【製薬の巨人対決】メルク(MRK) vs イーライリリー(LLY)!安定配当か、爆発的成長か?

世界の人々の健康を支える製薬(ヘルスケア)セクター。その中でも、メルク(MRK)イーライリリー(LLY)は、投資家にとって全く異なる魅力を持つ2社です。
メルクは、がん領域を中心に大型品を抱えつつ、配当も含めて「安定感」を打ち出しやすいタイプ。リリーは、GLP-1系の需要急拡大を背景に「成長ストーリー」を強く持つタイプです。

(日本時間)/最新決算はMRK:2026年Q1LLY:2026年Q1の公表内容を反映。[1][2]

最重要ポイント:運命を分ける「ブロックバスター薬」

  • メルク (MRK) → がん治療薬「キイトルーダ」
    2026年Q1のメルク売上は$16.286B(前年比+5%)でした。キイトルーダ/キイトルーダQLEXの売上は$8.0B(+12%)で、うち皮下投与製剤KEYTRUDA QLEXは$128Mを売り上げました。[1]
    ただし、2026年Q1はCidara Therapeutics買収に伴う1株あたり$3.62の費用を計上したため、GAAP EPSは-$1.72、Non-GAAP EPSも-$1.28となりました。[1]
  • イーライリリー (LLY) → GLP-1系(肥満・糖尿病領域)
    2026年Q1のリリー売上は$19.799B(前年比+56%)でした。Mounjaroは$8.662B(+125%)、Zepboundは$4.160B(+80%)と、GLP-1系が成長の中心です。会社は2026年通期の売上見通しを$82.0B〜$85.0B、Non-GAAP EPS見通しを$35.50〜$37.00へ引き上げました。[2]

比較サマリー:安定のMRK、成長のLLY

項目 メルク (MRK) イーライリリー (LLY)
主力の方向性 がん領域(キイトルーダ等)+ワクチン+動物薬。キイトルーダ依存を下げるため、循環器・呼吸器・HIV・血液がんなどのパイプライン強化を進める。 肥満・糖尿病領域(Mounjaro/Zepbound/Foundayo)を軸に急成長。アルツハイマー、免疫、がん領域も拡大。
売上(最新四半期) $16.286B(2026年Q1)[1] $19.799B(2026年Q1)[2]
会社見通し(2026年) 売上$65.8B〜$67.0B、Non-GAAP EPS$5.04〜$5.16。ただし、Cidara買収に伴う一時費用を含む見通しです。[1] 売上$82.0B〜$85.0B、Non-GAAP EPS$35.50〜$37.00[2]
配当(直近公表の四半期配当) $0.85/四半期(2026年Q2配当)[3] $1.73/四半期(2026年Q2配当)[4]
配当利回り(概算) 3.0%
年$3.40 ÷ 株価$113.15(2026年5月6日12:47 UTC時点)
[5]
0.7%
年$6.92 ÷ 株価$988.87(2026年5月6日12:56 UTC時点)
[5]
バリュエーションの目安 22.2倍
株価$113.15 ÷ 2026年Non-GAAP EPS見通し中央値$5.10
[1][5]
27.3倍
株価$988.87 ÷ 2026年Non-GAAP EPS見通し中央値$36.25
[2][5]

※配当利回り・PERは、各社の「直近公表の配当/会社見通し」と、2026年5月6日12時台UTC時点の株価から概算。株価や配当方針の変更で変動します。MRKの2026年Non-GAAP EPS見通しにはCidara買収に伴う一時費用が含まれます。

業績と成長性の整理

両社とも2025通期では売上規模がほぼ同水準でしたが、2026年Q1で差が広がりました。リリーはGLP-1系の需要急増を背景に、2026年Q1売上が前年比+56%と大きく伸び、通期見通しも引き上げました。一方メルクは、キイトルーダが堅調である一方、Gardasilの落ち込みや大型買収に伴う費用が利益の見え方を複雑にしています。[1][2]

年・期間 メルク 売上(いつ時点) リリー 売上(いつ時点)
2026 Q1 $16.286B(2026年Q1実績、前年比+5%)[1] $19.799B(2026年Q1実績、前年比+56%)[2]
2026 $65.8B〜$67.0B(会社見通し)[1] $82.0B〜$85.0B(会社見通し)[2]
2025 $65.011B(FY2025実績)[6] $65.179B(FY2025実績)[7]
2024 $64.2B(FY2024実績)[8] 約$45.0B(FY2024実績)[9]
2023 $60.1B(FY2023実績)[10] $34.1B(FY2023実績)[9]

主力薬とリスクの見方

メルクは、キイトルーダが2026年Q1も$8.0Bを売り上げ、同社の最大の柱であり続けています。皮下投与製剤KEYTRUDA QLEXも売上寄与を始めており、投与利便性の改善は重要です。一方で、Gardasil/Gardasil 9は2026年Q1に$1.069B、前年比-19%となりました。中国や日本の需要変化が影響しており、ワクチン事業の成長ペースには注意が必要です。[1]

リリーは、MounjaroとZepboundの勢いが非常に強く、2026年Q1のMounjaro売上は$8.662B、Zepbound売上は$4.160Bでした。さらに、経口GLP-1薬Foundayo(orforglipron)の米国FDA承認もあり、注射薬だけでなく飲み薬でも肥満・糖尿病市場を取りに行く構図になっています。[2]

結論:あなたに合うのはどちら?

「配当と相対的な安定感」を重視するなら → メルク (MRK)

配当利回りはリリーより高く、ディフェンシブ寄りの魅力があります。2026年Q1もキイトルーダ、Winrevair、動物薬が売上を支え、通期売上見通しは$65.8B〜$67.0Bへ小幅に引き上げられました。[1]
一方で、キイトルーダへの依存、Gardasilの減速、買収費用によるEPSの振れは投資家が常に意識すべき論点です。特に2026年のNon-GAAP EPS見通しはCidara買収費用を含むため、単純な利益成長率だけで判断しないほうがよいでしょう。

「成長率と将来の拡大ストーリー」に期待するなら → イーライリリー (LLY)

2026年Q1の売上は$19.799Bに達し、前年比+56%の高成長でした。MounjaroとZepboundの需要が非常に強く、会社は2026年通期売上見通しを$82.0B〜$85.0Bへ引き上げています。[2]
その分、バリュエーションはすでに高成長を織り込みやすく、供給能力、価格圧力、競合薬、保険償還、規制の変化には注意が必要です。

最終的な整理:安定配当と大型薬の収益基盤を重視するならMRK、肥満・糖尿病領域の高成長と経口GLP-1を含む将来拡大を重視するならLLYです。MRKは「配当+再構築」、LLYは「高成長+高期待」の銘柄として、期待値とリスクの種類が大きく異なります。


※本ページの分析は2026年5月6日(日本時間)時点の公開情報に基づきます。株価・利回り等は変動します。