【GOOGL/BIDU】グーグルとバイドゥを比較する
世界のネット検索で最大のシェアを占めるGOOGLと、中国の検索を制したBIDUの株価と決算、業績などを比較してみます
事業を概観すると、GOOGLの売上の8割はWEB上のネット広告です。この分野は、従来、テキスト検索が中心でしたが、近年では動画部門が充実し、YouTubeが新たな成長部門となってきています。
GOOGLは当初、ものづくりをしない会社でしたが、企業の実力の拡大に伴い、検索の基盤となるハードウェアの分野にも影響力を拡大する施策を打ち続けてきました。
まず、スマホのOSであるアンドロイドを世界に広め、その後、携帯端末(ピクセル)の開発・販売を行いました。
さらには、AIを用いたスマートスピーカーを開発し、「音声検索」の領域でAMZNのアレクサ等とシェアを競っています。
こうしたWEB検索と端末機器についての戦略が波状攻撃のように出てくるのがGOOGLの特徴です。
一方、BIDUの事業でもWEBでのネット広告だけでなく、動画部門(iQiyi)が存在感を増しています。20年12月時点の売上高では、Baidu Coreが73%、iQiyiが27%となりました。
両社ともに未来投資に熱心で、自動運転に力を入れている点はよく似ています。
ただ、GOOGLが世界のスマホのOSの8割を占めるアンドロイドを保有しているのに対して、BIDUには、これに相当するソフトウェアがありません。
その意味では、検索の主流であるスマホのOSを制しているGOOGLのほうが有利な立場にあります。
これに対して、BIDUは自動運転に注力し、「規制が緩い」中国の強みを活かして、国策事業を請け負い、この分野でライバルよりも先に進むことを目指しています(実際、米国でも事故のたびに自動運転の実験が止まるので、中国の実現化の速度は速い)。
果たして、企業としてはなかなかGOOGLを越えられないBIDUが自動運転の分野で新天地を切り開けるのかどうか。そのあたりが気になるところです。
そこで、この記事では、この検索大手二社の実力を図るべく、その要所を投資家目線で比較してみましょう(グラフをクリックすると、リンクでGOOGやBIDUのページに飛びます)。
過去~現在株価
※左目盛り:株価推移はGOOGL/BIDU、XLC(コミュニケーションセレクトセクターSPDRファンド)を比較(最大20分ディレイ)。
※右目盛り:10年国債利回り
※主要指標の単位 時価総額:億ドル、株式数:億、1日の平均取引量:100万ドル
四半期決算 予想:結果
さらに、四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。
(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載。予想値の主な出所は英語版のヤフーファイナンス。)。
EPS:予想と結果
予想 | GOOG | BIDU | ||
10/23 | 1月前 | 10/23 | 1月前 | |
2023 | 5.84 | 5.91 | 9.36 | 9.5 |
2022 | 5.09 | 5.13 | 8.39 | 8.44 |
Q:22/12 | 1.39 | 1.41 | 2.28 | 2.33 |
Q:22/9 | 1.25 | 1.27 | 2.23 | 2.24 |
売上高:予想と結果
予想 | GOOG | BIDU | ||
10/23 | 1月前 | 10/23 | 1月前 | |
2023 | 320430 | 323420 | 20220 | 20830 |
2022 | 287990 | 288750 | 17760 | 18290 |
Q:22/12 | 79610 | 80220 | 5020 | 5180 |
Q:22/9 | 70680 | 70970 | 4580 | 4710 |
通年決算(GAAP基準)
最後に、通年決算の数字を比較してみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。
損益計算(売上、純利益等)
*同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。