ISRG:インテューイティブサージカルの業績
【2026年最新】インテュイティブ・サージカル (ISRG) 徹底分析:売上高100億ドルの大台到達と「ダビンチ5」が切り拓く未来
はじめに:インテュイティブ・サージカルとは?
インテュイティブ・サージカルは、手術支援ロボット「ダビンチ (da Vinci)」を世に送り出した医療機器の世界的リーダーです。同社のシステムを使うことで、外科医は体に小さな穴を開けるだけで精密な手術を行う「低侵襲(ていしんしゅう)手術」が可能になります。患者にとっては「傷口が小さく、回復が早い」という大きなメリットがあります。
2025年度は、最新鋭の「da Vinci 5」の本格導入により、売上高が初めて100億ドル(約1.5兆円)を突破。本記事では、FY2020からの財務推移を復元し、専門用語を噛み砕いて同社の成長を分析します。
【免責事項および出典について】
- 本記事は、同社がSECに提出したForm 10-Kおよび2026年1月22日発表の最新通期決算資料に基づいています。[1]
- FY2025の数値は速報値であり、調整後(Non-GAAP)指標を多く含みます。
- 本記事は投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
1. ISRGの業績:驚異的な回復と成長の軌跡
インテュイティブ社の業績を理解する上で重要なのは、単なる「ロボットの販売台数」ではなく、「そのロボットがどれだけ使われているか」です。手術が行われるたびに専用の器具が消費され、同社の利益につながる仕組みだからです。
1.1. 売上、利益、キャッシュフローの推移
以下の表は、パンデミックで一時的に手術が制限された2020年から、最新の2025年までの財務推移です。
| 会計年度 | 売上高
(百万$) |
前年比 | 営業利益
(Non-GAAP) |
純利益
(Non-GAAP) |
営業CF
(百万$) |
|---|---|---|---|---|---|
| FY2020 | 4,358 | -2.7% | 1,377 | 1,196 | 1,338 |
| FY2021 | 5,710 | 31.0% | 2,124 | 1,803 | 1,803 |
| FY2022 | 6,222 | 9.0% | 2,147 | 1,927 | 1,309 |
| FY2023 | 7,120 | 14.4% | 2,463 | 2,285 | 1,338 |
| FY2024 | 8,350 | 17.3% | 2,940 | 2,740 | 2,137 |
| FY2025 | 10,060 | 20.5% | 4,015 | 3,130 | 3,100 |
| CAGR (FY20-25 過去5年平均成長率) | |||||
| 平均成長率 | 18.2% | – | 23.8% | 21.2% | 18.3% |
出典:ISRG決算短信およびSEC提出書類より筆者作成。[1]
- 売上高:2020年はコロナ禍で手術が延期され減収となりましたが、その後は右肩上がり。2025年度にはついに100億ドルの大台を突破しました。
- 純利益:売上の伸び以上に利益が伸びています。これは、一度導入されたロボットが効率よく稼働し、利益率の高い消耗品売上が増えているためです。[2]
1.2. 主要KPI:ダビンチが世界でどれだけ使われているか
投資家が最も注目するのが「手術件数」です。これが伸びている限り、同社の成長は止まらないと言えます。
| 会計年度末 | 手術件数
(千件, 年間) |
成長率 | 設置台数
(累計) |
出荷台数
(年間) |
|---|---|---|---|---|
| FY2020 | 1,243 | -0.5% | 5,989 | 936 |
| FY2021 | 1,549 | 24.6% | 6,730 | 1,347 |
| FY2022 | 1,864 | 20.3% | 7,544 | 1,264 |
| FY2023 | 2,286 | 22.6% | 8,606 | 1,370 |
| FY2024 | 2,755 | 20.5% | 9,902 | 1,526 |
| FY2025 | 3,250 | 18.0% | 11,106 | 1,721 |
出典:2025年度通期決算データ。[3]
- 手術件数:2025年度は325万件。1分間に約6回、世界のどこかでダビンチ手術が行われている計算です。
- 出荷台数:最新の「da Vinci 5」への買い替え需要により、2025年は過去最高の1,721台を出荷しました。
1.3. 収益構成:安定した「ストック型ビジネス」
同社のビジネスは、プリンターとインクの関係に似ています。
- インストゥルメント&アクセサリー (約60%):手術ごとに使い捨てるハサミや鉗子(かんし)。手術が増えるほど売れます。
- システム (約25%):ロボット本体の代金です。
- サービス (約15%):年間のメンテナンス契約料です。
売上の約8割が「一度導入すれば継続的に入ってくるお金(継続収益)」であり、不況に強いのが特徴です。[1]
2. 収益性:なぜこれほど利益が出るのか
インテュイティブ社は、他社が簡単に真似できない「圧倒的なシェア」を持っているため、高い利益率を維持できています。
2.1. 利益率の推移
| 会計年度 | 粗利率
(利益/売上) |
営業利益率
(Non-GAAP) |
|---|---|---|
| FY2020 | 67.7% | 31.6% |
| FY2021 | 69.6% | 37.2% |
| FY2022 | 67.0% | 34.5% |
| FY2023 | 66.2% | 34.6% |
| FY2024 | 67.5% | 35.2% |
| FY2025 | 67.6% | 39.9% |
粗利率:常に65%以上。100円の売上に対し、原価が35円程度しかかかっていないことを意味します。これは製品の付加価値が極めて高い証拠です。[2]
3. 財務の健全性:借金ゼロの優良経営
同社は銀行からの借り入れ(有利子負債)が実質的にありません。
- 現金及び投資:2025年末時点で約90億ドル(約1.3兆円)もの現金を保有しています。これにより、不況時でも研究開発の手を緩めず、自社株買いなどの株主還元も積極的に行えます。[1]
- ROE(自己資本利益率):株主から預かったお金をどれだけ効率よく増やしたかを示す指標。2025年度は約20%と、米国企業の平均を大きく上回る高水準です。
4. 最新動向:2026年への展望
- da Vinci 5 のグローバル展開:2025年に米国で本格化した新型機が、2026年度は日本や欧州でも本格的に導入されます。処理能力が上がり、AI解析機能も強化されています。[4]
- Ion(アイオン)システムの成長:肺がんの早期発見を支援するロボットで、2025年度の手術件数は前年比51%増と爆発的に伸びています。
- 2026年ガイダンス:同社は2026年度の手術件数がさらに13%~15%伸びると予測しており、成長の継続に自信を見せています。[5]
【注】(出典リンク)
- ISRG 2025 FY Results (8-K) → Intuitive Investor Relations(確認日:2026-02-01)↩ [1] [1-2] [1-3] [1-4]
- Earnings Call Transcript 2025 → The Motley Fool(確認日:2026-02-01)↩ [2] [2-2]
- Operational Metrics FY20-25 → Intuitive IR Charts(確認日:2026-02-01)↩ [3]
- da Vinci 5 Technology → Intuitive Official(確認日:2026-02-01)↩ [4]
- 2026 Guidance Summary → Zacks Investment Research(確認日:2026-02-01)↩ [5]

