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米国政治

1月20日でトランプ政権が発足して1年になります。

ここで、2017年~18年に起きた出来事を振り返り、トランプ大統領が選挙前に掲げた政策を、政権発足後にどのように修正し、具体化を目指したのかを振り返ってみます。

今後の展開を占うべく、今までの歩みを整理してみましょう。

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2017年以降の米国政治概略

1月20日に正式就任したトランプ大統領は初日に米国のTPP脱退とNAFTA再交渉の方針を打ち出しました。

夏以降、五回の再交渉が重ねられましたが、トランプ政権はかなり強硬な通商の見直しを目指しています。

※関連記事:トランプのNAFTA再交渉

以下、政権発足後にトランプ氏の路線に大きな変化が見られた外交政策を挙げてみます。

【孤立主義⇒同盟重視に転換】

対外的には、1月27日のメイ首相訪米、2月10日の安倍首相訪米、2月15日のイスラエル首相訪米等で、既存の同盟関係が確認されました。

3月にはメイ独首相が訪米し、春にはトランプ氏が欧州・中東を歴訪。NATO重視とサウジ等の新米国との関係強化が決まりました。

【対中強硬路線⇒硬軟を混ぜた米中交渉路線】

「一つの中国」に関しては、ティラーソン国務長官の働きかけもあり、トランプ氏は歴代政権と同じ路線に戻り、4月6~7日に習近平主席と会談。

百日間の米中貿易交渉を行いながら中国に北朝鮮へ圧力を期待しましたが、北朝鮮は7月に「弾道ミサイル発射実験」で返答。

トランプ大統領は7月6日に「中国と北朝鮮間の貿易は第1・四半期に約40%増えた。米国は中国が手を組んでも、こんなものか。しかし、我々は試すしかなかった」とツィート。

その後は、限定的な範囲で中国企業への経済制裁等も開始されています。

北朝鮮との緊張関係は4月と8月下旬~10月頃に高まりましたが、18年初は時間稼ぎのためか、金正恩は文政権の「話し合い」路線に応じています。

秋口にはトランプ氏がアジア歴訪。日韓比の同盟強化、通商関係の活性化等が打ち出されています。

【対露宥和⇒ロシア制裁維持へ】

選挙前のトランプ氏は対露外交の転換を意図していましたが、1月の正式就任後は軍出身の閣僚の意向を汲み、4月のシリア攻撃など、ロシアにとっても厳しい措置を打ち出しました。

7月のハンブルクサミットでは米露首脳会談が行われましたが、議会は対露制裁強化を決め、トランプ氏も追認しています。

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さらに、内政・経済を見てみます。

こちらに関しては、共和党議員の協力を得るために、主張を丸めながら実現を図っています。

【予算:軍事費以外の項目を大幅削減】※関連記事:【米予算】連邦債務の上限適用停止期間

トランプ政権が予算教書で軍事費1割増を掲げ、他の予算の大幅削減案を打ち出したことが注目されます。

しかし、予算案は17年に成立せず、18年1月にもつなぎ予算を巡る議会での攻防戦が続いています。

【オバマケア:公約を緩和した「改廃法案」でも挫折】※関連記事:オバマケア代替法案の成否は?

オバマケア代替法案は結局、年内に成立せず、秋からは減税法案に焦点がうつりました。

【減税法案:法人税税率は15%案から21%案に変更】※関連記事:アメリカの法人税減税

減税法案は12月末に辛くも成立しましたが、議会を通るために、当初の15%案から21%案に変更されました。

減税の規模が小さくならないと議会を通れないわけです。

【インフラ投資の注目点:共和党は財政均衡、トランプは大規模投資路線】※関連記事:トランプ政権のインフラ政策

注目されるのは、やはり、2018年のインフラ投資計画です。

トランプ氏は選挙期間中に法人税、所得税等の大規模減税や官民パートナーシップへの税制控除等を通したインフラ投資政策等を掲げていました。

17年2月28日の議会演説では、トランプ大統領は1兆ドルのインフラ投資を訴えましたが、それが実現するかどうかは議会での立法措置にかかっています。

(※5月には予算教書で政府のインフラ投資が2000億ドル、民間にインセンティブを与えて8000億ドルの投資を担ってもらう構想が明かされています)

『エコノミスト(2017/1/3~1/10合併号)』には、トランプ氏の財政政策がサマーズ元財務長官らが唱えた米国の長期停滞論から抜け出すきっかけになるかどうかについての賛否両論が掲載されています。

ポール・シェアード氏(S&P社)は前例にとらわれないトランプ氏の大胆な政策実行に期待しています(P28~29)。

「リーマンショック以降、金融政策に過度に依存しすぎたことへの反省が語られる機会が増えた。金融政策だけでなく財政政策も組み合わせたポリシーミックスのリバランス(再均衡)が必要という気運が高まっている。

浜田宏一氏もシムズ理論を取り上げ、財政政策も併用しようという論調になってきましたが、日米はこうした方向に向かうのかもしれません。

シェアード氏は伝統的に金融はFRB、財政は政府(+議会)という枠組を疑問視し、両者が連携を深めたほうが全体観をもって合理的な政策が打てるとも述べていました。

一方、反対派のスティーブン・ローチ氏(エール大、P30~31)は、法人減税は効かない。GDPの伸びが低い本当の原因は家計消費の減少だと主張しています。要するに「魔法の杖はない」という意見です。

「08年の第一四半期(1~3月)以来、消費は年率平均1.6%しか成長していない」「それ以前の12年間の平均より2ポイントも低い」

家計が借金しすぎで財布を閉めているというわけです。

トランプ氏が財政政策を頑張ればドル高が強まるはずですが、その場合、米国の輸出が減るので、この両者を合わせて、全体のGDPが増えるのかどうかが問題になります。

従来、共和党は財政均衡路線を取っているので、これがトランプの財政出動構想とどう兼ね合いをつけるのかも気になるところです。

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トランプ政権の1年:主な出来事

  • 1月3日:米国議会開始
  • 1月20日:トランプ氏が米大統領就任 ※関連記事:就任演説和訳
  • 1月23日:TPP離脱の大統領令に署名
  • 1月27日:イスラム圏七か国からの入国を制限する大統領令に署名
  • 1月27日:イギリスのメイ首相が訪米
  • 1月31日:最高裁判事に保守派のゴーサッチ氏を指名
  • 2月2~4日:マティス国防長官が2日に訪韓、3~4日に訪日
  • 2月10日:安倍首相訪米
  • 2月13日:米国とカナダが首脳会談(トランプVSトルドー首相)
  • 2月15日:米国とイスラエルが首脳会談(トランプVSネタニヤフ首相)
  • 2月28日:トランプ大統領が上下両院合同会議で演説
  • 3月6日:イスラム七か国からの入国制限の新大統領令に署名
  • 3月15~17日:ティラーソン米国務長官来日。その後、中韓も訪問
  • 3月17日:G20財相・中央銀行総裁会議でムニューチン米財務相が外交デビュー
  • 3月17日:メルケル独首相とトランプ米大統領が首脳会談
  • 3月24日:米共和党がオバマケア代替法案の提出を断念
  • 4月3日:エジプトのシシ大統領が訪米。トランプ米大統領と首脳会談
  • 4月6~7日:習近平主席が訪米(米中首脳会談中にシリアをミサイル攻撃)
  • 4月11~12日:ティラーソン国務長官がロシア訪問
  • 4月18~19日:ペンス米副大統領が訪日。麻生副総理と経済協議
  • 5月4日:トランプ米大統領がターンブル豪首相と会談
  • 5月4日:米下院でオバマケア代替法案を可決
  • 5月9日:コミ―FBI長官を解任
  • 5月17日:モラー特別検察官を任命
  • 5月20~23日:トランプ氏中東歴訪(サウジ、イスラエル、パレスチナ等)
  • 5月24~27日:トランプ氏欧州歴訪G7首脳会議参加)
  • 5月29~31日:ベトナムのグエン首相が訪米。トランプ氏と会談。
  • 6月8日:コミ―FBI前長官が米議会にて証言/トランプ氏は反論
  • 6月16日:トランプ政権が対キューバ政策を発表(制裁再開)
  • 6月20日:米・ウクライナ首脳会談 ⇒ロシアへの追加制裁決定
  • 6月21日:米中外交安全保障対話
  • 6月25~26日:インドのモディ首相が訪米。26日にトランプ氏と会談。
  • 6月28日~7月1日:文在寅韓国大統領が訪米(首脳会談6/29)
  • 7月7~8日:G20首脳会議
  • 7月10~17日:米印日共同海洋軍事演習(マラバール)を開催
  • 7月14日:フランス革命記念日祝賀式典にトランプ大統領が出席
  • 7月16日:米中首脳会談で開始した貿易交渉「100日計画」の最終日
  • 7月19日:米中包括経済対話
  • 7月28日:オバマケア代替法案が上院で否決
  • 8月8日:トランプ氏が北朝鮮に「炎と怒りに直面する」と警告
  • 8月16~20日:NAFTA再交渉第一回会合 ※関連記事:NAFTA再交渉
  • 8月18日:バノン首席戦略官を更送 
  • 8月21日:アフガンへの米軍増派を表明
  • 8月21~31日:米韓合同演習「乙支フリーダムガーディアン」
  • 9月1~5日:NAFTA再交渉第二回会合(於:メキシコ)
  • 9月5日:米議会再開。トランプ大統領が米移民在留制度の廃止を決断。
  • 9月12~25日:国連総会⇒トランプ氏が国連演説で北朝鮮に警告
  • 9月23~27日:NAFTA再交渉第三回会合(於オタワ)
  • 10月13日:米FRBのフィッシャー副議長が辞任
  • 10月13日:トランプ氏が「イランが核合意を履行していない」と批判
  • 10月11~15日:NAFTA再交渉第四回会合(於ワシントン)
  • 10月16日:第二回日米経済対話(麻生・ペンス会談)
  • 10月16~26日:米空母ロナルドレーガンを中心に米韓軍事演習
  • 10月23~27日:在韓米国人が国外退避訓練
  • 10月30日:モラー特別検察官がトランプ元選対のマナフォート氏を起訴
  • 11月2日:トランプ氏が次期FRB議長にパウエル氏を指名
  • 11月3日:イヴァンカ・トランプ訪日(世界女性会議に出席)
  • 11月3日~14日:トランプ大統領アジア歴訪(6日に日米会談)
  • 11月5日:トランプ訪日(初日は安倍首相とゴルフ)
  • 11月6日:日米首脳会談(トランプが天皇・皇后両陛下と会見)
  • 11月7日:トランプ訪韓(米韓首脳会談)
  • 11月8日:韓国国会でトランプ大統領が演説
  • 11月8日:トランプ訪中(米中首脳会談)※10日まで滞在
  • 11月10日:トランプ大統領がAPEC出席(ベトナム訪問)
  • 11月11日:米越首脳会談 ※12日まで滞在
  • 11月13日:トランプがASEAN首脳会議に出席(フィリピン訪問)
  • 11月14日:トランプが東アジア首脳会議(EAS)に出席。ドゥテルテと会談
  • 12月4日:最高裁がイスラム七か国からの入国を制限する大統領令の全面発効を容認
  • 12月18日:米政権が「新しい国家安全保障戦略」を発表 ※関連記事:米国の新しい国家安全保障戦略
  • 12月22日:減税法案に大統領が署名(成立)

【2018年】

  • 1月19日:日本時間20日時点で上院のつなぎ予算を巡るバトルが進行中。

2017年に注目されたFRB人事は、イエレン氏の後任をパウエル氏が担うことになりました。

従来、ゲーリー・コーン氏(国家経済会議委員長/経済担当大統領補佐官)の就任が有力視されていましたが、白人至上主義団体と反対派の衝突を巡るトランプ氏の発言に反発し、関係が微妙になり、後継候補からは外れました。

次期FRB理事長候補としては、以下の3名が有力視され、イエレン路線に近いパウエル氏が指名されました。

  • ジョン・テイラー氏:「テイラー・ルール」で有名なスタンフォード大教授。
  • パウエル氏:現FRB理事
  • ジャネット・イエレン氏:FRB議長続投

今後、パウエル氏がどのようなかじ取りを行うのかが注目されています。

FRB理事の定員は7人ですが、トランプ氏が空席をどう埋めるのかが注目されています。

19日には、トランプ政権がFRB副議長にサンフランシスコ連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の起用を検討していることが報じられました。

このポストはフィッシャー氏が昨年10月に退任して以来、空席になっていました。

(そのほか、金融規制担当のFRB副議長には、元財務次官のクオールズ氏が昨年10月に就任している)

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