【消費税】自民党と公明党、立憲民主党などの主張を比較

2019年7月24日

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19年参院選では、自民党や公明党は消費税10%への増税を掲げ、野党は増税に反対。

主な政党の公約は以下の通りでした。

・自民:10%に増税。
・公明:10%に増税。軽減税率8%の導入
・維新:増税反対。身を切る改革。
・立民/国民:増税反対
・共産/社民:増税反対

参院選は自公政権が勝ったので、選挙後、消費税10%がそのまま実現しそうな雲行きです。

その場合、国民負担が6.3兆円ほど増えます(「今回の増税で1世帯あたり3~4万円増」などと報じられている)

このうち5.7兆円が消費税分。0.6兆円はたばこ税や所得税増税等です。

そのため、安倍政権は、軽減税率や教育無償化等を行い、負担減を図るとしています。

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与党は増税賛成。野党は増税反対。

7月の党首討論(記者クラブ開催)や参院選の党首第一声では、以下のような主張が飛び交いました。

  • 安倍首相:(10%増税後を問われ)「今後10年くらいの間は必要ない」
  • 立民党・枝野代表:民主党政権の増税推進について「結果的にあの判断は間違っていた」
  • 国民・玉木代表:増税に反対するも、枝野氏のような反省はない
  • 維新・松井代表:「行革をすることで教育無償化の財源を生み出した」(増税不要の意)
  • 共産党:小池委員長:増税凍結を訴え、「減らない年金」を提唱(※お金がかかるが大丈夫?)

安倍首相の発言は、10年後の増税を暗示しているようで、怪しい雰囲気です。

枝野氏が「間違い」を認めたのは意外でした。

しかし、反省したのなら、もとの税率に戻さなければいけなくなるのではないでしょうか。

なお、公明党は増税推進ですが、「軽減税率」(必需品系の飲食物を8%の税率にする)という複雑なプランです。

軽減税率は、一見、よさそうに見えますが、8%と10%で対応を変えなければいけないので、小売従事者に重い負担がかかる点に注意が必要です。

増税負担は3~4万円と報じられるが…

結局、消費税増税の懸案事項は「消費の冷え込み」です。

しかし、軽減税率が適用される新聞社は、これをあまり大きな声で報じていません。

また、「福祉のためになるんだ」といわれると、「そうなのか」と思い、納得する方もかなり多いようです。

ただ、これに関しては「過去の増税と今回の分を足したら月に何万円、負担が増えるか」という計算が必要ではないでしょうか。

その数字を見たら、顔色が変わる方もいると思うからです。

「増税を何回かに分けると、国民には一回ごとの負担増しか伝わらない」という問題点があることは見落とせません。

2回目と3回目の増税を足すと、税率は2倍(5%⇒10%)になります。

しかし、マスコミは今回の増税で1世帯3~4万円増などといった記事を書くので、累計額は印象に残りません。

日経電子版の試算によれば、平均年収(432万円:2017年)に近い収入階層(400~500万円)では、消費税が5%⇒10%になった場合、負担額は10.6万円も増えるようです。

消費税増税でどれだけ負担が増えるか

その詳細を年収別に検証してみます。

日経電子版(「年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は」2016.2.23)で公開されている年収と税率別につくった負担額の図表をもとに、その負担増の金額を割り出してみました。

消費税負担増:8%⇒10%

単位は万円

年収   税率 負担差
8% 10%
~200        8.7 10.9 2.2
200~300    13.1 17 3.9
300~400   14.9 19 4.1
400~500   16.7 21.2 4.5
500~600   18.2 23.3 5.1
600~700   20.5 26 5.5
700~800   22.7 28.7 6
800~900   24.8 31.3 6.5
900~1000  25.3 32.4 7.1
1000~1500 29.7 37.3 7.6
1500~       35.1 45.7 10.6

2016年度の日本人(給与所得者)の平均年収は421.6万円なので、10%増税になった時、この収入レベルの方は、確実に年間で4万円以上は消費税の負担額が増えます。

4万円を12カ月で割ると3333円です。

イメージで言うと、若い人が月に一度、彼女と一緒にランチを食べに行く機会が失われるぐらいの負担感です。

世帯持ちであれば、夫婦と子供一人(計3人)で月に一回、外食をするぐらいの費用かもしれません。

映画好きな方であれば、月に3回ぐらいの映画代の金額になります。本が好きな方であれば、ハードカバーの本2冊ぐらいに相当します。

いろいろとモノに換算してみると、4万円というのは意外とバカになりません。

毎月の娯楽が何か一つ消えるぐらいの負担感なのではないでしょうか。

増税時の負担額について、もう一段、掘り下げてみます。

2016年度の「民間給与実態統計調査」(国税庁)をもとに、平均給与をさらに、正社員と非正規社員、男性と女性の違いも踏まえて区分けしてみます。

以下のグループは、前掲の年収別の負担増の金額のどこに該当するのでしょうか。

(※以下の表記は「グループ:平均給与⇒8%から10%増税時の負担増の額」)

  • 全体平均:421.6万⇒4~4.5万
  • 男性平均:421.1万⇒4~4.5万
  • 女性平均:279.7万⇒3~3.5万
  • 正規平均:486.9万⇒4.5万前後
  • 正規男性平均:539.7万⇒4.5~5万
  • 正規女性平均:373.3万⇒3.5~4万
  • 非正規平均:172.1万⇒2万以下
  • 非正規男性平均:227.8万⇒2~3万
  • 非正規女性平均:148.1万⇒2万以下

だいたい、2万円~5万円ぐらいの幅で負担増になる人が多いようです。

この幅の年収だとだいたい、1%程度のお金を引かれることになります。

冷静に見ると、年収300万円以下の人は年収の1%以上を負担し、年収500万以上の世帯は年収の1%以下を負担する構造になっています。

やはり、消費税というのは、低所得者に負担が重い逆進性の高い税金です。

年収200万円以下で2万円引かれるのはかなり「痛い」はずです。

消費税5%⇒8%での負担増は何万円?

消費税増税で、一回あたりの負担増の金額の幅は年間で数万円程度になる方が多いのですが、すでに2014年も増税しているので、積み重なると、負担額はかなり大きくなるはずです。

消費税5%の時と8%の時の負担差を見てみましょう。増税がなければ、自由に使えたお金の金額は以下の通りです(※出所は前掲の日経電子版「年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は」2016.2.23)。

【 5%時と8%時の消費税負担額の差】

年収 負担差   税率
5% 8%
~200        2.9 5.8  8.7
200~300    4.5 8.6  13.1
300~400   5.5 9.4 14.9
400~500   6.1 10.6 16.7
500~600   6.3 11.9 18.2
600~700   7.3 13.2 20.5
700~800   8.2 14.5 22.7
800~900   8.9 15.9 24.8
900~1000  8.5 16.8 25.3
1000~1500 10.8 18.9 29.7
1500~       11.5 23.6 35.1

5%時と8%時の負担差の金額が「800~900万未満」で8.9万円、「900~1000万未満」で8.5万円というのは変ですが、何か異常値が出た元データを単純計算してしまったのかもしれません。ここは実質9~10万程度と見るべきでしょう。

ーーー

(※参考:5~8%時の増税負担の増え幅)

東京新聞電子版(2012.4.4)は第一生命研究所の試算(勤労者1名の四人世帯)を紹介していたことがあります。その金額は以下の通りでした。

  • 年収300~350万円→5万2628円
  • 年収350~400万円→5万5546円
  • 年収400~450万円→6万2022円
  • 年収450~500万円→6万6583円
  • 年収500~550万円→7万2948円
  • 年収550~600万円→7万4539円

四人世帯分だと消費額が大きくなるから、日経の試算よりも負担幅は大きくなるわけです。

※朝日新聞(2012/8/11:朝刊9面)では消費税が5%から8%まで上がれば、年収500万円の4人家族〔勤労者1名〕の場合、社会保険料を含めると年間33万の負担増になると試算。

※16年初に麻生財務相は消費税を8%⇒10%に上げた時の一人当たり負担額は27000円と発言。試算方法の変更に合わせて従来は14000円としていた金額を変えた。世帯当たりで見ると3.5万円ではなく6.2万円かかるとのこと。質問者の共産党の小池晃氏は「政府の統計は信用できない」と反発(朝日新聞:2016/1/20朝刊3面)

消費税5%⇒10%での負担増は何万円?

8%増税の時の負担増の額は、もう召し上げられているので、そこに次回10%への増税での負担増分を足した金額が、2013年時点と2019年時点での負担差になります。

結局、5%から10%にまで上がった時の増税負担額は年間で何万円になるのでしょうか。(以下、14年増税負担と19年増税負担の累計負担額)

  • ~200万5.1万
  • 200~300万8.4万
  • 300~400万9.6万
  • 400~500万10.5万
  • 500~600万11.4万
  • 600~700万12.8万
  • 700~800万14.2万
  • 800~900万15.4万
  • 900~1000万15.6万
  • 1000~1500万18.4万
  • 1500万以上22.1万

さすがに消費税5%の時と10%の時の差はかなり大きくなります。

年収200万以下で5万円。平均年収の420万円前後でも10万円程度の負担額です。このぐらいの比率になると重く見えてきます。

14年と19年の二回の増税負担を累計すると、10万円以上の負担になる方も多いので、数字を見ると目が三角になる方も出てきそうです。

しかし、増税派の政治家や官僚、マスコミの論理は巧妙です。

本音は10%に上げたいのですが、一気に5%から10%に上げたら負担額が大きすぎて国民に拒否されるので、二回に分けて実現の道筋を探りました。

まず、一回あたりの負担額が小幅になりますし、二回目の増税を訴える頃には、前回の増税による負担増の金額を忘れている人も出てくるからです。

そのため、この両者の累計は重要です。

ここで、また2016年度の「民間給与実態統計調査」(国税庁)に戻って、グループ別に2回の増税による負担増の金額を推定してみます。

【グループ別に見た消費税5%増税の負担増額】

(※以下の表記は「グループ:平均給与⇒5%から10%増税時の負担増の額」)

  • 全体平均:421.6万⇒10万前後
  • 男性平均:421.1万⇒10万前後
  • 女性平均:279.7万⇒7.5~8万
  • 正規平均:486.9万⇒10~10.5万前後
  • 正規男性平均:539.7万⇒10.5~11万
  • 正規女性平均:373.3万⇒9万前後
  • 非正規平均:172.1万⇒5万以下
  • 非正規男性平均:227.8万⇒6万前後
  • 非正規女性平均:148.1万⇒5万以下

10万円前後の負担増になる方が多いようです。

この10万円負担増だけでなく、本当は、社会保障の負担増も加味しなければいけないので、増税後に消費が盛り上がらないのは当たり前の話です。

消費税増税と教育無償化:与党のプラン

安倍首相は消費税の「10%への増税」(19年10月実施)を前提に高等教育や幼児教育の無償化を行い、全世代型の社会保障へ転換することを訴え、本年に無償化案を法制化しました。

17年衆院選では、自公両党が以下の案を訴えていました。

安倍首相:増税断行と用途変更

  • 低所得者家庭への高等教育の無償化、授業料の減免措置拡充、給付型奨学金の支給額を大幅増。
  • 幼児教育の無償化。
  • 「2020年度までに3歳から5歳まで、すべての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。0歳から2歳児も所得に低い世帯では全面的に無償化します」
  • 介護人材の確保、処遇改善(他産業との賃金格差の是正)
  • 「2020年度までに32万人分の受け皿整備」「2020年代初頭までに50万人分の介護の受け皿を整備」
  • 「人づくり革命」のために消費税率10%への引上げ分のお金を活用
  • 2%の引上げで5兆円強の税収を見こむ。現在はこの1/5を社会保障に用い、4/5が借金返済に使われているが、使い道を少子化対策に回す(増税負担の軽減)。
  • 2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は困難になるが、財政再建の旗は降ろさない(計画変更)。

公明党・山口代表:自民案+軽減税率

  • 「財政再建よりも社会保障の機能強化への配分強化は国民に信を問う価値がある」(産経:2017/9/27)。
  • 「教育負担の軽減を図り、幼児教育や高等教育の無償化を進めていく」「給付型奨学金などは実行し、幼児教育の無償化も段階的に一部実現しているが、大々的に行う」「莫大な財源が必要になる。そのためには、12年に民主、自民、公明の3党が合意した社会保障と税の一体改革で定められた消費税増収分の使い道を大きく変更することが必要になる」(公明新聞:2017/10/1 共同通信社での講演)
  •  10%増税論で自公両党がまとまり、従来の「軽減税率」を提唱するチャンスを得ることになった

なお、自民党内でも財源にうるさい麻生太郎氏は無償化にはあまり肯定的ではないようです。

産経ニュース(17/9/25)は以下の二つの慎重論を紹介(「衆院選の争点は? 自民…教育無償化、大学の質懸念 民進…前原氏、「知らんぷり共闘」)

これは、あまり議論されていませんが、大事なポイントだと思います。

  • 「大学を出るための税金を(大卒より生涯賃金が低い)中卒、高卒の人の税金で賄うのは公平か」(麻生太郎財務相)
  • 若年人口の減少と大学数の増加により、定員割れとなる大学が増える中で「ほぼ無試験での入学者まで支援すれば、大学間の競争はなくなり、教育の質が低下しかねない」(教育関係者)

関連記事教育無償化のメリット・デメリット

消費税増税にあなたは賛成できますか?

自公政権は増税。希望の党や立憲民主党、共産党、社民党は増税反対でした。

筆者は、平均年収以下なので、「10%増税」は勘弁願いたいです。

最近の報道では、「日本の経済成長が延々と続いている・・・」という麗しい話がよく出てきますが、筆者には、いま一つ、その話の実感が持てません。

近年の消費をみると、そんなに高い水準ではないからです。

2018年の家計の平均消費支出(※)は月平均で31.5万円。

※総務省統計局「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)」を参照

最近、改善したといっても、やっと2015年と同じ水準に戻った程度です。

しかし、増税前の2013年は31.9万円ありました。

これが高く見えるのが残念なところです。

サブプライム不況に入る以前、08年は32.5万円でした。

さらに、01~07年までは32~33万円台だったのです。

最近、やっと消費が戻ってきたばかりなのに、増税は早すぎます。

消費税10%増税で家計はどうなる

昔を振り返ると、2013年の6月末頃(増税判断前の参院選の頃)に、増税論を説く伊藤元重氏(東大教授)と増税延期論を説くセブン&アイ・ホールディングス会長(当時)の鈴木敏文氏のインタビューが掲載されていたことがありました。

「物価や消費、見通しは」(2013/6/30:日経朝刊11面)という記事では、伊藤教授が「欧州では頻繁に税率の引き上げに踏み切っているが、それによる景気への悪影響は見られない」と述べていました。

これに対して鈴木敏文氏が「同じ税の仕組みであっても欧州の人たちと日本では受け止め方が大きく異なる」「基本的にモノ余りの時代だから、税込み価格が上がった表示を見て買い控えようと考える人が増える」と指摘していたのです。

確かに、鈴木氏の言う通り、コンビニの商品を見ると割高感がある品物はよく売れ残っています。

筆者は、17年選挙の頃、コンビニで124~125円の缶コーヒーが残り、100円の特売品だけがきれいに消えている光景を繰返し眺めていました。

  • 売れ残り組(定額):ボス贅沢微糖、ボス無糖ブラック、エメラルドマウンテン、ワンダモーニングショット
  • 完売組(100円特売):ボス・ザ・エスプレッソオリジナル、ボス・ザ・エスプレッソ微糖

これは、今でもよく見かける光景です。

鈴木敏文氏の言っていることは、実際に小売の現場で起きています。

同氏は『文芸春秋(2019年1月号)』にて、やはり、持論を訴えていました。

「消費の減少、企業倒産の増加、失業率の上昇といった負の連鎖に直面する可能性もある。当然、消費税だけでなく、法人税、所得税といった税収全般が、逆に低下する事態に陥ってしまいかねません」

98年に北海道のイトーヨーカ堂で消費税分還元セールを行ったら、売上高が前年比165%になったことを例に、日本人の消費マインドは「数字以上に敏感」であることに注意を促していたのです。

消費税減税こそが有望な選択肢では

筆者は、GDP新基準に基づく景気回復、経済成長の継続という麗しい話を信じられません。

そして、新基準改定前に出た論説ですが、片岡剛士氏(日本銀行政策委員会審議委員)の5%減税への提言はまだ有効だと考えています。

(出所:消費低迷の特効薬は消費税減税だ | 片岡剛士 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

「家計最終消費支出の落ち込みが続く主因は2014年4月から始まった消費税増税である」「消費税増税の影響は税率が変わらない限り恒久的に続く。家計消費の低迷を打破するには、2017年4月の消費税率引き上げ撤回し、消費税増税時期を白紙に戻すことで先行きの消費への不安材料を払しょくし、合わせて8%の消費税増税の悪影響を乗り越える二段構えの財政政策が必要である」

5%への減税論は、早稲田大学教授の若田部昌澄氏も述べていました。

もともと、デフレ脱却の論理は、金融緩和と財政政策(公共投資もしくは減税)の組み合わせを推奨するはずです。

しかし、金融緩和と増税を一緒にするのは、アクセルとブレーキを一緒に踏むようなものです。

その意味で、安倍首相の10%増税論とアベノミクス推進論は矛盾しています。

金融緩和をするなら公共投資もしくは減税を並行させるという、マクロ経済学の常道に帰っていただきたいものです。