世界の実質GDPランキング(2015~2018年の推移)

2020年2月19日

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世界銀行のデータをもとに2018年までの実質GDPのランキングを作成してみました。

GDP成長率とGDPの総額は2015~2018年を参照しています。

やはり、経済を見る上で大事なのは名目値よりも実質値です。

始めにGDP上位100位までの国々の成長率を見て、その後、GDP総額が100億ドル以上の国々のランキングを見てみます。

★GDPとは
GDP(Gross Domestic Product)は「国内総生産」のこと。一国で一定期間に生み出された付加価値の総額。ざっと言えば、粗利(売上-原材料費)に相当するものが付加価値であり、モノやサービスの価格から中間生産物を差し引くことで付加価値は計算される。3000万円分のアンコモチを例に考えると、お米(原材料費)が1000万円、モチへの加工費が1000万円、アンコをつめる作業が1000万円等と、各工程ごとに付加価値が生まれ、総額の3000万円がGDPにカウントされる。全てのモノとサービスで生まれた付加価値を累計したものが国のGDPとなる。

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実質GDP成長率(地域別/各国別)

(単位=パーセント)

地域 2015 2016 2017 2018
世界 2.81 2.48 3.11 2.97
OECD諸国 2.42 1.74 2.47 2.25
欧州+中央アジア 2.05 1.94 2.76 2.14
東アジア+太平洋 4.14 4.06 4.59 4.2
北米 2.66 1.52 2.29 2.83
欧州連合 2.35 2.04 2.6 2.01
ユーロ圏 2.11 1.91 2.54 1.9
ラテンアメリカ等 -0.36 -1.46 0.69 0.5
中東+北アフリカ 2.49 4.92 1.48 2.34
南アジア 7.48 7.71 6.93 6.66
アラブ世界 3.31 3.37 0.83 2.05
サハラ以南アフリカ 2.83 1.23 2.53 2.39

 

 

国名 2015 2016 2017 2018
米国 2.88 1.57 2.22 2.93
中国 6.91 6.74 6.76 6.57
日本 1.22 0.61 1.93 0.79
ドイツ 1.74 2.23 2.47 1.53
フランス 1.11 1.1 2.26 1.72
英国 2.36 1.92 1.89 1.39
インド 8 8.17 7.17 6.81
ブラジル -3.55 -3.31 1.06 1.12
イタリア 0.78 1.28 1.72 0.77
カナダ 0.69 1.11 2.98 1.9
ロシア -2.31 0.33 1.63 2.25
スペイン 3.84 3.03 2.89 2.35
豪州 2.19 2.77 2.37 2.94
韓国 2.79 2.93 3.06 2.67
メキシコ 3.29 2.91 2.12 2.14
トルコ 6.09 3.18 7.47 2.83
インドネシア 4.88 5.03 5.07 5.17
オランダ 1.96 2.19 2.91 2.6
サウジ 4.11 1.67 -0.74 2.43
スイス 1.33 1.72 1.8 2.75
ポーランド 3.84 3.06 4.94 5.15
スウェーデン 4.42 2.41 2.41 2.23
イラン -1.32 13.4 3.76
ベルギー 2.03 1.51 1.96 1.46
ノルウェー 1.97 1.07 2.32 1.29
ナイジェリア 2.65 -1.62 0.81 1.94
アルゼンチン 2.73 -2.08 2.67 -2.48
オーストリア 1.01 2.08 2.48 2.42
タイ 3.13 3.36 4.02 4.13
UAE 5.11 3.06 0.49 1.73
マレーシア 5.09 4.45 5.74 4.74
コロンビア 2.96 2.09 1.35 2.57
アイルランド 25.16 3.68 8.15 8.17
デンマーク 2.34 3.25 2.04 2.39
シンガポール 2.89 2.96 3.7 3.14
フィリピン 6.07 6.88 6.68 6.24
イスラエル 2.29 3.98 3.54 3.45
香港 2.39 2.18 3.85 3
エジプト 4.37 4.35 4.18 5.31
チリ 2.3 1.67 1.28 4.02
フィンランド 0.56 2.63 3.05 1.67
パキスタン 4.73 5.53 5.55 5.83
チェコ 5.31 2.45 4.35 2.96
ポルトガル 1.79 2.02 3.51 2.44
ルーマニア 3.87 4.8 7.11 3.95
ベネズエラ -6.22 -17.04 -15.67 -19.62
イラク 2.48 15.21 -2.49 -0.56
ペルー 3.25 3.95 2.52 3.98
カザフスタン 1.2 1.1 4.1 4.1
アルジェリア 3.7 3.2 1.3 1.4
バングラデシュ 6.55 7.11 7.28 7.86
ベトナム 6.68 6.21 6.81 7.08
NZ 3.58 3.65 3.13 2.77
カタール 3.66 2.13 1.58 1.49
ハンガリー 3.85 2.2 4.32 5.09
クウェート 0.59 2.93 -4.71 1.25
ウクライナ -9.77 2.44 2.47 3.34
モロッコ 4.54 1.06 4.23 2.99
スロバキア 4.82 2.12 3.04 4.03
アンゴラ 0.94 -2.58 -0.15 -2.13
エクアドル 0.1 -1.23 2.37 1.38
プエルトリコ -1.05 -1.26 -2.66 -4.91
スリランカ 5.01 4.49 3.42 3.21
ミャンマー 6.99 5.86 6.76 6.2
ドミニカ 6.93 6.66 4.67 6.98
ウズベキスタン 7.45 6.09 4.46 5.12
スーダン 4.91 4.7 4.28 -2.32
キューバ 4.44 0.51 1.81 2.25
オマーン 4.74 4.98 0.27 1.76
ルクセンブルク 4.31 4.57 1.8 3.11
クロアチア 2.44 3.48 3.14 2.63
ベラルーシ -3.83 -2.53 2.53 3.05
エチオピア 10.39 9.43 9.5 6.81
ケニア 5.72 5.88 4.86 6.32
ブルガリア 3.47 3.94 3.81 3.08
アゼルバイジャン 1.05 -3.06 -0.28 1.41
スロベニア 2.21 3.12 4.83 4.12
グアテマラ 4.14 3.09 2.76 3.15
ガーナ 2.18 3.45 8.14 6.26
タンザニア 6.16 6.87 6.79 5.44
チュニジア 1.19 1.26 1.82 2.48
ウルグアイ 0.37 1.69 2.59 1.62
リビア -8.86 -2.8 26.68 7.95
コスタリカ 3.63 4.25 3.4 2.63
リトアニア 2.03 2.56 4.25 3.64
パナマ 5.73 4.97 5.32 3.68
セルビア 1.78 3.34 2.05 4.39
トルクメニスタン 6.5 6.2 6.5 6.2
レバノン 0.42 1.61 0.55 0.2
コートジボワール 8.84 7.97 7.7 7.43
カメルーン 5.65 4.65 3.55 4.06
パラグアイ 3.08 4.31 4.96 3.68
マカオ -21.59 -0.72 9.89 5.44
コンゴ 6.92 2.4 3.73 5.76
バーレーン 2.86 3.47 3.8 1.78
ヨルダン 2.39 2 2.12 1.94
ラトビア 3.26 1.77 3.79 4.62
ウガンダ 5.19 4.78 3.86 6.15
ボリビア 4.86 4.26 4.2 4.22
キプロス 3.37 6.75 4.36 4.06

 

世界実質GDPランキング(地域/国別)

次に、世界の国・地域の実質GDP総額をランキングを見てみます。

出典は世界銀行データベースです(2020/2/19閲覧)。

世界銀行のサイトから2010年比で見たドル換算の実質GDPのデータを取り込んでいます。

日本の実質GDPが5.9兆ドル(2015年)や6兆ドル(2016年)になっているので、筆者は「そんなバカな」と思ったのですが、これはあくまでも2010年でのドル円の為替で換算した数字です。

※2010年のドル円の為替の平均値は1ドル=86.81円程度(三菱リサーチ&コンサルティングの試算。ドルを円に換算する際に用いるTTBで計算)

この数字を2015年と16年の実質GDPの数値にかけると、現在、日本政府が国民経済計算で出した数字とほぼ一致します。

  • 5兆9861億ドル×86.81円=519兆6568億円(政府試算は518兆3372億円)
  • 6兆479億ドル×86.81円=525兆177億円(政府試算は524兆3972億円)

世界銀行のデータは2010年のドルを基準にした数字なので、現在の為替で換算すると見当違いになってしまいます。

一応、これを念頭においた上で実質GDPのランキングを見ていきましょう。

以下、単位は全て2010年基準で見た「ドル」です。

地域別に見た実質GDPランキング

(※数値の単位は、1=「100億ドル」。この場合、世界GDPは82.46兆ドル(8246×100億ドル)なお、「ラテンアメリカ等=ラテンアメリカ+カリブ諸国」)。

2015 2016 2017 2018
世界 7578 7766 8008 8246
OECD諸国 4888 4973 5096 5211
欧州+中央アジア 2257 2301 2364 2415
東アジア+太平洋 2107 2192 2293 2389
北米 1851 1879 1922 1977
欧州連合 1801 1837 1885 1923
ユーロ圏 1314 1340 1374 1400
ラテンアメリカ等 593 585 589 592
中東+北アフリカ 323 339 344 352
南アジア 279 300 321 343
アラブ世界 255 263 265 271
サハラ以南アフリカ 168 171 175 179

次に、国別に見た実質GDPのランキングを見てみます。

世界実質GDPランキング:1位~154位

ここにはややマニアックな国も入っていますが、基本的には100億ドル以上の実質GDPがある国をカウントしました。

(※数値の単位は、1=「100億ドル」。この場合、米国は17.86兆ドル(1786×100億ドル)

国名 2015 2016 2017 2018
1 米国 1671 1697 1735 1786
2 中国 889 949 1013 1080
3 日本 599 603 614 619
4 ドイツ 370 378 388 394
5 フランス 278 281 288 292
6 英国 274 279 284 288
7 インド 229 248 266 284
8 ブラジル 234 226 228 231
9 イタリア 206 209 212 214
10 カナダ 180 182 187 190
11 ロシア 165 166 168 172
12 スペイン 142 146 150 154
13 豪州 131 135 138 142
14 韓国 127 131 135 138
15 メキシコ 122 126 129 131
16 トルコ 109 112 121 124
17 インドネシア 99 104 109 115
18 オランダ 88 90 92 95
19 サウジ 68 69 68 70
20 スイス 63 64 66 67
21 ポーランド 56 57 60 63
22 スウェーデン 55 56 58 59
23 イラン 48 54 56 ?
24 ベルギー 51 52 53 54
25 ノルウェー 47 47 48 49
26 ナイジェリア 46 46 46 47
27 アルゼンチン 46 45 46 45
28 オーストリア 41 42 43 44
29 タイ 39 41 42 44
30 南アフリカ 42 42 43 43
31 UAE 37 38 39 39
32 マレーシア 33 35 36 38
33 コロンビア 36 37 37 38
34 アイルランド 31 32 34 37
35 デンマーク 34 35 36 37
36 シンガポール 30 31 32 33
37 フィリピン 27 28 30 32
38 イスラエル 28 29 30 31
39 香港 26 27 28 29
40 エジプト 25 26 27 29
41 チリ 26 27 27 28
42 フィンランド 25 26 26 27
43 パキスタン 22 23 24 25
44 ギリシャ 24 24 25 25
45 チェコ 23 23 24 25
46 ポルトガル 23 23 24 25
47 ルーマニア 19 20 22 22
48 ベネズエラ 40 33 28 22
49 イラク 19 22 21 21
50 ペルー 19 19 20 21
51 カザフスタン 19 19 20 20
52 アルジェリア 19 20 20 20
53 バングラデシュ 16 17 18 19
54 ベトナム 15 16 18 19
55 NZ 17 18 18 19
56 カタール 17 17 17 18
57 ハンガリー 15 15 15 16
58 クウェート 14 14 14 14
59 ウクライナ 12 12 13 13
60 モロッコ 11 11 12 12
61 スロバキア 10 10 11 11
62 アンゴラ 10 10 10 10
63 エクアドル 9 9 9 9
64 プエルトリコ 10 9 9 9
65 スリランカ 8 8 8 9
66 ミャンマー 7 7 8 8
67 ドミニカ 7 7 8 8
68 ウズベキスタン 7 7 7 8
69 スーダン 7 8 8 8
70 キューバ 7 7 8 8
71 オマーン 7 7 7 8
72 ルクセンブルク 6 6 7 7
73 クロアチア 6 6 6 6
74 ベラルーシ 6 6 6 6
75 エチオピア 5 5 6 6
76 ケニア 5 6 6 6
77 ブルガリア 5 6 6 6
78 アゼルバイジャン 6 6 6 6
79 スロベニア 5 5 5 6
80 グアテマラ 5 5 5 5
81 ガーナ 5 5 5 5
82 タンザニア 4 5 5 5
83 チュニジア 5 5 5 5
84 ウルグアイ 5 5 5 5
85 リビア 4 4 5 5
86 コスタリカ 4 5 5 5
87 リトアニア 4 5 5 5
88 パナマ 4 4 5 5
89 セルビア 4 5 5 5
90 トルクメニスタン 4 4 4 4
91 レバノン 4 4 4 4
92 コートジボワール 3 4 4 4
93 カメルーン 3 4 4 4
94 パラグアイ 3 3 4 4
95 マカオ 3 3 4 4
96 コンゴ 3 3 3 4
97 バーレーン 3 3 3 3
98 ヨルダン 3 3 3 3
99 ラトビア 3 3 3 3
100 ウガンダ 3 3 3 3
101 ボリビア 3 3 3 3
102 ザンビア 3 3 3 3
103 キプロス 2 3 3 3
104 エストニア 2 2 3 3
105 セネガル 2 2 2 2
106 ネパール 2 2 2 2
107 エルサルバドル 2 2 2 2
108 ホンジュラス 2 2 2 2
109 TRI 2 2 2 2
110 アフガニスタン 2 2 2 2
111 PNG 2 2 2 2
112 ボスニア 2 2 2 2
113 カンボジア 2 2 2 2
114 ガボン 2 2 2 2
115 ジンバブエ 2 2 2 2
116 イエメン 2 2 2 2
117 アイスランド 2 2 2 2
118 ボツワナ 2 2 2 2
119 ジョージア 2 2 2 2
120 モザンビーク 2 2 2 2
121 マリ 1 1 1 1
122 ナミビア 1 2 1 1
123 アルバニア 1 1 1 1
124 ジャマイカ 1 1 1 1
125 ブルキナファソ 1 1 1 1
126 コンゴ 1 1 1 1
127 マルタ 1 1 1 1
128 ブルネイ 1 1 1 1
129 赤道ギニア 2 2 1 1
130 モーリシャス 1 1 1 1
131 モンゴル 1 1 1 1
132 アルメニア 1 1 1 1
133 マダガスカル 1 1 1 1
134 ラオス 1 1 1 1
135 チャド 1 1 1 1
136 ニカラグア 1 1 1 1
137 北マケドニア 1 1 1 1
138 ギニア 1 1 1 1
139 バハマ、 1 1 1 1
140 ベナン 1 1 1 1
141 ルワンダ 1 1 1 1
142 タジキスタン 1 1 1 1
143 モルドバ 1 1 1 1
144 マラウイ 1 1 1 1
145 ニジェール 1 1 1 1
146 ハイチ 1 1 1 1
147 コソボ 1 1 1 1
148 モナコ 1 1 1 1
149 キルギス 1 1 1 1
150 モーリタニア 1 1 1 1
151 エスワティーニ 1 1 1 1
152 トーゴ 0 0 1 1
153 グアム 1 1 1 1
154 モンテネグロ 0 0 0 1

 

そもそもGDPとは

一応、最後に「GDPって何だっけ」という素朴な疑問について整理しておきます。

GDP=付加価値の累計

GDP(Gross Domestic Product)は「国内総生産」のことで、一国で一定期間につくりだされた付加価値の総額を指します。
ざっと言えば、これは粗利(売上-原材料費)に相当します。

粗利を経済学的に言い直すと、付加価値というもっともらしい言葉になるわけです。

モノやサービスの価格から中間生産物を差し引くと、付加価値は計算できます。農家がつくったお米がモチになり、モチにアンコが入るまでの過程を考えてみましょう。この三つの段階では、以下のように付加価値が生まれてきます。

  • 農家(お米)の総生産1000万:付加価値1000万
  • 加工業者①(モチ)の総生産2000万:中間生産物1000万/付加価値1000万
  • 加工業者②(アンコモチ)の総生産3000万:中間生産物2000万/付加価値1000万

前段階での総生産額は、次の段階の業者が原材料費として購入する金額と同じです。そのため、二段階目以降では、総生産額-中間生産物(原材料費)で付け足した価値(コメをモチにする/モチにアンコをつめる)を計ります。
この場合、この三品目の総生産額は6000万円です。総生産額から中間生産物の合計を引くと、付加価値は3000万円。この金額は、最終生産物であるアンコモチの額(3000万円)と一緒です。

こんなふうに出てきた全国のモノとサービスの付加価値を足し合わせて計算すると、日本全体の付加価値が分かります。
その合計を四半期(1-3月/4-6月/7-9月/10-12月)で見たり、一年全体で見たりすると、GDPがカウントしたりするわけです。
今の日本では、だいたい、一年間のGDPは500兆円ほどです。現実の経済では、サービスを含むたくさんの商品があるので、付加価値の計算は大変、複雑になっていますが、日本では総務省統計局が、これを四半期ごとに集計しています。

GDPの実質値と名目値の違い

これを身近な比喩で説明しますと、同じ体重70キログラムでも、おなかがタプタプで70キロなのと、鍛えまくったボクサーで70キロなのとでは、ぜんぜん意味合いが違います。実質GDPと名目GDPの違いというのは、このようなものです。

GDPの名目値と実質値の違いは、物価の変動をカウントするかどうかが分かれ目です。名目値でGDPが成長していても、同じ比率で物価が上がっているのなら実質値のGDP成長はゼロです。

例えば、2050年にX国のGDPが1000兆円で、これが2051年に1050兆円に増えれば、一年間の名目GDP成長率は5%です。この時、X国の物価が2050年から2051年にかけて5%伸びていたら、GDPの総額が増えていても、物価変動分を引いて、実質GDP成長率は0%になります。

【例1】

  • Yさんの給料は300万円から315万円になりました。
  • しかし、店にある商品はみんな5%値上がりしています(例えば、ラーメン+チャーハン+スープで1000円だった中華定食は1050円になっていたりします)。

こうなったら、経済成長しているとはいいにくいですよね。単に数字が増えただけで、中身は何も変わっていませんから。これはおなかのお肉が増えただけの”成長”に近いので、うれしくありません。実質的な成長というのは、次のようなケースです。

【例2】

  • Yさんの給料は300万円から315万円になりました。
  • 店にある商品はみんな2%値上がりしています(例えば、ラーメン+チャーハン+スープで1000円だった中華定食は1020円になっていたりします)

この場合、給料は5%増えて、物価は2%上がっているわけですから、Yさんは3%豊かになっています。実のある経済成長です。これは筋肉がついて体重が増えたようなものでしょう。この二つの成長を国レベルで見たら、どうなるのでしょうか。

【例A】

名目GDP 1000兆円(2050年)→1050兆円(2051年) 5%成長
実質GDP 1000兆円(2050年)→1000兆円(2051年) 0%成長

【例B】
名目GDP 1000兆円(2050年)→1050兆円(2051年) 5%成長
実質GDP 1000兆円(2050年)→1030兆円(2051年) 3%成長

例1のケースで「0%成長、実質GDP変動なし」になるのは、物価5%上昇によって、2050年の1000兆円は2051年のGDP1050兆円と同じ価値になるからです。

例2のケースで「3%成長、実質30兆円増」になるのは、物価2%上昇によって、2050年の1000兆円は2051年のGDP1020兆円と同じ価値になるので、名目値の1050兆円から1020兆円を引いた時に、実質の成長分の金額と%が計算できるからです。

やや乱暴な比喩ですが、人間で言えば、例1のような成長が続く場合は、単に数字が増えているだけなので、延々とおなかの周りに肉が増えていくような感じでしょう。

例2の場合は、どちらかと言えば、筋肉質のボクサーのように鋼の肉体ができて体重が重くなるようなケースに近いかもしれません。
毎年の名目GDPの伸び率に物価変動の比率を加えることで、実質GDPの成長率が分かります。

名目GDP成長率 - 物価変動率 = 実質GDP成長率

例1と2は物価が上昇するケースですが、物価が-2%の場合は物価下落分が実質GDPに加算されます。

5% -(-2%)= 5%+2% = 7%

GDPの総額と伸び率を計算する時には、名目値に物価変動分を加えた実質値を見る必要があるわけです。

GDPの公式とは

いままで、生産面からGDPを説明してきました。付加価値(売上-製造原価)の面からGDPを見ましたが、GDPは支出面と分配面からも説明できます。
付加価値は、企業の利益となるだけでなく、家計を担う労働者の給料にもなりますし、お金の貸し手である金融機関には利子、株主には配当、政府には税金として分配されます。

仮に1億円の付加価値を生んだパン屋があったとすると、そこから、利益500万円、雇用者への給料(人件費)が6000万円、利子支払いが750万円、配当金が750万円、税金が2000万円……という具合に分配されていくわけです。

上に上げた項目と金額は便宜上あげているだけなので、実際はもっと複雑になりますが、生み出された付加価値と分配される付加価値の総額は同じになります。そして、この場合、消費者が1億円のパンを買っていますので、支出面でも1億円のお金が動いています。生産面、分配面、支出面の金額がどれも1億円になるわけです。

これは小さな例ですが、国全体の経済でも、同じ論理が当てはまります。こうした経済活動がみな累計されて、日本で言えば、500兆円のGDPになっているからです。企業がつくった財やサービスが家計で消費され、その代価であるお金が企業の利益や社員の給料に変わります。

そして、企業の利益が投資に回ったり、給料が株を買うのに使われたり、預金を通じて企業への融資が行われたりします。その結果、生産活動が活発になります。政府のほうも、税金や国債でお金を集めながら、民間の財やサービスを消費し、公共投資をしています。政府からもお金が企業に払われ、民間に流れていくのです。こうした経済活動は、生産・分配・支出の三面のどれかに該当します。

かくして、生産という面から見たGDP(付加価値の合計)は、分配という面から見ると、国民や企業、政府などが得た金額と一致します。そして、支出という面から見ると、国民や企業、政府が消費した金額とも一致するわけです。
生産・支出・分配がみな同じになることが、GDPの三面等価と呼ばれますが、その中で、特によく使われるのが、支出面から見たGDPです。

GDP=消費(C)+投資(Y)+政府支出(G)+輸出(E)-輸入(I

日本国内の活動は、「消費(C)」+「投資(Y)」+「政府支出(G)」です。これに、外国から日本への支出である「輸出(E)」を足し、日本から外国企業への支出である「輸入(I)」を引きます。こうして「国内総支出」が計算されます。この金額が「国内総生産」と一致するわけです。