慎重であると同時に公的資金や民間資金を用いた支出に対して財政的な責任を負わなければならない。

予算過程を通じて納税者のドルを用いた直接支出を管理するだけでなく、連邦の規制によって必要になる民間部門の支出という政府がもたらす費用を管理する必要がある。

そのため、一つの規制が出されるごとに、少なくとも以前に存在した二つの規制を洗い出して削除することが大事だ。計画された規制の費用は、予算編成の過程を通して慎重に管理されなければならない。

2節:2017年の財政年度の規制上限

(a)法に禁じられていない限り、連邦の省庁は新しい一つの規制を公布し、通知を公にする際に、少なくとも二つの既存の規制を洗い出し、廃止すべきである。

(b)2017年の財政年度が進行する間、全省庁の長官は以下のことを指示される。行政予算管理局長官による書面による助言や法の要請がない限り、全ての新しい規制が一つできる時に増えるコストと、廃止される規制(で削減されるコスト)を含めて、最終的に本年の(規制が生む)コスト増額をゼロにすること。

(c) さらに必要とされる小区分

(a) 本編では、法によって許可される新しい一つの規制に伴って増える費用を、少なくとも既存の二つ以上の規制に伴う費用をなくすことで相殺する。以前の規制に伴うコストを取り除く省庁は、行政手続法や他の法律に沿って動くべきだ。

(略)

(d) 長官は省庁の指導者に本編の実施についての指示を与える。そうした指示は以下の事柄に関わる

  • 規制が生む費用の見積もりと試算を標準化するための過程
  • 新しい規制に伴って相殺される(二つ以上の)規制を決める基準
  • 取り除かれるべき既存の規制の費用を見積もるための基準
  • 異なった複数年度の費用を会計処理するための過程
  • 異なった庁や異なった時間にカットされる費用を伴う規制の発行を監視する方法
  • 本編の要請を個人が破棄することを正当化する可能性がある非常事態など
  • 長官は状況を考慮し、この要件を更新すべきである

3節:規制がもたらす費用を行政管理予算局に一年ごとに報告する(略)

(出所:Presidential Executive Order on Reducing Regulation and Controlling Regulatory Costs

米国の金融制度を規制する中心原理に関する大統領令

※これはドッドフランク法の改正に関する大統領令

(略)

1節:政策

私の政権において米国の金融制度への規制は、以下の中核原理に従うべきだ。

(a)米国人の金融における意思決定の独立を助ける。各人が退職後に資産を形成するために、市場における選択に必要な情報が知らされるべきだ。

(b)納税者の資金での金融機関の救済を阻止する

(c)システミックリスクと「市場の失敗」を分析する、より厳格な規制を通して活発な金融市場での経済成長を促す。

(d)米企業が米国内と海外の市場で外国企業との競争を可能にする

(e)金融規制における国際的な交渉や国際的な会合でアメリカの国益を促進する。

(f) 規制を効果的、効率的にする。より適切な形に改める。

(g)連邦の金融規制に関わる省庁の公的な説明責任を再確立する。連邦の金融規制の仕組みを理に適ったものにする。

(略)

(出所:Presidential Executive Order on Core Principles for Regulating the United States Financial System

※関連記事:ドッドフランク法改正

「米国第一のオフショアエネルギー戦略の実施」に関する大統領令

外縁大陸棚法(Outer Continental Shelf Lands Act)を含む憲法と米国法が大統領である私に与えた権限によって、エネルギーの革新、探鉱、生産における世界的な指導力を維持すべく、以下の事柄を命じる。

1節:所見

米国はまず、米国の家計や企業のエネルギー需要を考え、何十年にわたるエネルギー安全保障と経済の活力を確保する計画を実行し続けなければならない。

連邦政府の管理下にある土地・水域から生み出されるエネルギーや鉱物は、活力ある経済と国家安全保障にとって重要なものだ。

連邦政府の土地・水域でのエネルギー生産の増加は国の安全を強め、輸入エネルギーへの依存を減らす。

米国のエネルギー供給増加がもたらすエネルギー価格の低下は米国の家族に利益をもたらす。それは米製造業と雇用の成長をも活性化させる。国防総省は米国最大のエネルギー消費者の1つでもあるので、国内のエネルギー生産は国軍の即応能力を改善するものだ。

2節:方針

エネルギーに関する指導的な国家としての地位を維持し、米国民の利益のためのエネルギー安全保障と回復力を促進するため、米国は外縁大陸棚を含んだエネルギー探査と生産を促す。そうした活動が安全かつ環境に配慮されていることを保証する。

(※以下、抜粋で要点のみを紹介)

  • 国防長官と協議し、提案されている石油・天然ガスのリース販売計画の見直し(地域はメキシコ湾、チュクチ海、ビューフォート海、クック・インレット、大西洋中部、南大西洋等)
  • 商務長官は、特に明示されない限り、米国海洋保護区法(National Marine Sanctuaries Act 16 U.S.C.)の下、国家海洋保護区の指定・拡大を控える
  • 内務長官は海洋エネルギー管理局(BOEM:Bureau of Ocean Energy Management)長官に財務保証規制の政策が適正か検討し、必要があれば見直しを行う。外縁大陸棚での環境規制等を検証する。
  • BOEMは空気品質の管理等の規制を見直す。
  • 商務長官は大気管理に関する基準の見直しを行う。
  • 内務長官は北極大陸棚における探査掘削に関する規制を見直す。

(略)

貿易協定違反や反ダンピングについて(2017)

トランプ政権は2017年に以下の4つの大統領令を出しています。

  1. 貿易協定違反とその悪用に対処する
  2. 貿易と製造業に関する政策の事務所を設置する
  3. 反ダンピングと相殺関税の義務、貿易法と関税法の違反に対する法的措置と取り立てを強化する
  4. 重大な貿易赤字についての包括的な報告

(※相殺関税:A国が輸出品に補助金を出して値段を安くした時に輸入側のB国が対抗関税をかけること)

この四つをもとに、以下の方針が固まりました。

  • 過去の自由貿易協定、投資協定、貿易関係の多くは失敗した(全体的もしくは部分的に)【1】
  • 大規模な貿易赤字、貿易における相互的な措置の欠如、工場や雇用の海外移転、米国の知的財産の喪失と技術革新の減少、賃金と所得の伸びに対する下押し圧力、不公正な課税等の問題が生じた。【1】
  • 「米国の年間貿易赤字は7000億ドル超。貿易赤字全体は2016年に5000億ドル超」であり、米国は自由貿易から利益を得る機会を阻まれている。そのため、米国は不公正貿易を是正しなければいけない。「自由で公正な貿易は、国家の繁栄、国家安全保障、外交政策にとって重要だ」【4】
  • 「反ダンピング措置と相殺関税を不法に逃れた輸入者は、米国の雇用者に不公平な競争を強い、連邦政府から合法な収入を奪っている」【3】
  • 「2015年5月時点で、政府に対する23億ドル規模の反ダンピングと相殺関税が、米国に所在する資産を欠いた輸入業者から回収されなかった」「米国の収益を保護するために必要な場合には、リスクアセスメントに基づいて、反ダンピングおよび相殺関税の対象となる案件に対して、適切な担保を課すことを要求する」【3】
  • ホワイトハウスに貿易・製造政策局(OTMP)を設置する。OTMPは、経済成長の促進、貿易赤字の縮小、米国の製造業と防衛産業の基盤を強化する政策について大統領に助言する。【2】
  • 過去の貿易協定、投資協定、貿易関係についての業績評価を行う。貿易相手国の協定違反や協定の悪用を報告する【2】
  • アメリカの知的財産を保護する。国内の研究開発を奨励する。【2】

対中貿易や対韓貿易、そして日本やメキシコにも影響が出る項目が並んでいます。

このうち、貿易協定違反に対処するための大統領令を見てみます。

【貿易協定違反とその悪用に対処する】(2017/4/29)

1節:方針

米国が締結した貿易協定や投資協定、米国の貿易関係や貿易優先計画は全て経済成長を促し、貿易収支の改善に貢献し、米国の製造拠点を強化しなければならない。

米国の数多くの自由貿易協定、投資協定、貿易関係は、これらの基準から見た時、全部もしくは部分的に失敗した。

大規模で持続的な貿易赤字、米国の財と投資に対する相互的な措置の欠如、工場や雇用の海外移転、米国の知的財産の喪失と技術革新の減少、賃金と所得の伸びに対する下押し圧力、不公正な課税が生じている。

米国労働者や国内の製造業者、農家、牧場経営者にとって有益で新たな貿易協定、投資協定、貿易関係を交渉するのは米国の政策である。

我が国の知的財産を保護する。国内の研究開発を奨励する。

米経済や企業、知的財産権と技術革新を害する既存の貿易協定、投資協定、貿易関係を再交渉したり終わらせたりするのも米国の政策である

2節 業績評価の実施(略)

3節 違反と悪用の報告。

(a)各レビューは、この命令の日から180日以内に、商務長官およびUSTRにより大統領に提出される。(※以下、レビューの対象を列挙)

(i)米国貿易協定、投資協定、貿易関係を支配するWTO規則、または米国労働者または国内の製造業者、農家、牧場経営者に害を及ぼす貿易選好プログラムの違反や濫用。我々の知的財産権や技術革新、国内の研究開発を阻害すものに対して

(ii)米国労働者と製造業者、農家、牧場経営者に害をナス貿易相手による不公平な扱い。我々の知的財産権や技術革新、国内の研究開発を阻害するものに対して

(iii)貿易協定、投資協定、貿易関係、貿易特恵プログラムが新規雇用の創出、貿易収支の改善、市場アクセス拡大、貿易障壁の低下、米国輸出の増加などに失敗したことに関して

(iv) 略

4節:貿易違反と悪用からの救済

商務長官とUSTR、他の執行部の長は、貿易法違反、貿易法の悪用、不公平な扱いに対処すべく、適切で合法的なあらゆる措置をとる。

5節:一般規定(※略:特定人に特権を付与せず。既存法と予算との整合性等の規定がなされる)

ーーー

その後、2018年に鉄鋼とアルミの輸入製品に対する関税賦課と中国の知的財産権侵害に対処する方針が出されました。

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米国への鉄鋼/アルミ輸入調整に関する大統領宣言(2018)

【鉄鋼製品に25%の関税賦課】

  • 商務長官は、米国の安全保障を損なう危険性がある状況下で相当量の鉄鋼が米国に輸入されていることを発見し、私に通知してきた。
  • 商務長官は、今の鉄鋼製品の輸入量と世界的に過剰な鉄鋼製品の生産能力が我が国の経済を弱体化させていると述べた。「その結果、国内の鉄鋼生産施設がさらに閉鎖され、国家を非常事態から守るために必要な生産力を下回る恐れがある」と述べている。
  • 米国が非常事における防衛上の需要を満たせず、死活的に重要な産業を維持できないリスクがある。そのため、国民経済と安全保障との密接な関係を考慮し、鉄鋼輸入の現状とその数量には国防上の懸念があると結論した。その根拠は、貿易拡大法の232条で定義されている。
  • (略)
  • 世界的には(鉄鋼の)生産力が余っており、米国の輸入が拡大している。重要な産業で鉄鋼需要が増えているが、塩基性精錬炉が減り、遊休施設が増えているのだ。国家の緊急事態に必要となる設備が閉鎖されていることの潜在的なインパクトも考慮すべきである。
  • この結論に照らして、商務長官は、そうした輸入が国の安全保障を損わないように鉄鋼製品の輸入を調整する措置を勧告した。
  • (略)
  • これらの権限を用いる際に、私はカナダとメキシコを除く全ての国から輸入された鉄鋼製品に25%の関税を課し、輸入量を調整することにした。

【アルミ製品に10%の関税賦課】

  • 商務長官は、現在のアルミ輸入量と世界的なアルミの余剰生産能力が米国経済を弱体化させていること、米国がアルミの一次生産者にほぼ完全に依存しており、主要な軍事・民生システムに不可欠な高純度アルミの外国生産者に完全に依存するリスクを抱えていることを発見した。
  • 米国が非常時に必要な防衛上の需要を満たせず、死活的に重要な産業を維持できない危険性があるため、国民経済と安全保障との密接な関係を考慮し、鉄鋼輸入の現状には国防上の懸念があると結論した。それは、貿易拡大法の232条で定義されている。
  • これらの権限の行使において、私はカナダとメキシコを除く全ての国から輸入されたアルミニウムに10%の関税を課し、輸入量を調整することにした

※関連記事:米国が鉄鋼とアルミニウムに輸入関税をかけた理由

中国の知的財産権侵害に対して、1300品目の関税賦課(2018)

さらに、2018年4月3日にはUSTRの関税案が出されました。

その要点は以下の通りです。

  • 技術移転、知的財産、技術革新に関する中国政府の慣行は米国の通商拡大を阻害している
  • 問題となるのは、米国の知的財産を侵害する中国の法律、政策、貿易慣行等だ
  • 2017年8月18日以来、USTRは技術移転、知的財産、技術革新に関する中国政府の法律や慣行等を調査してきた。
  • 中国政府の裁量行政は不透明だ。合弁要件、外国資本制限、調達等の規制、中国企業への技術と知的財産移転を要求し、在中の米国企業の業務に介入している。
  • 多くの米国企業は、技術移転への圧力をかけるための中国の不透明な行政行為とローカルルールの存在を報告している。
  • それは、米国企業の技術に対する制御能力を弱体化させている(損失補償、ライセンスと技術契約で非市場条件を課す「技術輸出入管理条例」が問題視されている)
  • 中国政府は産業計画に基づいて、最先端技術や知的財産の取得、業界での大規模な技術移転が行われるように指示し、中国企業による米国企業への不当で体系的な投資を促進している。
  • 米国の商業コンピュータネットワークや機密情報、知的財産に対して、中国からサイバー領域での盗難や不正侵入が行われている。

こうした趣旨で1300もの品目で対中関税が賦課されました。

3月下旬から8月までの関税を巡る米中の応酬の過程は以下の通りです。

  • 3/22【米国】知財侵害で中国製品に関税500億ドルを課す大統領令に署名
  • 4/4【中国】米製品に報復関税(500億ドル)を課す方針を発表
  • 4/5【米国】追加制裁1000億ドル規模の関税検討を発表
  • 6/15【米国】500億ドルの中国製品に追加関税を公表(7/6発動 340億$/8/23発動 160億$)
  • 6/16【中国】500億ドルの米製品に追加関税を公表(7/6発動 340億$/8/23発動160億$)
  • 6/18【米国】2000億ドル規模(6031品目)の中国製品に10%関税(追加制裁)検討を指示
  • 7/6【中国】米国:双方が340億ドル規模の関税を発動
  • 8/1【米国】2000億ドル相当の関税品目の税率を25%に上げることを検討
  • 8/1【中国】600億ドルの米製品に追加関税(LNGや航空機等5207品目、5~25%の関税)

※関連記事:対中関税1300品目の内訳に迫る

トランプの同盟政策

NATO、中東、太平洋の同盟国との関係強化

(※本節はトランプ氏の2017年議会演説の抜粋)

  • 我々の外交政策は世界への直接的で活発かつ有意義な関与を要請する。
  • 安全保障上の国益に立脚した米国のリーダーシップが世界中の同盟国と共有されているのだ。
  • 我々はNATOを支持する。それはファシズムを除くための世界大戦、そして共産主義を破った冷戦期に築かれた同盟の絆だ。
  • しかし、我々のパートナーは財政上の義務を果たすべきだ。
  • 今、我々との率直な対話に基づき、彼らもその準備を始めた。
  • 我々はNATO、中東、太平洋のパートナーに、戦略的・軍事的な任務の双方で直接的で有意義な役割を果たすことと相応の費用負担を期待している。
  • 我々は歴史的にできた国際機関を尊重するが、国家主権をも尊重する。
  • 自由な国民国家は人民の意志を表す最良の手段であるーー米国は全ての国が独自の未来図を描く権利を尊ぶ。
  • 私の仕事は世界を代表することではない。
  • 私の仕事はアメリカ合衆国を代表することだ。
  • しかし、我々は紛争が少ない時のほうが、米国はよりよい状態にあることを知っている。
  • 我々は過去の失敗から学ばねばならないーー世界各地で勃発する戦争と破壊を見てきたからだ。
  • これらの人災への唯一の長期的な解決策は、戦災に直面した人々が安全に本国に帰り、長期的な再建過程を開始する条件を作ることだ。
  • 米国は新しい友人を探している。利益を共有する新たなパートナーシップを作ろうとしているのだ。我々は戦争と紛争ではなく、調和と安定を望む。
  • 我々は世界各地で平和を求めている。
  • 米国は今日、過去の敵と友人になっている。
  • 我々に最も親密な同盟国の何カ国と、地球の反対側で、数十年前に世界大戦で戦った。この歴史は我々により良い世界ができる可能性と自信を与えてくれる。

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親イスラエル外交

(※以下、ネタニヤフ首相が訪米した時の記者会見でのトランプ発言抜粋)

  • 彼(ネタニヤフ)の訪問をもって、米国は親愛なる同盟国であるイスラエルとの不朽の絆を、再確認したい。
  • 我々二国間の協力関係は価値の共有によって築かれている。その価値とは「個人の自由と尊厳、平和を促進する」という大義のことだ。
  • これらは民主主義の礎石である。
  • イスラエルは圧制に対する世界の抵抗の象徴だーー大量虐殺から生きのびた人々がつくったイスラエルを、私は世界に二つとない大事な国だと考えている。
  • 私はユダヤ人が耐え忍んだ経験を忘れることはないだろう。
  • あなたがたは敵意に対して忍耐し、暴力に直面しながらも開かれた民主主義を維持し、全ての賭けに勝利した。それは(我々を)鼓舞するものだ。
  • イスラエルは核保有に対するイランの野心を含む、数多くの安全保障における挑戦に直面している。私はこれに関して、すでに数多く議論を重ねた。
  • イラン核合意は近年における最悪の取引の一つだ。
  • わが政権はすでにイランに新しい制裁を課している。私はイランのさらなる核開発を阻止するつもりだ
  • 我々はイスラエルを常に高い水準で軍事的に支援している。イスラエルが彼ら自身の国を数多くの脅威から守ることができるように。
  • この二国間の関係は継続し、発展してゆく。
  • 我々はテロリズムや人間の生命の価値を否定する者たちとの戦いで、長い間、協力を続けている。
  • 米国とイスラエルは人間の生命の価値を尊ぶ二つの国家なのだ。
  • これが、我々が不公正で一方的なイスラエルに対する国連の措置に反対し、ボイコットする理由だ。私の見解では、国際会議でイスラエルはとてもとても不公正に扱われている。
  • わが政権はイスラエルと我々の同盟国とともに地域の安全保障を堅固にすることを約束している。
  • それはイスラエルとパレスチナ人との間の和平に向けた取り組みを含む。
  • アメリカ合衆国は平和を促進し、そのための協定を実現する。
  • しかし、彼ら自身が妥結のために直接的な交渉を行わなければならない。
  • 実りある交渉のために双方が妥協する必要があるのだ。

(出所:Joint Press Conference w/ Prime Minister Netanyahu

イランへの強硬路線(核合意に反対)

18年4月から7月までのトランプ政権の対イラン外交の方針は以下の通り。

  • イラン核合意から米国は離脱
  • エネルギー、石油化学、金融などについて、イランへの経済制裁を再開
  • イラン核合意はミサイルの脅威に対する取り決めがないことを批判
  • イランはシリア政権を支援し、イエメンやレバノンで過激勢力を支援している。それを止めさせ、イスラエルを破壊するという宣言を撤回させなければいけない。
  • 同盟国(日韓豪、EU、英国等)とアジア各国(中国含む)にもイラン産原油の輸入停止を要請。
  • 8月にはイランへの航空機輸出を禁止、11月にはイラン産原油購入や中央銀行との取引等について制裁を実施する。
  • 11月4日までに禁輸を実施しない場合は各国にも制裁を科す

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