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マレーシアETF

今回は米国上場ETFの一つであるEWM(i シェアーズmsciマレーシアetf)のパフォーマンスを紹介してみます。

最近のマレーシアの政治・経済の動きもふまえて、その可能性を探ってみます。

【EWM】 i シェアーズmsciマレーシアetfとは

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『米国会社四季報 2017秋冬号』(東洋経済新報社)によれば、EWMの概要は以下の通りです。

  • マレーシアの43銘柄から成るMSCIマレーシア指数に連動。
  • 業種比率は金融31%(パブリック銀行が12%)、資本財15%、公益事業14%
  • 経費率は0.48%。1単位あたりの分配金は0.351~10.987ドル。

EWMの株価チャート

株価の推移は以下の通りです。

EWMのトータルリターンなど

ETFの指標はどうでしょうか(ブルームバーグHP 2018/6/20閲覧)

  • 株価52週レンジ:31.21~36.555
  • 直近配当額:0.6353
  • 直近配当利回り(税込):4%
  • 経費率:0.49%
  • 3ヶ月トータルリターン:-6.98%
  • 年初来リターン:-1.8%
  • 1年トータルリターン:5.26%
  • 3年トータルリターン:0.13%
  • 5年トータルリターン:-3.18%

EWMは、2016年にナイアガラの滝のように株価が下がり、最近、やや浮上してきました。

マレーシア経済の回復に賭けるのなら、お試しに少額を買うのもありかもしれません。

株価の底が見えたのかどうかは、まだ何とも言えない状況なので、他人におすすめできるほどのETFとは言えないでしょう。

EWMの分配金

モーニングスターHPによれば、通年で累計したEWMの分配金(ドル)は以下の通り。

  • 2017:1.8413
  • 2016:1.677
  • 2015:2.0239
  • 2014:1.994
  • 2013:1.9201

EWMのポートフォリオ

ブラックロック社のデータ(2018/5/24)によれば、その組み入れ銘柄の業種比率は以下の通り(2018/5/24)。

  1. 金融:33.92
  2. 公益事業:13.27
  3. 生活必需品:12.23
  4. 資本財・サービス:9.54
  5. 電気通信:8.08
  6. 一般消費財・サービス:7.72
  7. 素材:5.09
  8. ヘルスケア:4.04
  9. エネルギー:3.7
  10. 不動産:2.08
  11. キャッシュ等:0.3

ETF組み入れ上位十社の比率を見てみます(ブルームバーグHP 6/20閲覧)。

  1. PBK:パブリック・バンク 13.74
  2. TNB:テナガ・ナショナル 8.72(公益事業)
  3. MAY:マラヤン・バンキング 7.09
  4. CIMB:グループホールディングス 5.49
  5. PCHEM:ペトロナス・ケミカルズ・グループ 3.88(素材)
  6. GENT:ゲンティン 3.55(一般消費財・サービス)
  7. GENM:ゲンティン・マレーシア 2.96(同上)
  8. IHH:IHHヘルスケア 2.93
  9. DIGI:デジ・ドット・コム 2.71(電気通信)
  10. MAXIS:マキシス 2.61

マレーシアの経済力とは

では、マレーシア経済反転の可能性はあるのでしょうか。

それを探るために基礎データを整理してみます。

マレーシアは1957年にイギリスからマラヤ連邦が独立して後、1963年に成立した国です(1965年にシンガポールが分離・独立)。

立憲君主制(議会制民主主義)を強いているので、ムハマド5世という国王がいます。議会は二院制で、上院70議席(44名は国王任命/26名は州議会指名)、下院が222議席(小選挙区制で直接選挙)で構成されています。

内政では2008年3月の総選挙で、独立以来政権与党だった「UMNO(統一マレー国民組織)」等が議席を90%から63%まで減らし、アブドゥラ首相からナジブ副首相(当時)への政権移譲がなされました(2009年4月)。2013年5月の総選挙ではナジブ率いる与党連合が133議席(2議席減)を得て再任されています。

外交方針ではASEANやイスラム諸国との協力を強化しつつ、米国や中国等の大国との等距離外交を図るという特色があります。

外務省HP(マレーシア:基礎データ )では、その主要情報を概観してみます。

  • 面積:約33万㎢(日本の約0.9倍)
  • 人口:3119万人(2015年)
  • 首都:クアラルンプール
  • 民族:マレー系(67%)/中国系(25%)/インド系(7%)
  • 宗教:イスラム(61%)/仏教(20%)/キリスト教(9%)/ヒンドゥー(6%)
  • 主要産業:製造業、農林業、鉱業等
  • 輸出先:シンガポール(1位)、中国(2位)、米国(3位)
  • 輸出品目:電機製品、パ-ム油、化学製品、原油・石油製品、LNG、機械・器具製品、金属製品、科学光学設備、ゴム製品等
  • 輸入先:中国(1位)シンガポール(2位)、米国(3位)
  • 輸入品目:電機製品、製造機器、化学製品、輸送機器、金属製品、原油・石油製品、鉄鋼製品、科学光学設備、食料品等

注目すべきは経済成長が続いていることです。

現在の名目GDPは2963億ドル(2016年)

実質GDPで見た経済成長率と失業率は以下の通り(出所は世界銀行HP)。

【実質GDP成長率/失業率】

  • 2007年度:9.4%/3.2%
  • 2008年度:3.3%/3.3%
  • 2009年度:-2.5%/3.7%
  • 2010年度:7%/3.3%
  • 2011年度:5.3%/3.1%
  • 2012年度:5.5%/3%
  • 2013年度:4.7%/3.1%
  • 2014年度:6%/2.9%
  • 2015年度:5%/3.1%
  • 2016年度:4.2%/?

外務省HPによれば軍事費は422億ドル(2016年予算)。兵員数は10.9万人(陸軍8万、海軍1.4万、空軍1.5万)なので、軍事費にかなりのお金を費やしています。

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マレーシアの高速鉄道に新幹線は採用されるのか

日本のビジネスマンの関心を引くのは、マレーシアへの新幹線の売り込みです。

つい最近も、8月29日に国土交通省が8月28日にマレーシアとシンガポールを結ぶ「マレー半島高速鉄道」(2026年開業を目指す)のために新幹線を売り込むシンポジウムをシンガポールで開催したりしています。

そこでは、石井啓一国交相がシンガポールの要人200人に向けて「(日本の)経験、技術、ノウハウを皆さんと共有し、高速鉄道のもたらす効果が隅々まで行き渡るよう協力したい」とPRしたそうです(産経ビズ「日本の新幹線方式、売り込みでシンポ マレー半島高速鉄道に国交省」2017.8.29)。

最近、中国がややこの高速鉄道計画に手を引く兆しが出てきたので、新幹線が採用される可能性が高まったとも言われています。

そのいきさつがNewSphere(2017/5/8)で「マレーシア高速鉄道、日本が受注の可能性高まる 有力の中国が断念か 」と題して説明されていました。

クアラルンプールの高速鉄道駅は、再開発プロジェクト「バンダー・マレーシア」で整備される地区に作られる予定だ。「バンダー・マレーシア」は、軍の空港跡地を高級住宅街とオフィス街として開発する計画で、もともと国営投資会社「1MDB」が手掛けていた。「1MDB」は、ナジブ首相がマレーシア経済の発展を目的に創設したが、大規模な腐敗の温床だったと見られており、汚職疑惑は首相自身にも及んでいる。

1MDB」が「バンダー・マレーシア」の株式の6割を「中国中鉄」と地元企業の企業連合(ICSB)に約1920億円で売ろうとしたのですが、儲けが見込めないことから中国政府が中国中鉄に投資を認めず、この構想はとん挫したわけです。

「バンダー・マレーシア」の中国出資がなくなったころ、日本側が現地でセールスを強め、新幹線受注の可能性が高まったと言われているのです。

こうした経緯を見ると、日本企業がマレーシアの汚職に巻き込まれないかどうかが、一抹の不安として残ります。

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