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空飛ぶ自動車が2019年に販売開始? 実用化に向けた企業の取組み

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2018年に入り、「空飛ぶ自動車」の開発競争が本格化しています。

3月6日には、オランダのベンチャー「PAL-V」社が約4000万円(30万ユーロ)という価格をつけて、ジュネーブ国際自動車ショーでモデルカーを公開しました。これは三輪駆動でヘリコプターに似た形をした2人乗り小型車です(運転には国の認可とパイロット免許が必要)。

現在では、まだ、なかなか買い手と乗り手になれる人が少ないのが現実ですが、将来性のある未来技術のため、各国の企業が開発競争に力を入れているわけです。

空飛ぶタクシーは「2026年に1兆円市場」になるとも言われており(株式会社AQU先端テクノロジー総研の調査、2018年)、日本政府もその実用化に向けて、年内に工程表を作成することを明らかにしました。

菅官房長官は「新たなプレーヤーの参入を促すべく、年内をメドに経済産業省と国土交通省で官民協議会を立ち上げ、工程表を策定する」とも述べています(日経電子版:2018/7/2)。

テスラ社のイーロン・マスク氏のように、空飛ぶ車から落ちる壊れた部品が人間をギロチンにかけかねないと懸念する人もいますが、多くの人々はその技術の前途に期待しています。

むろん、この技術が実用化され始めた時には、問題百出になるとは思うのですが、それは今までの技術も同じでした。

そこで、より便利な交通システムができてくることを期待して、世界における「空飛ぶ自動車」開発の現状を追ってみたいと思います。

(※PAL-V社の「空飛ぶ自動車」の動画)

 イスラエル:ロボットタクシーで戦場の負傷者を空輸可能に

イスラエルでは、空飛ぶ自動車と似た機能を持つ無人機が実用化され、戦場の負傷者を空輸しています。

その無人機はイスラエルのアーバン・エアノーティクス社が開発した「コーモラント」です(2020年に市場投入を予定)。

コーモラントは16年11月に初めて内部のローターを利用した単独飛行を行ない、ビルの合間や電線の下をプロペラがぶつかるリスクなしで移動できることを実証しました(※機体の下の前後に一対の約1.82mのファンローターが隠されており、空中に垂直上昇が可能)。

ニューズウィーク日本版(2016/11/22)の記事にスペックデータと動画が紹介されています(【動画】イスラエル発の「空飛ぶロボットタクシー」、初の自律飛行に成功 高森郁哉)

  • 全長:6.2m
  • 幅:2.15m
  • 胴体の下部に揚力を生むローター(回転翼)を2基。
  • 後部には前方への推進力を生む小型のローター2基を搭載。
  • 後部ローターを含めた幅は3.51m、車輪を含む全高は2.3m
  • 機体重量:918kg
  • 積載量:500kg超
  • 最大速度:時速180km
  • ペイロードが300kgの場合、400kmの距離を2.6時間で飛行可能

センサー群を用いた自律飛行や軍事利用の可能性などが報じられていたのですが、2018年5月には、この機体を用いて戦場の負傷者を救う実験がなされました。透明なプラスティック製の点滴静注バッグをつなげた実験用のマネキンをヘリコプターではなく、コーモラントで行い、成功を収めたのです。

この機体は優れたエンジンを持っており、負傷者2名を載せたまま、48kmの距離を時速160km以上の速度で飛ぶことができます。

今後は戦場での輸送や負傷者救済、各地の被災者の救済などに活用する予定です。

米国:ウーバー社が「空飛ぶタクシー構想」を公表

いっぽう、米国では、ウーバー・テクノロジー社が18年3月に屋上の発着用パッド(スカイポート)の間を人を乗せて飛ぶ空飛ぶタクシーの原型を発表しています。

ウーバーは2020年にダラスとロサンゼルスでサービスを試験運用し、2023年には商用サービスを開始する計画を持っています。

(※CEOのダラ・コスロシャヒ氏はそれを「誰にでも手の届くサービス」にしようとしている)

ウーバー社は2025年に1日18万人を輸送することを目指し、電動垂直離着陸機の新型モデル「eCRM-003」を公開しました。

この機体の乗員はパイロットを含めて5人、推進力にモーターを使用し、最高速度は時速240Kmで飛びます。

垂直離着陸できるので滑走路は不要。操縦にはパイロット資格が必要です。

ウーバーは時間帯ごとに各地域の人の移動情報を把握し、適切な場所にスカイポートを整備。まずはロサンゼルス市に専用離着陸場を4カ所つくり、最終的には数十カ所にまで増やす予定です(整備間隔は最大80Km程度)。

※試作機の動画はCNBC記事を参照。

※当ブログ関連記事:ウーバー・テクノロジーズ社の問題点は何だろう

中国:テラフーガ社:空飛ぶ自動車を2019年に発売

テラフーガ(Terrafugia)社は空飛ぶ自動車を開発するためにマサチューセッツ工科大学の出身者5人が2006年につくった企業ですが、現在は、中国の浙江吉利控股集団の完全な子会社です。

同社は二人乗りの空飛ぶ自動車「Transition」を2019年に発売する予定です。

この自動車の翼は折畳み式で、自動車モードと飛行機モードの切替えができ、エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド方式の動力を持っています(サイズは飛行機モードで約2.3×8.3×5.9m。自動車モードだと約2.3×2.1×5,9m)。

(※テラフーガ社の記者会見と動画

英国:アストンマーティン社が空飛ぶスポーツカーの構想を公表

さらに、英国では、7月18日にアストンマーティン社が3人乗りの「空飛ぶ自動車」の試作機をファンボロー国際航空ショーで公開しました。

この試作機「ヴォランテ・ビジョン・コンセプト(Aston Martin Volante Vison Concept)」は他社と同じく垂直離発着し、時速322Kmで飛行可能。このAIによる自動運転機能を搭載。アストンマーティン社、英クランフィールド大学、ロールスロイス社が共同で開発を進めています。

同社副社長によれば、バーミンガムからロンドンまで30分程度で移動可能で、価格は1億4600万円以上となる見込みです。

(※フォーチュン社の紹介記事と動画

ヨーロッパ:エアバス社が試験飛行開始

空飛ぶ自動車に関してはフランスに本社を持つエアバスも取組んでいます。

同社CEOのトム・エンダース氏は2017年2月に「空飛ぶ自動運転車」のテストを開始することを表明。

ReadWrite誌(2017/2/21)はその中身として以下の3点を報じています(「エアバス『空飛ぶ自動運転車』、年内にテスト開始か」2017年2月21日、デイヴィッド・カーリー)

  • "空飛ぶ自動運転車"を導入することで大都市の交通渋滞問題を緩和できる
  • 橋や信号、コンクリート舗装の道路について悩む都市計画のインフラ予算を抑えられる
  • エアバスは昨年、都市空中移動部門を設立。消費者が実際に乗るのは、2020年頃

タクシー的な感覚で空飛ぶ自転車を使うエアバスの未来構想はウーバー社のプランとも軌を一にしています。

エアバスは2016年時点で、空飛ぶ自動車の構想をHP上で公開していました。

同社はアウディをパートナーにして二人乗りの空飛ぶ自動運転車「Pop.up Next」を発表(8スクリューモジュールと4輪カート、独自のバッテリーセットを実装)。

これに関して、バイエルンでの市内テスト飛行を正式に申請し、政府からの許可を得ました。

遠くない未来に試験飛行が行われる予定です。

21世紀には「飛行技術の大衆化」が実現する?

従来の車の開発競争とは別次元のイノベーションを目指す動きが各国で進んでいます。

2019年以降、空飛ぶ自動車も実用化され、まずは高値の希少品として市場投入されていくでしょう。

同時期に自動運転車も実用化が並行し、完全自動運転の実現後、その技術が空飛ぶ自動車に転用されていくはずです。

しかし、空という異次元のワールドなので、その実用化には一定の時間を要しますが、我々は、近未来にこの技術の発展ぶりを目の当たりにするのではないでしょうか。

20世紀の大きな技術革新の一つはモータリゼーションでした。

自動車の大規模な普及に続き、21世紀に空を飛ぶ技術が大規模に普及すれば、社会の仕組みも大きく変わっていくことになりそうです。

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