日本の長者番付一覧(1位~50位)資産額、年齢、性別、業種等に要注目

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2022年の4月5日にフォーブス誌は世界のビリオネアランキングを更新。

フォーブスのランキングでは、例年、まず、世界の大富豪の資産額が公表され、その1~2か月後ぐらいに50人の日本の長者ランキングが整理されます。

4/5のランキングを日本円換算すると、上位3人の資産は以下の通りでした。

  1. 柳井正:3兆500億円
  2. 滝崎武光:2兆7920億円
  3. 孫正義:2兆7270億円

上位に入る日本のお金持ちは、どんな顔ぶれなのでしょうか。

【2022】日本の富豪1位~40位の顔ぶれ

フォーブスの「日本の長者番付50」を見てみます。

『フォーブス2017年7月号』〔P59〕の解説によれば、世界規模で見た「ビリオネアランキング」とは違い、日本の長者番付は家族と共有する資産を含めて計算した金額です。

(※は一家・親族を含む。高原豪久のような二代目経営者の場合、事業継承前のデータは父の高原慶一朗の資産額を記載)。

氏名 億円 社名
1 柳井 正 30500 73 ファーストリテイリング
2 滝崎武光 27920 76 キーエンス
3 孫 正義 27270 64 ソフトバンク
4 佐治信忠 12020 76 サントリー
5 高原豪久 8270 60 ユニ・チャーム
6 永守重信 5950 77 日本電産
7 三木谷浩史 5690 57 楽天
8 伊藤雅俊 5620 98 セブン&アイ
9 毒島秀行 5430 69 SANKYO
10 野田順弘 4520 84 オービック
11 森 章 4140 85 森トラスト
12 重田康光 4010 57 光通信
13 三木正浩 3880 67 ABCマート
14 似鳥昭雄 3750 78 ニトリ
15 安田隆夫 3360 73 パン・パシフィック・I
16 襟川陽一* 3230 71 コーエーテクモ
17 多田勝美 3100 76 大東建託
18 小林一俊* 2970 コーセー
19 大塚裕司 2840 68 大塚商会
20 関家一家 2590 56 ディスコ
21 土屋嘉雄* 2550 89 ベイイシアG
22 栗和田榮一 2530 75 SG
23 宇野正晃 2520 75 コスモス薬品
24 荒井正昭 2460 55 オープンハウス
25 内山 洋* 2330 レーザーテック
26 武井博子 2260 68 武富士(創業者夫人)
27 前澤友作 2200 46 スタートトゥデイ
28 上月景正 2070 81 コナミ
29 福嶋康博 2000 74 スクウェア・エニックス
30 木下盛好* 1940 アコム
31 小川賢太郎 1870 73 ゼンショー
32 中谷忠子 1810 シスメックス
33 多田直樹* 1760 サンドラッグ
34 柴原慶一 1750 57 アンビス
35 松井道夫* 1730 松井証券
36 飯田和美 1680 82 飯田グループ
37 島村恒俊 1620 96 しまむら
38 里見 治 1600 80 セガサミー
39 岡田和生 1550 79 ユニバーサルエンタメ
40 藤田 晋 1500 49 サイバーエージェント
41 森 佳子 1490 81 森ビル(森稔夫人)
42 石橋 寛 1360 ブリヂストン
43 田中良和 1340 45 グリー
44 吉田嘉明 1330 81 DHC
45 福武總一郎 1290 76 ベネッセ
46 新井 隆司 1290 76 ビックカメラ
47 和田成史 1240 69 オービック
48 本庄八郎 1230 82 伊藤園
49 和佐見 勝 1220 76 丸和運輸機関
50 丹下 大 1200 47 SHIFT

 

【2018~2022】日本の富豪1位~50位の資産額の変動

さらに、フォーブス(ネット版)のランキングからベスト50位の顔ぶれと資産の変動を見てみます。

(※は一家・親族を含む。高原豪久のような二代目経営者の場合、事業継承前のデータは父の高原慶一朗の資産額を記載)。

氏名 2022 2021 2020 2019 2018
1 柳井正 30500 46270 23870 27670 20210
2 滝崎武光 27920 28420 21190 20670 18430
3 孫正義 27270 48920 21940 26670 22930
4 佐治信忠 12020 10690 10060 12000 18850
5 高原豪久 8270 8810 6320 5780 5450
6 永守重信 5950 9920 3960 5000 5760
7 三木谷浩史 5690 8260 5780 6670 5660
8 伊藤雅俊 5620 4520 3480 4220 4080
9 毒島秀行 5430 4850 4390 4950 4820
10 野田順弘 4520 4740 3360 2610 1990
11 森章 4140 4300 4170 5220 6910
12 重田康光 4010 5620 5030 6000 4500
13 三木正浩 3880 4080 3430 4210 4190
14 似鳥昭雄 3750 5730 4280 3780 5030
15 安田隆夫 3360 4410 3370 3000 2460
16 襟川陽一* 3230 3640 1450 1390 1050
17 多田勝美 3100 2540 2520 2450 2250
18 小林一俊* 2970 3970 3320 4330 4290
19 大塚裕司 2840 3420 3350 2890 3560
20 関家一家 2590 ? ? ? ?
21 土屋嘉雄* 2550 4190 3530 ? ?
22 栗和田榮一 2530 2480 1310 1940 1260
23 宇野正晃 2520 3530 2570 2110 2300
24 荒井正昭 2460 2530 1120 1030 ?
25 内山洋* 2330 2260 ? ? ?
26 武井博子 2260 2100 1790 1890 1890
27 前澤友作 2200 2090 2030 2220 2830
28 上月景正 2070 1820 980 1340 1380
29 福嶋康博 2000 2310 1770 1500 1680
30 木下盛好* 1940 2860 2460 2280 2620
31 小川賢太郎 1870 1870 1280 1670 1520
32 中谷忠子 1810 ? ? ? ?
33 多田直樹* 1760 2200 1820 1830 2510
34 柴原慶一 1750 ? ? ? ?
35 松井道夫* 1730 1740 1480 2000 1620
36 飯田和美 1680 2040 1070 1560 1410
37 島村恒俊 1620 1760 ? 1090 1440
38 里見治 1600 1310 1020 1000 1090
39 岡田和生 1550 2070 1280 2270 3140
40 藤田晋 1500 1980 1030 1170 1390
41 森佳子 1490 1420 1500 1920 2720
42 石橋寛 1360 ? 940 1130 1100
43 田中良和 1340 ? 1020 1090 1230
44 吉田嘉明 1330 ? ? ? ?
45 福武總一郎 1290 ? 1230 1220 1340
46 新井隆司 1290 1430 ? ? ?
47 和田成史 1240 1710 1340 ? ?
48 本庄八郎 1230 ? ? ? ?
49 和佐見勝 1220 1380 1000 ? ?
50 丹下大 1200 ? ? ? ?

 

長者番付ベスト10の横顔

1位:柳井正 今後の戦略は?

(22 April 2015/Author:Jigneshhn/出所はWIKI)

ファーストリテイリングの柳井正(会長兼社長)は17年10月に、2年後を目途に社長職を譲り、会長職に専念すると述べたものの、かじ取りが難しい時代が続き、このプランはいまだ実現していません。

世界一の衣料品会社を目指す柳井も70歳をすぎたので、今後は後継者の選定(もしくは「後継者育成計画」)が大きな課題になります。

日経電子版「2年後に会長専念」によれば、その後継者は「執行役員など内部から選ぶ」ことになるそうです。
(出所:日経電子版「ファストリ柳井、2年後に会長専念 社内から社長」2017/10/21)

  • 「実際の経営は若い人がしないといけない」
  • 市場の構造改革に対応し、スピード感ある経営判断を下すには、体力やIT(情報技術)などの知見がある若い経営者が必要であるため。
  • 後継者は「今の執行役員の中から一番ふさわしい人が最高経営責任者になる」
  • 現在、執行役員にあたる人は40人強。執行役員の2人の実子は後継の社長候補ではないという。
  • 「会長職」はアドバイスする立場だが「創業者に引退はない」。
  • 柳井は過去、「65歳での社長引退」を撤回したこともある。

柳井は、守成をしながら事業を継続的に大きくするという難しい課題に直面しています。後継者の選定がうまく行くかどうかは、今後の企業経営の貴重なケーススタディになりそうです。

柳井は2018年に『トヨタ物語』(野地秩嘉著)を読み、「自分はまだまだ甘い」と感じ、ユニクロをトヨタに負けない大企業に発展させる決意を新たにしたとも述べています。トヨタは初代(豊田佐吉)から二代目(豊田喜一郎)、三代目へと事業を継承し、優れた後継者が事業を発展させたからです。

今後、ユニクロが事業継承に成功するかどうかは、大きな運命の分かれ目となります。

2位:滝崎武光 退任後もキーエンスは堅調

滝崎武光は1972年にリード電機(現キーエンス)を創業(現・名誉会長)。

74年以来、代表取締役社長を務め、2000年12月には代表取締役会長となりました(2015年に会長から退任)。

一代で日本のリーディングカンパニーを築き上げたわけです。

キーエンスは、FAセンサー等の検出・計測制御機器大手です(*FA=工場の自動化。ファクトリー・オートメーションの略)。

その人工知能(AI)搭載画像判別センサーは超小型なのに、自動で明るさや焦点、検出設定等を計測・数値化し、は瞬時に「良品・不良品」の判別を行うことが可能です。

同社は、この分野のリーディングカンパニーで、立体物の情報を周囲から計測・数値化する3Dスキャナー型三次元測定機、自動倉庫システムなども手がけています。

独自のビジネスモデルを持った企業として知られ、工場を持たずに生産を委託する仕組みと、直販体制でのコンサル・提案営業を両立しています。

大きな権限を持った営業スタッフが顧客の生産現場に入ってコンサル営業を行い、顧客ニーズを開発部門に伝え、高付加価値の新製品を生み出すわけです。

そのモデルは謎が多いのですが、滝崎氏の退任後も、その仕組みは堅調。

コロナショック後、FAセンサーは自動車向けや半導体・電子機器向け、食品向けも復調しました。

強みの直販体制ではオンライン営業も普及し、安定した営業活動が可能になっています。

3位:孫正義 通信業界の雄から投資事業へ

孫正義は、19歳の頃、初めてマイクロプロセッサーを雑誌で見て、感動のあまり路上で泣いたとも述べています。
「これで人類の生活が一変する。人類最大のイノベーションだ」(『フォーブス2018年3月号、P49)

この時、産業革命に次ぐ情報革命が起きると直感したのです。

孫はカリフォルニア大在学中に音声翻訳機の特許売却で得た資金を元手にして、1979年にベンチャー企業を創業。80年に卒業し、この企業を売却して帰国後、ソフトバンクを設立しました(81年)。

当初はパソコンソフトの卸売を行い、パソコン関連の出版業にも業務を拡大。96年には米ヤフーに出資し、合弁事業でYahoo! JAPANを立上げました(98年に東証一部に上場)。ネットビジネスに乗り出し、放送、通信、金融などでM&Aを行い、事業を拡大していきます。

ネット普及の追い風を受け、ポータルサイトのヤフーが広告収入等で急成長を遂げることができたのは、米国で成功したビジネスモデルが数年遅れで日本にもやってくると読んだ先見の明が功を奏したからです。

孫は、この頃にYahoo!BBを設立し、最安価なADSLのネット接続サービスを提供。さらに、固定電話会社の日本テレコム買収、携帯電話事業への参入表明などで通信業界に旋風を起こし、06年に英通信会社ボーダフォンの日本法人を買収しました(ソフトバンクモバイルに社名が変わる)。

(11 July 2008/Source:iPhone 3G 孫正義 谷原章介/Author:Masaru Kamikura from Japan)

近年では「通信事業会社から戦略的持株会社へ」という構想のもと、世界の各地で情報技術系の企業に投資を行っています。

人工知能(AI)のAIの活用による市場拡大と新産業創出に着目し、各分野のリーダー企業に投資し、シナジー効果を狙う「群戦略」のもと、2017年に「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立しました。サウジアラビア等の協力を得て、世界中のスタートアップへの年間投資額に匹敵する10兆円規模のファンドができたのです。その投資先はワンウェブ(米衛星通信)、フリップカート(インドのネット通販)、ボストン・ダイナミクス(ロボット)、OSIソフト(産業用IoT)等で、概算すると、1社あたり1000億円規模になるそうです(米ウーバーテクノロジーズへの投資は1兆円規模)。

孫氏は「SoftBank World 2017」の基調講演(講演動画⇒「動画配信 | ニュース | 企業・IR | ソフトバンクグループ」)で、産業革命を筋肉の力の拡張、情報革命を脳細胞の力の拡張にたとえていました。

なかでもIoTで90%のシェアを持ち、世界中のスマホにチップが搭載されているアームの買収(2016年9月)が注目されましたが、その後、ビジョンファンドの業績悪化にともない、アームはNVDA(エヌビディア)に売却されています。

その後、2020年の株安が直撃し、孫氏は大打撃を受けましたが、その後、株価の回復に伴い、ソフトバンクグループは勢いを挽回。

しかし、2021年には中国株が失速し、中国株の保有比率の高い同社は、再び難しい局面に立たされています。

4位:サントリー 佐治信忠氏

佐治信忠(1945~)はサントリーを発展させた元会長の佐治敬三(1919-1999)の後を継ぎました。

サントリーの歴史を振り返ると、1899年に鳥井信治郎が鳥井商店として大阪に創業(その後、何度も社名が変わる)。酒類の製造・販売を手がけ、1946年に「トリスウイスキー」を発売。これがブームになり、日本でウイスキーが普及するきっかけとなりました。

1963年にはサントリーに社名変更し、武蔵野ビール工場を完成させてビール製造にも進出しています。

佐治敬三は、この頃、1967年に日本で初めてビール酵母の熱処理殺菌なしの「生ビール」をつくり上げ、1986年には100%麦芽のビール「モルツ」を発売。

しかし、87年にはアサヒビールが「スーパードライ」を発売し、サントリーのビール事業は赤字化していきます。

敬三は「商いとは『飽きない』こっちゃ」と述べ、赤字続きのビール事業の再生に執念を燃やしたものの、生前にその黒字化を見ることはできませんでした。

しかし、信忠はその試みを引き継ぎ、「ザ・プレミアム・モルツ」を開発し、2008年に黒字化を達成します。

この父子は、日本における事業継承の有名な成功例となりました。

信忠は海軍で技術将校をしていた父を「学者タイプ」と評しました。(以下、出所は「ビールに執念の遺伝子」サントリー佐治、父を語る NIKKEI STYLE)

「創業者の祖父(鳥井信治郎)は根っからの商売人だったが、おやじは実はそうではないんです。たぶん、研究者になりたかったんでしょう。経営者になり、ずいぶん努力したんでしょうね」

そして、敬三の業績として「ビール事業への参入」を挙げています。

「それで今のサントリーがある。ウイスキーだけだったらつぶれていたでしょうね。ウイスキーは手工業的な世界ですが、ビール事業に参入したことでサントリーは近代的な企業に生まれ変わった」

信忠は資金の回転も早く、難しい装置産業であるビール事業で父が会社を変えたことに敬意を表しています。

祖父⇒父⇒子と事業を三代にわたって継いできた佐治家の事例には、他の経営者にとって、学ぶべきことが数多くありそうです。

5位:高原豪久 ユニチャーム二代目

高原豪久氏は二代目社長の成功例です。

ユニ・チャームは、ベビーケア用品(オムツ等)、生理関連用品、大人用排泄介護用品、掃除用品(シートクリーナー等)、ウェットティッシュ、立体型マスク、ペットケア用品などを手がけています(*近年は中国を軸にしたアジア展開に注力)。

高原氏はユニチャーム創業者である高原慶一朗氏から事業を継ぎ、企業のグローバル化を進め、業績を拡大しました。

高原氏は1961に愛媛県に生まれ、若い頃に米国に1年間留学しています。その時、欧米企業のスケールの大きさを見て対抗意識を燃やし、欧州・米州・アジアのうち、これから最も伸びしろのあるのはアジアだと考えました。

そのために、有利な位置にある日本からグローバル化を目指したわけです。

まずは銀行に入社し、その後にユニチャームに入りましたが、当時は父が進めた多角化が裏目に出、大企業化に伴って社員の活力も低下していたようです。

高原氏は、経営の重責を担うと「本業多角化、専業国際化」という方針を掲げます。

不織布と吸収体の加工成形技術に経営資源を集中させ、そこから派生した事業を育成し、競争力の強い事業を海外展開していきました。

2001年に39歳で社長に就任した頃は、整理した事業の役員だけでなく、父とも確執が起きましたが、この方針を断行。その結果、世界80カ国以上に進出し、ベビー用紙おむつや生理用品市場でシェアを獲得。

2017年にはこの分野で「アジア1位、世界三位」とも報じられていました(フォーブス誌)。

フォーブス記事によれば、その勝ちパターンは成長市場に対しては、「小さく生んで、大きく育てる」こと。

「”1─10─100”が私のモットー。計画を立てる労力が1だとすると、計画の実行には10倍、成功させるまでには100倍のエネルギーがかかります」

高原はそう熱弁しています。

その経営理念や行動原則は「ユニ・チャームウェイ」としてまとめられ、全世界で共有されています。

ベンチャー企業から世界企業へと発展したユニチャーム。

今後も大きく発展し、日本企業の気概を示してほしいものです。

6位:永守重信 日本電産創業者

永守重信(1944年生)は日本電産の創業者です(現在は会長)。

1967年に職業訓練大(現在の職業能力開発総合大学校)を卒業し、音響機器制作会社のティアックに就職。

その後、子会社の山科精器取締役の取締役を経て、73年に28歳の若さで日本電産を創業。

同社を世界でシェアを競う小型モーター製造会社にまで発展させました。

近年の日本電産は、世界首位のHDD用など精密小型モーターから車載、産業用など中大型にシフトしてきています。

(21年に入り、EV参入を目指す台湾の鴻海グループとEV用駆動モーターの生産と開発担う合弁会社の設立を検討)

7位:三木谷浩史 楽天経済圏の行方は?

1965年に神戸に生まれた三木谷は一橋大学を卒業し、日本興業銀行に入行しました。

28歳の時にハーバード大学でMBAを取ると、「一度きりの人生で悔いを残したくない」と起業を決意し、95年に興銀を退職。

96年に株式会社クリムゾングループを設立。97年に楽天の前身にあたる株式会社エム・ディー・エムを創業し代表取締役に就任しました。

(*ショッピングモール「楽天」の命名は織田信長の「楽市・楽座」にちなむ)

楽天はオープンから1年で出店数200を超える日本最大級のオンライン・ショッピングモールに成長し、2000年には株式の店頭公開を果たしました。

2000年代にはライブドアとの競争に勝ち、日本の新興企業の雄としての地位を確立しています。12年には「新経済連盟」の代表理事となるなど、財界活動も始めました。

もともとはイーショップが基盤ですが、最近は金融(証券など)や携帯分野への進出など、活動は幅広くなっています。

楽天ブックス、電子出版(コボ)、楽天ゴールデンイーグルス、Jリーグ・ヴィッセル神戸、楽天Edy、楽天証券などです。

「ネットショッピングなんて」「日本で電子出版なんて」「新興企業が球団なんて」といわれながらも、「やってのける力」で道を開いた三木谷は、どこまで楽天経済圏を拡大できるのでしょうか。

近年は、携帯事業にも参入。日本郵政とテンセントからの出資を得て、安い料金プランでの5Gスマホの普及に力を尽くしています。

8位:伊藤雅俊 イトーヨーカ堂創業者

伊藤雅俊は2020年に創業100周年を迎えたイトーヨーカ堂の創業者です。

今では、グループ事業のうち、セブンイレブンのほうが主力になっていますが、その創業の精神は「お客様は来てくださらないもの。お取引先様は(商品を)売ってくださらないもの」という、実母の言葉に由来するそうです。

個人商店の時代から、兄とともに事業を経営し、戦後、百貨店のヨーカドーを全国に展開する規模にまでの発展を遂げました。

今は百貨店よりもコンビニが栄え、さらにEコマースが台頭する時代になってきています。

その創業の精神に基づいて事業繁栄を続けていけるかどうかが、まさに試されています。

9位:毒島秀行 SANKYO

毒島秀行は、パチンコメーカーの三共を創業した毒島邦雄(ぶすじま くにお、1925ー2016年)から資産を継承しました。

2008年より同社のCEOを務めています。

毒島邦雄は群馬県に生まれ、戦後すぐに三共電機製作所を開業しました。

さらに、三共運送や桐生フードセンター、三共技研などを創業し、平和工業の常務を経たあと、1966年に三共製作所をつくりました。

95年には東証2部に上場、97年には1部上場。

SANKYOはフィーバー台で成長し、開発力に定評あるパチンコ機製造大手として事業を拡大していきました。

10位:野田順弘  オービック代表取締役会長

野田順弘(のだ まさひろ)はオービックの代表取締役会長です。

1938年に奈良県に生まれ、61年に関西大学経済学部を卒業後、68年に妻とともに大阪ビジネスカンパニーを創業(のちのオービック)。

文化にも造詣が深く、日本中央競馬会 (JRA) の馬主も務めています。

11位:森章 都市開発やホテル経営に注力

森章(もりあきら)は森トラストの会長です。

森ビル創業者・森泰吉郎の三男として生まれ、87年に社長に就任。16年に娘の伊達美和子に社長職を譲りました(なお、兄の森稔は森ビル社長)。

森トラストと森トラスト・ホテルズ&リゾーツを核にした森トラストグループは都心での大型複合開発やリゾート地でのホテル開発・運営を展開しています。

12位:重田康光 波乱万丈の「光通信」創業者

重田は、はり灸の専門学校を中退、さらに日本大学を中退。そこから億万長者になるという、かなり破天荒な経歴を誇っています。

電話加入権を販売する企業に勤め、88年に株式会社光通信を創業。

当時は第二電電の契約取次ぎ代理店から社業を開始し、携帯販売事業を手掛けることで急激に企業を成長させました。携帯普及の大波に乗ったわけです。

96年に31歳で株式を店頭公開。99年に東証一部上場。ただ、大量の携帯電話の架空契約などによる株価急落という大事件も引き起こしました。

その後、2000年以降は事業を再建。シャープの複写機販売・リースを手がけ、04年には黒字化を実現しています。

波あり谷ありの人生を生きている大富豪です。

日本の長者番付の特徴:資産額、年齢、性別、業種等

2020年データで金額で見ると1位~4位が1兆円以上です。

5~9位が5000~8000億円。

10位~29位が2000~5000億円、

30位以降が2000億円以下なので、トップ4とそれ以外のメンバーとの差が非常に大きいことが分かります。

そして、長者番付40位までを見ると、一番多いのは70代という構成になっています。

  • 90代が2名
  • 80代が8名
  • 70代が15名
  • 60代が6名
  • 50代が6名
  • 40代が4名

50代で若いと言われる日本政界を思い出させる年齢構成です。

この年齢構成は、日本では新規企業が大をなすことが難しいことを暗示しています。

女性は経営者夫人としてランキング入りするケースが多いのですが、過去、テンプスタッフの篠原欣子のようなランキング入りの例がありました。

業種別にみると、テレコムとテクノロジー、ゲーム関連が伸びています。

2021年には、テクノロジー関連の企業経営者が新たにランキング入りし、2020年に需要が減った業種の経営者がランキングから姿を消しているので、やや下克上的な雰囲気を感じます。

いろいろと見ていくと、長者番付からも日本経済の現状が透けて見えます。

フォーブスの世界富豪ランキングの面々と比べてみると、意外な発見があるかもしれません。