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【北朝鮮ICBM】グアム発射後に米朝開戦? 株価と為替はどうなる?

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金正恩が2018年に出した「新年の辞」が物議をかもしています。

核弾頭と弾道ミサイルの量産指示によって米国を挑発していたからです。

新年の辞」の主な内容は以下の通りです。

  • 核のボタンは私の事務室の机の上にいつも置かれている
  • 「(北朝鮮は)いかなる核の脅威にも対応できる。米国が冒険的な火遊びをしないようにする強力な抑止力ができた」
  • 「米国本土全域がわれわれの核攻撃の射程圏内にある」
  • 「米国は決して我が国を相手に戦争できない」
  • 「威力がきちんと保証された核弾頭と弾道ミサイルの大量生産と実戦配備に拍車をかけるべきだ」
  • (平昌冬季五輪の)「大会が成功裏に開催されることを心より願う」「南北当局が至急に会うこともできる」
  • (建国70年の2018年を)「民族史に特筆すべき重大な年として輝かせるべきだ」

(出所:日経電子版〔金正恩氏、核・ミサイル「大量生産と実戦配備に拍車」 新年の辞 平昌五輪に「選手団派遣の用意」〕2018/1/1)

平昌冬季五輪に「選手団を派遣する用意がある」という発言には米韓分断のために「南北対話」を進める思惑が含まれています。

そして、本年の政治日程では、1月8日以降も北朝鮮に関わる重要日程が並んでいます。

  • 1月8日:金正恩誕生日
  • 2月16日:金正日誕生日
  • 2月9~25日:韓国で平昌五輪
  • 3月~4月:米韓共同軍事演習「フォールイーグル」
  • 4月15日:金日成生誕106周年
  • 4月25日:建軍節(北朝鮮軍建設の記念日)
  • 8月15日:(北朝鮮にとって)祖国解放記念日
  • 8月下旬:米韓合同演習「フリーダムガーディアン」
  • 8月25日:金正日総書記の軍政開始記念日(先軍節)
  • 9月9日:北朝鮮の建国記念日
  • 10月10日:北朝鮮、朝鮮労働党創立記念日

もし、2018年に北朝鮮の実際にICBMが米国領に落ち、トランプ政権が反撃を開始したらどうなるのでしょうか。

南北の緊張が高まり、朝鮮戦争が再開されたらどうなるのでしょうか。

今回は、この問題について考えてみます。

北朝鮮「ICBM」がグアム着弾の時、為替と株価は・・・

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米軍は7月11日に14回目のTHAAD迎撃実験を行い、成功しました。

ハワイ北方上空で米空軍のC17輸送機が撃った標的(中距離弾道ミサイルを模した標的)をアラスカのTHAADシステムが撃ち落としたようです(今回も含めて全部成功)。

しかし、実戦でこれがうまくいくとは限りません。

『週刊現代』(2017年9月2日)の〈米朝開戦「その日」に起きること」〉と題した特集では、北朝鮮「ICBM」がグアムに着弾した際の為替と株価変動の予想が書かれていました。

その概要は以下の通りです。

米国のマーケット関係者の間では「キューバ危機」以来の危機が来たという空気が漂っている。ここで北朝鮮がグアムにミサイルを撃てば、投機筋がコンピュータプログラムに組み込んだ有事の「売り司令」が発動されるため、「パニック売り」が始まるのだーー。

「北朝鮮のミサイルがグアムのクリティカルな場所に着弾した場合、為替は1ドル=100円を一気に割り込み、日本株は1万8000円割れする可能性すらある」(金融アナリスト・倉都康行氏)

そして、米軍が反撃を開始した場合、北朝鮮が反撃してソウルが火の海になる。1990年8月の湾岸戦争に匹敵する為替と株の大変動が起きる。

「湾岸戦争が始まったあと約2か月間で、日経平均株価が3万799円から2万671円まで約33%も下落した」「単純計算すると、日経平均株価は1万3000円台まで落ちる可能性がある」(絆アセットマネジメント代表取締役・小沼正則)

普通は非常時にドル安円高が進むとされているので、倉都氏は円高論を想定していますが、米朝開戦の場合、日本にもミサイルなどが飛んでくるので、そうなるとは限りません。

むしろ「日本ヤバい」という見通しになり、パニック的な円売りが起きると見る人もいます。

「1ドル=150円を超えるような超円安となっていく」「日経平均株価が1万5000円も割る」(日本総研副理事長・湯元健治氏)

米朝開戦となれば、日本市場で株や為替をやっている場合ではなくなります。

しかし、一応、この場合に備えた対策がないわけではありません。

アメリカは戦場にはならないので(現状では、固定式発射台から撃たれるICBMは米軍が先制攻撃で破壊可能)、理屈上は、戦争の時に株価が上がる軍事系企業の株を買っておけばよいわけです(具体的には、ロッキードマーティンやグラマン、レイセオン、ボーイング等)。

※関連記事:軍事企業の株価 LMTやBE、NOCやRTNは2018年にどうなる

これを見越してか、2017年4月以降、軍事系企業の株価は上がり調子になっています。

北朝鮮と米国が開戦 その被害規模とは・・・

『週刊現代』(2017年9月2日)の前掲記事では、米朝開戦の被害規模の想定も書かれています。

当ブログでも、雑誌や新聞に書かれたシミュレーションを紹介してきましたが、この記事では、とりわけグロい内容です。

(開戦想定は「北朝鮮がグアムへICBM発射⇒目標外れor米軍が迎撃⇒トランプが報復を決断⇒金正恩が反撃」というストーリー)

  • 「日本に届く北朝鮮のミサイルはノドン約200発+αだが、開戦初期の数時間で発射できるのは最大で50~60発ほど」。まず狙われるのは、三沢、岩国、嘉手納等の米軍基地。自衛隊のミサイル迎撃に対抗して、北朝鮮軍はサイバーテロや原発テロで日本のインフラを狙う(岡崎研究所・村野勝氏)。
  • 「米軍が北朝鮮本土への大規模攻撃やインフラ破壊の工作を続ける選択をするならば、北朝鮮は政権の生き残りをかけて、日本の人口密集地域に対してもノドンを撃つだろう」(カナダ人ジャーナリストのマシュー・フィッシャー氏)
  • 2003年に行われた核戦争のシミュレーションでは、12キロトン級の核爆発が東京で起きることを想定した。この場合、約10万人が爆弾投下後に即死。30日以内に約32万人が放射能や酸素欠乏や火事等で死ぬ。累計被害者は42万人。
  • 38度線の北側では、自走砲550門と放射砲440門がソウル首都圏に狙いを定めている。開戦時に1時間あたり24000発以上の砲弾がソウルに降り注ぐ。
  • 1994年の想定では韓国側死者の想定は150万人。2004年の想定では死者は230万人。生物兵器や化学兵器が発射されれば死傷者500万人・・・
  • 5月と6月に、米国は在韓米人の避難訓練を行ったという。

日本人の多くは、米軍が日本人や韓国人のために戦ってくれると考えています。

実際、米国は同盟を放棄できませんが、そこには誤解も含まれています。

同盟国のために戦うとしても、米軍は、軍事的に最も合理的な行動を選ぶので、対中国でも対北朝鮮でも、開戦当初は「第一撃」を避けようとすると見られています。

大統領や閣僚の発言を見ても、「米国は日本の隣に立つ」「日本の後ろに立つ」等という言辞が目立っており、そこでは、必ずしも米国が「最前線に立つ」ことを保障していません。

すでに、在韓米軍第8軍司令部はソウル南方に移転を完了しました。

産経ニュース2017.7.11「在韓米軍主力、第8軍司令部がソウル南方へ移転 「戦闘準備態勢も向上」とバンダル司令官」)

「陸軍第8軍司令部のソウル南方、京畿道平沢への移転がほぼ完了し、平沢のキャンプ・ハンフリーで11日、同司令部新庁舎の開館式が行われた」

(これは)「盧武鉉政権が2003年に米側と合意した在韓米軍の各部隊を平沢に移転・集約する再編計画の一環。第8軍はソウル中心部の竜山基地から移転した。韓国国防省によると、来年中にも在韓米軍の大部分の移転が完了する予定」

従来、在韓米軍がソウル市やソウル以北に展開していたのは、第一撃を受けてでも米軍は戦い、朝鮮半島を防衛するという「抑止」の強固な意思を北朝鮮に示すためでした。

これはトリップワイヤー(導火線)と呼ばれています。

38度線近辺に米軍がいたのは、朝鮮半島に必ず米軍が介入することを示す陣容だったのです。

しかし、その陣容は2000年代に廬武鉉政権(ムンジェンイン氏は当時、大統領府の秘書官)とブッシュ政権で確執が生じて以来、崩れ始め、米軍は国境近辺に展開する部隊をソウルより南に動かし始めました。

第八軍司令部の移転は「第一撃」を避けるための措置です。

米軍は同盟国のために戦いますが、必ずしも、「先頭に立って戦う」とは限りません。ミサイル等の飛び道具や空爆を中心に戦い、地上戦を韓国軍にゆだねる可能性が高いわけです。

さらに、文大統領とトランプ大統領は6月末の米韓首脳会談で戦時作戦統制権の移管に合意しました。

朝鮮日報は「韓米首脳会談:戦時作戦統制権の早期移管に合意=共同声明」(2017/7/2)と題した記事を公開しています。

この合意は文大統領が公約通り任期中の2022年までに移管することが可能にするものです。

現状を総括すると、表向き、トランプ氏と文氏は仲良くしているように見えますが、「軍」の動きを見ると、在韓米軍は韓国人を守り、そのために犠牲者を出すことを嫌がっています。

「表向きは麗しく装っているが、内面はヒビが入りはじめている」というのが米韓関係の現状なのかもしれません。

北朝鮮は2018年にICBMを実戦配備できる?

先々を考えると米韓同盟は心もとない状況です。

しかし、再突入技術(ミサイルが大気圏に出た後、圏内に再突入する時の高熱から核弾頭を守る技術)を完成させれば、北朝鮮は大陸間弾道弾の完成段階に近づいてきます。

17年の段階で、7月25日付のワシントン・ポスト記事が国防情報局(DIA)の機密報告の内容を報じていました。

そこでは従来の「20年頃」との予測を裏切り、「北朝鮮が核弾頭を搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を2018年にも実戦配備できる」とされていました。時期が早まったので、米国や日本に衝撃が広がったのです(産経ニュース「【北ミサイル】来年にもICBM実戦配備」2017.7.26)。

北朝鮮は2017年に実験を繰り返し、その能力を確実に伸ばしてきました。

7月28日以降のミサイルはEEZの内側を狙って発射されています。

  • 2月12日:発射された弾道ミサイルは高度500km
  • 5月14日:ミサイル発射は高度2000km超
  • 5月21日:中距離弾道ミサイル発射では高度560km
  • 7月4日:ICBMの高度が2500KMを大きく超え、日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下
  • 11月29日:新型ICBM「火星15型」の発射実験。最高高度は4000km以上。約千km飛んで日本のEEZ内に落下。

17年5月14日の「火星12」は高度2000km超、16年6月の「ムスダン」が高度1000km超だったことを振り返ると、北朝鮮が着々と長距離弾道ミサイル開発能力を高めていることが伺えます。

韓国国防省は火星15型を通常角度で発射すれば13000キロ以上の飛行が可能なので、米国本土に届くと分析しています。

さらには、北朝鮮は2017年の9月3日に6回目の核実験も行いました。

6回目に至るまでに行われた実験の過程は以下の通りです。

  • 2006年10月:一回目
  • 2009年5月:二回目
  • 2013年2月:三回目
  • 2016年1月:四回目
  • 2016年9月:五回目
  • 2017年9月:六回目

前回からちょうど1年後。前回(2016年9月9日)は乙支フリーダムガーディアン(米韓共同軍事演習)の終了後。

6回目は演習の最中に行われました。

5回目の実験で起きた地震の規模はM5.3、震源の深さはゼロ。韓国国防省は核爆発の威力を10キロトンと見繕っていました。当時、北朝鮮側は核弾頭爆発実験に成功と発表。「小型化、軽量化、多種化した、より打撃力の高い各種の核弾頭を必要なだけ生産できる」としていました。

そして、第6回目の核実験の規模は約160キロトン(TNT火薬換算)と推定されています(広島原爆の約10倍)。

日本政府は「水爆も否定出来ない」と分析したのです。

この実験に関して、時事通信(2017/9/3)は以下のように述べています(「水爆弾頭化」誇示=ICBM開発で北朝鮮-電磁パルス攻撃に初言及)。

  • 北朝鮮の朝鮮中央テレビは9月3日にICBM搭載の水爆実験成功を発表。電子機器を停止させる電磁パルス(EMP)攻撃も可能な多機能弾頭を開発したとした。
  • 中国地震局は地震の規模をM6.3とし、震源の深さを「ゼロ」と見なした

(※電磁パルス攻撃:高層大気圏で核を爆発させ、電磁パルス(EMP)で電力インフラや通信機器等を停止させる)

これに対して、トランプ大統領はツィッターを通して「北朝鮮はならず者国家だ」「北朝鮮との宥和的な対話は役に立たない」「米国はほかの選択肢に加えて、北朝鮮と取引する国との貿易停止を検討している」等と批判しました。

マティス国防長官もまた、「同盟国間の約束は厳しいものだ」「グアムを含む米国領土や同盟国へのいかなる脅威も有効かつ圧倒的な大規模軍事反撃に見舞われる」と警告を発しています。

※関連記事:マティス国防長官の主な発言一覧

米国にとって北朝鮮攻撃のハードルの高さはどの程度?

今後、トランプ政権は北朝鮮問題でどう動くのでしょうか。

トランプ政権は北朝鮮問題の解決に意欲を見せていますが、韓国の文在寅大統領は宥和外交に傾きがちです。

今後の展開を考えると、両政権のスタンスの違いには注意が必要です。

米軍といえども、韓国軍の協力なしに単独で北朝鮮に攻撃をしかけるのは割が合わないからです。

米軍だけでも北朝鮮を滅ぼせますが、その場合、一歩的にリスクを背負い込み、韓国側からは何の感謝もされないので、踏んだり蹴ったりになります。

7月27日には、米陸軍のミリー参謀総長がワシントンでの講演の中で、現状認識を公にしました。

  • 北朝鮮に外交・経済的圧力をかけて核放棄を迫る取り組みは「時間切れに近づきつつある」
  • 北朝鮮との戦争に突入すれば「米軍と韓国軍は北朝鮮軍を全滅させることができるが、人命や社会基盤、経済にも甚大な被害が出る」
  • 「朝鮮半島での戦争は悲惨だが、ロサンゼルスで(北朝鮮の)核兵器が爆発するのも悲惨だ」
  • 北朝鮮の核保有容認でも、北朝鮮との軍事衝突でも、「良い結果を生む選択肢は何一つない」
  • 「非常に重大な結果を引き起こすことになるが、熟慮の末の決断を下さなくてはならない」と述べ、今後の展開次第では北朝鮮の核の無力化に向けた軍事攻撃の選択肢もあり得ることを強く示唆した。

(出所:【トランプ政権】北朝鮮への軍事攻撃も選択肢  産経ニュース 2017/7/28)

北朝鮮攻撃のハードルは高いのですが、米国と北朝鮮は最後の一線に近づきつつあるようです。

北朝鮮のICBMへの対抗策:日本は抑止力を強化するしかない

日米同盟は重要ですが、米国は日本に都合の良いように動いてくれるとは限りません。

そのため、日本にとって必要な選択肢は、自国の抑止力強化です。

ミサイル防衛システムを強化しても、多方面に百発以上のミサイルが飛んで来たら防衛の限界をあっさり超えてしまうので、結局は、反撃能力を確保して「撃たせない」ようにするぐらいしか選択肢は残っていないでしょう。

そのため、筆者は、当ブログで、米海軍アドバイザーの北村淳氏が薦める、1000億円で800発の巡航ミサイル(トマホーク)を米国から買う、というプランを採るべきだと主張しています。

(※他国の例を見ると、攻撃的な国を抑止するミサイル戦力としては、だいたい1000発ぐらいは必要なようです。例えば、イスラエルはイランの核開発抑止のためにオルメルト首相時代に「1000発のミサイルを撃つぞ」と威嚇したことがあります。800発というのは1000億円に合わせた数字にすぎず、1ドル100円時代に、北村氏は1000発保有を薦めていました)

ミサイル防衛システムで日本を完全に守ろうとしたら数兆円もの予算が必要になりますが、巡航ミサイルは一発100万ドル程度なので、限られた予算で国を守るためには、反撃能力を確保したほうが合理的だからです。

(詳細は北村淳著『巡航ミサイル1000億円で中国も北朝鮮も怖くない』を参照)

※関連記事:敵基地攻撃能力とトマホークミサイル導入論について

あと一つ、付け加えるとすれば、日本が憲法九条を改正し、自衛隊を「軍隊」として正式に位置付ければ「防衛法制上、決めたことしかできない」という機能不全の自衛隊ではなくなります。

諸外国の軍隊は、国際法と国内の国防法、ROE(交戦規則)等で禁じられたこと以外は機動的に動けます。

日本も普通の国のように、いつでも反撃できる体制に変えれば、抑止力をもう一段、強化することが可能です。

さらに、非核三原則のうち「持ち込ませず」の原則をなくせば、米国が日本を守るために核を持ち込める体制に変わるので、北朝鮮に対する抑止力強化になります。

日本人の核アレルギーは根強いのですが、結局、北朝鮮の核に対抗しているのは、米軍の核抑止力なので、日本もこの措置に踏み込まざるをえません。

もはや抗議しても制裁しても、北朝鮮のやることは一緒なので、日本も「最終手段」に踏み込むしかないのではないでしょうか。

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