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南北朝鮮が軍事境界線で会談 文在寅と金正恩がいう「非核化」の中身とは

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南北首脳会談の日程が4月26日に発表されました。

26日には板門店の軍事境界線(38度線)で会談が行われ、金正恩は朝鮮戦争休戦以来、初めて韓国領に入る北朝鮮の指導者となる予定です。

この会談では、北朝鮮が韓国からの「非核化」要求にどのように対応するかが注目されています。

韓国大統領府のイム・ジョンソク秘書室長によれば、27日のスケジュールは以下の通り(現地時間)。

  • 9時30分:金正恩朝鮮労働党委員長が38度線を越えて韓国領に入り、文在寅大統領の出迎えを受ける
  • 9時40分:韓国施設「自由の家」と「平和の家」の間にて歓迎式。その後、両首脳は「平和の家」に移動。芳名録への署名と記念撮影。
  • 10時30分:2Fにて首脳会談を開始
  • 昼頃:会談終了後、午後に両首脳が軍事境界線付近で南北双方の土と水を用いて松を植樹する(これは「平和と繁栄」の象徴)
  • 午後:首脳会談再開(会談終了後、合意文に署名予定)
  • 18時30分:「平和の家」の3Fで晩餐会

韓国側はイム・ジョンソク秘書室長、チョン・ウィヨン国家安保室長、ソ・フン国家情報院長、チョ・ミョンギュン統一相、カン・ギョンファ外相、ソン・ヨンム国防相、チョン・ギョンドゥ合同参謀本部議長が随行(全7名)。

北朝鮮側はキム・ヨジョン(金委員長の妹)、キム・ヨンナム最高人民会議常任委員長、チェ・フィ党副委員長、祖国平和統一委員会のリ・ソングォン委員長(※これは韓国との窓口機関)ら9人が随行する予定です。

果たして、両者の会談は、どのような行方をたどるのでしょうか。

この記事では、会談に至る経緯とその議題などについて振り返ってみます。

2018年の韓国と北朝鮮の関係

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17年は一触即発の緊張が続いた朝鮮半島は、2018年には打って変わって対話モードに変わりました。

そして、会談に至るまでに以下の外交対話がなされています

  • 1月1日:金正恩が「新年の辞」で平昌冬季五輪への代表団派遣と南北関係改善の意を表明。
  • 1月9日:南北高位級会談と実務会談で北朝鮮の平昌五輪参加などが決まる(金永南・最高人民会議常任委員長が訪韓)。
  • 3月5日:対北朝鮮特別使節団が平壌を訪問し、金正恩と面会。4月末の南北首脳会談開催に合意。

そして、3月25~28日に金正恩は中国を非公式訪問し、習近平と会談し、来るべき南北会談と、金・トランプ会談に備えました。

4月26日の会談では、韓国政府は、朝鮮半島の「非核化」「平和定着」「南北関係の発展」について、幅広く議論する予定です。

文在寅と中朝、トランプがいう「非核化」の中身は同じではない

しかし、この会談において、知っておくべきポイントがあります。

それは、文在寅とトランプがいう「非核化」は必ずしも意味が一致していない、ということです。

文在寅のいう「非核化」とは

文在寅は就任以来、南北朝鮮の「平和共存」「共同繁栄」をうたい、以下の三つの目標を掲げてきました。

  1. 北朝鮮の核開発問題の解決と恒久平和の定着(韓国の国防と米国との連携を強め、北の核問題解決を目指す)
  2. 持続可能な南北関係の発展(南北間で平和協定を結び、今後の交流と統一のための基盤をつくる)
  3. 朝鮮半島での新たな経済共同体の実現(南北の共存共栄をもとに近隣国との経済交流を拡大する)

今の韓国は、これらの目標を以下の5つの原則を基に実現することを目指しています。

  1. 韓国主導での南北対立の解決
  2. 安全保障を強固にし、平和を維持する
  3. 相互を尊重し、南北関係の発展させる
  4. 国民との意思疎通をはかり、合意を重視する
  5. 国際社会と協力し、政策の実現を目指す

そして、核問題の解決については一気に核を廃止する「一括妥結方式」を最善としながらも、漸進的な過程を認める「段階的 · 包括的アプローチ」でもよい、というスタンスを取ってきました。

トランプ政権のいう「非核化」とは

しかし、トランプ政権は「一括妥結方式」を求めています。

リビア政権から核兵器とミサイルを一層した時と同じように、これは北朝鮮の体制保障と引き換えに完全で検証可能な「不可逆的な核廃絶」を求める手法です。

( Complete, Verifiable,Irreversible, DenuclearizationからなるCVID方式ともいう)

これを認めさせるために、北朝鮮先制攻撃を訴えてきた強面のボルトン氏を安全保障担当の大統領補佐官において、脅しをかけているわけです。

そして、トランプは「歴代大統領ができなかった北朝鮮核廃絶」を目指しています。

この手法に関して、3 月16 日の電話首脳会議で文在寅と合意していたのですが、現在の文大統領は、南北会談で段階的、同時並行的方式でもよしとする方針であり、万景峰号の入港許可や共同の開城工業団地再開などを始めているので、トランプ政権の方針とは一致していません。

トランプは「会談中に対北圧力を緩めない」としていたからです。

中国・北朝鮮がいう「非核化」とは

さらに、中国と北朝鮮を見ると、南北会談の準備として、金正恩が極秘で訪中し、習近平と首脳会談を行ったことが注目されます。

経済の 80%を依存するスポンサーである中国側と米朝首脳会談の方針について相談したからです。

この時、習近平は北朝鮮の核廃絶は「段階的で同時並行的な措置」が望ましいとしていました。

習は金正恩から 6 か国協議再開の同意も得たのですが、この手法では、核施設一件ごとに合意し、もめた時には中国が仲裁に入ります。

この協議は中国主導になりやすいわけです。

この時、金正恩は「金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺訓に照らし、朝鮮半島の非核化の実現に力を尽くすのは、我々の変わらない立場だ」と述べていますが、もともとリビアのように核を捨てた後に滅ぼされたくない、というのが本音なので、彼がいう「非核化」は体制存続のための便法と見てよいでしょう。

南北会談で核廃絶は困難?

南北会談が段階的な議論で着地した場合、基本的には、2000年代の六カ国協議の頃のように、なかなか進展しない「話し合い」が繰り返されることになりそうです。

また、トランプ政権の方針の通り、核廃絶を実施するとしても、ミサイルや化学兵器を含めた大量破壊兵器の全てを完全に廃絶するのは困難です。

分かりやすい場所にある核施設を解体・廃絶できても、北朝鮮は通信や情報等が解放されていないので、どこに核弾頭が隠されているかは完全に把握できません。

北朝鮮は、たいへんな山国なので、どこかの山奥に核兵器などを隠すことができる国なのです。

金正恩は核実験施設を廃棄するとも述べましたが、その実験施設はすでに崩壊した施設にすぎない可能性が高いとも見られています。

廃棄を表明した北東部ハムギョン北道プンゲリの核実験場に関しては、中国科学技術大学の研究グループが、核実験場がある山の崩落が確認されたと発表しているのです。

崩落が確認されたのは17年9月の核実験の爆発地点から北西440mにかけての範囲の山であり、爆発後に崩落したと見ています。

(この時、二回の地震が起きたので、二回目の地震の頃に実験場が壊れたと分析する専門家がいます)

かつて中国が核実験施設を放棄したのも、十分なデータを得た後でした。

北朝鮮は、もうデータはかなり取ったので、古い実験所は放棄してよいと判断したのでしょう。

こうしてみると、核廃絶と言いながらも、その実現はかなり厳しいことが見えてきます。

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