2021年の政治日程(経済含む/日本と世界)
政治日程を並べ、2020年の行事スケジュールを作成してみます。投資家にとって政治日程は大事な情報なので、この記事は随時更新する予定です。(※米国と欧州行事の多くは日本時間だと約1日ずれています)
経済指標に関しては、主要国GDPの発表日と米国雇用統計を「政治日程」の中に挿入。貿易統計や消費者物価指数等、他の指標に関しては「日本と世界の経済イベント・スケジュール」に日程を記載。
FOMC等の主要金融イベントは日米欧英の中央銀行の予定を一つの節にまとめています(FOMCのみ米国日程に挿入)。
2021年:米国の政治日程(経済行事含む)
バイデン新政権が発足し、ジョージア上院選の勝利もあって、上院で民主党が過半数を取ることができました。
ただ、51人しかいないので、大規模予算を伴う法案を可決するのは、なかなか厳しい状況です。
民主党政権では大規模なグリーン系の投資等が行われるとみられがちですが、多額の予算を用いる場合は上院で60人以上の議席が必要になるので、今の議席数だとその種の大規模政策は実現のめどが立ちません。
(※通常、上院では議員の発言を止められないので、この権利を用いたフィリバスター(議事妨害)で下院の法案を時間切れにし、葬ることができます。この議事妨害をやめさせる決議には6割の賛成が必要なので、大きな予算を要する政策は60人以上のスーパーマジョリティの議席がないと実現できません)
11月の米国民の投票行動は、大統領に関しては民主党の票が多かったのですが、上院・下院に関しては意外とシビアでした。上院では共和党の議席を維持し、下院で民主党の議席を減らすことで、国民はバランスを取ろうとしていたようにも見えました。
ただ、外交に関しては大統領に権限が強いので、対中関税等は緩和されていく可能性が高いでしょう。
- 1月3日 米国議会開会
- 1月20日:新大統領就任式
- 4月2日:3月雇用統計
- 4月9~11日:IMF・世界銀行春季総会(於ワシントン)
- 4月22日:気候変動サミット
- 4月27~28日:FOMC
- 4月29日:1-3月期GDP速報
- 5月7日:4月雇用統計
- 5月下旬:米財務省が半期為替報告書を発表
- 5月27日:1-3月期GDP改定値
- 6月4日:5月雇用統計
- 6月15~16日:FOMC
- 6月24日:1-3月期GDP確報
- 7月2日:6月雇用統計
- 7月27~28日:FOMC
- 7月29日:4-6月期GDP速報
- 8月:議会休会
- 8月6日:7月雇用統計
- 8月26日:4-6月期GDP改定値
- 9月3日:8月雇用統計
- 9月:米議会再開
- 9月11日:米中枢同時テロから20周年
- 9月21~22日:FOMC
- 9月下旬:国連総会(ニューヨーク)
- 9月30日:4-6月期GDP確報
- 10月1日:新会計年度開始
- 10月8日:9月雇用統計
- 10月中旬:半期為替報告書発表
- 10月28日:7-9月期GDP速報
- 11月2~3日:FOMC
- 11月5日:10月雇用統計
- 11月24日:7-9月期GDP改定値
- 12月3日:11月雇用統計
- 12月14~15日:FOMC
- 12月22日:7-9月期GDP確報
※雇用統計日程の出所は、米労働省の「Schedule of Releases for the Employment Situation」
FOMC/ECB理事会/BOC/日銀(金融政策決定会合等)
- 1月20~21日:日銀金融政策決定会合
- 1月21日:ECB理事会
- 1月26~27日:FOMC
- 2月4日:イングランド銀行MPC
- 3月11日:ECB理事会
- 3月16~17日:FOMC
- 3月18日:イングランド銀行MPC
- 3月18~19日:日銀金融政策決定会合
- 3月31日:桜井日銀審議委員任期満了
- 4月22日:ECB理事会
- 4月26~27日:日銀金融政策決定会合
- 4月27~28日:FOMC
- 5月6日:イングランド銀行MPC
- 6月10日:ECB理事会
- 6月15~16日:FOMC
- 6月17~18日:日銀金融政策決定会合
- 6月24日:イングランド銀行MPC
- 6月29日:政井日銀審議委員任期満了
- 7月15~16日:日銀金融政策決定会合
- 7月22日:ECB理事会
- 7月27~28日:FOMC
- 9月9日:ECB理事会
- 9月21~22日:日銀金融政策決定会合
- 9月21~22日:FOMC
- 9月23日:イングランド銀行MPC
- 10月27~28日:日銀金融政策決定会合
- 10月28日:ECB理事会
- 11月4日:イングランド銀行MPC
- 11月2~3日:FOMC
- 12月14~15日:FOMC
- 12月16日:ECB理事会
- 12月16日:イングランド銀行MPC
- 12月16~17日:日銀金融政策決定会合
【2022年】
- 1月26~27日*:FOMC
- 2月3日:イングランド銀行MPC
前掲日程の出所は以下の通り。
- Meetings of the Governing Council and the General Council
- FOMC announces tentative 2021 meeting schedule
- 金融政策決定会合の運営 : 日本銀行 Bank of Japan
- Monetary Policy Committee dates for 2021
世界:主要国際会議の日程
※以下()内は開催地
- 1月5日:世界銀行が世界経済成長率見通し(+4%)を発表
- 1月26日:IMFが成長率見通し(+5.5%)を発表
- 2月19日:G7首脳会議(オンライン)
- 2月26日:G20財務相・中央銀行総裁会合(オンライン)
- 3月1~2日:WTO一般理事会
- 4月:WTOが2020年の世界貿易額発表
- 4月9~11日:IMF・世界銀行春季総会(於ワシントン)
- 5月5~6日:WTO一般理事会
- 5月13~16日:世界経済フォーラム年次特別総会(シンガポール)
- 6月:世界銀行が世界経済の見通しを発表
- 7月:IMFが世界経済見通し発表
- 初夏:ダボス会議
- 夏:G20財務相・中央銀行総裁会会合
- 9月:国連総会(ニューヨーク)
- 10月:IMFが世界経済見通し発表
- 10月中旬:G20財務相・中央銀行総裁会合(リモート会議)
- 秋:IMF・世界銀行年次総会(リモート会議)
- 秋:G20首脳会議(於リヤド)
- 11月:COP26(第26回 国連気候変動枠組み条約国会議)
- 12月:OECD経済見通し(Economic Outlook)
2021年:ヨーロッパの政治日程(経済行事含む)
欧州では2020年12月31日に英国の「EU離脱」の移行期間が終了。一応、貿易協定に関して、EUからの合意ある離脱が実現しました。
- 1月1日:ポルトガルがEU議長国に就任
- 1月16日:独与党CDUが新党首にラシェット氏を選出
- 1月21日:ECB理事会
- 1月24日:ポルトガル大統領選挙
- 1月29日【独】10-12月期実質GDP成長率
- 1月29日【仏】10-12月期実質GDP成長率
- 2月12日【英】10-12月期実質GDP成長率
- 3月4日:OPEC定期総会(オンライン)
- 3月7日:スイス国民投票(インドネシアとのEPA締結の可否など)
- 3月9日【ユーロ】10-12月期実質GDP成長率
- 3月11日:ECB理事会
- 3月14日:独州議会選(2州)
- 3月17日:オランダ下院選
- 3月25日:欧州理事会
- 4月4日:ブルガリア国民議会選
- 4月22日:ECB理事会
- 4月30日【独】1-3月期実質GDP成長率
- 4月30日【仏】1-3月期実質GDP成長率
- 5月12日【英】2021年1-3月期実質GDP成長率
- 5月6日 英国地方議会選挙
- 6月10日:ECB理事会
- 6月13日/20日 フランス地方選
- 7月22日:ECB理事会
- 8月【独】4-6月期実質GDP成長率
- 8月【仏】4-6月期実質GDP成長率
- 8月【英】4-6月期実質GDP成長率
- 9月9日:ECB理事会
- 9月26日:ドイツ下院選
- 10月:G20サミット(ローマ開催)
- 10月【独】7-9月期実質GDP成長率
- 10月【仏】7-9月期実質GDP成長率
- 10月28日:ECB理事会
- 11月1~12日:COP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)
- 11月【英】7-9月期実質GDP成長率
- 12月【ユーロ】7-9月期実質GDP成長率
- 12月上旬:ノーベル賞授賞式
- 12月16日:ECB理事会
2021年:日本の政治日程(国内行事)
日本では東京五輪が1年延期されました。今後は、延期で済まず、中止になるのかどうかが注目されるでしょう。
また、衆院解散がどこで行われるのかも、気になるところです。
2020年9月には安倍政権が終了し、菅新政権が誕生。
当初、高かった支持率は感染症の広まりに応じて下がってきています。
- 1月18日:通常国会召集
- 春:予算案成立(このあたりで五輪開催の可否の判断?)
- 7月23日~8月8日(開催可能であれば)東京五輪
- 8月24日~9月5日:東京パラリンピック
- 9月30日:菅首相の自民党総裁任期終了
なお、国会は以下の構成となっています。
【衆議院】(2020年9月16日時点)
- 自由民主党・無所属の会:284
- 立憲民主・国民・社民・無所属:119
- 公明党:29
- 日本共産党:12
- 日本維新の会・無所属の会:11
- 希望の党:2
- 無所属:8
- 欠員:0
- 計:465
【参議院】(2020年9月16日時点)
- 自由民主党・国民の声:114
- 公明党:28
- 立憲民主・社民:44
- 日本維新の会:16
- 国民民主党・新緑風会:14
- 日本共産党:13
- 沖縄の風:2
- れいわ新選組:2
- 碧水会:2
- みんなの党:2
- 無所属:9
- 欠員:0
- 計:245
17年衆院選と19年参院選を踏まえ、19年10月から消費税は10%へと上がりました。
※関連記事:教育無償化のメリット・デメリット
2021年:アジア・ロシアの政治日程(経済行事含む)
北朝鮮問題も含めた米中関係の経緯は以下の通り。
- 17年、米国は中国に北朝鮮制裁への協力を期待したが、効果がなく、強硬路線に転換。
- 18年には、北朝鮮は対話路線に切り替え、中国に貿易戦争をしかけた。
- 鉄鋼25%、アルミ10%の関税賦課を皮ぎりに、第一段~第三段の対中関税を打ち出す
- 2019年終わり頃に息切れし、20年は一時休戦(協定妥結)
なお、2019年のアジアの選挙は、タイ、インドネシア、フィリピン、インド、日本において現政権の勝利に終わっています。
- 3月4日:中国全国人民政治協商会議
- 3月5日:中国で全人代開催
- 4月2日:CIS外相会議(モスクワ)
- 4月3~5日:中国清明節
- 4月6日:インド州選挙(アッサム/ケララ)
- 4月7日:韓国2021年再選挙・補欠選
- 4月16日:中国第1四半期経済指標
- 4月22~23日:黒海経済協力機構理事会
- 5月23日:ベトナム国会議員選
- 6月6日:イラク国民議会選
- 6月18日:イラン大統領選
- 7月23日:中国共産党創立100周年
- 7月下旬~8月半ば:北戴河会議(中国共産党幹部と長老が集う密室会議)
- 7月27日:(北朝鮮にとって)朝鮮戦争「戦勝」記念日
- 8月1日:人民解放軍建軍93周年
- 8月8日:ASEAN設立54周年
- 8月15日:(北朝鮮にとって)祖国解放記念日
- 8月24日:中韓国交樹立27周年
- 9月:ロシア下院選
- 9月?:東方経済フォーラム(ウラジオストク開催)
- 9月?:一帯一路サミット
- 9月3日:中国で抗日戦争勝利記念日
- 9月8日:日中国交正常化49周年
- 9月9日:北朝鮮建国73周年
- 9月29日:日中国交樹立49周年
- 10月1日:中国建国72周年(国慶節1~8日 ※中国の祭日)
- 10月10日:北朝鮮、朝鮮労働党創立記念日
- 10月:中国共産党中央委員会全体会議(5中全会)
- 10月?:CIS外相会議/首脳会議
- 10月中旬:中国が第3四半期主要経済統計(GDPやCPI等)を発表
- 10月25日:日中平和友好条約締結43周年
- 11月?:中国国際輸入博覧会
- 12月13日:中国で「南京大虐殺」追悼式典
- 12月中旬:中国で中央経済工作会議
- 12月18日:「改革開放」43周年
【習政権の現状】
例年、3月に全人代、7月下旬から8月上旬には北戴河会議(重要事項を決める中国共産党の現役幹部と長老の秘密会議)が開催されます。第二期習政権の方針は、17年の第19回党代表大会で明らかになりました。
そこで習総書記は「新時代」の開始を宣言。
習近平総書記は、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、江沢民の「3つの代表」論、胡錦涛の「科学的発展観」を踏まえ、これらを発展させた習近平の政治理念(「新時代の中国の特色ある社会主義思想」)を、中国人は「行動指針」にしなければいけないと訴えました(その後、党規約改正)。しかし、その内実は国内の統制強化であり、外交における強硬な領有権の主張(南シナ海等)や経済を先兵とした対外活動などが今後の活動の中心なので、「旧時代」とあまり違いはなさそうです。
この党大会の報告では「小康社会(経済的にやや余裕のある社会)の全面的建設の完成 」がうたわれましたが、この「小康社会」というのは1978年に鄧小平が日本の大平首相との会談で初めて用いた言葉です。
つまり、習近平もまた、旧時代の鄧小平の遺志を汲まざるを得なかったわけです。
習政権は「量から質への転換」を標榜しましたが、これがどこまで実現できるのかが、今後の大きな課題となります。
- 経済の構造改革
- イノベーション型 の国家建設の加速
- 農村振興戦略の実施
- 地域間の調和ある発展戦略
- 社会主義市場経済の整備加速
- 開放の新たな枠組みづくり
このうち、特にイノベーションが注目されますが、経済改革には痛みを伴うため、既得権益者の抵抗に勝つために、習政権は党と指導者の権威を高めようとしているわけです。
そのため、後継者を指名せず、習近平は権力掌握を進め、党内の統制強化、言論統制等を推し進めています。
中国は北朝鮮問題が懸念事項とされ、世界の目が朝鮮半島に向いている間に、南シナ海の基地化を大きく前進させました。
19年以降は、「一帯一路」構想とともに、世界の覇権をめぐる米中の確執が本格化していくことになりそうです。
※17年の党大会で決まった政治局常務委員の顔触れは以下の通り。
- 習近平:総書記/国家主席/党中央軍事委主席
- 李克強:首相
- 栗戦書:中央弁公庁主任⇒全人代常務委員長(※18年全人代で決定)
- 汪洋:副首相⇒国務院副総理
- 王滬寧:中央政策研究室主任⇒中央書記局書記
- 趙楽際:中央組織部長⇒中央規律検査委書記を兼務
- 韓正:上海市党委書記⇒現職のまま
習派が半分以上を占め、集団指導体制から習氏一強体制に移行しています。
18年の全人代では国家副主席に王岐山氏(前共産党中央規律検査委員会書記)が選出されました。「68歳定年」の慣例で17年秋に政治局常務委員を退任しましたが、18年全人代の憲法改正(国家主席・副主席の2期10年制の廃止)で続投が可能になりました。
ここで、習氏は3期目の続投を狙う布陣を固めたわけです。
※関連記事:中国の政治日程/経済スケジュール