【製薬の巨人対決】メルク(MRK) vs イーライリリー(LLY)!安定配当か、爆発的成長か?
世界の人々の健康を支える製薬(ヘルスケア)セクター。その中でも、メルク(MRK)とイーライリリー(LLY)は、投資家にとって異なる魅力を持つ2社です。
メルクは、がん領域を中心に大型薬を抱えつつ、配当も含めて相対的な安定感を打ち出しやすい企業です。リリーは、GLP-1系医薬品の需要拡大を背景に、高い成長率を示している企業です。
(日本時間)/最新決算はMRK:2026年Q2、LLY:2026年Q2の公表内容を反映しています。[1][2]
最重要ポイント:運命を分ける「ブロックバスター薬」
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メルク(MRK)→ がん治療薬「キイトルーダ」
2026年Q2のメルク売上は166億700万ドルで、前年同期比5%増でした。KEYTRUDAと皮下投与製剤KEYTRUDA QLEXの合計売上は約83億7,000万ドルで、前年同期比5%増となりました。このうちKEYTRUDA QLEXは4億6,300万ドルを売り上げています。[1]
一方、Terns Pharmaceuticals買収に伴う1株あたり2.31ドルの費用を計上したため、2026年Q2のGAAP EPSは-0.54ドル、Non-GAAP EPSも-0.13ドルとなりました。[1] -
イーライリリー(LLY)→ GLP-1系(肥満・糖尿病領域)
2026年Q2のリリー売上は229億7,400万ドルで、前年同期比48%増でした。Mounjaroは99億4,300万ドル(同91%増)、Zepboundは49億2,800万ドル(同46%増)となり、GLP-1系医薬品が成長の中心となっています。会社は2026年通期売上見通しを850億~870億ドルへ引き上げました。[2]
比較サマリー:安定のMRK、成長のLLY
| 項目 | メルク(MRK) | イーライリリー(LLY) |
|---|---|---|
| 主力の方向性 | がん領域(KEYTRUDA等)+ワクチン+動物薬。KEYTRUDA依存を下げるため、循環器、呼吸器、HIV、免疫、血液がんなどのパイプライン強化を進める。 | 肥満・糖尿病領域(Mounjaro、Zepbound、Foundayo)を軸に急成長。アルツハイマー、免疫、がん領域に加え、次世代肥満薬retatrutideの開発も進める。 |
| 売上(最新四半期) | 166億700万ドル(2026年Q2、前年同期比5%増)[1] | 229億7,400万ドル(2026年Q2、前年同期比48%増)[2] |
| 会社見通し(2026年) | 売上663億~673億ドル、Non-GAAP EPS2.66~2.76ドル。EPS見通しには、Terns買収に伴う合計2.43ドル/株の費用見込みが含まれる。[1] | 売上850億~870億ドル、Non-GAAP EPS35.50~36.50ドル。売上見通しは引き上げられた一方、EPS見通しには2026年Q2の買収関連研究開発費が反映されている。[2] |
| 配当(直近公表の四半期配当) | 0.85ドル/四半期(2026年Q3配当、2026年7月8日支払)[3] | 1.73ドル/四半期(2026年Q3配当、2026年9月10日支払予定)[4] |
| 配当利回り(概算) |
約2.7% 年換算3.40ドル ÷ 株価128.33ドル(2026年8月5日米国市場終値ベース) [5] |
約0.6% 年換算6.92ドル ÷ 株価1,169.86ドル(2026年8月5日米国市場終値ベース) [5] |
| 会社見通し基準のPER目安 |
約47.4倍 株価128.33ドル ÷ 2026年Non-GAAP EPS見通し中央値2.71ドル ※Terns買収費用を含むため、通常の事業収益力を示すPERとしては大きく歪んでいます。 [1][5] |
約32.5倍 株価1,169.86ドル ÷ 2026年Non-GAAP EPS見通し中央値36.00ドル [2][5] |
※配当利回りと会社見通し基準のPERは、直近公表の四半期配当、2026年通期会社見通し、2026年8月5日の米国市場終値から概算しています。株価や配当方針、会社見通しの変更により数値は変動します。特にMRKの2026年Non-GAAP EPS見通しは大型買収費用を含むため、過去や他社のPERとの単純比較には向きません。
業績と成長性の整理
両社は2025通期では売上規模がほぼ同水準でしたが、2026年に入って差が広がっています。リリーはGLP-1系医薬品の需要拡大を背景に、2026年Q2売上が前年同期比48%増となり、2026年通期売上見通しも引き上げました。メルクも2026年Q2売上は前年同期比5%増でしたが、買収に伴う研究開発費が利益を大きく押し下げています。[1][2]
| 年・期間 | メルク 売上(いつ時点) | リリー 売上(いつ時点) |
|---|---|---|
| 2026 Q2 | 166億700万ドル(2026年Q2実績、前年同期比5%増)[1] | 229億7,400万ドル(2026年Q2実績、前年同期比48%増)[2] |
| 2026 | 663億~673億ドル(2026年8月4日時点の会社見通し)[1] | 850億~870億ドル(2026年8月5日時点の会社見通し)[2] |
| 2025 | 650億1,100万ドル(2025通期実績)[6] | 651億7,900万ドル(2025通期実績)[7] |
| 2024 | 約642億ドル(2024通期実績)[8] | 約450億ドル(2024通期実績)[9] |
| 2023 | 約601億ドル(2023通期実績)[10] | 約341億ドル(2023通期実績)[9] |
主力薬とリスクの見方
メルクは、KEYTRUDAとKEYTRUDA QLEXが2026年Q2に合計約83億7,000万ドルを売り上げ、最大の収益源であり続けています。皮下投与製剤KEYTRUDA QLEXの売上は、2026年Q1の1億2,800万ドルから、2026年Q2には4億6,300万ドルへ増加しました。投与時間の短縮や利便性の向上により、静脈注射製剤からの移行をどこまで進められるかが注目点です。[1]
KEYTRUDA以外では、肺動脈性肺高血圧症治療薬WINREVAIRの2026年Q2売上が5億8,800万ドルとなり、前年同期比75%増でした。動物薬部門も2026年Q2に約18億ドルを売り上げ、前年同期比8%増となっています。[1]
一方、2026年Q2のGardasil/Gardasil 9売上は約11億7,000万ドルでした。前年同期比では小幅に持ち直したものの、中国市場の在庫調整や需要動向、米国を含むワクチン接種環境の変化には引き続き注意が必要です。さらに、メルクはKEYTRUDAの主要特許満了後を見据え、Terns、Cidara、Verona Pharmaなどへの大型投資を進めています。買収によって将来の成長源を確保できる可能性がある反面、研究開発費や資金調達費用が短期利益を大きく変動させる点がリスクです。[1]
リリーは、MounjaroとZepboundの成長が続いています。2026年Q2のMounjaro売上は99億4,300万ドルで前年同期比91%増、Zepbound売上は49億2,800万ドルで同46%増でした。両製品だけで2026年Q2売上の約65%を占めており、高成長の源泉であると同時に、チルゼパチド製品への集中度も高まっています。[2]
経口GLP-1薬Foundayo(orforglipron)は、2026年Q2に9,800万ドルの売上を計上しました。リリーは2026年8月時点で、2型糖尿病を対象とするorforglipronの米国申請を進めており、注射薬だけでなく経口薬でも糖尿病・肥満市場の拡大を狙っています。また、次世代肥満薬retatrutideについても複数の第3相試験で良好な結果を公表し、2027年Q1の米国FDA申請を計画しています。[2]
ただし、2026年Q2は販売数量が大幅に増えた一方、実現価格は前年同期比で低下しました。供給能力の増強だけでなく、値引き、保険償還、現金払い価格、各国の公的薬価制度が売上と利益率に与える影響を確認する必要があります。リリーは2026年Q2までに製造拠点への追加投資も発表しており、高需要に対応するための設備投資が続いています。[2]
結論:あなたに合うのはどちら?
「配当と相対的な安定感」を重視するなら → メルク(MRK)
2026年8月5日終値を基準にした概算配当利回りは約2.7%で、リリーより高い水準です。2026年Q2もKEYTRUDA、KEYTRUDA QLEX、WINREVAIR、動物薬が売上を支え、会社は2026年通期売上見通しを663億~673億ドルへ引き上げました。[1][5]
一方、KEYTRUDAへの依存、ワクチン需要の変化、買収費用によるEPSの振れは、投資家が継続的に確認すべき論点です。2026年のNon-GAAP EPS見通しはTerns買収費用を含むため、表面上のPERだけで割安・割高を判断するのは適切ではありません。
「成長率と将来の拡大ストーリー」に期待するなら → イーライリリー(LLY)
2026年Q2の売上は229億7,400万ドルに達し、前年同期比48%増の高成長となりました。MounjaroとZepboundの需要が強く、会社は2026年通期売上見通しを850億~870億ドルへ引き上げています。[2]
さらに、経口GLP-1薬Foundayoや次世代肥満薬retatrutideが、中長期の成長候補となっています。その一方で、株価には高成長への期待が織り込まれやすく、供給能力、販売価格、保険償還、競合薬、臨床試験、規制当局の判断が株価を大きく動かす可能性があります。
最終的な整理:配当と大型薬の収益基盤を重視するならMRK、肥満・糖尿病領域の高成長と経口薬・次世代薬を含む将来拡大を重視するならLLYです。MRKは「配当+事業再構築」、LLYは「高成長+高い市場期待」の銘柄であり、期待できるリターンだけでなく、抱えているリスクの種類も大きく異なります。
※本ページの分析は2026年8月6日(日本時間)時点の公開情報に基づきます。株価、配当利回り、会社見通し等は変動します。

