VIG・SDYの利回りを比較(連続増配ETFの株価・配当)
連続増配銘柄に投資するETF(VIGとSDY)のデータを比較し、情報を整理してみます。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を紹介してみましょう
【徹底比較】VIG vs SDY “連続増配"ETFのおすすめはどっち?戦略の違いを解説
安定した業績を持ち、株主への還元を継続的に増やす「連続増配株」。こうした優良企業にまとめて投資できるのが「連続増配ETF」です。中でも、VIGとSDYは代表的なETFとしてよく比較されます。
しかし、この2つは「連続増配」という共通点を持ちながら、その銘柄選定の「基準」が全く異なります。VIGは「将来の増配能力」を重視する一方、SDYは「過去の増配実績と現在の高利回り」を重視します。この違いを理解することが、最適なETF選びの鍵となります。
【VIG vs SDY】投資戦略 比較一覧表
まずは、2つのETFの「銘柄選定基準」の違いが一目でわかる比較表をご覧ください。「投資戦略」と「経費率」が特に重要な比較ポイントです。
比較項目 | VIG (バンガード) | SDY (SPDR) |
---|---|---|
投資戦略 | 【成長バランス型】 | 【実績・高利回り型】 |
選定キーワード | 10年以上の増配実績 +将来の増配能力 |
20年以上の増配実績 +現時点での高利回り |
配当利回り(目安) | 約1.9% | 約2.8% |
経費率(年率) | 0.06% | 0.35% |
主な構成セクター | 情報技術, ヘルスケア, 金融 | 公益事業, 金融, 生活必需品 |
※データは2025年6月時点のものを参考にしています。各種データは変動します。
各ETFの「銘柄選定基準」と特徴
人気の2銘柄は、それぞれ異なる基準で銘柄を選んでいます。
【VIG】バンガード米国増配株式ETF (成長バランス型)
- 銘柄選定の基準: S&P U.S. Dividend Growers Indexに連動。「過去10年以上連続増配」という実績に加え、将来も増配を続けられると期待される「財務健全性」も基準に含みます。いわば「未来の配当王」に投資する戦略です。
- ポートフォリオの特徴: この「将来性」を重視する選定基準により、マイクロソフトやアップルのような巨大ハイテク企業も構成銘柄の上位に入ってきます。その結果、配当(インカムゲイン)だけでなく、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)もバランス良く狙えるポートフォリオになります。
- コスト: 経費率が0.06%と、業界最安水準なのも大きな魅力です。
- 出典: Vanguard
【SDY】SPDR S&P 米国高配当株式ETF (実績・高利回り型)
- 銘柄選定の基準: S&P High Yield Dividend Aristocrats Indexに連動。「S&Pコンポジット1500指数の中から20年以上連続で増配している企業」を抽出し、さらにその中で「配当利回りが高い順」に銘柄を選びます。
- 補足: S&P 500構成銘柄を対象とする有名な「配当貴族指数」(こちらは25年以上連続増配が基準)とは少し異なり、より幅広い企業から高利回り銘柄を選定する指数です。
- ポートフォリオの特徴: 長い歴史と実績を持つ企業が選ばれるため、ポートフォリオは公益事業、金融、生活必需品といった、成熟したディフェンシブな業種が中心になります。株価の急成長は期待しにくい反面、安定した高い分配金と、不況時の下落耐性が期待されます。
- コスト: 経費率は0.35%と、VIGに比べると高めです。
- 出典: SSGA
結論:どちらの「増配」戦略を選ぶべきか?
あなたの投資目的によって、最適な選択は異なります。
株価成長と配当の両方をバランス良く狙いたいなら → VIG
「配当は欲しいけれど、株価の値上がりも逃したくない」という方に最適です。特に、長期的なトータルリターンを重視する資産形成期の投資家にとって、中核的な資産(コア)となり得るETFです。圧倒的な低コストも長期投資では有利に働きます。
安定した高い分配金と、守りの固い投資をしたいなら → SDY
「株価の大きな変動は避けつつ、実績のある企業から安定したインカムを得たい」という方に向いています。特に、リタイア後のキャッシュフローを重視する投資家や、ポートフォリオのディフェンス力を高めたい場合に有効な選択肢です。
投資の際の注意点
- トータルリターンで判断する: 配当利回りだけでなく、株価の変動を含めた総収益でETFの成績を評価しましょう。
- 増配は保証ではない: 過去に増配を続けてきた企業でも、経済状況の変化によっては将来「減配」するリスクは常にあります。
- 金利上昇の影響: 一般的に、金利が上昇する局面では、より安全な債券の魅力が増すため、高配当株は売られやすくなる傾向があります。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当(分配金)と利回り
年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)
VIGの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 1.81% | 3.38 | 5.3% | 186.6 | 18% |
2023 | 2.03% | 3.21 | -13.7% | 158.2 | 3.5% |
2022 | 2.43% | 3.72 | 41.4% | 152.8 | -1.5% |
2021 | 1.7% | 2.63 | 42.2% | 155.1 | 25.4% |
2020 | 1.5% | 1.85 | -31% | 123.7 | 8.3% |
2019 | 2.35% | 2.68 | 5.1% | 114.2 | 9.5% |
2018 | 2.44% | 2.55 | 34.2% | 104.3 | 12.2% |
2017 | 2.04% | 1.9 | 5% | 93 | 13.6% |
2016 | 2.21% | 1.81 | 0.6% | 81.9 | 3.1% |
2015 | 2.27% | 1.8 | 15.4% | 79.4 | 3.4% |
2014 | 2.03% | 1.56 | 14.7% | 76.8 | 12.6% |
2013 | 1.99% | 1.36 | -2.2% | 68.2 | 17.8% |
2012 | 2.4% | 1.39 | 19.8% | 57.9 | 7.6% |
2011 | 2.16% | 1.16 | 12.6% | 53.8 | 11.4% |
2010 | 2.13% | 1.03 | 6.2% | 48.3 | 18.1% |
2009 | 2.37% | 0.97 | -4% | 40.9 | -16.9% |
2008 | 2.05% | 1.01 | – | 49.2 | – |
SDYの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 2.55% | 3.38 | 2.4% | 132.4 | 8.7% |
2023 | 2.71% | 3.3 | -16.5% | 121.8 | -2.1% |
2022 | 3.18% | 3.95 | 55.5% | 124.4 | 3.1% |
2021 | 2.1% | 2.54 | -33% | 120.7 | 26.4% |
2020 | 3.97% | 3.79 | 15.2% | 95.5 | -5% |
2019 | 3.27% | 3.29 | 8.2% | 100.5 | 6.7% |
2018 | 3.23% | 3.04 | -30.9% | 94.2 | 4.9% |
2017 | 4.9% | 4.4 | 57.1% | 89.8 | 10.6% |
2016 | 3.45% | 2.8 | -38.3% | 81.2 | 5.3% |
2015 | 5.89% | 4.54 | 22% | 77.1 | 2.4% |
2014 | 4.94% | 3.72 | 31% | 75.3 | 11.1% |
2013 | 4.19% | 2.84 | 50.3% | 67.8 | 20% |
2012 | 3.35% | 1.89 | 10.5% | 56.5 | 7.2% |
2011 | 3.24% | 1.71 | -0.6% | 52.7 | 8% |
2010 | 3.52% | 1.72 | 0% | 48.8 | 22% |
2009 | 4.3% | 1.72 | -21.5% | 40 | -17.2% |
2008 | 4.53% | 2.19 | – | 48.3 | – |
ポートフォリオ
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、組入れ上位10銘柄はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。