金銀・プラチナ・パラジウムETFを比較する(GLD・SLV・PPLT・PALL)

コモディティ

金、銀、プラチナ、パラジウム等の貴金属に投資する米国ETFのデータを比較してみます。

このページでは資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動する指標等)や投資対象の違いを整理してみましょう。

【貴金属ETF】金・銀・プラチナ・パラジウムへの投資法を徹底比較!

金(ゴールド)をはじめとする貴金属は、インフレヘッジや安全資産として、また工業製品に不可欠な素材として、多様な顔を持つ資産クラスです。この記事では、金・銀・プラチナ・パラジウムといった主要な貴金属に手軽に投資できるETFを、それぞれの特徴とともに解説します。

2026年5月時点の貴金属市場:高値圏から調整を挟みつつ推移

金は2026年1月に急騰し、World Gold Councilは2026年Q1にLBMA PM金価格が一時5,405ドルに達したと公表しています。その後は調整を挟み、2026年5月13日時点のReuters報道ではスポット金が4,694.59ドル付近で推移しました。[1]

Reutersは2026年1月22日配信記事で、スポット金4,917.65ドル、スポット銀96.58ドル、スポットプラチナ2,601.03ドルの高値を報じています。2025年から2026年初にかけては、金だけでなく銀・プラチナも大きく上昇しました。[2]

2026年5月時点では、米インフレ・金利見通し、地政学リスク、中央銀行需要、インドなど主要消費国の政策変更が材料になっています。Reutersは2026年5月13日、米インフレ指標を受けた利下げ期待の後退で金が下落したと報じています。[3]

貴金属の種類と特徴

  • 金(Gold):「安全資産」の代表格で、地政学リスクや金融不安が意識される局面で選好されやすい金属です。
  • 銀(Silver):金融資産の側面に加えて、太陽光パネルや電子部品など工業用需要の比率が相対的に大きい金属です。
  • プラチナ(Platinum):触媒や宝飾用途に加え、供給制約(鉱山・精錬の制約)が価格変動要因になりやすい金属です。
  • パラジウム(Palladium):触媒用途の比率が高く、自動車市場の変化(車種構成、排ガス規制、代替・置換)で需給が揺れやすい金属です。

重要:ここで紹介する現物保有型の貴金属ETF・信託は、原則として分配金(配当)はありません。価格変動による売却益が主な投資リターンとなります。たとえばiSharesのIAUやSLVの公式ページでは、分配金なし(Distributions: No)として表示されています。[4]

① 単一の貴金属に投資するETF

【GLD】SPDR® ゴールド・シェア

金地金の価格に連動する代表的な金ETFです。投資目的は、LBMA Gold Price PM(ロンドン午後金価格)をベンチマークに、信託の費用を差し引いた金地金価格の推移を反映することにあります。経費率(総経費率)は0.40%です(2026年5月13日時点の公式表示)。[5]

経費率(目安) 0.40%(2026年5月13日時点)
投資対象 金の現物地金
ベンチマーク LBMA Gold Price PM

【SLV】iシェアーズ シルバー・トラスト

銀地金の現物を保有し、銀価格の値動きへのエクスポージャーを提供するETFです。銀は工業用需要の影響を受けやすく、金と比べて値動きが大きくなる局面があります。経費率(スポンサー手数料)は0.50%です(2026年5月13日時点の公式表示)。[6]

経費率(目安) 0.50%(2026年5月13日時点)
投資対象 銀の現物地金
分配金 なし(2026年5月13日時点の公式表示)

【PPLT】abrdn フィジカル・プラチナ・シェアーズ ETF

プラチナ地金(現物)を保有し、費用控除後のプラチナ価格への連動を目指すETFです。経費率(総経費率)は0.60%です。2026年3月31日時点のファクトシートでは、現物プラチナを裏付け資産とし、ロンドン保管、ICBC Standardをカストディアンとする設計が示されています。[7]

なお、abrdnは2026年4月22日、PPLTについて10対1の株式分割を発表しました。基準日は2026年5月14日、分割後価格での取引開始予定日は2026年5月18日です。分割は1株あたり価格を下げるだけで、ファンドの投資対象や経済的価値を直接変えるものではありません。[8]

経費率(目安) 0.60%(2026年3月31日時点)
投資対象 プラチナの現物地金
複製方法 現物保有型

【PALL】abrdn フィジカル・パラジウム・シェアーズ ETF

パラジウム地金(現物)を保有し、費用控除後のパラジウム価格への連動を目指すETFです。経費率(総経費率)は0.60%です。2026年3月31日時点のファクトシートでは、現物パラジウムを裏付け資産とし、ロンドン保管、ICBC Standardをカストディアンとする設計が示されています。[9]

abrdnは2026年4月22日、PALLについて5対1の株式分割も発表しました。基準日は2026年5月14日、分割後価格での取引開始予定日は2026年5月18日です。[8]

経費率(目安) 0.60%(2026年3月31日時点)
投資対象 パラジウムの現物地金
複製方法 現物保有型

② 複数の貴金属にまとめて投資するETF

どの金属を選ぶか迷う場合や、貴金属全体に分散投資したい場合に便利なバスケット型ETFです。ただし、投資対象が「現物」か「先物」かで値動きのクセ(特にロールコストの影響)が変わります。

【GLTR】abrdn フィジカル・プレシャス・メタルズ・バスケット・シェアーズ ETF(現物保有型)

金、銀、プラチナ、パラジウムの現物を保有するバスケット型ETFです。構成比率は固定ではありませんが、2026年3月31日時点の金属比率は金58.9%/銀34.1%/パラジウム3.3%/プラチナ3.7%でした。経費率(総経費率)は0.60%です。[10]

経費率(目安) 0.60%(2026年3月31日時点)
投資対象 金・銀・プラチナ・パラジウムの現物地金
構成比率(参考) 2026年3月31日時点:金58.9%/銀34.1%/パラジウム3.3%/プラチナ3.7%

【DBP】インベスコ DB プレシャス・メタルズ・ファンド(先物型)

金と銀の先物に投資するファンドです。現物保有型と異なり、先物は期限があるため、定期的な乗り換え(ロール)が発生します。一般に、先物曲線がコンタンゴ(期近<期先)だとロールコストが逆風になり、バックワーデーション(期近>期先)だと追い風になり得ます。DBPは指数ルールに従って先物を保有する商品であり、ロール損益によって現物価格と乖離する可能性があります。[11]

DBPの注意点:「先物型」のリスク

先物型は、金属価格が横ばいでもロールコストで基準価額が目減りすることがあります。短期〜中期の戦略としては有効な場合がある一方、長期の保有戦略では現物型と結果が乖離する可能性がある点に注意が必要です。[11]

経費率(目安) 総経費率0.76%/純経費率0.70%(2026年5月時点の公式表示)
投資対象 金・銀の先物契約
主な留意点 ロール損益(コンタンゴ/バックワーデーション)により、現物型と乖離する場合あり

まとめ:投資のポイント

  • 安全資産として備えたい → 金に特化したGLD(流動性重視)や、より低コストなIAU(スポンサー手数料0.25%、2026年5月13日時点)が基本。[12]
  • 工業用需要の成長も狙いたい → 金融・産業の両面を持つ銀に投資するSLV。金より値動きが荒くなる局面もあるため、ポジション管理が重要。
  • 金属ごとの需給(供給制約・用途)を読む → プラチナ(PPLT)やパラジウム(PALL)は、需給の偏りでトレンドが出る局面がある一方、反転も速いことがあります。
  • 貴金属全体に分散したい → シンプルな現物保有型のGLTRが分かりやすい。先物の仕組みを理解した上で、金・銀の先物型に投資したい場合はDBPも選択肢。

2026年5月時点の投資環境(見立ての材料)

追い風要因:

  • 地政学リスクや貿易摩擦の再燃による「安全資産」需要
  • 中央銀行需要が意識される局面(需給の下支え)
  • 利下げ観測が強まる局面では、無利息資産である金の相対魅力が上がりやすい
  • 銀は太陽光・電子部品など産業需要が価格材料になりやすい

注意点:

  • 貴金属は短期間で大きく上下しやすい(特に銀・プラチナ・パラジウム)
  • 分配金がないため、投資収益は基本的に価格上昇に依存
  • 米金利上昇・ドル高局面では、金や銀に下押し圧力がかかりやすい
  • 先物型はロール損益により、現物型と乖離する場合がある

経費率比較(目安)

ETF 経費率 投資対象
GLD 0.40%(2026年5月13日時点) 金(現物)
IAU 0.25%(2026年5月13日時点) 金(現物)
SLV 0.50%(2026年5月13日時点) 銀(現物)
PPLT 0.60%(2026年3月31日時点) プラチナ(現物)
PALL 0.60%(2026年3月31日時点) パラジウム(現物)
GLTR 0.60%(2026年3月31日時点) 4貴金属バスケット(現物)
DBP 総経費率0.76%/純経費率0.70%(2026年5月時点) 金・銀(先物)

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。記載の市場価格・イベントは原則として2026年5月13日までに確認できる公表情報、各ETFの経費率・ファンドデータは各注記載の時点の情報に基づきます。市場環境や商品価格は急変し得るため、投資前に必ず一次情報(目論見書・公式ファクトシート等)で最新の条件を確認してください。

【注】(出典リンク)

  1. 金価格の2026年Q1動向・LBMA PM高値 → World Gold Council「Gold Demand Trends: Q1 2026」(確認日:2026-05-13)
  2. 金・銀・プラチナの2026年1月高値 → Reuters(2026-01-22、貴金属市況)(確認日:2026-05-13)
  3. 2026年5月の金市況・米インフレと金利見通し → Reuters(2026-05-13、貴金属市況)(確認日:2026-05-13)
  4. 現物保有型の貴金属ETFは原則分配金なし → iShares SLV 公式ページiShares IAU 公式ページ(確認日:2026-05-13)
  5. GLD:投資目的・経費率・ベンチマーク → State Street GLD 公式ページSPDR Gold Shares 公式ページ(確認日:2026-05-13)
  6. SLV:スポンサー手数料・投資対象・分配金 → iShares SLV 公式ページ(確認日:2026-05-13)
  7. PPLT:経費率・投資対象・現物保有型 → abrdn PPLT Fact Sheet(2026-03-31)abrdn PPLT 公式ページ(確認日:2026-05-13)
  8. PPLT・PALLの株式分割 → abrdn発表(PR Newswire、2026-04-22)(確認日:2026-05-13)
  9. PALL:経費率・投資対象・現物保有型 → abrdn PALL Fact Sheet(2026-03-31)(確認日:2026-05-13)
  10. GLTR:経費率・金属比率・投資対象 → abrdn GLTR Fact Sheet(2026-03-31)(確認日:2026-05-13)
  11. DBP:先物投資・経費率・商品概要 → Invesco DBP 公式ページInvesco DBP Fact Sheet(PDF)(確認日:2026-05-13)
  12. IAU:スポンサー手数料・金現物投資 → iShares IAU 公式ページiShares IAU Fact Sheet(PDF)(確認日:2026-05-13)

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。



Posted by 南 一矢