JNJ(ジョンソンエンドジョンソン) の配当推移

ヘルスケア,医療機器,配当





ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)配当投資分析(2026年7月更新)


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)配当投資分析(2026年7月更新)

要旨:ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下、J&J)は、2026年4月に64年連続増配を発表した代表的な配当成長株です。[1]2025年通期は売上高942億ドル、希薄化後EPS 11.03ドル、営業キャッシュフロー約245億ドルを計上しました。[2]2026年Q2は売上高253億ドル、希薄化後EPS 2.27ドル、調整後EPS 2.90ドルとなり、2026年通期見通しも再び引き上げられています。[3]配当の安全性を見るうえで重要な「配当を現金でどれだけカバーできるか」を、営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローの両面から確認し、あわせてバランスシートの推移も整理します。年次データは2025年通期まで、四半期の最新情報は2026年Q2まで反映しています。

直近の配当・利回り・権利落ちの確認

2026年4月14日、J&Jは四半期配当を1.30ドルから1.34ドルへ引き上げました。これにより、年率換算の配当は5.36ドルです。さらに、2026年7月15日には2026年Q3の配当として1株当たり1.34ドルを支払うことが決定されました。支払日は2026年9月8日、基準日と権利落ち日は2026年8月25日です。なお、2025年に実際に支払われた年間配当は5.14ドル/株でした。[1][2]

配当の現在地(2026年7月16日時点)

  • 連続増配年数:64年[1]
  • 現在の四半期配当:1.34ドル/株[1]
  • 年率換算配当:5.36ドル/株[1]
  • 次回支払日:2026年9月8日[1]
  • 次回基準日・権利落ち日:2026年8月25日[1]
  • 2025年実績配当:5.14ドル/株[2]
  • 2025年平均株価:166.94ドル、平均利回りは約3.08%[4]
  • 2026年Q2時点の通期見通し:報告ベース売上高の中間値1,011億ドル、調整後EPSの中間値11.68ドル[3]

まず、J&Jの配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。

権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)なども確認してみます。

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

年次:配当の推移(利回り・成長率・配当性向・年間配当・平均株価・EPS)

増配ピッチと「会計ベースの配当性向」の振れ幅をつかむための年次テーブルです。ここでは直近の傾向が見やすいよう、2018~2025年をまとめています。2025年までは実績ベースで、2026年はまだ途中経過なので、年率換算配当のみを本文で扱います。[2][4]

平均利回り 成長率 配当性向 年間配当
(ドル/株)
平均株価 年EPS
2025 3.08% 4.7% 46.6% 5.14 166.94 11.03
2024 3.32% 4.7% 84.8% 4.91 147.71 5.79
2023 2.93% 5.6% 34.3% 4.70 160.30 13.72
2022 2.58% 6.2% 66.1% 4.45 172.50 6.73
2021 2.53% 5.3% 53.6% 4.19 165.50 7.81
2020 2.73% 6.1% 72.2% 3.98 145.80 5.51
2019 2.78% 5.9% 66.6% 3.75 134.90 5.63
2018 2.66% 6.6% 63.1% 3.54 133.00 5.61

J&JのEPSは、訴訟費用や事業売却、買収関連費用などによって一時的に大きく振れる年があります。2024年の配当性向が高く見えるのも、GAAP EPSが一時要因によって低く出たためです。したがって、配当の安全性を評価するときは、次のキャッシュフロー対比を見るほうが実務的です。[2]


配当の持続可能性を測る:現金ベースのカバー比率

指標の読み方

  • 配当総額(現金支出):普通株主に実際に支払った現金配当の総額です。2025年は年次報告書で約124億ドルと確認できます。[2]
  • 営業CF対配当比率=営業キャッシュフロー÷配当総額。中長期で1.5倍超を維持できていれば、配当支払いには比較的余裕があると判断できます。
  • フリーCF対配当比率=(営業キャッシュフロー-設備投資)÷配当総額。事業維持や成長のための投資後に残る現金で、配当をどれだけまかなえるかを見る指標です。

2025年のJ&Jは、営業キャッシュフロー約245億ドル、設備投資約48億ドル、フリーキャッシュフロー約197億ドル、配当支払約124億ドルでした。したがって、営業CF/配当は約1.98倍FCF/配当は約1.59倍です。大型買収を行った年としては、しっかりした水準を維持しています。[2]

また、J&Jが2026年7月15日に公表した2026年上半期の推定フリーキャッシュフローは約87億ドルでした。四半期決算発表時点の推定値ではありますが、2026年も引き続き相応の現金創出力を確保しています。[3]

年次:配当総額とカバー比率

単位は百万ドル(Mドル)。2018~2025年を掲示しています。2018~2024年の長期系列はMacrotrends、2025年はJ&Jの年次報告書を優先しています。[2][4]

配当総額 営業CF CAPEX フリーCF 営業CF/
配当
FCF/
配当
2025 12,400 24,500 4,800 19,700 1.98 1.59
2024 11,823 24,266 3,749 20,517 2.05 1.74
2023 11,770 22,791 4,185 18,606 1.94 1.58
2022 11,303 21,194 3,466 17,728 1.88 1.57
2021 10,812 23,410 3,200 20,210 2.17 1.87
2020 10,322 23,536 4,000 19,536 2.28 1.89
2019 9,847 23,416 3,900 19,516 2.38 1.98
2018 9,303 22,201 3,700 18,501 2.39 1.99

2022~2023年は投資負担や一時要因でカバー比率がやや低下しましたが、2024~2025年には再び改善しています。とくに2025年は、Intra-Cellular Therapiesの買収を進めながらでも配当カバーを維持しており、J&Jの配当体力の強さが表れています。[2]


キャッシュフロー計算書

読み方(要点)

  1. 営業CF:本業の現金創出力。配当の主な元手です。
  2. 投資CF:CAPEXやM&Aなど。マイナスの拡大は、将来の成長に向けた投資を意味することがあります。
  3. 財務CF:配当、自社株買い、借入、借入返済など、株主や債権者との資金のやり取りです。

年次:営業CF・投資CF・財務CF

単位は百万ドル(Mドル)。2025年はIntra-Cellular Therapies買収の影響で、投資キャッシュフローのマイナス幅が大きくなっています。[2][4]

営業CF 投資CF 財務CF
2025 24,500 -23,600 -5,500
2024 24,266 -18,599 -3,132
2023 22,791 878 -15,825
2022 21,194 -12,371 -8,871
2021 23,410 -8,683 -14,047
2020 23,536 -5,021 -6,186
2019 23,416 -6,194 -18,015
2018 22,201 -3,167 -18,510

2025年の投資キャッシュフローの悪化は、事業の現金創出力が弱まったためというより、買収を含む積極的な資本配分によるものです。年次報告書では、2025年の投資キャッシュフロー約マイナス236億ドルのうち、約175億ドルが買収支出(取得現金控除後)、約48億ドルが有形固定資産への投資とされています。[2]


損益・キャッシュ創出の推移(抜粋)

売上高、営業キャッシュフロー、純利益の長期推移(Mドル、抜粋)です。会計利益は一時要因でぶれやすい一方、営業キャッシュフローは比較的安定しています。[2][4]

売上高 営業CF 純利益
2008 63,747 14,972 12,949
2010 61,587 16,385 13,334
2014 74,331 18,710 16,323
2019 82,059 23,416 15,119
2021 93,775 23,410 20,878
2023 85,159 22,791 35,153
2024 88,821 24,266 14,066
2025 94,193 24,500 26,804

2023年の純利益はKenvue分離などの一過性要因で大きく膨らみ、2024年は反動によって低下しました。2025年は売上高と営業キャッシュフローがともに増加し、GAAP純利益も改善しています。長期で見ると、J&Jは「会計利益は振れるものの、現金創出力は比較的安定している」企業です。[2]


バランスシート:自己資本・負債の時系列

単位は百万ドル(Mドル)。自己資本率は株主資本÷総資産、負債比率は総負債÷株主資本です。2025年は買収に伴う借入増加で負債が増えましたが、自己資本率は約41%を維持しています。[2][4]

総資産 総負債 株主資本 自己資本率 負債比率
2018 152,954 93,202 59,752 39% 156%
2019 157,728 98,257 59,471 38% 165%
2020 174,894 102,343 72,551 41% 141%
2021 182,018 107,995 74,023 41% 146%
2022 187,378 110,574 76,804 41% 144%
2023 167,558 98,784 68,774 41% 144%
2024 180,104 108,614 71,490 40% 152%
2025 199,210 117,666 81,544 40.9% 144.3%

2025年末の借入金は約479億ドルで、2024年末の約366億ドルから増加しました。これは主に、Intra-Cellular Therapiesの買収資金に充てるため、2025年Q1に約92億ドルのシニア無担保債を発行したことによるものです。一方、2025年末の1株当たり株主資本は33.86ドルへ増加しており、買収によって財務体力が直ちに大きく損なわれた状況ではありません。[2]


事業構造と直近決算の見方

J&JはKenvue分離後の会社であり、現在の報告セグメントはInnovative MedicineMedTechの2本柱です。2025年通期の売上高はInnovative Medicineが604億ドル、MedTechが338億ドルでした。[2]

2026年Q2の売上高は、Innovative Medicineが163.84億ドルで前年同期比7.8%増、MedTechが89.26億ドルで同4.5%増でした。全社売上高は253.10億ドルとなり、前年同期比6.6%増でした。[3]

Innovative Medicineでは、DARZALEX、CARVYKTI、TECVAYLI、RYBREVANT/LAZCLUZE、TREMFYA、SPRAVATO、CAPLYTAなどが成長を支えています。一方、バイオシミラーとの競争が進むSTELARAは、2026年Q2のInnovative Medicineのオペレーショナル売上成長率に対して約7.6ポイントの下押し要因となりました。それでもInnovative Medicineのオペレーショナル売上高は前年同期比6.8%増を確保しており、成長製品群がSTELARAの減収を吸収しています。[3]

MedTechの2026年Q2のオペレーショナル売上高は前年同期比3.6%増でした。外科領域の創傷閉鎖・バイオサージェリー製品、心血管領域の電気生理学製品とShockwave、ビジョン領域のコンタクトレンズ、整形外科領域のトラウマ製品などが成長を支えました。[3]

つまり、現在のJ&Jの配当を支えるのは、かつてのような一般消費者向け製品を含む総合ヘルスケア事業ではなく、大型医薬品群と医療機器事業の複合的な収益力です。そのぶん、医薬品の特許切れ、新製品の臨床試験・承認・販売動向、医療機器の新製品投入などが、以前より重要になっています。


投資家向け所感(要約)

  • 配当安全度:2025年の営業CFベースの配当カバーは1.98倍、FCFベースでも1.59倍です。大型買収を進めた年でもこの水準を維持しており、現時点で配当の安全性は高いと見てよいでしょう。[2]
  • 連続増配の信頼性:2026年4月の増配で64年連続増配となりました。今回の増配率は約3.1%と高くありませんが、長期にわたり増配を続けてきた実績は、ディフェンシブ株としての重要な強みです。[1]
  • バランスシート:2025年は買収で借入が増えましたが、自己資本率は約41%を維持しています。営業キャッシュフローの厚みを考えると、現時点で財務不安を強く意識する状況ではありません。ただし、今後も大型買収が続く場合は、純有利子負債や利払い負担の推移を確認する必要があります。[2]
  • 業界特性:J&JはConsumer Healthを含む3本柱ではなく、Innovative MedicineとMedTechに集中した会社です。事業の質は高い一方で、医薬品の特許切れや研究開発の成否が業績に与える影響は以前より大きくなっています。[2]
  • STELARAの減収:2026年Q2にはSTELARAがInnovative Medicineのオペレーショナル成長率を約7.6ポイント押し下げました。それでも同セグメントは6.8%のオペレーショナル増収を確保しており、現時点ではDARZALEX、CARVYKTI、TREMFYA、SPRAVATO、CAPLYTAなどが減収を補っています。[3]
  • 2026年の通期見通し:2026年Q2決算時点で、報告ベース売上高の中間値は1,011億ドル、調整後EPSの中間値は11.68ドルへ引き上げられました。4月時点の中間値はそれぞれ1,008億ドル、11.55ドルだったため、上半期の業績は会社の従来想定を上回っています。[3]

ミニ解説:J&Jのような成熟したディフェンシブ株では、EPSベースの配当性向が訴訟費用、買収費用、事業売却益などによって大きく変動する年があります。中長期の配当安全性を判断するときは、EPSだけでなく、営業CF/配当・FCF/配当のような現金フロー指標で「配当を何倍カバーできているか」をあわせて確認すると、実態をつかみやすくなります。

免責

本記事は投資助言ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。数値は信頼できる情報源に基づいていますが、企業による数値の改定や端数処理などによって後日修正される可能性があります。本記事は2025年通期決算と、2026年7月15日に公表された2026年Q2決算および配当情報を前提に作成しています。

【注】(出典リンク)

  1. 2026年の増配・直近配当情報 → Johnson & Johnson Announces 64th Consecutive Year of Dividend Increase(2026-04-14)Johnson & Johnson Announces Quarterly Dividend for Third Quarter 2026(2026-07-15)Johnson & Johnson Dividend History(確認日:2026-07-16)
  2. 2025年通期実績・営業CF・配当支払・買収・借入・バランスシート → Johnson & Johnson reports Q4 and Full-Year 2025 resultsJohnson & Johnson Annual ReportsJohnson & Johnson 2025 Form 10-KSEC EDGAR(JNJ)(確認日:2026-07-16)
  3. 2026年Q2決算・セグメント実績・2026年通期見通し → Johnson & Johnson reports Q2 2026 results, raises 2026 outlookJNJ Earnings Presentation Q2 2026(確認日:2026-07-16)
  4. 長期系列データ(平均株価・売上高・キャッシュフロー・バランスシートの補完) → Macrotrends JNJ Stock Price HistoryMacrotrends JNJ Financial Statements(確認日:2026-07-16)


Posted by 南 一矢