COP:コノコフィリップスの配当推移

エネルギー,配当






コノコフィリップス(ConocoPhillips)配当推移・利回り【2026年版】



年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等

年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当(ドル)、平均株価、通年EPSの推移を確認してみます。ConocoPhillips(以下、COP)は2021年以降、普通配当に加えてVROC(Variable Return of Cash:変動還元金)を支払ってきましたが、2024年第4四半期からVROCを普通配当に統合しました。そのため、2022〜2024年の「年計」は、普通配当とVROCを合算した実際の配当支払額として見る必要があります。[1]

配当 平均株価 年EPS
平均利回り 成長率 配当性向 年計
2025 3.48% 2% 50% 3.18 91.27 6.35
2024 2.92% -32% 40% 3.12 106.95 7.81
2023 4.49% 3% 51% 4.61 102.69 9.06
2022 4.31% 157% 31% 4.49 104.10 14.57
2021 2.97% 5% 29% 1.75 59.00 6.07
2020 4.03% 25% -67% 1.67 41.40 -2.51
2019 2.19% 16% 21% 1.34 61.20 6.40
2018 1.76% 9% 22% 1.16 65.90 5.32
2017 2.22% 6% -151% 1.06 47.80 -0.70
2016 2.35% -66% -34% 1.00 42.50 -2.91
2015 5.06% 4% -82% 2.94 58.10 -3.58
2014 3.83% -15% 52% 2.84 74.20 5.51
2013 5.20% 27% 46% 3.36 64.60 7.38
2012 4.71% 0% 39% 2.64 56.00 6.72
2011 4.84% 23% 29% 2.64 54.60 8.97
2010 5.08% 13% 28% 2.15 42.30 7.62
2009 5.50% 2% 65% 1.91 34.70 2.94
2008 3.29% 15% -18% 1.88 57.10 -10.73

2026年の配当政策と最新動向

重要な変更点:2024年第4四半期から、COPは従来の普通配当とVROCを統合し、普通配当を四半期0.78ドルへ引き上げました。その後、2025年第4四半期に普通配当を0.84ドルへ増額し、2026年第1四半期・第2四半期も0.84ドルの普通配当を宣言しています。2026年第2四半期配当は、2026年5月11日基準、2026年6月1日支払い予定です。[1]

2025年通期の配当年計は、2025年3月・6月・9月支払い分が各0.78ドル、2025年12月支払い分が0.84ドルで、合計3.18ドルでした。2026年時点の四半期配当0.84ドルを年率換算すると3.36ドルです。[1]

同社は2025年通期に営業キャッシュフロー198億ドル、CFO(運転資本影響を除いたキャッシュフロー)199億ドルを創出し、普通配当40億ドル、自社株買い50億ドル、合計90億ドルを株主に還元しました。これはCFOの45%に相当します。[2]

変動する配当の実績

COPの配当実績は、グローバルエネルギー市場の変動や同社の戦略転換により、かなり特徴的なパターンを示しています。2008年から2015年までは高い配当を維持していましたが、2014年後半からの原油価格下落を受け、2016年には年間配当を大きく削減しました。その後は緩やかに普通配当を回復させ、2021年以降は普通配当とVROCを組み合わせる形で、好況期の余剰キャッシュを株主に還元してきました。

2022年と2023年の年計配当が大きいのは、普通配当に加えてVROCが上乗せされたためです。一方、2024年の年計配当が2023年より減少しているのは、2023年の高水準VROCが縮小した影響です。ただし、2024年第4四半期以降はVROCを普通配当に統合したため、普通配当ベースでは予測可能性が高まりました。

配当成長率と配当性向の特徴

COPの配当政策は原油・天然ガス価格のサイクルに強く連動します。2016年の減配は原油価格下落への防衛策であり、2022年の高い配当成長はエネルギー価格上昇とVROC拡大を反映したものです。2024年の配当成長率がマイナスになっているのは、VROCを含む前年実績との比較によるものであり、普通配当だけを見れば、2024年第4四半期から0.78ドルへ引き上げられています。

2025年通期の配当性向は、年間配当3.18ドルを希薄化後EPS 6.35ドルで割ると約50%です。2025年は原油・天然ガス価格の下落と事業再編費用の影響を受けたものの、営業キャッシュフローとCFOはなお高水準を維持しており、普通配当はキャッシュフローの範囲内で支えられています。[2]

ただし、COPは上流専業に近いE&P企業であり、下流・化学・精製などで収益を平準化できる総合石油メジャーとは性格が異なります。そのため、EPSやキャッシュフローは資源価格の影響を受けやすく、配当安全性を評価する際は、単年度の配当性向だけでなく、CFO、資本支出、自社株買い、負債水準を合わせて確認する必要があります。

財務パフォーマンスと成長見通し

以下の表では、売上高、営業CF、純利益の単位は百万ドル、営業CFマージンは%で表示しています。売上高は、比較可能性を重視してMacrotrendsの年次売上高データを参照し、営業CFと純利益は会社発表・年次報告ベースで確認しています。[3]

主要財務指標の推移

年度 売上高 営業CF 営業CF
マージン
純利益
2008 246,931 22,658 9% -16,349
2009 152,390 12,479 8% 4,414
2010 63,335 17,045 27% 11,358
2011 66,069 19,646 30% 12,436
2012 62,004 13,922 22% 8,428
2013 58,248 16,141 28% 9,156
2014 55,517 16,569 30% 6,869
2015 30,935 7,572 24% -4,428
2016 24,360 4,403 18% -3,615
2017 32,584 7,077 22% -855
2018 38,727 12,934 33% 6,257
2019 36,670 11,104 30% 7,189
2020 19,256 4,802 25% -2,701
2021 46,660 16,996 36% 8,079
2022 80,575 28,314 35% 18,680
2023 58,574 19,965 34% 10,957
2024 56,953 20,124 35% 9,245
2025 61,548 19,796 32% 7,988

収益性と効率性の変動

COPの財務データからは、エネルギー企業特有の景気循環性と、事業ポートフォリオ再編の影響が見てとれます。

  • 2008〜2011年は、旧Phillips 66分離前の事業構造を含むため、売上高規模が現在とは大きく異なります。
  • 2012年のPhillips 66分離後、COPは上流事業に集中する会社となり、売上高は旧総合石油型の時代より小さくなりました。
  • 2015〜2016年と2020年は、原油価格下落により純利益が赤字化しました。
  • 2021〜2022年は、資源価格上昇により営業CFと純利益が急回復しました。
  • 2025年通期は、売上高615億ドル、営業CF198億ドル、純利益80億ドルとなり、2024年比で純利益は減少しました。

2025年は、マラソン・オイル買収の通年寄与により生産量が増加した一方、平均実現価格の低下や統合関連費用が利益を押し下げました。2025年通期の生産量は日量237.5万バレル石油換算で、2024年通期の日量198.7万バレル石油換算から増加しました。[2]

安定したキャッシュフロー基盤

以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFの単位は百万ドル、成長率は%で表示しています。

年度 営業CF 成長率 投資CF 財務CF
2008 22,658 -8% -17,616 -5,764
2009 12,479 -45% -9,935 -2,855
2010 17,045 37% 4,665 -12,819
2011 19,646 15% -7,015 -16,305
2012 13,922 -29% -11,627 -4,481
2013 16,141 16% -6,305 -7,133
2014 16,569 3% -14,965 -2,574
2015 7,572 -54% -8,655 -1,429
2016 4,403 -42% -3,859 764
2017 7,077 61% 7,762 -12,356
2018 12,934 83% -3,843 -9,359
2019 11,104 -14% -6,618 -5,229
2020 4,802 -57% -4,121 -2,708
2021 16,996 254% -8,544 -6,335
2022 28,314 67% -8,741 -18,053
2023 19,965 -29% -12,000 -8,661
2024 20,124 1% -12,100 -9,100
2025 19,796 -2% -7,938 -10,600

COPのキャッシュフローには、いくつかの重要なパターンが見られます。

  • 営業CFは原油価格サイクルに連動し、2015〜2016年と2020年に大きく低下しました。
  • 2022年は資源価格高騰を背景に、営業CFが283億ドルまで拡大しました。
  • 2025年通期の営業CFは198億ドルで、2024年通期の201億ドルとほぼ同水準を維持しました。
  • 2025年通期は、普通配当40億ドル、自社株買い50億ドル、合計90億ドルを株主に還元しました。
  • 2026年第1四半期は、営業CF43億ドル、CFO54億ドル、株主還元20億ドルを計上しました。

特に注目すべきは、2026年の株主還元目標です。COPは2026年にCFOの45%を株主に還元する方針を示しています。2026年第1四半期には、普通配当10億ドル、自社株買い10億ドル、合計20億ドルを株主に還元しました。[4]

負債水準と資本構成

以下の表では、総資産、総負債、株主資本の単位は百万ドル、自己資本率と負債比率は%で表示しています。

年度 総資産 総負債 株主資本 自己資本率 負債比率
2008 142,865 86,600 55,165 39% 157%
2009 152,138 89,525 62,023 41% 144%
2010 156,314 87,205 68,562 44% 127%
2011 153,230 87,481 65,239 43% 134%
2012 117,144 68,717 47,987 41% 143%
2013 118,057 65,565 52,090 44% 126%
2014 116,539 64,266 51,911 45% 124%
2015 97,484 57,402 39,762 41% 144%
2016 89,772 54,546 34,974 39% 156%
2017 73,362 42,561 30,607 42% 139%
2018 69,980 37,916 31,939 46% 119%
2019 70,514 35,464 34,981 50% 101%
2020 62,618 32,769 29,849 48% 110%
2021 90,661 45,255 45,406 50% 100%
2022 93,829 45,826 48,003 51% 95%
2023 95,924 46,645 49,279 51% 95%
2024 122,780 57,984 64,796 53% 89%
2025 121,939 57,451 64,488 53% 89%

COPの資本構成には、長期的な財務体質の改善が見られます。

  • 2016年の自己資本率は39%でしたが、2024年・2025年は53%前後まで改善しました。
  • 負債比率は2016年の156%から、2024年・2025年は89%前後へ低下しました。
  • 2024年はマラソン・オイル買収により総資産が大きく増加しました。
  • 2025年末は総資産1,219億ドル、総負債575億ドル、株主資本645億ドルでした。
  • 2026年第1四半期末は、現金・短期投資67億ドル、長期投資12億ドルを保有していました。

2024年のマラソン・オイル買収により、資産規模は大きく拡大しました。一方で、2025年には資産売却やキャッシュ創出により、買収後のバランスシート改善が進みました。会社は2025年に非中核資産売却を進め、2026年も資本・コスト削減を重視する方針を示しています。

2026年の見通しと戦略的展開

COPは2026年に向けて、マラソン・オイル統合後の効率化、株主還元、資本支出の抑制を同時に進めています。

マラソン・オイル買収の統合効果

2024年に完了したマラソン・オイル買収により、COPのLower 48事業は大きく拡大しました。2025年通期の総生産量は日量237.5万バレル石油換算、Lower 48生産量は日量148.4万バレル石油換算となりました。2025年時点で、マラソン・オイル統合によるランレートベースのシナジーは10億ドル超に達したと会社は説明しています。[2]

株主還元強化と新配当政策

2026年の株主還元は、普通配当と自社株買いを組み合わせる形が中心です。会社は2026年にCFOの45%を株主に還元する目標を掲げています。2026年第1四半期には、普通配当10億ドル、自社株買い10億ドル、合計20億ドルを還元しました。[4]

操業効率化とコスト管理

2026年の資本支出見通しは120億〜125億ドルです。2026年2月時点では約120億ドルとしていましたが、2026年第1四半期決算では、マクロ環境やカタール関連の投資タイミングなどを踏まえ、120億〜125億ドルのレンジに更新されました。また、2026年通期の生産見通しは日量229.5万〜232.5万バレル石油換算です。[4]

一方で、2026年は中東情勢の影響により、カタール生産の不確実性がガイダンスに織り込まれています。COPは2026年第2四半期の生産ガイダンスからカタールを除外し、通期生産見通しにも20千バレル石油換算/日の調整を入れています。これは、地政学リスクが上流企業の短期業績に直接影響しうることを示しています。[4]

まとめ:長期配当投資家にとってのCOPとは?

ConocoPhillipsは、エネルギー企業としての収益力と財務安定性のバランスを重視する経営姿勢を示しています。過去の配当実績から見ると、市場環境に応じて配当政策を柔軟に調整する特徴があり、原油価格の高騰期には積極的な株主還元、低迷期には財務安定性を優先する傾向があります。

同社の強みは以下の点にあります。

  • 2025年通期に営業CF198億ドル、CFO199億ドルを生み出したキャッシュ創出力
  • 2025年通期に90億ドル、CFOの45%を株主に還元した実績
  • 2024年第4四半期以降、VROCを普通配当に統合し、配当の予測可能性を高めた点
  • 2025年末時点で自己資本率約53%、負債比率約89%という改善した財務基盤
  • マラソン・オイル買収によるLower 48資産の拡大とシナジー効果
  • 2026年もCFOの45%を株主還元に回す方針

一方で、注意すべき点としては以下があります。

  • 原油・天然ガス価格に大きく左右される収益構造
  • 2016年に大幅減配を行った実績があり、安定増配株とは性格が異なる点
  • VROCを含めた総配当額は市況に応じて大きく変動する点
  • 下流・化学事業を持つ総合石油メジャーより、資源価格への感応度が高い点
  • マラソン・オイル統合後のコスト削減・資産売却の進捗リスク
  • 中東情勢やカタール生産など、地政学リスクの影響を受ける点

投資家へのポイント:COPへの投資は、安定配当株というより、「上流エネルギー資産から生まれるキャッシュフローを、配当と自社株買いで株主に返す企業」への投資と見るのが自然です。2026年時点では、四半期0.84ドルの普通配当と自社株買いが株主還元の中心であり、VROC統合により配当の見通しは以前よりわかりやすくなりました。ただし、原油・天然ガス価格が下落すれば、EPSやキャッシュフローは大きく減少し、自社株買いや将来の配当成長も抑制される可能性があります。

よくある質問

COPの配当はどれくらい安全ですか?

COPの普通配当は、2026年時点では比較的安定していると見られます。2025年通期の年間配当は3.18ドル、希薄化後EPSは6.35ドルで、配当性向は約50%でした。2026年第1四半期も普通配当0.84ドルを支払い、2026年第2四半期も同額を宣言しています。ただし、COPは原油・天然ガス価格の影響を受けやすい上流企業です。2016年には大幅減配を行っているため、公益株や生活必需品株のような安定配当株とは異なります。

2024年の配当は減配だったのですか?

VROCを含む年間支払額で見ると、2024年の年計配当3.12ドルは2023年の4.61ドルを下回ったため、表では減配に見えます。しかし、これは2023年のVROCが大きかった反動です。普通配当ベースでは、2024年第4四半期にVROCを統合して四半期0.78ドルへ引き上げており、2025年第4四半期には0.84ドルへ増額されました。したがって、COPの配当を見る際は、普通配当とVROCを分けて考える必要があります。

2010年の売上高の急減の背景は何ですか?

2010年前後の売上高変化は、旧ConocoPhillipsの事業構造や資産再編の影響を強く受けています。さらに2012年にはPhillips 66を分離し、COPは上流事業に集中する会社へ移行しました。そのため、2008〜2011年の売上高を現在のCOPと単純比較する際には注意が必要です。現在のCOPは、精製・販売を含む総合石油会社ではなく、主に探査・生産を担う上流会社として見るべきです。

2017年の投資CFがプラスとなっている理由は何ですか?

2017年の投資CFがプラスになっているのは、大規模な資産売却があったためです。この時期、COPは原油価格低迷後の財務体質改善を進め、不採算資産や非中核資産を売却しました。資産売却で得た資金は、負債削減や株主還元に活用されたと考えられます。これは、同社がより資本効率の高い上流企業へ移行する過程で重要な転換点でした。

マラソン・オイル買収の影響はどの程度ですか?

マラソン・オイル買収は、COPのLower 48事業を大きく拡大しました。2025年通期の総生産量は日量237.5万バレル石油換算となり、2024年通期の日量198.7万バレル石油換算から増加しました。会社は、2025年時点でマラソン統合によるランレートベースのシナジーが10億ドル超に達したと説明しています。一方で、買収後は統合費用、資産売却、コスト削減の進捗も重要になります。

※本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

なお、本記事中の2025年通期データは、ConocoPhillipsが2026年2月5日に発表した2025年通期決算および2025年Annual Reportに基づきます。2026年データは、同社が2026年4月30日に発表した2026年第1四半期決算に基づきます。

【注】(出典リンク)

  1. 配当履歴・VROC統合後の普通配当 → ConocoPhillips Dividend History(確認日:2026-05-11)
  2. 2025年通期決算・株主還元・生産量・マラソン統合 → ConocoPhillips FY2025 Results2025 Annual Report(確認日:2026-05-11)
  3. 売上高・平均株価・財務データ補助 → Macrotrends RevenueMacrotrends Stock Price History(確認日:2026-05-11)
  4. 2026年第1四半期決算・配当・CFO・株主還元・ガイダンス → ConocoPhillips 1Q 2026 Results(確認日:2026-05-11)
  5. 2026年コスト削減・資産売却・市況補足 → Reuters, ConocoPhillips targets cost cuts in 2026(確認日:2026-05-11)



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Posted by 南 一矢