ISRG:インテューイティブサージカルの業績
【2026年7月版】インテュイティブ・サージカル(ISRG)徹底分析:売上100億ドル突破とda Vinci 5・Ionが切り拓く未来
はじめに:インテュイティブ・サージカルとは?
インテュイティブ・サージカル(Intuitive Surgical)は、手術支援ロボット「da Vinci(ダビンチ)」を開発・販売する医療機器企業です。da Vinciは、外科医による低侵襲手術を支援するため、精密な操作、立体視、手ぶれ補正などの機能を提供します。患者への効果は手術の種類や医療機関によって異なりますが、切開部を小さくしやすく、術後回復や入院期間の改善につながる可能性があります。[1]
2025年通期は、最新世代のda Vinci 5の導入拡大などにより、売上高が初めて100億ドルを突破しました。2025年通期の売上高は100.65億ドル、GAAP営業利益は29.46億ドル、GAAP純利益は28.56億ドルでした。[2]
2026年Q2も売上高28.92億ドル、GAAP営業利益9.72億ドル、Non-GAAP希薄化後EPS2.80ドルと成長が続いています。本記事では、FY2020からFY2025までの財務・KPI推移を整理し、2026年Q2実績と最新ガイダンスを踏まえて、同社の成長性と投資リスクを分析します。[3]
【免責事項および出典について】
- 本記事は、Intuitive SurgicalのForm 10-K、Form 10-Q、年次報告書、決算発表資料、投資家向け資料を中心に作成しています。
- FY2025は2025年12月31日終了年度、2026年Q2は2026年6月30日終了四半期、2026年上半期は2026年1月1日から6月30日までの期間です。
- Non-GAAP指標は会社定義に基づきます。成長率、利益率、自己資本比率などには、公表値から筆者が算出した参考値を含みます。
- 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券の購入や売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
【2026年7月更新】
- 2026年Q2売上高:28.92億ドル。2025年Q2比19%増。
- 2026年Q2手術件数:da Vinci手術件数は前年同期比15%増、Ion手技件数は36%増。
- 2026年Q2利益:GAAP営業利益9.72億ドル、GAAP純利益8.18億ドル、Non-GAAP純利益10.02億ドル。
- 2026年Q2設置台数:da Vinciは11,710台、Ionは1,096台。
- 2026年通期見通し:da Vinci手術件数成長率13.5~15.5%、Non-GAAP粗利率68~69%、Non-GAAP営業費用成長率11~13%。
- 手元流動性:2026年Q2末の現金・現金同等物・投資は86.26億ドル。
- 自社株買い:2026年上半期に15.07億ドル、Q2単独で3.79億ドルを実施。[3]
1. ISRGの業績:回復から持続的成長へ
インテュイティブの業績を理解するうえで重要なのは、単なる「ロボット本体の販売台数」ではなく、導入されたシステムがどれだけ手術に使われているかです。da Vinci手術が行われるたびに専用器具・アクセサリーが使用され、設置台数が増えるほど保守サービスやリース収入も積み上がります。
このため、同社の業績を見る際は、売上高だけでなく、手術件数、設置台数、器具・アクセサリー売上、リース比率をあわせて確認する必要があります。
1.1 売上、利益、キャッシュフローの推移
以下は、パンデミックによって手術件数が停滞した2020年から2025年までの財務推移です。売上高は2020年通期の43.58億ドルから2025年通期には100.65億ドルへ拡大しました。
| 会計年度 | 売上高 百万ドル |
前年比 | 営業利益 GAAP・百万ドル |
純利益 GAAP・百万ドル |
営業CF 百万ドル |
|---|---|---|---|---|---|
| FY2020 | 4,358.4 | -2.7% | 1,049.8 | 1,060.6 | 1,484.8 |
| FY2021 | 5,710.1 | +31.0% | 1,821.0 | 1,704.6 | 2,089.4 |
| FY2022 | 6,222.2 | +9.0% | 1,577.1 | 1,322.3 | 1,490.8 |
| FY2023 | 7,124.1 | +14.5% | 1,766.8 | 1,798.0 | 1,813.8 |
| FY2024 | 8,352.1 | +17.2% | 2,348.9 | 2,322.6 | 2,415.0 |
| FY2025 | 10,064.7 | +20.5% | 2,945.5 | 2,856.0 | 3,030.5 |
| CAGR(FY2020→FY2025、参考) | |||||
| 年平均成長率 | 約18.2% | — | 約22.9% | 約21.9% | 約15.3% |
注)営業利益・純利益はGAAPベース。純利益はIntuitive Surgical帰属分です。過年度の数値は各年の年次報告書に基づき、CAGRは上記数値から算出しています。[4]
- 売上高:2020年通期はコロナ禍の影響で減収となりましたが、2021年通期以降は毎年増収を続け、2025年通期に100億ドルを突破しました。
- 営業利益:2025年通期のGAAP営業利益は29.46億ドルで、2020年通期から年平均約22.9%増加しました。
- 純利益:2025年通期のIntuitive Surgical帰属純利益は28.56億ドルで、元記事の25.58億ドルから修正しました。
- 営業CF:2025年通期は30.31億ドルで、2024年通期の24.15億ドルから約25.5%増加しました。[2]
1.2 主要KPI:da Vinciが世界でどれだけ使われているか
投資家が最も注目するKPIは手術件数です。手術件数が伸びれば、手術ごとに使用される器具・アクセサリー売上が増加し、システムの稼働率上昇はリース収入や更新需要にもつながります。
| 会計年度 | da Vinci手術件数 年間・概算 |
成長率 | da Vinci設置台数 期末 |
da Vinci配置台数 年間 |
|---|---|---|---|---|
| FY2020 | 約1.24M | 約-1% | 5,989 | 936 |
| FY2021 | 約1.59M | 約+28% | 6,730 | 1,347 |
| FY2022 | 約1.88M | 約+18% | 7,544 | 1,264 |
| FY2023 | 約2.29M | 約+22% | 8,606 | 1,370 |
| FY2024 | 約2.68M | 約+17% | 9,902 | 1,526 |
| FY2025 | 約3.15M | 約+18% | 11,106 | 1,721 |
注)手術件数はda Vinci procedure volume。配置台数には販売だけでなく、固定料金型・使用量連動型のオペレーティングリースによる配置も含まれます。[2][4]
- 手術件数:2025年通期のda Vinci手術件数は約315万件で、2024年通期比約18%増でした。
- システム全体:Ionを含むIntuitiveシステム全体では、2025年通期に320万件を超える手術・手技が実施されました。
- 配置台数:2025年通期は1,721台のda Vinciを配置し、このうち870台がda Vinci 5でした。
- 設置台数:2025年末のda Vinci設置台数は11,106台、Ion設置台数は995台でした。[2]
1.3 2026年Q2実績:手術件数と継続収益が成長
2026年Q2は、da Vinci手術件数が2025年Q2比約15%増、Ion手技件数が約36%増となりました。売上高は28.92億ドルで、2025年Q2の24.40億ドルから19%増加しています。[3]
| 項目 | 2026年Q2 | 前年同期比・比較値 |
|---|---|---|
| 売上高 | $2.892B | +19% |
| 器具・アクセサリー売上 | $1.735B | +18% |
| システム売上 | $685M | +19% |
| サービス売上 | $472M | +21% |
| GAAP営業利益 | $972M | +31% |
| Non-GAAP営業利益 | $1.218B | +29% |
| GAAP純利益 | $818M | +24% |
| Non-GAAP純利益 | $1.002B | +26% |
| GAAP希薄化後EPS | $2.29 | 前年同期$1.81 |
| Non-GAAP希薄化後EPS | $2.80 | 前年同期$2.19 |
| da Vinci手術件数 | 約889,000件 | +15% |
| Ion手技件数 | 約47,900件 | +36% |
| da Vinci配置台数 | 468台 | 前年同期395台 |
| うちda Vinci 5 | 246台 | 前年同期180台 |
| Ion配置台数 | 55台 | 前年同期54台 |
| da Vinci設置台数 | 11,710台 | +12% |
| Ion設置台数 | 1,096台 | +21% |
出典:Intuitive Q2 2026 Earnings ReleaseおよびFinancial Data Tables。2026年Q2のNon-GAAP利益には、過年度に支払ったIEEPA関税の返金による税引後2,800万ドル、1株当たり0.08ドルのプラス効果が含まれます。[3]
2026年上半期では、売上高56.63億ドル、GAAP営業利益18.27億ドル、GAAP純利益16.40億ドル、Non-GAAP純利益19.03億ドルとなりました。da Vinci手術件数は約173.7万件で、2025年上半期比15%増です。[3]
2. 収益構成:安定したストック型ビジネス
同社のビジネスモデルは、ロボット本体を配置した後、手術件数が増えるほど器具・アクセサリー、サービス、リース収入が積み上がる構造です。
| 売上区分 | FY2025売上 | 構成比 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 器具・アクセサリー | $6.019B | 約59.8% | 手術ごとに使用する鉗子、ハサミ、ステープラーなど |
| システム | $2.474B | 約24.6% | da Vinci、Ionの販売、リース、リース買い取りなど |
| サービス | $1.572B | 約15.6% | 保守、メンテナンス、サポート契約 |
注)FY2025の構成比は、器具・アクセサリー、システム、サービスの各売上から算出しています。[2]
Intuitiveが定義する継続収益には、器具・アクセサリー、サービス、オペレーティングリース収入が含まれます。2025年通期の継続収益は84.65億ドルで、全売上高の約84%でした。2026年Q2も継続収益は24.69億ドルで、売上高の約85%を占めています。[3]
| 期間 | 継続収益 | 売上構成比 | オペレーティングリース収入 |
|---|---|---|---|
| FY2024 | $7.040B | 84% | $654M |
| FY2025 | $8.465B | 84% | $874M |
| 2026年Q2 | $2.469B | 85% | $262M |
| 2026年上半期 | $4.839B | 85% | $512M |
2026年Q2に配置したda Vinci 468台のうち、254台、約54%がオペレーティングリースでした。そのうち131台は使用量に連動して支払い額が変わるリースです。リースは導入時の病院負担を抑え、継続収益を増やす一方、Intuitive側が機器を保有する期間が長くなり、設備投資、稼働率、顧客の信用リスクを負う面もあります。[3]
3. 収益性:なぜ高い利益率を維持できるのか
インテュイティブは、手術支援ロボットの大規模な設置基盤に加え、医師トレーニング、病院内の運用、専用器具、保守サービス、手術データを含むエコシステムを築いています。この構造が競争優位と高い粗利率を支えています。
3.1 利益率の推移
| 会計年度・期間 | 粗利率 GAAP |
営業利益率 GAAP |
営業利益率 Non-GAAP |
|---|---|---|---|
| FY2020 | 約65.6% | 約24.1% | — |
| FY2021 | 約69.3% | 約31.9% | — |
| FY2022 | 約67.4% | 約25.3% | — |
| FY2023 | 約66.4% | 約24.8% | — |
| FY2024 | 67.5% | 28.1% | 36.7% |
| FY2025 | 66.0% | 29.3% | 37.4% |
| 2026年Q1 | 66.1% | 30.9% | 38.9% |
| 2026年Q2 | 67.8% | 33.6% | 42.1% |
| 2026年上半期 | 66.9% | 32.3% | 40.5% |
注)FY2020~FY2023のGAAP利益率は年次報告書の売上高・売上総利益・営業利益から算出。Non-GAAP営業利益率は会社が比較表を開示しているFY2024以降を記載しています。[2][3][4]
- 2026年Q2の粗利率:GAAPで67.8%、Non-GAAPで70.0%となり、2026年Q1から改善しました。
- 営業レバレッジ:2026年Q2は売上高が19%増えた一方、GAAP営業利益は31%増加しました。
- 関税返金:2026年Q2のNon-GAAP純利益には、過年度関税の返金による税引後2,800万ドルの利益が含まれます。一時的な効果として分けて評価する必要があります。
- 株式報酬:2026年Q2の営業費用などに含まれる株式報酬は約2.10億ドルでした。Non-GAAP営業利益は株式報酬などを除くため、GAAPとの差にも注意が必要です。[3]
会社は2026年通期のNon-GAAP粗利率を68~69%と見込んでいます。この見通しには、売上高の約1%に相当する関税のマイナス影響が織り込まれています。Q2の関税返金による利益は含まれますが、将来の関税政策には引き続き不確実性があります。[3]
4. 財務の健全性:厚い流動性と無借金に近い経営
同社は社債や銀行借入への依存が小さく、現金・投資残高が厚い企業です。2026年Q2末の現金・現金同等物・投資は86.26億ドルでした。2025年末の90.34億ドルから減少していますが、2026年上半期には自社株買いと欧州販売代理店事業の買収に資金を使用しています。[3][5]
4.1 バランスシート主要項目(FY2020~2026年Q2)
| 会計年度末・期末 | 現金・投資等 百万ドル |
総資産 百万ドル |
総負債 百万ドル |
株主資本 百万ドル |
自己資本率 |
|---|---|---|---|---|---|
| FY2020 | 6,874 | 11,168.9 | 1,409.8 | 9,759.1 | 87.4% |
| FY2021 | 8,619 | 13,555.0 | 1,603.5 | 11,951.5 | 88.2% |
| FY2022 | 6,742 | 12,974.0 | 1,861.4 | 11,112.6 | 85.7% |
| FY2023 | 7,343 | 15,441.5 | 2,044.2 | 13,397.3 | 86.8% |
| FY2024 | 8,832 | 18,743.2 | 2,213.6 | 16,529.6 | 88.2% |
| FY2025 | 9,034 | 20,458.7 | 2,517.0 | 17,941.7 | 87.7% |
| 2026年Q2 | 8,626 | 20,876.6 | 2,578.9 | 18,297.7 | 87.6% |
注)現金・投資等は、現金・現金同等物、短期投資、長期投資の合計。自己資本率は株主資本÷総資産で算出しています。[2][3][4]
- 自己資本率:2026年Q2末は約87.6%で、財務レバレッジは低い水準です。
- 現金・投資等:2026年Q2末は86.26億ドルで、総負債25.79億ドルを大きく上回っています。
- 在庫:2026年Q2末の在庫は20.29億ドルで、2025年末の18.40億ドルから増加しました。需要拡大に備える面がある一方、製品移行や需要変化による在庫評価リスクにも注意が必要です。
- 設備投資・買収:2026年上半期の設備投資・買収関連支出は7.44億ドルでした。
- 自社株買い:2026年上半期は15.07億ドルを投じて自社株を買い戻しました。2025年通期の自社株買いは23.01億ドルでした。[3]
4.2 キャッシュフローと資本配分
2025年通期の営業CFは30.31億ドルでした。同社は配当を実施しておらず、事業投資、製造能力の拡張、研究開発、買収、自社株買いへ資金を配分しています。
| 会計年度 | 営業CF 百万ドル |
研究開発費 GAAP・百万ドル |
自社株買い 百万ドル |
|---|---|---|---|
| FY2022 | 1,490.8 | 879.7 | — |
| FY2023 | 1,813.8 | 999.3 | — |
| FY2024 | 2,415.0 | 1,145.3 | — |
| FY2025 | 3,030.5 | 1,311.8 | 2,300.9 |
| 2026年上半期 | 未開示 | 732.5 | 1,506.5 |
注)2026年7月16日のQ2決算リリースでは、2026年上半期の完全なキャッシュフロー計算書は掲載されていません。営業CFはForm 10-Q提出後に確認が必要です。[3]
研究開発費は2024年通期の11.45億ドルから2025年通期は13.12億ドルへ増えました。2026年上半期も7.33億ドルを投じており、da Vinci 5、Ion、新しい器具、デジタル機能、トレーニング基盤への投資を続けています。[2][3]
5. 最新動向:2026年への展望
5.1 da Vinci 5の導入拡大
da Vinci 5は、2024年3月に米国で承認された第5世代のマルチポートシステムです。2025年末までに米国、韓国、日本、欧州で1,200台を超えて設置され、累計27万件を超える手術に使用されました。[2]
2026年上半期には478台のda Vinci 5が配置されました。Q2単独では246台で、da Vinci全配置台数468台の約53%を占めています。旧世代からda Vinci 5への移行が本体売上を支える一方、買い替えや下取りの比率、リースの増加、製造立ち上げ費用は利益率に影響します。[3]
2026年1月には、da Vinci 5が米国で一部の心臓手術に使用するためのFDA 510(k)クリアランスを取得しました。2026年5月には、遠隔共同作業、Force Feedback対応器具、トレーニング、システムの信頼性などに関する100件を超える機能改善を発表しています。[6]
5.2 Ionの成長
Ionは、肺の病変へ到達して組織を採取するロボット支援気管支鏡システムです。2025年通期のIon手技件数は約14.4万件で、2024年通期比51%増加しました。
2026年Q2のIon手技件数は約4万7,900件で、2025年Q2比36%増でした。2026年上半期は約9万600件、Q2末の設置台数は1,096台です。このうち米国外の設置台数は68台で、海外展開はda Vinciと比べて初期段階にあります。[3]
| Ion指標 | 2025年通期 | 2026年Q2 | 2026年上半期 |
|---|---|---|---|
| 手技件数 | 約144,100件 | 約47,900件 | 約90,600件 |
| 手技件数成長率 | +51% | +36% | +37% |
| 配置台数 | — | 55台 | 107台 |
| 期末設置台数 | 995台 | 1,096台 | 1,096台 |
| 売上高 | — | $158.3M | — |
5.3 欧州の直販化と日本の診療報酬
Intuitiveは2026年3月、イタリア、スペイン、ポルトガルなどの販売代理店事業を取得し、これらの地域で直接販売・サービスを行う体制へ移行しました。買収に伴う現金支出は取得現金控除後で約5.33億ドルです。対象地域には2025年末時点で470台を超えるda Vinciが設置されていました。[5]
日本では2026年4月、鼠径ヘルニア修復など7種類のda Vinci手術が新たに診療報酬の対象となり、2026年6月から適用されました。一部の直腸手術では腹腔鏡手術より高い報酬が設定され、年間200件を超える対象ロボット手術を行う病院への加算も導入されています。[5]
5.4 2026年通期ガイダンス
| 指標 | 2026年Q1決算時点 | 2026年Q2決算時点 |
|---|---|---|
| da Vinci手術件数成長率 | 13.5~15.5% | 13.5~15.5% 中間値寄りを予想 |
| Non-GAAP粗利率 | 67.5~68.5% | 68~69% |
| Non-GAAP営業費用成長率 | 11~14% | 11~13% |
| 関税の影響 | 売上高の約1% | 売上高の約1% |
出典:Intuitive Q1・Q2 2026 Earnings Release。ガイダンスは2026年7月16日時点であり、関税、為替、病院設備投資、手術需要などにより変動する可能性があります。[3][5]
投資家が注目すべきポイント
- 手術件数の伸び:da Vinci手術件数の成長率は2026年Q1の16%からQ2は15%へ緩やかに低下しました。会社は通期ガイダンスの中間値付近を見込んでいます。
- 米国と海外:2026年Q2の米国da Vinci手術件数は12%増、米国外は20%増でした。海外市場が成長率を支えています。[3]
- 肥満症手術:2026年Q1の米国肥満症手術は前年同期比約10%減少しました。GLP-1受容体作動薬の普及が手術需要へ与える影響を継続的に確認する必要があります。[5]
- da Vinci 5の移行:新型機は平均販売価格や本体需要を押し上げますが、製造コスト、減価償却、サービス費用が粗利率を圧迫する可能性があります。
- リース比率:使用量連動型リースは病院への導入を促進しますが、手術件数が想定を下回るとIntuitiveの収益回収が遅れる可能性があります。
- 関税:2026年通期見通しには売上高の約1%分の影響が含まれています。政策の変更や対象品目の拡大は追加負担となり得ます。
- 競争環境:手術支援ロボット市場には複数の医療機器メーカーが参入しています。設置基盤、トレーニング、データ、医師との関係は強みですが、価格競争や地域別の競争は激しくなる可能性があります。
- 株式報酬:Non-GAAP利益は株式報酬を除外しています。株主にとっては、利益成長と同時に希薄化や自社株買いの相殺効果を確認する必要があります。
- バリュエーション:高い成長性と財務健全性が評価されやすい一方、手術件数や利益率が市場予想を下回った場合、株価が大きく変動する可能性があります。
6. まとめ:高品質な成長企業だが、KPIと期待値の確認が重要
インテュイティブ・サージカルは、手術支援ロボットの大規模な設置基盤を持ち、手術件数の増加に応じて器具・アクセサリー、サービス、リース収入が積み上がる優れたビジネスモデルを構築しています。
2025年通期には売上高100.65億ドル、GAAP純利益28.56億ドルを計上し、da Vinci手術件数は約315万件へ増加しました。2026年Q2も売上高19%増、GAAP営業利益31%増、da Vinci手術件数15%増と成長が続いています。[2][3]
- 強み:世界最大級の手術支援ロボット設置基盤、売上の約85%を占める継続収益、高い粗利率、厚い手元資金、da Vinci 5とIonによる成長余地。
- 今後の鍵:da Vinci手術件数の二桁成長、da Vinci 5の稼働率、Ionの海外展開、リース契約からの収益回収、関税と製造コストの管理。
- 投資判断の軸:売上高だけでなく、手術件数、設置台数、継続収益比率、Non-GAAP粗利率、GAAP利益、株式報酬、自社株買いをセットで確認することが重要です。
同社は高品質な成長企業と評価できますが、株価には将来の成長期待が反映されやすい銘柄でもあります。長期投資では、事業の競争力だけでなく、手術件数の成長率、粗利率、リース比率、株価水準を冷静に確認する必要があります。
免責事項
本記事は公開情報に基づく分析であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。株価、業績見通し、手術件数、関税、規制環境などは変動します。
最終更新日時:2026年7月18日(FY2025 Form 10-K/2026年Q1・Q2決算反映)
【注】(出典リンク)
- Intuitiveの事業概要・低侵襲手術支援システム → Intuitive Investor Relations → Intuitive公式サイト(確認日:2026-07-18) ↩
- FY2025通期実績・財務・手術件数・設置台数・da Vinci 5 → Intuitive 2025 Annual Report/Form 10-K → Intuitive Q4 2025 Earnings Release(確認日:2026-07-18) ↩
- 2026年Q2決算・上半期実績・KPI・利益率・通期ガイダンス → Intuitive Q2 2026 Earnings Release → Q2 2026 Financial Data Tables → Intuitive Form 8-K(2026-07-16)(確認日:2026-07-18) ↩
- FY2020~FY2024の過年度財務・KPI → Intuitive Annual Reports → SEC Form 10-K(FY2022) → SEC Form 10-K(FY2024)(確認日:2026-07-18) ↩
- 2026年Q1・欧州直販化・日本の診療報酬 → Intuitive Form 10-Q(2026年Q1) → Intuitive「欧州の直販体制拡大」(確認日:2026-07-18) ↩
- da Vinci 5の心臓手術クリアランス・2026年機能更新 → Intuitive「da Vinci 5 Cleared for Cardiac Procedures」 → Intuitive「Innovations to Advance Quintuple Aim」(確認日:2026-07-18) ↩


ミニ解説:配置台数と設置台数は同じではない
「配置台数」は、その四半期・年度に販売やリースで顧客へ配置した台数です。一方、「設置台数」は期末時点で顧客施設に存在するシステムの総数です。旧型機の撤去、下取り、リース終了などがあるため、年間の配置台数を前期末設置台数へ単純に足しても、期末設置台数とは一致しません。