YYY・ALTY・DIV・SDIV(超高配当ETF)を比較する
超高配当ETFのデータを比較し、情報を整理してみます。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、そのリスクを踏まえ、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を紹介してみましょう
(※リスクの一例:【ZMLP】〔ディレクションザックスMLP高配当ETF〕は2020年の原油価格急落の打撃を受け、ファンドを解消してしまいました)
【超ハイリスク】利回り10%超!超高配当ETFの仕組みと危険な罠とは?
【重要】この記事を読む前の注意点
この記事で紹介するETFは、S&P500や全世界株式といった通常の株式ETFとは全く異なる、非常に複雑でハイリスクな上級者向けの商品です。高い利回りには、相応の理由(複雑な仕組みや高いリスク)があります。その仕組みと危険性を十分に理解した上で、慎重にご覧ください。
この記事では、代表的な超高配当ETFを例に挙げ、なぜ高い利回りが実現できるのかという「仕組み」と、その代償として受け入れなければならない「リスク」を徹底的に解説します。
「超高配当ETF」比較一覧表
まずは、以下のETFの戦略と、どのように高い利回りに伴うコストとリスクを抱えているのかを一覧で確認します。
ティッカー | 投資戦略 | 配当利回り(目安) | 実質コスト(年率) | 主なリスク |
---|---|---|---|---|
YYY | CEF(クローズドエンド型ファンド) | 約13% | 約2.5% | 金利上昇、レバレッジ、複雑性 |
ALTY | オルタナティブ資産 | 約10% | 約2.6% | 不動産・原油市況、金利、複雑性 |
DIV | 米国 低ボラティリティ高配当株 | 約5% | 0.45% | 高配当の罠、金利上昇、市場上昇への遅れ |
SDIV | 世界 高配当株 | 約10% | 0.58% | 高配当の罠、新興国リスク、為替 |
※データは2025年6月時点のものを参考にしています。利回りやコストは変動します。YYY, ALTYの実質コストは、投資先ファンドの経費等を含んだ概算値です。
各ETFの「高利回りの仕組み」と「リスク」
【YYY】アンプリファイ・ハイ・インカムETF
- 高利回りの仕組み: このETFは、様々な「クローズドエンド型ファンド(CEF)」にまとめて投資する商品です。CEFとは、借金をして(レバレッジをかけて)投資を行うことで、高い分配金を生み出すものが多くあります。YYYは、そうしたハイリスク・ハイリターンなCEFに投資することで、高い利回りを実現しています。
- 主なリスク: 金利が上昇すると、CEFの借入コストが増加するため、収益と価格が大きく圧迫されます。また、レバレッジがかかっているため、市場の下落局面では価格が想定以上に急落する可能性があります。
- 出典: Amplify ETFs
【ALTY】グローバルX スーパーディビィデンド・オルタナティブズETF
- 高利回りの仕組み: 不動産(REIT)、MLP(エネルギー関連事業)、カバードコール(オプション取引)といった、株式や債券とは異なる「オルタナティブ資産」に投資します。これらの資産は、それぞれ異なる方法で高いインカムを生み出す特性があります。
- 主なリスク: 投資対象が多岐にわたるため、リスクも非常に複雑。不動産市況の悪化、原油価格の急落、オプション取引の失敗など、複数のリスク要因が絡み合い、予測困難な値動きをすることがあります。
- 出典: Global X ETFs
【DIV】グローバルX スーパーディビィデンド米国低ベータ ETF
- 高利回りの仕組み: 米国株の中から、「配当利回りが高く」かつ「価格変動が穏やか(低ベータ)」な50銘柄を選んで分散投資。
- 主なリスク: (1)業績が悪化して株価が下落した結果、見かけ上利回りが高くなっているだけの「高配当の罠」銘柄を含む可能性があります。(2)金利が上昇すると、より安全な債券に資金が流れるため、高配当株は売られやすくなります。(3)価格変動が穏やかな分、市場全体が大きく上昇する局面では、その波に乗り遅れる傾向があります。
- 出典: Global X ETFs
【SDIV】グローバルX スーパーディビィデンド世界株式ETF
- 高利回りの仕組み: DIVの世界版で、世界中の国から配当利回りが高い100銘柄を選んで分散投資。
- 主なリスク: DIVが持つ「高配当の罠」や金利上昇リスクに加え、ブラジルや南アフリカといった新興国の株式も含まれるため、**新興国特有のカントリーリスクや為替リスクも上乗せ**されます。「全世界に分散」しているからといって、リスクが低いわけではない点に注意が必要。
- 出典: Global X ETFs
【結論】超高配当ETFに潜む共通の罠
これらのETFに投資する際には、以下の点に注意が必要です。
- 高い利回りを過信しない: 高い利回りは、高いリスクの裏返しです。また、業績悪化による株価下落が続けば、将来的に分配金が減額される「減配」のリスクも常にあります。
- トータルリターンで考える: 分配金を受け取っても、それ以上に株価が下落していては意味がありません。利回りだけでなく、株価の変動を含めた「トータルリターン」で成績を判断する必要があります。
- コア資産にはしない: これらのETFは資産の中核(コア)に据えるべきではありません。もし投資して損が出ても生活に影響がない範囲で、ポートフォリオの数%程度に留める「スパイス」的な位置づけにすべきETFです。
結論的に、ほとんどの個人投資家は、これらの複雑でハイリスクなETFに手を出す必要はありません。手を出してもわずかな投資比率にとどめるべきで、S&P500や全世界株式といった、低コストなインデックスファンドへの長期・積立投資のほうが報われることが多いと言えます。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当(分配金)と利回り
年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)
YYYの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 12% | 1.44 | 0% | 12 | 2.6% |
2023 | 12.31% | 1.44 | 0% | 11.7 | -12.7% |
2022 | 10.75% | 1.44 | -12.2% | 13.4 | -21.2% |
2021 | 9.65% | 1.64 | 1.2% | 17 | 12.6% |
2020 | 10.73% | 1.62 | 17.4% | 15.1 | -14.7% |
2019 | 7.8% | 1.38 | -11.5% | 17.7 | -2.7% |
2018 | 8.57% | 1.56 | -1.9% | 18.2 | -6.2% |
2017 | 8.2% | 1.59 | -17.2% | 19.4 | 5.4% |
2016 | 10.43% | 1.92 | 0% | 18.4 | -8% |
2015 | 9.6% | 1.92 | -6.8% | 20 | -14.9% |
2014 | 8.77% | 2.06 | 74.6% | 23.5 | 1.7% |
2013 | 5.11% | 1.18 | 21.6% | 23.1 | 4.5% |
2012 | 4.39% | 0.97 | – | 22.1 | – |
ALTYの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 7.84% | 0.91 | 11% | 11.6 | 3.6% |
2023 | 7.32% | 0.82 | 5.1% | 11.2 | -5.9% |
2022 | 6.55% | 0.78 | -18.8% | 11.9 | -9.8% |
2021 | 7.27% | 0.96 | -20.7% | 13.2 | 16.8% |
2020 | 10.71% | 1.21 | 0% | 11.3 | -23.6% |
2019 | 8.18% | 1.21 | 13.1% | 14.8 | 0% |
2018 | 7.23% | 1.07 | -3.6% | 14.8 | -4.5% |
2017 | 7.16% | 1.11 | -3.5% | 15.5 | 4.7% |
2016 | 7.77% | 1.15 | 113.% | 14.8 | 2.1% |
2015 | 3.72% | 0.54 | – | 14.5 | – |
DIVの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 6.33% | 1.12 | -8.9% | 17.7 | 3.5% |
2023 | 7.19% | 1.23 | 4.2% | 17.1 | -14.5% |
2022 | 5.9% | 1.18 | 4.4% | 20 | 2% |
2021 | 5.77% | 1.13 | -20.4% | 19.6 | 17.4% |
2020 | 8.5% | 1.42 | -13.4% | 16.7 | -28.3% |
2019 | 7.04% | 1.64 | 7.9% | 23.3 | -5.7% |
2018 | 6.15% | 1.52 | 3.4% | 24.7 | -2.4% |
2017 | 5.81% | 1.47 | -8.7% | 25.3 | 3.3% |
2016 | 6.57% | 1.61 | -18.7% | 24.5 | -7.9% |
2015 | 7.44% | 1.98 | 32.9% | 26.6 | -5.7% |
2014 | 5.28% | 1.49 | 8.8% | 28.2 | 10.6% |
2013 | 5.37% | 1.37 | – | 25.5 | – |
SDIVの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 10.64% | 2.34 | -11.7% | 22 | -3.1% |
2023 | 11.67% | 2.65 | -21.6% | 22.7 | -22.5% |
2022 | 11.54% | 3.38 | 3.7% | 29.3 | -27.5% |
2021 | 8.07% | 3.26 | -7.4% | 40.4 | 11% |
2020 | 9.67% | 3.52 | -18.5% | 36.4 | -30.5% |
2019 | 8.24% | 4.32 | -7.3% | 52.4 | -14.5% |
2018 | 7.6% | 4.66 | 7.9% | 61.3 | -5.1% |
2017 | 6.69% | 4.32 | 0% | 64.6 | 6.1% |
2016 | 7.09% | 4.32 | 0% | 60.9 | -7.4% |
2015 | 6.57% | 4.32 | -2.7% | 65.8 | -10.5% |
2014 | 6.04% | 4.44 | -7.7% | 73.5 | 7% |
2013 | 7% | 4.81 | -3% | 68.7 | 5.9% |
2012 | 7.64% | 4.96 | 70.4% | 64.9 | -1.2% |
2011 | 4.43% | 2.91 | -61.3% | 65.7 | – |
ポートフォリオの比較
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率はチャールズシュワブ、組入れ上位10銘柄はフィディリティのサイト内のページを参照。