UNP:ユニオンパシフィックの配当推移

資本財,配当

【2026年7月版】ユニオン・パシフィック(UNP)配当関連指標:利回り・成長率・配当性向の分析

🔄 2026年7月更新情報

2026年7月23日発表の2026年第2四半期決算、2026年上期キャッシュフロー、2026年6月末のバランスシート、Norfolk Southernとの統合審査の進捗を反映しました。2026年Q2は売上高68.64億ドル、純利益19.93億ドル、希薄化後EPS3.36ドルでした。2026年上期の営業キャッシュフローは55.16億ドル、配当支払額は16.40億ドルです。[2][3]

ユニオン・パシフィック(Union Pacific Corporation)は、米国西部23州に鉄道網を持つ北米最大級の貨物鉄道会社です。配当面では、2025年7月の増配により18年連続の年間増配を達成し、2026年5月の配当発表では、普通株配当を127年連続で支払っていると説明しています。2026年7月26日時点の直近四半期配当は1株1.38ドルです。[1]

本記事では、配当利回り、配当成長率、配当性向、営業キャッシュフロー、設備投資後の資金余力、バランスシートを確認し、Norfolk Southern買収計画を踏まえて配当の持続可能性を検証します。

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

データを見る際の注意点

2026年はまだ通期が終了しておらず、四半期配当1.38ドルを4倍した5.52ドルは年率換算値です。また、2026年上期までに実際に支払われた配当は2.76ドルです。配当利回りは株価によって日々変動するため、2026年7月24日終値を用いた参考値として表示します。

キャッシュフローについては、①営業CF、②営業CFから投資CFを差し引いた配当前の資金余力、③会社が定義する配当支払い後のフリーCFを区別します。これらを混同すると、配当カバー力を過大・過小評価する可能性があります。

配当成長の実績

年平均・直近の配当利回り、配当成長率、配当性向、年間の1株配当を確認します。2026年の配当性向は、年率配当5.52ドルを2026年6月末までの過去12か月GAAP EPS12.35ドルで割った概算です。

配当データ 参考株価・利回りの見方 EPS
平均・直近利回り 配当成長率 配当性向 年間配当
2026* 約1.80% 年率換算
約+1.5%
四半期配当は据え置き
約45% $5.52
現行年率
2026年7月24日終値307.32ドルで概算 TTM $12.35
概算
2025 約2%台前半 +3.0% 約45% $5.44 公式配当履歴ベース $11.98
2024 約2%台前半 +1.5% 約48% $5.28 公式配当履歴ベース $11.09
2023 約2%台前半 +2.4% 約50% $5.20 公式配当履歴ベース $10.45
2022 約2%台前半 +18.4% 約45% $5.08 公式配当履歴ベース $11.21
2021 約1%台後半 +10.6% 約43% $4.29 公式配当履歴ベース $9.95
2020 約2%前後 +4.9% 約49% $3.88 公式配当履歴ベース $7.88
2019 約2%前後 +20.9% 約44% $3.70 公式配当履歴ベース $8.38
2018 約2%台前半 +23.4% 約20% $3.06 公式配当履歴ベース $15.52
2017 約2%前後 +9.7% 約43% $2.48 公式配当履歴ベース $5.79

* 2026年の現行利回りは、年率配当5.52ドルを2026年7月24日終値307.32ドルで割った概算です。2026年のTTM EPSは、2025年通期EPS11.98ドルから2025年上期EPS5.85ドルを差し引き、2026年上期EPS6.22ドルを加えた概算です。[4]
※2026年上期の実支払い配当は1.38ドル×2回の2.76ドルです。今後の配当額は取締役会の決定により変わります。

連続増配年数
18年
2025年7月発表時点
連続配当支払い
127年
2026年5月発表時点
現行年率配当
$5.52
四半期1.38ドル
直近配当利回り
約1.80%
2026年7月24日終値

堅実な配当成長の実績

ユニオン・パシフィックは2025年7月、四半期配当を1.34ドルから1.38ドルへ3%増額し、18年連続の年間増配となりました。2026年5月14日に宣言された2026年Q2配当も1.38ドルで、2026年6月30日に支払われました。2026年7月26日時点では、2026年Q3分の新たな増配はまだ発表されていません。[1]

2008年から2025年にかけて年間配当は大きく増加しましたが、近年の増配率は一桁台前半です。UNPは25年以上の連続増配を条件とする「配当貴族」にはまだ該当せず、長い配当支払い履歴を持つ配当成長銘柄と表現するのが正確です。

財務パフォーマンスと成長見通し

主要財務指標の推移

以下の表では、売上高、営業CF、純利益をM$(百万ドル)単位で表示しています。2026年Q2は四半期実績、2026年上期は6か月累計、2025年までは通期実績です。

年度・期間 売上高
(M$)
営業CF
(M$)
営業利益
(M$)
純利益
(M$)
希薄化後EPS
2026 Q2 6,864 2,763 1,993 $3.36
2026 上期 13,081 5,516 5,221 3,694 $6.22
2025 24,510 9,290 7,138 $11.98
2024 24,250 9,346 6,747 $11.09
2023 24,119 8,379 6,379 $10.45
2022 24,875 9,362 6,998 $11.21
2021 21,804 9,032 6,523 $9.95
2020 19,533 8,540 5,349 $7.88
2019 21,708 8,609 5,919 $8.38
2018 22,832 8,686 5,966 $15.52
2017 21,240 7,230 10,712 $5.79
2016 19,941 7,525 4,233 $5.07
2015 21,813 7,344 4,772 $5.49

※2017年の純利益は米国税制改正による一時要因を含むため、通常の利益水準より大きく見えます。2025年通期はForm 10-K、2026年Q2・上期はForm 10-Qの確定値です。[5]

直近決算:2026年Q2は増収・増益、通期EPS見通しを改善

2026年Q2の売上高は68.64億ドルで前年同期比12%増、純利益は19.93億ドルで6%増、希薄化後EPSは3.36ドルで7%増でした。Norfolk Southern買収関連費用などを調整したEPSは3.41ドルです。営業比率は59.7%、調整後営業比率は59.2%でした。燃料価格の上昇は営業比率を1.2ポイント悪化させています。[2]

2026年Q2指標 実績 前年同期比・補足
営業収益 68.64億ドル +12%
貨物収益 65.18億ドル +12%
燃料サーチャージ除外貨物収益 +4%
営業利益 27.63億ドル +9%
純利益 19.93億ドル +6%
希薄化後EPS 3.36ドル +7%
調整後EPS 3.41ドル +13%
営業比率 59.7% 前年同期59.0%
調整後営業比率 59.2% 前年同期58.1%
  • 輸送量:Q2の貨車輸送量は前年同期比2%増でした。国内インターモーダル、穀物、プラスチックが増え、国際インターモーダルと石炭の減少を補いました。
  • 運行効率:貨車速度は1日231マイルで5%改善、ターミナル滞留時間は19.7時間で7%改善しました。
  • 2026年見通し:会社は2026年の報告EPS成長率を「一桁台半ば」から「一桁台後半」へ引き上げました。
  • 設備投資:2026年の資本計画33億ドルと、継続的な年間増配方針を維持しています。

配当支払能力の分析

営業CF、設備投資後余力、会社定義FCFを分けて確認

2026年上期の営業CFは55.16億ドル、配当支払額は16.40億ドルで、営業CFによる配当カバーは約3.4倍です。営業CFから投資CF20.64億ドルを差し引いた配当前の資金余力は34.52億ドルで、配当を約2.1倍カバーします。さらに配当を差し引いた会社定義のフリーCFは18.12億ドルでした。[3]

配当支払余力の推移

年度・期間 営業CF
(M$)
配当支払額
(M$)
営業CF配当カバー 会社定義FCF
(M$)
2026 上期 5,516 1,640 約3.4倍 1,812
2025 9,290 3,236 約2.9倍 2,292
2024 9,346 3,213 約2.9倍 2,808
2023 8,379 3,173 約2.6倍 1,539
2022 9,362 3,288 約2.8倍 2,603
2021 9,032 2,782 約3.2倍 3,132
2020 8,540 2,674 約3.2倍 2,953
2019 8,609 2,598 約3.3倍 2,712

※会社定義FCFは「営業CF-投資CF-配当支払額」です。2025年以前の数値は各年度の営業CF、投資CF、配当支払額から計算しています。

配当支払余力の評価

  • 通常配当は十分にカバー:2026年上期の営業CFカバーは約3.4倍、設備投資後でも約2.1倍です。
  • 自社株買いは実質停止:Norfolk Southern買収計画に伴い、通常の自社株買いは停止しています。2026年上期の26百万ドルは主に従業員の株式報酬関連です。
  • 配当優先度は高い:会社は2026年Q2決算でも、継続的な年間増配方針を維持しました。
  • 買収資金に注意:Norfolk Southern買収では約200億ドルの現金対価と約2.25億株のUNP株発行を想定しており、承認後は債務と配当余力を再評価する必要があります。

鉄道業界特有のキャッシュフロー創出力

年度・期間 営業CF
(M$)
投資CF
(M$)
配当支払
(M$)
自社株買い
(M$)
2026 上期 5,516 -2,064 1,640 26
2025 9,290 -3,762 3,236 2,679
2024 9,346 -3,325 3,213 2,500
2023 8,379 -3,667 3,173 1,500
2022 9,362 -3,471 3,288 3,500
2021 9,032 -3,118 2,782 4,500
2020 8,540 -2,913 2,674 3,000
2019 8,609 -3,299 2,598 3,500

2026年上期の現金設備投資は18.10億ドルでした。会社は2026年通期で33億ドルの資本計画を維持しており、線路・橋梁・信号、機関車・貨車、ターミナル、インターモーダル施設、技術投資を進める方針です。

バランスシート分析と財務健全性

以下の表では、総資産、総負債、株主資本、債務をM$(百万ドル)単位で表示しています。

時点 総資産
(M$)
総負債
(M$)
株主資本
(M$)
自己資本率 有利子負債
(M$)
調整Debt/EBITDA
2026年Q2末 71,211 50,538 20,673 約29.0% 30,327 2.5倍
2025年末 69,698 51,231 18,467 約26.5% 31,814 2.7倍
2024年末 67,715 50,825 16,890 約24.9%
2023年末 67,132 47,892 19,240 約28.7%
2022年末 65,449 48,305 17,144 約26.2%
2021年末 63,525 49,364 14,161 約22.3%
  • 自己資本:2026年6月末の株主資本は206.73億ドル、自己資本率は約29.0%で、2025年末から改善しました。
  • 債務:1年内返済分を含む有利子負債は303.27億ドルで、2025年末の318.14億ドルから減少しました。
  • レバレッジ:調整Debt/EBITDAは2.5倍で、2025年末の2.7倍から改善しました。
  • 流動性:2026年6月末の現金は16.14億ドル、短期投資は5億ドルです。加えて、リボルビング信用枠20億ドルと売掛債権流動化枠の未使用分6億ドルがありました。[3]

総合評価

単独企業としてのUnion Pacificは、2026年上期も高い営業CF、約45%のEPS配当性向、改善した負債指標を維持しています。通常配当の持続可能性は比較的高いと考えられます。ただし、Norfolk Southern買収が承認・完了した場合、約200億ドルの現金対価、新規債務、株式発行、統合費用により資本構成は大きく変わります。

Norfolk Southern統合計画の進捗

Union PacificとNorfolk Southernは2025年7月28日に合併契約を締結しました。Norfolk Southern株主は、1株につきUnion Pacific株1株と現金88.82ドルを受け取る予定で、Union Pacificは約2.25億株の新株発行と約200億ドルの現金支払いを見込んでいます。取引完了の目標時期は2027年です。[6]

2026年7月26日時点の規制審査

  • 2026年4月30日、両社は修正版の申請書をSTBへ提出しました。
  • 2026年5月28日、STBは修正版申請を審査対象として受理しましたが、追加情報を求め、手続きを一時停止しました。
  • 2026年7月7日、両社は共同保有するターミナル会社などに関する回答の第1弾を提出しました。
  • 残りの追加情報の提出期限は2026年7月27日です。したがって、2026年7月26日時点では審査手続きはなお一時停止中で、承認は確定していません。
  • 2026年上期の買収関連費用は71百万ドル、Q2単独では35百万ドルでした。

配当重視投資家にとっての投資価値

インカム投資家への魅力

  1. 長い配当履歴:2026年5月発表時点で127年連続の普通株配当支払い。
  2. 継続的な増配:2025年7月発表時点で18年連続の年間増配。
  3. 配当性向:2026年6月末までのTTM EPSに対する現行年率配当の配当性向は約45%。
  4. キャッシュカバー:2026年上期の営業CFは配当支払額の約3.4倍、設備投資後でも約2.1倍。
  5. 高い参入障壁:広大な鉄道網、線路用地、ターミナル、顧客接続網は新規参入が難しい資産です。

投資リスク

  1. 合併承認リスク:STBが取引を承認しない、厳しい条件を付す、審査が長期化する可能性があります。
  2. 財務レバレッジ:買収完了時には約200億ドルの現金対価を新規債務と営業CFで賄う計画です。
  3. 配当成長の鈍化:買収資金の確保と債務削減が優先されれば、増配率が小さくなる可能性があります。
  4. 株式希薄化:約2.25億株の新株発行が予定されており、1株当たり利益と配当総額への影響を確認する必要があります。
  5. 景気敏感性:製造業、農産物、エネルギー、自動車、消費財の貨物量は景気に左右されます。
  6. 燃料価格:燃料サーチャージで一部を転嫁できますが、価格上昇と時間差が営業比率を悪化させることがあります。
  7. 規制・労務・安全:鉄道規制、労働協約、事故、設備障害、サイバー攻撃は運行と利益に影響します。

まとめ:配当投資家にとってのユニオン・パシフィック

ユニオン・パシフィックは、127年連続の配当支払い、18年連続の年間増配、高い鉄道インフラの参入障壁、堅固なキャッシュ創出力を備えた配当成長銘柄です。2026年Q2は増収・増益となり、会社は2026年のEPS成長率見通しを一桁台後半へ引き上げました。

現行年率配当5.52ドルに対する2026年7月24日時点の利回りは約1.80%で、超高配当株ではありません。一方、TTM EPSに対する配当性向は約45%、2026年上期の営業CF配当カバーは約3.4倍で、単独企業としての配当余力は十分です。

最大の論点はNorfolk Southern統合計画です。承認されれば米国初の大陸横断鉄道網が生まれる可能性がありますが、約200億ドルの現金対価、新株発行、債務増加、統合費用が発生します。そのため、今後は配当利回りだけでなく、STB審査、買収条件、債務指標、統合後の1株当たりFCFを確認する必要があります。

投資判断のポイント

UNPは「安定した鉄道事業と配当成長」に投資する銘柄であると同時に、現在は「大型鉄道合併の規制・財務リスクを引き受ける銘柄」でもあります。配当の安全性は現時点で高いものの、買収完了後も同じ余裕が維持されるかは、資金調達条件と統合後のキャッシュフロー次第です。

ミニ解説:UNPの会社定義FCFは、営業CFから投資CFと配当を差し引いた「配当後の残余資金」です。配当安全性を見る際は、営業CFカバーだけでなく、設備投資後の資金が配当を何倍カバーするかも併せて見ると、より実態に近い評価になります。

免責事項
本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。本記事は2026年7月26日時点の公開情報に基づいています。

【注】(出典リンク)

  1. 配当履歴・2025年増配・2026年Q2配当・127年連続配当支払い → 一次情報:Union Pacific Dividend HistoryUnion Pacific「Second Quarter 2026 Dividend」(確認日:2026-07-26)
  2. 2026年Q2決算・調整EPS・営業比率・通期見通し → 一次情報:Union Pacific「Second Quarter 2026 Results」Union Pacific Q2 2026 Earnings Materials(確認日:2026-07-26)
  3. 2026年上期財務諸表・CF・BS・債務・買収関連費用 → 一次情報:Union Pacific Form 10-Q(2026年Q2)Union Pacific SEC Filings(確認日:2026-07-26)
  4. 2026年7月24日株価・配当利回り計算 → 一次情報案内:Union Pacific Stock Quote & Chart → 補助:Investing.com「UNP Historical Data」(確認日:2026-07-26)
  5. 2025年通期財務データ・年間CF・ROIC → 一次情報:Union Pacific Form 10-K(2025年)Union Pacific Annual Reports(確認日:2026-07-26)
  6. Norfolk Southern買収条件・STB審査・追加情報提出 → 一次情報:STB「UP-NS Merger Resources」STB「Merger Application Accepted; Proceedings Held in Abeyance」Union Pacific・Norfolk Southern「Supplemental Information」(確認日:2026-07-26)

Posted by 南 一矢