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トランプ政権がシリア攻撃を決断? 再びトマホークミサイルが飛ぶのか

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トランプ大統領は4月9日に「48時間以内」にシリア攻撃の大きな決断を下すことを明言しました。

ちょうど約1年前、トランプ氏は米中首脳会談の席で、化学兵器を用いたシリアへのミサイル攻撃を決断。

本年も4月の節目に、いかなる選択肢も排除せず、シリアに対する武力行使も視野を入れていることを示唆しました。

トランプ氏は、化学兵器による攻撃を、あってはならない人道問題だと批判し、その責任はプーチン露大統領にもあるかもしれないと述べています。

これは中東政策ですが、同時に北朝鮮への威嚇でもあります。

今回は二回目なので、シリア攻撃は、もう一段、大きな規模になる可能性があります。

トランプ氏が本気であることは、この決断を前にして、ホワイトハウスがペルー開催の米州首脳会議に出席しないことを発表したことにも見てとれます。

(米州首脳会議にはペンス副大統領が出席)

筆者は、トランプ政権はシリア攻撃を開始すると考えているので、一応、ここで、今後の行方を占うために、昨年のシリア攻撃とその後の展開を振り返ってみます。

トランプ政権のシリア攻撃を振り返る(2017年)

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  • 4月4日:シリア政府が北西部にあるイドリブ県で反政府勢力に向けて化学兵器(サリン)を用いた爆撃を行った。
  • 4月5日:米中首脳会談を目前にして北朝鮮が弾道ミサイルを発射。
  • 4月6日夜(米国時間/日本では7日午前):トランプ氏はシリア空軍基地(シャイラート飛行場)にミサイル攻撃を行ったことを明かす。

米軍は、シリア爆撃機が発進した空軍基地に、米軍は東地中海洋上の駆逐艦2隻(「ポーター」と「ロス」)から59発の巡航ミサイル(トマホーク)を発射しました。

飛行場やその格納庫、武器庫、レーダーや防空システム、レーダー等を狙ったのです。

(※弾道ミサイルは宇宙ロケットと同じ推進方式を取り、弧を描いて飛ぶ。巡航ミサイルは小型の戦闘機に似た飛び方をする。後者は軌道や高度を変えながら敵地を精密攻撃が可能。攻撃手段として、巡航ミサイルが選ばれたのは、弾道ミサイルに比べると、目標に向けて精密に誘導し、ピンポイントで攻撃することができるためです)

化学兵器の使用形態として、「空からの散布」は民間人への無差別攻撃にあたるので、トランプ政権は、とりわけこれを危険視しました。日本でも、過去、オウム教がヘリでサリン散布を狙っていたことがありますが、アサド政権はこの種の手法で反体制派を滅ぼそうとした時に、トランプ政権に逆襲されたわけです。

トランプ大統領は記者会見で民間人虐殺への怒りをあらわにし、「アメリカの正義」の実現を目指すことを表明しました(以下、引用の出所:シリア攻撃を命じたトランプ米大統領の声明全文 | ロイター

「致死率の高い神経ガスを使い、無力な男性や女性、そして子どもたちの命を奪った。あまりに大勢の人に対する、緩やかで残忍な死を招いた。残酷なことに、美しい赤ちゃんたちもこのような非常に野蛮な攻撃によって殺された。神の子は誰一人としてそのような恐怖に遭ってはならない」

過去、アサド政権を抑止する試みが挫折に終わったことを指摘し、「すべての文明国に対し、シリアにおける大量虐殺に終止符を打つため、そしてあらゆる種類のテロを根絶するため、共に手を取ろうと呼びかけた」と各国に呼びかけました。

オバマ政権は化学兵器の使用を「レッドライン」としましたが、その疑いが濃厚な攻撃が発生した後も、軍事行動を逡巡し、結局は行いませんでした。トランプ氏は、オバマ政権とは違い、「レッドライン」を護る方針を明確にしたわけです。

これは、シリア向けの攻撃ですが、同時に北朝鮮へのレッドカードであり、北朝鮮を支えてきた中国への大きな警鐘にもなっています。

このアクションは、米国の同盟国でもあるサウジアラビアでは、「あの一撃で、中東情勢を重くみるトランプ政権のやる気が分かった」等とも言われていました。

これに関して、2017年4月9日に、ティラーソン国務長官(当時)は、以下の3点を指摘。

  1. 米国の最優先事項はIS打倒
  2. ミサイル攻撃は国際法違反への警告
  3. 同時に北朝鮮への重大な警告を行った

(出所:Interview With George Stephanopoulos of ABC This Week

その後、ISからイラクは解放され、シリアでもISは駆逐されます。

前掲インタビューの中で、ティラーソン氏は「我々が対IS作戦を終わらせれば、我々はアサド政権とその対抗勢力の双方に対して、停戦に関心を向けさせることができる」「我々は、シリアにおいて地域の安定化に影響力を行使し、ジュネーブ条約による政治的な過程を生み出すために、ロシアとも共同できる」「その過程において、我々はシリア国民が最終的にアサドの運命を決めることができると信じている」とも述べています。

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シリア問題は米露問題でもある

17年には、その後、米露間で話し合いが行われました。

シリアのアサド政権を後押ししているのはロシアだからです。

(ロシアとシリアの関係と、中国と北朝鮮の関係はよく似ています)

トランプ氏とプーチン氏との電話会談に関して、ホワイトハウスHPには以下のような文言が掲載されたのです。

「トランプ大統領とプーチン大統領は、シリアでの苦しみはあまりにも長く続いており、全ての当事者が暴力を終わらせるために最善を尽くすことで合意した」

「会談は非常によい結果に終わった。そこには、安全区域や人道的な目的のために永続的な平和を達成するための安全区域や(軍事的)エスカレーションを防ぐための区域設定の議論が含まれる」

(「トランプ米大統領とプーチン露大統領との会談(2017.5.2)」 Readout of President Donald J. Trump’s Call with President Vladimir Putin of the Russian Federation、May 02, 2017)

しかし、その後、中東における米露関係で歩み寄りは見られず、冷淡な関係が続いています。

2018年の現在もトランプ大統領は、3月20日の電話会談でプーチン大統領の訪米を受け入れる可能性を示唆しましたが、目下のロシア疑惑や、ロシアによる英国での元スパイ襲撃により米露首脳会談の準備は進んでいません。

トランプ政権がシリアを攻撃すれば、米ロ関係の融和は困難となり、軍事的に、中国・北朝鮮/ロシア・シリア等VS米国・日本・EU等が対峙していく構図が強まることになるでしょう。

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