家計消費が弱い日本が増税? 米国は減税で消費景気なのに

2019年7月24日

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日本では参院選で自公政権が勝利し、消費税が10%に上がることになりそうです。

安倍首相は、雇用の増加や賃上げなどの成果を強調し、国民総所得や可処分所得の増加などを訴えていました。

【自民党の公約パンフ】

・国民総所得:506.8兆円(12年9~12月)⇒573.4兆円(19年1~3月)
・可処分所得:292.7兆円(12年)⇒302.1兆円(17年)

しかし、そのわりには、日本の家計消費は、あまり盛り上がっていません。

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日本のGDPと家計消費は安倍政権下でどうなった?

2012年度から18年度までで「国民経済計算」を見ると、「家計最終消費支出」は5957億円ほど増えましたが、この数字は実態とは違います。

これは「帰属家賃」(持ち家のある家計が「家賃を自らに支払う」と仮定した金額)の割合が大きいので、要注意です。

「除く持ち家の帰属家賃」での家計消費の伸びは、12年度から18年度までで2130億円増でした。

【GDP伸び率VS家計消費】(12年度⇒18年度)

  • 実質GDP:50兆円⇒53.5兆円
  • 家計最終消費支出:28.6兆円⇒29.2兆円
  • 同上(除く持ち家の帰属家賃):23.6兆円⇒23.8兆円

(※四捨五入しています)

こちらは、あまりパッとしないのです。

消費が多少、回復し始めたあたりで増税なので、元日銀副総裁の岩田規久男氏も懸念しているぐらいです。

岩田氏は、19年2月に、今の日本経済を「デフレ脱却の過程にある。しかし、いつ崩れるか分からないくらい弱々しい」とロイター通信のインタビューに答えています。

なぜ、景気回復を実感できない? GDPの項目を分析

前述の12年度から18年度までのGDP統計を見ると、そのほかに、「公共投資が増えず、政府の消費が伸びている」という不審な一面があります。

  • 政府最終消費支出:10.1兆円⇒10.7兆円(※これは、公務員の給料や政府の物品・サービスの購入費など)
  • 公的資本形成:2.45兆円⇒2.5兆円

公共投資にあたる後者は横ばいです。

よい材料としては、民間の設備投資が伸びていますが、これは16年度のGDP基準改定にも助けられていました。

  • 民間設備投資:7.2兆円⇒8.7兆円

これが一番大きいわけですが、その要因としては、国際的な企業競争の激化、金利の低下、GDPの国際基準への改定などが考えられます。

(※基準改定で、研究開発費を設備投資に含めるようになった)

設備投資のプラス効果が家計に恩恵を与えるまでには時間がかかりますし、研究開発費は、すぐに何かを生むものではありません。

この増加分が大きくても、消費者はすぐに恩恵を実感できないわけです。

家計単位でみた時の「消費」は?

今までは、マクロ経済でみた時の消費の推移でしたが、ミクロのほうでは「家計調査」が重要です。

(以下、総務省の「家計調査(家計収支編)」の「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」をみています)

2012年から18年までの一世帯あたりの消費支出はたいして増えていません

  • 消費支出:31万3900円⇒31万5300円

そして、貯蓄はやたらと増えています。

  • 預貯金純増:5万6500円⇒10万2600円

家計調査の対象となった方の平均年齢は50歳よりも少し前ぐらいなので、老後のために貯蓄しているのだと思います。

何だか、パッとしない感じです。

これで増税なんかして大丈夫なんでしょうか。

米国経済を見る三つの主要指標

いっぽう、減税をした米国では、長く消費が伸び続けています。

ウォールストリートジャーナル英語版「2019 Economic Calendar」にも転載される「econoday.com」では、米国の消費の推移が出ています。

米国商務省が発表する、米国の個人所得と個人消費の月別/年別の伸び率は以下の通りでした。

【可処分所得】

【個人消費支出】(PCE:Personal Consumption Expenditures)

これは、米国GDPに占める割合は6割以上を占めています。

年次で消費が2%以上伸びています。

減税した米国が消費景気なのに、日本は渋い消費の中で増税となるようなので、非常に不安を感じます。

麻生太郎氏は、選挙後、「増税の信任を得た」とも述べていますが、安倍政権は増税に楽観的すぎるのではないでしょうか。