VMBS・MBB(モーゲージ担保証券ETF)を比較:株価・配当・構成銘柄
モーゲージ証券ETF「VMBS vs MBB」を徹底比較|利回り・経費率・金利リスク
2026年10月の投資環境メモ
エージェンシーMBS(政府系住宅ローン担保証券)は、同程度の金利リスクを持つ米国債に対して追加的なスプレッドを持つことがあります。MBBのオプション調整後スプレッド(OAS)は、2026年9月25日時点で34.16ベーシスポイント(約0.34ポイント)でした。ただし、OASはETFの分配利回りと米国債利回りの単純な差ではなく、期限前償還オプションなどを考慮した推計値です。[1]
2026年9月16日のFOMCは政策金利の誘導目標を3.75~4.00%へ0.25ポイント引き上げ、インフレが依然高いとの判断を示しました。金利低下を前提にしたMBS投資には注意が必要です。[2]
実際、2026年10月8日時点の米国債の利回りは、5年物が4.99%、10年物が5.22%でした。後述するVMBS・MBBの30日SEC利回りを上回っています。ただし、米国債の市場利回りとETFの30日SEC利回りは算出方法や基準日が異なるため、その差だけで投資優劣は決められません。少なくとも「MBS ETFなら常に米国債より高利回り」とはいえない環境です。[3]
FRBは2025年12月1日から保有証券のランオフを停止しました。2026年10月時点も、エージェンシー債券・MBSの元本償還金を主として米国短期国債へ再投資する方針です。FRBがエージェンシーMBSを買い増す方針ではない点を区別しておきましょう。[4]
モーゲージ証券(MBS)とは?投資家が注視すべきリスク
MBS(Mortgage-Backed Securities)は、多数の住宅ローン債権から生じる元利金を投資家へ分配する証券です。本記事で扱うVMBSやMBBは、主にジニーメイ(GNMA)、ファニーメイ(FNMA)、フレディマック(FHLMC)が発行・保証する「エージェンシーMBS」に投資するETFです。[5]
保証の法的な位置づけは同一ではありません。ジニーメイの保証には米国政府の「完全な信頼と信用(full faith and credit)」が付されます。一方、ファニーメイとフレディマックの証券は、米国債と同じ明示的な米政府保証を持つわけではありません。両社は2026年10月時点もFHFAの保全管理下にあり、米財務省との支援契約があります。「エージェンシーMBS=すべて米国債と同じ保証」と理解するのは不正確です。[6]
信用リスクが比較的抑えられる一方、次の固有リスクがあります。
- 金利リスク:市場金利が上がればETFの債券価格は通常下落します。2026年9月時点で、VMBSの平均デュレーションは約5.6年、MBBの実効デュレーションは約5.76年でした。算出法・観測日が必ずしも一致しない点には注意が必要です。[5][1]
- 期限前償還(プリペイメント)リスク:金利低下で住宅ローンの借り換えが増えると元本が早く戻り、低金利での再投資を迫られることがあります。
- 期限延長(エクステンション)リスク:金利上昇で住宅ローンの繰り上げ返済が減ると元本回収が遅れ、デュレーションが延びやすくなります。
- スプレッド・流動性リスク:米国債利回りが変わらなくても、MBSの要求スプレッドが拡大すれば価格が下がる可能性があります。
こうしたリスクの対価としてMBSには追加的なスプレッドが求められますが、保有期間中のリターンが米国債を常に上回るわけではありません。分配金に加え、価格変動を含むトータルリターンで比較することが重要です。[1]
主要2大ETF比較サマリー(2026年10月9日更新)
VMBSとMBBは、いずれも米国エージェンシーMBSへの分散投資を目的としたETFです。保有コスト・資産規模・金利感応度・売買時の流動性を比較します。
| 項目 | 【VMBS】バンガード | 【MBB】iシェアーズ |
|---|---|---|
| 経費率 | 0.03%(2025-12-19基準)[5] | 0.04%(2026-09時点の公式掲載)[1] |
| ETF純資産額 | 約159億ドル(2026-08-31)[5] | 約356億ドル(2026-10-07)[7] |
| 30日SEC利回り | 4.33%(2026-09-10)[5] | 4.48%(2026-09-24)[1] |
| デュレーション | 平均約5.6年(2026-09-11)[5] | 実効5.76年(2026-09-25)[1] |
| 30日中央値 売買スプレッド |
0.02%(2026-09-11)[5] | 0.01%(2026-09-18)[1] |
| 分配頻度 | 毎月(2026-09時点)[5] | 毎月(2026-09時点)[1] |
※出典は各運用会社の公式資料。データの取得可能日が指標・ETFごとに異なります。VMBSの「ETF純資産額」はETFシェアクラスの約159億ドルであり、同じページに表示されるファンド全体の純資産約176億ドル(いずれも2026年8月31日)とは区別しました。30日SEC利回りは両ファンドとも2026年10月9日当日の利回りではありません。[5]
各ETFの詳細分析
【VMBS】Vanguard Mortgage-Backed Securities ETF
- 連動指数:Bloomberg U.S. MBS Float Adjusted Index(ブルームバーグ米国MBSフロート調整指数)。[5]
- 運用コスト:2025年12月19日基準の経費率は0.03%。MBBより0.01ポイント低い設定です。[5]
- ポートフォリオ:ジニーメイ、ファニーメイ、フレディマックの発行・保証する米国住宅ローン担保証券を中心に保有し、指数の主要特性を再現するサンプリング運用です。[5]
- 資産規模・流動性:2026年8月末のETF純資産は約159億ドル。2026年9月11日時点の30日中央値売買スプレッドは0.02%で、長期保有型ETFとして一定の売買しやすさを備えています。[5]
- 金利感応度:2026年9月11日時点の平均デュレーションは約5.6年。金利・期限前償還の変化に敏感な中期債券型のリスクを持ちます。[5]
- 投資適性:流動性が確保できる範囲で、長期の保有コストを少しでも抑えたい投資家に選択肢となります。
【MBB】iShares MBS ETF
- 連動指数:Bloomberg U.S. MBS Index(ブルームバーグ米国MBS指数)。[1]
- 運用コスト:2026年9月時点の公式経費率は0.04%。VMBSより0.01ポイント高いものの、絶対水準では低コストです。[1]
- 純資産規模:2026年10月7日時点のETF純資産額は約356億ドル。2026年8月末のVMBSと比較すると2倍強の規模ですが、比較日は異なります。[7][5]
- 流動性:2026年9月18日の30日中央値売買スプレッドは0.01%で、VMBSより小さくなっています。ただし、実際の売買価格や約定コストは注文規模・時刻・市場環境で変わります。[1]
- ポートフォリオ:2026年9月18日時点ではファニーメイ42.70%、フレディマック29.53%、ジニーメイ23.47%、Uniform MBS 2.91%、現金・デリバティブ1.40%でした。[1]
- スプレッド:2026年9月25日のOASは34.16bp。スプレッド拡大時には金利上昇がなくても価格に下押し圧力が働く可能性があります。[1]
- 投資適性:ETF純資産規模や、売買時に観測される狭いスプレッドを重視する場合に検討しやすい銘柄です。
投資のポイントと選び方の指針
VMBSとMBBの投資対象・金利感応度はかなり近く、経費率の差だけで将来の運用成績が大きく変わるとは限りません。基準指数は異なるため、銘柄構成や再現方法の違いも残ります。
- 保有コストを優先 → VMBS:経費率0.03%(2025年12月19日基準)で、MBBより0.01ポイント低い水準。ETF純資産も2026年8月末時点で約159億ドルあります。[5]
- ETF純資産規模と取引時のスプレッドを優先 → MBB:ETF純資産額は2026年10月7日時点で約356億ドル。2026年9月18日の30日中央値売買スプレッドは0.01%で、流動性を評価しやすい条件です。[7][1]
経費率の差は年0.01ポイントです。投資額100万円なら単純計算で年間約100円、1,000万円なら約1,000円に相当します。逆に、売買時の価格差や約定条件によっては一度の取引コストが経費率差を上回る可能性もあります。
環境チェックの要点
①金利が下がると借り換えが進み、期限前償還と低利回りでの再投資リスクが高まります。②金利が上がると元本回収が遅れ、デュレーションが延びる場合があります。③MBBのOASは2026年9月25日時点で34.16bpですが、スプレッドは固定されません。④FRBは2025年12月にランオフを停止したものの、エージェンシー証券の元本償還金は米国短期国債へ再投資する方針です。[1][4]
米国債との比較では利回りの定義をそろえることが重要です。2026年10月8日の米国5年債利回りは4.99%、10年債は5.22%でした。一方、MBS ETFの30日SEC利回りは過去30日間の純投資収益を年率換算したもので、取得時点・償還特性・デュレーションが一致しません。金利とOASの水準によっては、米国債よりも魅力が低くなる局面があり得ます。[3]
VMBSとMBBを債券ポートフォリオの一部に組み込む場合は、分配利回りだけでなくデュレーション、信用保証構造、プリペイメント、OAS、既存の米国債ETFとのリスク重複を確認しましょう。日本円で投資成果を測る場合、為替ヘッジなしの米ドル建てETFには円高による評価額減少リスクもあります。
30日SEC利回りは、直近30日間の純投資収益を米国SECの標準的な方法で年率換算した指標です。過去12カ月の実際の分配金に基づくトレーリング利回りとは異なります。将来の分配金やトータルリターンを保証するものではなく、算出日が離れているETF同士の比較にも注意が必要です。
実効デュレーションが約5~6年なら、他の条件が一定の場合、関連する利回りが1ポイント上昇したときに価格が概算で約5~6%下落する金利感応度を示します。ただしMBSでは借り換え行動によりデュレーションが変わり、金利変化と価格変化の関係は対称になりにくい性質があります。OASの変化も価格に影響します。
免責事項・数値基準
本記事は2026年10月9日時点で取得可能な情報を整理したものであり、特定の金融商品の購入や売却を勧誘するものではありません。ファンドの表示数値は指標ごとに基準日が異なり、2026年10月9日のリアルタイム値を意味しません。MBS ETFには金利・スプレッド・期限前償還・為替などのリスクがあり、元本割れの可能性があります。
【注】(出典リンク)
- MBBの利回り・経費率・デュレーション・OAS・構成比・売買スプレッド → 一次情報:iShares MBB公式商品ページ(確認日:2026-10-09) ↩
- 2026年9月16日FOMC・政策金利 → 一次情報:Federal Reserve FOMC声明(2026-09-16)(確認日:2026-10-09) ↩
- 2026年10月8日の米国債利回り → 一次情報:米財務省 Daily Treasury Par Yield Curve Rates(確認日:2026-10-09) ↩
- 2025年12月からのFRB保有証券再投資方針 → 一次情報:Federal Reserve Policy Normalization(確認日:2026-10-09) ↩
- VMBSの経費率・純資産・利回り・デュレーション・取引指標 → 一次情報:Vanguard Advisors VMBS公式ファンド情報 → 一次情報:Vanguard ETF一覧(SEC利回り)(確認日:2026-10-09) ↩
- ジニーメイの米政府保証、ファニーメイ・フレディマックの法的位置づけ → 一次情報:Ginnie Mae公式説明 → 一次情報:FHFA Conservatorship(確認日:2026-10-09) ↩
- MBBの2026年10月7日純資産額 → 一次情報:iShares ETF Investments List(確認日:2026-10-09) ↩
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当(分配金)と利回り
年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)
VMBSの利回り
| 年 | 配当 | 株価 | |||
| 平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
| 2025 | 3.68% | 1.732 | -3.3% | 47.1 | 3.7% |
| 2024 | 3.95% | 1.791 | 17.1% | 45.4 | -0.2% |
| 2023 | 3.36% | 1.53 | 53.0% | 45.5 | -5.4% |
| 2022 | 2.08% | 1.00 | 108.3% | 48.1 | -9.9% |
| 2021 | 0.90% | 0.48 | -52.9% | 53.4 | -1.3% |
| 2020 | 1.89% | 1.02 | -27.7% | 54.1 | 2.9% |
| 2019 | 2.68% | 1.41 | 6.8% | 52.6 | 2.7% |
| 2018 | 2.58% | 1.32 | 22.2% | 51.2 | -2.7% |
| 2017 | 2.05% | 1.08 | 2.9% | 52.6 | -1.5% |
| 2016 | 1.97% | 1.05 | -0.9% | 53.4 | 0.4% |
| 2015 | 1.99% | 1.06 | 10.4% | 53.2 | 1.5% |
| 2014 | 1.83% | 0.96 | 113.3% | 52.4 | 1.6% |
| 2013 | 0.87% | 0.45 | -43.0% | 51.6 | -1.5% |
| 2012 | 1.51% | 0.79 | -40.2% | 52.4 | 2.1% |
| 2011 | 2.57% | 1.32 | -30.2% | 51.3 | 0.8% |
| 2010 | 3.71% | 1.89 | 2000.0% | 50.9 | 1.6% |
| 2009 | 0.18% | 0.09 | – | 50.1 | – |
MBBの利回り
| 年 | 配当 | 株価 | |||
| 平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
| 2025 | 3.70% | 3.551 | -1.7% | 96.1 | 4.3% |
| 2024 | 3.92% | 3.614 | 13.0% | 92.1 | -0.3% |
| 2023 | 3.46% | 3.20 | 54.6% | 92.4 | -5.6% |
| 2022 | 2.11% | 2.07 | 89.9% | 97.9 | -9.8% |
| 2021 | 1.00% | 1.09 | -51.8% | 108.5 | -1.5% |
| 2020 | 2.05% | 2.26 | -23.4% | 110.1 | 3.0% |
| 2019 | 2.76% | 2.95 | 9.3% | 106.9 | 3.0% |
| 2018 | 2.60% | 2.70 | 15.9% | 103.8 | -2.8% |
| 2017 | 2.18% | 2.33 | -12.7% | 106.8 | -2.1% |
| 2016 | 2.45% | 2.67 | -4.6% | 109.1 | -0.2% |
| 2015 | 2.56% | 2.80 | 53.0% | 109.3 | 1.6% |
| 2014 | 1.70% | 1.83 | 44.1% | 107.6 | 1.3% |
| 2013 | 1.20% | 1.27 | -40.7% | 106.2 | -2.0% |
| 2012 | 1.97% | 2.14 | -39.5% | 108.4 | 1.5% |
| 2011 | 3.31% | 3.54 | -42.8% | 106.8 | -1.3% |
| 2010 | 5.72% | 6.19 | 66.0% | 108.2 | 2.2% |
| 2009 | 3.52% | 3.73 | -17.1% | 105.9 | 3.7% |
| 2008 | 4.41% | 4.50 | – | 102.1 | – |

