東京五輪 経費1.6兆円の内訳判明 組織委と都、国の負担額は?

2019年2月27日

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東京オリンピックとパラリンピックは1.6兆円規模で開催されることになっています。

五輪を支える東京2020組織委員会(=組織委)は、2018年12月21日に、ソフトとハードを足した経費を1兆3500億円、予備費を1000~3000億円と見積もり、組織委予算V3(バージョン3)の内訳をHPに公表しました。

これは、組織委が6000億円、東京都が6000億円、国が1500億円という分担になっているのですが、その詳細はどうなっているのでしょうか。

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東京五輪・パラリンピックの開催収支の内訳は?

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大会組織委員会のHP記事(組織委員会およびその他の経費)で、予算の項目を一覧してみます(全て、単位は億円)。

大会組織委員会の収入

収入 億円
IOC負担金 850
TOPスポンサー 560
国内スポンサー 3200
ライセンシング 140
チケット売上 820
その他 330
増収見込 100
6000

【ハード+ソフトで見た支出内訳】(組織委+東京都+国)

項目 組織委 都+国
恒久施設 3450 3450
仮設等 950 2200 3150
エネルギーインフラ 150 300 450
ハード(会場整備)小計 1100 5950 7050
輸送 350 250 600
セキュリティ 200 800 1000
テクノロジー 700 350 1050
オペレーション 1050 150 1150
管理・広報 650 0 600
マーケティング 1250 0 1250
その他 350 0 350
調整費 350 0 350
ソフト(大会運営)小計 4900 1550 6450
6000 7500 13500

【会場関係費+大会関係費で見た支出内訳】(組織委+東京都+国)

項目 組織委
恒久施設 2250 1200 3450
仮設等 950 2100 200 4650
エネルギーインフラ 150 250
テクノロジー 700 300
会場関係小計 1800 4900 1400 8100
パラリンピック経費 (400) (200) (200) (800)
輸送 350 250 100 5400
セキュリティ 200 750
オペレーション 1000 100
管理・広報 600 0
マーケティング 1250 0
その他 700 0
大会関係小計 4200 1100 100 5400
パラリンピック経費 (200) (100) (100) (400)
オリンピック経費累計 6000 6000 1500 13500
パラリンピック経費累計 (600) (300) (300) (1200)

 ※総額1兆3500億円に1000~3000億円の予備費が加算されるため、総額は1.45~1.65兆円になります。

2019年1月に東京都と国が五輪予算案を発表

前掲のプランをふまえ、政府も対策を講じています。

東京都の五輪予算案

都は1月25日に19年度の予算案を発表しました。

東京五輪・パラリンピックの経費としては5330億円が計上されます。

  • 施設整備費:2176億円
  • 大会関連経費:2610億円
  • 道路整備やセキュリティー対策費:590億円
  • 五輪広報等:170億円

日本政府の五輪予算案

そして、国も1月29日に予算案を出しました。

2013~19年度予算案に盛り込まれた五輪費用の総額は約2197億円です。

  • 競技力の強化:1010億円
  • 会場整備等の運営費交付金:517億円
  • パラリンピック経費:300億円
  • セキュリティー関連:214億円
  • その他:156億円

その中身を見ると、セキュリティー関連の214億円などは、従来、国が負担するとしていた1500億円の枠外の費用にあたります。

2020年にも新予算を計上するので、結局、国の実質負担は大幅に増えることになりそうです。

五輪経費の大枠が決まるまでの経緯

過去の五輪経費の試算を見ると、そもそも、当初の7340億円で開催可能とする見立ては、やや信じがたい話です。

当初の立候補ファイルでは7340億円の予算しか計上されていなかったのですが、12年のロンドン大会の費用(2.1兆円)等と比べると、「どこからそんな数字をひねり出したのか?」という疑問がわいてきます。

これは招致のためのPRだったのでしょうか。

この費用試算に関しては、15年には森喜朗氏(組織委員会会長)が2兆円超をほのめかし、舛添知事が3兆円は要ると述べたりしています。

「予算膨張だ!」と批判する向きもありますが、ロンドン五輪は2.1兆円かかりました。

AFP通信の記事(2016.7.20)によればリオ五輪の費用は総額約120億ドル(約1兆3000億円)。

CNNの記事(2014.1.23)によれば、14年のソチ五輪が500億ドル(約5兆2300億円)、08年の北京五輪が400億ドル(約4兆1800億円)です。

過去の数字で見ると、森氏が言う2兆円超というのは、それなりに信憑性があります(人口を比べるとロンドン市は867万人、リオ市は632万人、東京は1362万人)。

本当に3兆円が必要なのかどうかは検討が要りますが、もともとの数字がいい加減だったことが混乱要因の一つになりました。

小池都知事が予算削減をPRしたのは前任者と森氏に対抗するためでした。

結局、当初計画通りに戻ったのですが、3施設の見直しにこだわった背景には、森氏が言う総予算よりも低コストで運営したいという考えもあったのでしょう。

(※なお、三会場は以下の通りです)

  • ボート・カヌー会場:「海の森水上競技場」(東京臨海部)
  • 水泳会場:「五輪水泳センター」(江東区)
  • バレーボール会場は当初の有明アリーナ(江東区)

決定が遅れましたが、一応、1.8兆円に収まったので、小池知事としては「予算縮減をしました」と言える状態になったわけです。

国と都、各県の五輪費用負担はどうなった

17年1月7日には安倍首相が五輪組織委の森会長と会談し、組織委と都、政府の三者協議の開始を歓迎しつつ、「開催都市の東京都がまず姿勢を示すことが大事だ」と述べたことが報じられています(ロイター「首相、五輪費用で森氏と会談」1/7)。そして、1月10日には安倍首相と小池知事の会談が開催され、その後、小池知事は記者団に以下のように述べました。

「安倍総理大臣とは実務的な話はしていないが、3者協議やその前のワーキングチームなどでいろいろ協議している最中なので、基本的な考え方としてオールジャパンで対応していくということを確認した。安倍総理大臣からは『国としても連携したい』といういい返事をもらった」

(NHKニュースWEB「東京五輪・パラ開催費用 安倍首相と小池知事が会談」2017/1/10)

さらに、13日に開かれた会議では、東京都と組織委員会、国の三者だけでなく、開催自治体の担当者が集まり、五輪競技施設の整備内容や経費等に関して、各自治体ごとに作業チームをつくり、具体的な検討を行うことが決まっています。

五輪の都外会場経費を各県で負担? 知事は納得せず

東京五輪では東京都以外の10の自治体でセーリングやサッカーなどの競技が開催されます。

これに関連して、都外の7つの競技会場の整備費を都外の自治体で負担する案が突然に浮上し、他県の知事や市長などが当惑しているわけです。

2月17日と22日には、6道県にわたる都外11会場の総経費が1625億円(仮設整備費、警備費、輸送費等を含む)。都外会場の仮設整備費が438億円と見積もられたことが各紙で報じられました。その内訳は以下の通りです。

  • 北海道:119億円(仮設整備費27億円)※札幌ドーム(サッカー会場)
  • 宮城県:122億円(同上27億円)※ひとめぼれスタジアム宮城(サッカー会場)
  • 埼玉県①:146億円(同上29億円)※さいたまスーパーアリーナ(バスケ会場)
  • 埼玉県②:156億円(同上29億円)※埼玉スタジアム(サッカー会場)
  • 埼玉県③:178億円(同上89億円)※陸上自衛隊朝霞訓練場(射撃会場)
  • 埼玉県④:162億円(同上40億円)※霞ヶ関CC(ゴルフ会場)
  • 千葉県:218億円(同上73億円)※幕張メッセ(レスリング、フェンシング、テコンドー)
  • 神奈川県①:163億円(25億円)※日産スタジアム(サッカー)
  • 神奈川県②:122億円(29億円)※江の島ヨットハーバー(セーリング)
  • 静岡県:239億円(同上69億円)※伊豆ベロドローム+伊豆マウンテンバイクコース(自転車)

この費用分担に関して17年に一騒動が起きたのです。

各県知事は必ずしも協力を否定してはいませんが、費用分担に関しては「何も言ってきていない」(千葉県・森田健作知事)、「来年度に事業を始めないと間に合わない。早く財源の見通しを示してほしい」(宮城県・村井嘉浩知事)等と困惑の声を挙げました。

各県にも予算編成の日程があるので、突然に言われて困るのは当然です。

「いきなり言うな」と憤った10自治体は12月26日に、仮設施設の整備、大会運営を組織委員会が担うことを求める要望書を提出しました。

読売夕刊(12/26:1面)では小池知事が「年明けに関係自治体の協議会を開き、年度内の負担割合の『大枠』を決める方針を示した」ところ、知事から不安の声があがったことが報じられました。

  • 「約束は守ってもらいたい」(千葉県・森田健作知事)
  • 「原理原則は守るべきだ」(埼玉県・上田清司知事)
  • 「役割分担がまだ決定していないのは異常だ」(神奈川県・黒岩祐治知事)

各自治体に困惑が広がり、17年初には黒岩知事が1月5日の記者会見で「藤沢市の江の島周辺の仮設施設(※セーリング競技場)の整備費用について、『県は負担しないというのが原理原則であり、予算措置をする必要もないと考えている』と述べ、県の新年度予算案に費用を計上しない考え」を述べていました。

結局、しばし都と各県との暗闘が続きましたが、5月11日に、小池都知事と安倍首相が官邸で会談し、東京都が都外の仮設整備費を全額負担することになりました。

五輪開催までの日程

では、今後の工事日程と関連企業も踏まえたスケジュールはどうなるのでしょうか。

  • 2017年11月:有明体操競技場着工(施工:清水建設)
  • 2017年12月:大井ホッケー競技場着工(施工:未定)
  • 2018年:東京五輪のボランティア募集開始
  • 2018年2月:平昌冬季五輪開催(9日~25日)
  • 2018年春~秋:築地市場が豊洲市場に移転
  • 2018年9月:江の島でセーリングの五輪事前大会
  • 2019年:五輪チケットの販売開始(時期未定)
  • 2019年6月:大井ホッケー競技場竣工
  • 2019年7月:五輪のテストイベントを開催
  • 2019年夏:聖火リレーの経路決定
  • 2019年10月:有明体操競技場竣工
  • 2019年11月:新国立競技場竣工(施工:大成建設JV)
  • 2019年12月:有明アリーナ(施工:竹中工務店JV)
  • 2019年12月:オリンピックアリアティクスセンター(施工:大林組JV)
  • 2019年12月:海の森水上競技場(施工:大成建設JV)
  • 2019年12月:五輪選手村竣工
  • 2020年春:聖火リレーの開始
  • 2020年3月?:環状二号線の地上部道路が開通
  • 2020年夏:選手団が事前キャンプ開始
  • 2020年7月24日:東京五輪開始(~8月9日)
  • 2020年8月25日:東京パラリンピック(~9月6日)

こうして、諸々の工事が進展しているわけです。

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