【アメリカ予算】債務規模、税収と支出の内訳等をグラフで一覧

経済問題

米国では、例年、春に予算案の概要を示した要望書が行政府から議会に出されます。

以前の共和党政権は、「福祉や環境予算を削り、軍事費を増やす」(※日本共産党とは真逆)という、頑固オヤジ的な保守路線を目指してきました。

しかし、2021年にはバイデン政権が成立。対中抑止のために軍事費を削りはしませんが、もう一段、福祉重視の予算が組まれることになりました。

今後は福祉や教育、環境対策費なども含めた、幅広いバトルが展開していくことになりそうです。

歳出強制削減と政府閉鎖のリスク

米国予算に関しては「歳出の強制削減」と「政府閉鎖」がよくニュースになります。

例えば、18年に決まった19年度予算は、法律に基づく予算枠を3000ドルほど超えており、それが9月30日(会計年度終了日)に終わることになっていました。

この場合、10月1日までに翌年の予算が合意されない場合は、強制的に歳出が削減されます。

財政均衡を図るために、政府予算が一律一割削られるのです。

予算の合意が得られなければ政府閉鎖が起き、それが長引けば国民の間に不満が高まるので、議会のバトルは無限に続けられません。

そのため、どこかで妥協の産物としての合意が生み出されることになります。

米国予算では軍事予算と非軍事予算の割合が重要ですが、共和党は軍事費増を望み、民主党は非軍事予算の拡大を求めます。

インフラ投資法案にしても、もともと財政均衡路線が強い共和党と、ニューディール政策以来の伝統を持つ民主党では、政府が支出する金額の規模が違うので、なかなか折り合いはつかないでしょう。

そして、問題となるのは、約22兆ドルの連邦債務です。

歳出は毎年+4.4%ほど増えているのに、18年の歳入は-0.4%。法人税収減を所得税収税が補い、意外と減額は少なかったのですが、それでも歳出と歳入のバランスが悪く、債務の肥大化が危険視されました。

覇権国家であり、基軸通貨ドルを握る米国なので、やすやすとギリシャのような破綻劇は起きませんが、国債が拡大していくと、結局、債務借り換えと利払い費が財政を圧迫し、自由に使える予算(裁量的経費)が少なくなっていきます。

そのため、米国では債務上限が定められました。

しかし、近年では連邦債務が債務上限を上回ることが繰り返され、その状況をつなぎ予算等でまかなってきました。

債務上限の超過に関しては、つなぎ予算などででやりくりすることになっています。

ただ、それは期限付きなので、そのあとは連邦債務上限が亡霊のように現れてきます

予算案がまとまらなくても、臨時措置を取れば、国債の利払いと償還、社会保障費などは会計年度末(9月末)までやりくりできるのですが、10月1日以降はそれができなくなり、債務上限の引き上げを議決しなければいけなくなるのです。

そして、債務上限の引き上げは、米国債の格付けにも響くので、その趨勢が注目されます。

米国予算の成立過程

言葉で並べても、いま一つイメージがわきにくいので、米国予算のよくある成立過程を並べてみます。

  • 1月下旬:米大統領が予算教書を議会に送付
  • 2月中旬:議会予算局が歳入歳出見通し等を予算委員会に提出
  • 4月初め:上院予算委員会報告書を提出
  • 4月中旬:米国議会で翌年度の会計の予算決議
  • 5月中旬:歳出法案審議開始(下院先議)
  • 6月中旬:下院が歳出委員会報告書を提出(10日頃)
  • 6月末:下院で歳出法を本会議採決
  • 夏まで:上院で歳出法案審議
  • 7月末~8月:米国議会の夏季休会
  • 9月:米議会再開
  • 9月以降:上院で予算交渉

議会バトルは様々なので、一概には言えませんが、秋口に予算が決まらないと政府閉鎖が起こりました。

こうした流れを頭に入れた上で、米国財政の現状をグラフでみていきましょう。


米予算:歳入と歳出、財政赤字の推移

まず、その概要を米議会予算局(CBO)のデータから作成した図表で見てみます。

  • 予算収支が-であれば予算不足なので、その額に-1をかけた値が国債発行額と見られる。
  • 財政収支が+の場合は財政黒字、-の場合は財政赤字。

graph

基本的に税収<歳出なので、財政赤字が拡大傾向です。

出典元のCBOの表は「財政赤字=税収-歳出」、「財政赤字=予算収支+その他収入」という構成になっています(その他収入の内訳は、社会保障基金や郵政事業の収入)。

予算収支はほとんどがマイナスであり、この予算不足額を国債等で補っていると考えることができます。

そのため、予算収支額がマイナスになっている場合、そこに-1をかければ、、単年の債務額の規模が分かります。

そうした前提から考えると、「歳入=税収-(予算不足額+その他収入)=歳出」という構成になっているわけです。

その項目を和訳し、筆者なりに整理してみました(以下、その他=その他収入)

税収 歳出 予算収支 その他 財政収支 連邦負債 債務/GDP
1969 1869 1836 -5 37 32 2781 28.4%
1970 1928 1956 -87 59 -28 2832 27.1%
1971 1871 2102 -261 30 -230 3030 27.1%
1972 2073 2307 -261 27 -234 3224 26.5%
1973 2308 2457 -152 3 -149 3409 25.2%
1974 2632 2694 -72 10 -61 3437 23.2%
1975 2791 3323 -541 9 -532 3947 24.6%
1976 2981 3718 -694 -43 -737 4774 26.7%
1977 3556 4092 -499 -37 -537 5491 27.1%
1978 3996 4587 -554 -38 -592 6071 26.7%
1979 4633 5040 -396 -11 -407 6403 25.0%
1980 5171 5909 -731 -7 -738 7119 25.5%
1981 5993 6782 -739 -51 -790 7894 25.2%
1982 6178 7457 -1206 -73 -1280 9246 27.9%
1983 6006 8084 -2077 -1 -2078 11373 32.2%
1984 6664 8518 -1853 -1 -1854 13070 33.1%
1985 7340 9463 -2215 93 -2123 15073 35.3%
1986 7692 9904 -2379 167 -2212 17406 38.5%
1987 8543 10040 -1684 187 -1497 18898 39.6%
1988 9092 10644 -1923 371 -1552 20516 39.9%
1989 9911 11437 -2054 527 -1526 21907 39.4%
1990 10320 12530 -2776 566 -2210 24116 40.9%
1991 10550 13242 -3214 522 -2692 26890 44.1%
1992 10912 13815 -3404 500 -2903 29997 46.8%
1993 11543 14094 -3004 454 -2551 32484 47.9%
1994 12586 14618 -2588 557 -2032 34331 47.8%
1995 13518 15157 -2264 624 -1640 36044 47.7%
1996 14531 15605 -1740 666 -1074 37341 47.0%
1997 15792 16011 -1032 813 -219 37723 44.6%
1998 17217 16525 -299 992 693 37211 41.7%
1999 18275 17018 19 1237 1256 36324 38.3%
2000 20252 17890 864 1498 2362 34098 33.7%
2001 19911 18628 -324 1607 1282 33196 31.5%
2002 18531 20109 -3174 1597 -1578 35404 32.7%
2003 17823 21599 -5384 1608 -3776 39134 34.7%
2004 18801 22928 -5680 1552 -4127 42955 35.7%
2005 21536 24720 -4936 1753 -3183 45922 35.8%
2006 24069 26551 -4345 1863 -2482 48290 35.4%
2007 25680 27287 -3422 1814 -1607 50351 35.2%
2008 25240 29825 -6418 1833 -4586 58031 39.2%
2009 21050 35177 -15497 1370 -14127 75447 52.2%
2010 21627 34571 -13714 770 -12944 90189 60.6%
2011 23035 36031 -13668 672 -12996 101282 65.5%
2012 24500 35369 -11489 619 -10870 112811 70.0%
2013 27751 34546 -7190 395 -6795 119827 71.9%
2014 30215 35061 -5141 295 -4846 127799 73.6%
2015 32499 36884 -4658 273 -4385 131167 72.5%
2016 32680 38526 -6202 355 -5847 141676 76.4%
2017 33162 39816 -7149 494 -6654 146654 76.2%
2018 33299 41090 -7853 62 -7791 157496 77.6%
2019 34634 44470 -9913 77 -9836 168007 79.4%
2020 34212 65536 -31423 98 -31324 210167 99.8%
2021 40471 68224 -27238 -52 -27753 222840 98.4%
2022 48961 62715 -13575 -18 -13754 242568 97.0%

 

米予算:歳入に占める負債の割合は?

「歳入=税収-(予算不足額+その他収入)=歳出」という構成から、予算不足額=負債額と仮定すると、単年度の歳入に占める負債額が拡大していることが分かります。

graph

「米国の財政悪化」という話題は、たびたび報道されますが、歳入に占める債務の割合は、日本よりも低いのです。

そのため、米国が覇権国家であることも含めて考えれば、米国債が紙切れになるということは考えにくく、それが安全資産とみなされているわけです。

歳入 歳出 負債/歳入
税収 負債(単年) その他収入
1969 1869 -70 37 1836 -4%
1970 1928 -31 59 1956 -2%
1971 1871 201 30 2102 10%
1972 2073 207 27 2307 9%
1973 2308 146 3 2457 6%
1974 2632 52 10 2694 2%
1975 2791 523 9 3323 16%
1976 2981 780 -43 3718 21%
1977 3556 573 -37 4092 14%
1978 3996 629 -38 4587 14%
1979 4633 418 -11 5040 8%
1980 5171 745 -7 5909 13%
1981 5993 840 -51 6782 12%
1982 6178 1352 -73 7457 18%
1983 6006 2079 -1 8084 26%
1984 6664 1855 -1 8518 22%
1985 7340 2030 93 9463 21%
1986 7692 2045 167 9904 21%
1987 8543 1310 187 10040 13%
1988 9092 1181 371 10644 11%
1989 9911 999 527 11437 9%
1990 10320 1644 566 12530 13%
1991 10550 2170 522 13242 16%
1992 10912 2403 500 13815 17%
1993 11543 2097 454 14094 15%
1994 12586 1475 557 14618 10%
1995 13518 1015 624 15157 7%
1996 14531 408 666 15605 3%
1997 15792 -594 813 16011 -4%
1998 17217 -1684 992 16525 -10%
1999 18275 -2494 1237 17018 -15%
2000 20252 -3860 1498 17890 -22%
2001 19911 -2890 1607 18628 -16%
2002 18531 -19 1597 20109 0%
2003 17823 2168 1608 21599 10%
2004 18801 2575 1552 22928 11%
2005 21536 1431 1753 24720 6%
2006 24069 619 1863 26551 2%
2007 25680 -207 1814 27287 -1%
2008 25240 2752 1833 29825 9%
2009 21050 12757 1370 35177 36%
2010 21627 12174 770 34571 35%
2011 23035 12324 672 36031 34%
2012 24500 10250 619 35369 29%
2013 27751 6400 395 34546 19%
2014 30215 4551 295 35061 13%
2015 32499 4112 273 36884 11%
2016 32680 5491 355 38526 14%
2017 33162 6160 494 39816 15%
2018 33299 7729 62 41090 19%
2019 34634 9759 77 44470 22%
2020 34212 31226 98 65536 48%
2021 40471 27805 -52 68224 41%
2022 48961 13772 -18 62715 22%

米予算:GDPあたりの負債の割合は?

しかしながら、連邦債務はオバマ政権以降、拡大を続けていきました。

(※青=債務/GDP。赤=債務額累計)

graph

米国も財政赤字が拡大し、債務が増えています。

ただ、単年度あたりの歳入に占める債務の割合を見ると、GDPの8割程度なので、GDPの2倍に迫る日本よりは良好だといえるでしょう。

歳入 負債(単年) 負債/歳入
1969 1836 -70 -3.8%
1970 1956 -31 -1.6%
1971 2102 201 9.6%
1972 2307 207 9.0%
1973 2457 146 5.9%
1974 2694 52 1.9%
1975 3323 523 15.7%
1976 3718 780 21.0%
1977 4092 573 14.0%
1978 4587 629 13.7%
1979 5040 418 8.3%
1980 5909 745 12.6%
1981 6782 840 12.4%
1982 7457 1352 18.1%
1983 8084 2079 25.7%
1984 8518 1855 21.8%
1985 9463 2030 21.5%
1986 9904 2045 20.6%
1987 10040 1310 13.0%
1988 10644 1181 11.1%
1989 11437 999 8.7%
1990 12530 1644 13.1%
1991 13242 2170 16.4%
1992 13815 2403 17.4%
1993 14094 2097 14.9%
1994 14618 1475 10.1%
1995 15157 1015 6.7%
1996 15605 408 2.6%
1997 16011 -594 -3.7%
1998 16525 -1684 -10.2%
1999 17018 -2494 -14.7%
2000 17890 -3860 -21.6%
2001 18628 -2890 -15.5%
2002 20109 -19 -0.1%
2003 21599 2168 10.0%
2004 22928 2575 11.2%
2005 24720 1431 5.8%
2006 26551 619 2.3%
2007 27287 -207 -0.8%
2008 29825 2752 9.2%
2009 35177 12757 36.3%
2010 34571 12174 35.2%
2011 36031 12324 34.2%
2012 35369 10250 29.0%
2013 34546 6400 18.5%
2014 35061 4551 13.0%
2015 36884 4112 11.1%
2016 38526 5491 14.3%
2017 39816 6160 15.5%
2018 41090 7729 18.8%
2019 44470 9759 21.9%
2020 65536 31226 47.6%
2021 68224 27805 40.8%
2022 62715 13772 22.0%

さらに、歳入と歳出の中身を見ていきましょう。


米予算:租税収入の内訳

まず、歳入のうち、租税収入を項目ごとに見てみます。

graph

米国の税収の主力は個人所得税です。

これと企業負担の税金(雇用に応じて払う「給与税」と法人税)が主力です。

物品税は、日本で言えば消費税のようなものです(主に州ごとに徴収。税率も州で異なる)

「その他」の項目には、不動産税、贈与税、関税、政府事業(社会保障基金や郵便等)の収入が含まれます。

所得税 給与税 法人税 物品税 その他
1969 872 390 367 152 87
1970 904 444 328 157 94
1971 862 473 268 166 102
1972 947 526 322 155 123
1973 1032 631 362 163 120
1974 1190 751 386 168 137
1975 1224 845 406 166 150
1976 1316 908 414 170 173
1977 1576 1065 549 175 190
1978 1810 1210 600 184 193
1979 2178 1389 657 187 221
1980 2441 1578 646 243 263
1981 2859 1827 611 408 287
1982 2977 2015 492 363 331
1983 2889 2090 370 353 304
1984 2984 2394 569 374 344
1985 3345 2652 613 360 370
1986 3490 2839 631 329 402
1987 3926 3033 839 325 421
1988 4012 3343 945 352 440
1989 4457 3594 1033 344 482
1990 4669 3800 935 353 562
1991 4678 3960 981 424 506
1992 4760 4137 1003 456 557
1993 5097 4283 1175 481 508
1994 5431 4615 1404 552 584
1995 5902 4845 1570 575 626
1996 6564 5094 1718 540 614
1997 7375 5394 1823 569 631
1998 8286 5718 1887 577 750
1999 8795 6118 1847 704 810
2000 10045 6529 2073 689 917
2001 9943 6940 1511 662 855
2002 8583 7008 1480 670 790
2003 7937 7130 1318 675 764
2004 8090 7334 1894 699 785
2005 9272 7941 2783 731 809
2006 10439 8378 3539 740 973
2007 11635 8696 3702 651 995
2008 11457 9002 3043 673 1064
2009 9153 8909 1382 625 981
2010 8985 8648 1914 669 1410
2011 10915 8188 1811 724 1397
2012 11322 8453 2423 791 1511
2013 13164 9478 2735 840 1533
2014 13946 10235 3207 934 1893
2015 15408 10653 3438 983 2017
2016 15461 11151 2996 950 2122
2017 15871 11619 2970 838 1864
2018 16835 11707 2047 950 1760
2019 17179 12431 2302 989 1733
2020 16087 13100 2118 868 2039
2021 20444 13141 3718 753 2415
2022 26321 14835 4249 877 2679

これでだいたい、歳入の中身が概観できたので、次は歳出を見てみます。

米予算:歳出の概要

ここで、歳出の中身をざっくりと分類してみます。

米国の支出は、軍事費や内政(教育、福祉、公共投資等)に用いられる「裁量的経費」とセーフティネットや公的保険の支払い(年金や医療が中心)など、法律で執行を義務づけられた「義務的予算」、国債の利払い費等からなります。

この三分野で見ると、義務的経費の拡大が止まらず、政策に用いる「裁量的経費」の伸びを圧迫していることが分かってくるのです。

graph

裁量的経費 義務的経費 利払費
1969 1173 536 127 1836
1970 1203 610 144 1956
1971 1225 728 148 2102
1972 1285 867 155 2307
1973 1304 980 173 2457
1974 1382 1097 214 2694
1975 1580 1511 232 3323
1976 1756 1695 267 3718
1977 1971 1822 299 4092
1978 2187 2046 355 4587
1979 2400 2214 426 5040
1980 2763 2621 525 5909
1981 3079 3016 688 6782
1982 3260 3348 850 7457
1983 3533 3652 898 8084
1984 3794 3613 1111 8518
1985 4158 4011 1295 9463
1986 4385 4158 1360 9904
1987 4442 4212 1386 10040
1988 4644 4482 1518 10644
1989 4888 4859 1690 11437
1990 5006 5681 1843 12530
1991 5333 5965 1944 13242
1992 5338 6484 1993 13815
1993 5398 6709 1987 14094
1994 5413 7175 2029 14618
1995 5448 7388 2321 15157
1996 5327 7867 2411 15605
1997 5470 8101 2440 16011
1998 5520 8593 2411 16525
1999 5721 9000 2298 17018
2000 6146 9514 2229 17890
2001 6490 10076 2062 18628
2002 7340 11060 1709 20109
2003 8243 11825 1531 21599
2004 8951 12375 1602 22928
2005 9685 13194 1840 24720
2006 10166 14118 2266 26551
2007 10416 14500 2371 27287
2008 11349 15949 2528 29825
2009 12375 20932 1869 35177
2010 13472 19137 1962 34571
2011 13471 20259 2300 36031
2012 12757 20304 2204 35266
2013 12024 20316 2209 34549
2014 11789 20985 2290 35063
2015 11721 22965 2232 36918
2016 11852 24273 2400 38526
2017 12003 25187 2626 39816
2018 12616 25225 3250 41090
2019 13377 27341 3752 44470
2020 16278 45803 3455 65536
2021 16364 48337 3523 68224
2022 16617 41347 4751 62715

米予算:軍事費の規模はどれぐらい?

そして、裁量的経費に関しては、軍事部門と非軍事部門の規模が注目点となっています。

graph

軍事予算と非軍事予算の規模は拮抗しており、政権の性格によって、その配分が変わってきます。

非軍事費 軍事費 軍事費/GDP 軍事費/計
1969 346 827 8.4 70.5%
1970 383 819 7.8 68.1%
1971 435 790 7.1 64.5%
1972 492 793 6.5 61.7%
1973 533 771 5.7 59.1%
1974 575 807 5.4 58.4%
1975 704 876 5.5 55.4%
1976 857 899 5 51.2%
1977 996 975 4.8 49.5%
1978 1141 1046 4.6 47.8%
1979 1232 1168 4.6 48.7%
1980 1417 1346 4.8 48.7%
1981 1499 1580 5 51.3%
1982 1400 1859 5.6 57.0%
1983 1434 2099 5.9 59.4%
1984 1514 2280 5.8 60.1%
1985 1627 2531 5.9 60.9%
1986 1647 2738 6 62.4%
1987 1616 2825 5.9 63.6%
1988 1735 2909 5.7 62.6%
1989 1848 3040 5.5 62.2%
1990 2004 3001 5.1 59.9%
1991 2136 3197 5.2 59.9%
1992 2312 3026 4.7 56.7%
1993 2473 2924 4.3 54.2%
1994 2591 2823 3.9 52.2%
1995 2712 2736 3.6 50.2%
1996 2668 2660 3.3 49.9%
1997 2754 2717 3.2 49.7%
1998 2817 2703 3 49.0%
1999 2967 2755 2.9 48.2%
2000 3197 2950 2.9 48.0%
2001 3430 3061 2.9 47.2%
2002 3850 3490 3.2 47.5%
2003 4194 4049 3.6 49.1%
2004 4410 4541 3.8 50.7%
2005 4749 4936 3.8 51.0%
2006 4967 5200 3.8 51.2%
2007 4937 5479 3.8 52.6%
2008 5225 6124 4.1 54.0%
2009 5808 6567 4.5 53.1%
2010 6583 6889 4.6 51.1%
2011 6477 6994 4.5 51.9%
2012 6052 6705 4.2 52.6%
2013 5766 6258 3.8 52.0%
2014 5824 5964 3.4 50.6%
2015 5888 5834 3.2 49.8%
2016 6004 5848 3.2 49.3%
2017 6101 5902 3.1 49.2%
2018 6389 6227 3.1 49.4%
2019 6613 6764 3.2 50.6%
2020 9140 7138 3.4 43.9%
2021 8948 7416 3.3 45.3%
2022 9104 7513 3 45.2%

オバマ政権の頃でも軍事費が増えた時期があるので、意外に思われた方もいるかもしれません。

当時はアフガン戦争等があったので、同政権の嗜好とは関係なく、お金を使わざるをえなかったためでしょう。

トランプ政権の軍拡は、戦争費よりも装備や部隊の充実に力点が置かれているのが違いになっています。

米予算:義務的経費の中心は社会保障費

さらに、義務的経費を見てみます。

こちらは、社会福祉予算が中心です。

その主な項目は以下の通り。

  • 保障:公的年金制度など
  • メディケア:高齢者と障害者向け公的医療保険
  • メディケイド:民間医療保険に加入できない低所得者等のための公的医療制度
  • 所得保障:日本で言えば生活保護みたいなもの
  • 退職制度:軍人と公務員の退職に伴って生じる予算
  • 退役軍人事業:軍務についた米国人の老後のケア

graph

結構、相殺額が多いのは、「障害あり病気もち低所得…」と幾つかの要素が重なると、メディケアとメディケイドの受給資格がだぶったりするからでしょう。

その内訳の推移を見てみます(以下、退職制度=公務員の退職制度費、退役軍人=退役軍人支払い、重複分=重複分差引)

社会保障 メディケア メディケイド 所得保障 退職制度 退役軍人 その他 重複分
1969 267 63 23 65 64 62 103 -110 536
1970 296 68 27 82 72 70 109 -115 610
1971 351 75 34 134 89 81 105 -141 728
1972 394 84 46 164 104 88 129 -141 867
1973 482 90 46 145 125 98 174 -180 980
1974 550 107 58 174 147 105 167 -212 1097
1975 636 141 68 289 193 129 238 -183 1511
1976 727 169 86 376 202 144 187 -196 1695
1977 837 208 99 346 228 134 186 -215 1822
1978 924 243 107 321 253 136 290 -228 2046
1979 1026 282 124 322 290 141 286 -256 2214
1980 1171 340 140 443 337 146 336 -292 2621
1981 1379 413 168 499 391 158 386 -379 3016
1982 1539 492 174 532 426 163 382 -360 3348
1983 1685 555 190 640 455 164 417 -453 3652
1984 1761 611 201 517 472 163 330 -442 3613
1985 1864 697 227 523 456 164 551 -471 4011
1986 1965 742 250 542 475 166 476 -459 4158
1987 2051 799 274 550 509 165 394 -529 4212
1988 2168 857 305 573 543 176 428 -568 4482
1989 2304 932 346 631 573 180 495 -601 4859
1990 2465 1070 411 687 600 165 858 -575 5681
1991 2668 1142 525 869 644 183 989 -1055 5965
1992 2852 1294 678 1108 665 195 386 -693 6484
1993 3020 1432 758 1171 683 203 101 -659 6709
1994 3169 1596 820 1161 723 215 176 -685 7175
1995 3333 1771 891 1166 752 213 49 -787 7388
1996 3471 1913 920 1216 773 200 84 -710 7867
1997 3623 2079 956 1225 805 218 50 -854 8101
1998 3761 2110 1012 1221 825 238 261 -835 8593
1999 3870 2093 1080 1290 853 247 361 -795 9000
2000 4060 2160 1179 1339 878 271 437 -811 9514
2001 4294 2379 1294 1431 927 234 412 -893 10076
2002 4521 2537 1475 1803 961 279 389 -904 11060
2003 4705 2742 1607 1962 998 320 502 -1010 11825
2004 4915 2970 1762 1906 1036 319 555 -1089 12375
2005 5187 3351 1817 1969 1097 404 656 -1287 13194
2006 5439 3768 1806 2000 1131 384 1033 -1443 14118
2007 5814 4361 1906 2031 1224 384 558 -1779 14500
2008 6121 4560 2014 2607 1289 445 767 -1854 15949
2009 6777 4999 2509 3502 1377 496 3218 -1946 20932
2010 7008 5205 2728 4373 1384 583 -178 -1965 19137
2011 7249 5596 2750 4040 1442 710 561 -2089 20260
2012 7677 5512 2505 3536 1435 680 1242 -2283 20305
2013 8078 5852 2654 3395 1525 804 1055 -3047 20316
2014 8449 5998 3015 3109 1575 868 745 -2773 20985
2015 8819 6341 3498 3010 1615 924 1342 -2584 22965
2016 9103 6925 3683 3038 1638 1065 1197 -2376 24273
2017 9392 7023 3747 2938 1626 1050 1947 -2535 25188
2018 9820 7045 3892 2852 1571 1014 1627 -2596 25224
2019 10385 7754 4094 3026 1667 1150 2021 -2756 27341
2020 10899 9121 4585 10510 1711 1218 10535 -2775 45803
2021 11288 8677 5206 13765 1737 1251 9748 -3334 48337
2022 12126 9748 5920 5809 1875 1614 9303 -5047 41347

米国にもいろいろな社会保障がありますが、軍人に手厚いのが、日本との大きな違いだと言えます。