EZA·AFK:アフリカETFを比較する

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南アフリカとアフリカに投資するETFのデータを比較してみます。

このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を紹介してみましょう

【国別・地域別ETF】南アフリカ(EZA)・アフリカ(AFK) – 大陸の盟主と、未来の成長エンジンへの投資を考える

高い成長ポテンシャルを秘めるアフリカ大陸への投資は、分散投資の新たなフロンティアとして注目されています。投資対象として、アフリカ最大の経済大国である南アフリカに集中投資するのか、あるいは大陸全体に広く分散投資するのかは、大きな選択肢となります。今回は、南アフリカに特化したiシェアーズのETF「EZA(南アフリカ)」と、アフリカ大陸全体をカバーするVanEckのETF「AFK(アフリカ)」について、その中身と投資妙味を徹底解説します。

【EZA】iシェアーズ MSCI 南アフリカ ETF

アフリカ大陸で最も発展した経済を誇り、豊富な鉱物資源を有する南アフリカの主要企業にまるごと投資できるETFです。

南アフリカ(EZA)投資の魅力とリスク

投資の魅力
  • 豊富な鉱物資源: 金やプラチナなど世界有数の鉱物資源国であり、コモディティ価格上昇の恩恵を受けやすいです。
  • 発展した金融市場: アフリカで最も成熟した金融システムを持ち、大手銀行や証券取引所が経済の基盤を支えています。
  • 高配当の可能性: ポートフォリオの上位を占める金融セクターや資源セクターには、比較的高配当な企業が含まれます。
注意すべきリスク
  • 政治・経済の不安定性: 高い失業率、汚職、電力不足(ロードシェディング)などの国内問題が経済成長の足かせとなる可能性があります。
  • 資源価格への依存: 経済が資源価格の動向に大きく左右されるため、市況の変動が株価の不安定要因となります。
  • 通貨(ランド)の変動リスク: 新興国通貨である南アフリカ・ランドの対ドルでの価値変動が、ETFの価格に直接影響します。

EZAの基本情報とポートフォリオ

連動指数 MSCI South Africa 25/50 Index
経費率 0.59%
純資産総額 約4億ドル
上位構成銘柄 Naspers, FirstRand, Gold Fields, Anglogold Ashanti, Standard Bank Groupなど
セクター比率 金融 (約36%), 素材 (約24%), 一般消費財 (約21%), 通信 (約6%) など

【AFK】VanEck アフリカ インデックス ETF

「最後のフロンティア」とも呼ばれるアフリカ大陸全体の経済成長の恩恵を、分散して享受することを目指すETFです。

アフリカ(AFK)投資の魅力とリスク

投資の魅力
  • 大陸全体の成長性: 著しい人口増加と中間所得層の拡大を背景に、長期的な内需主導の経済成長が期待されます。
  • 単一国リスクの分散: 南アフリカだけでなく、ナイジェリア、モロッコ、ケニア、エジプトなど複数国に分散投資することで、一国への過度な依存を避けます。
  • フロンティア市場の潜在力: まだ発展途上にある多様な市場へアクセスし、将来の大きなリターンを狙うことができます。
注意すべきリスク
  • フロンティア市場リスク: 構成国には政治情勢が不安定な国や、規制・法制度が未整備な国も含まれ、高いカントリーリスクを伴います。
  • 流動性と通貨リスク: 複数の国の株式市場にまたがるため、流動性の低さや、多様な通貨の変動リスクに晒されます。
  • インフラの未整備: 多くの国で電力、輸送、通信といった基本的なインフラが未発達であり、経済発展の制約となる可能性があります。

AFKの基本情報とポートフォリオ

連動指数 MVIS GDP Africa Index
経費率 0.78%
純資産総額 約6,900万ドル
上位構成銘柄 Attijariwafa Bank (モロッコ), Naspers (南ア), Airtel Africa (英国/アフリカ事業), Barrick Gold (カナダ/アフリカ事業), Safaricom (ケニア)など
国別比率 南アフリカ (約29%), モロッコ (約18%), 英国 (約14%), カナダ (約12%), ナイジェリア (約6%)など ※アフリカに収益源を持つ国外企業も含む
セクター比率 金融 (約33%), 素材 (約31%), 通信 (約13%) など

※純資産総額は2025年6月時点の参考値であり、常に変動します。

まとめ:ポートフォリオにおける役割

EZAとAFKは、どちらもアフリカに関連するETFですが、その投資対象とリスク・リターンの特性は大きく異なります。

  • EZA (南アフリカ): アフリカの中では比較的成熟した単一国に集中投資することで、「資源価格との連動性」「高配当」を狙う投資です。南アフリカ経済の動向を直接ポートフォリオに反映させたい場合に適しています。
  • AFK (アフリカ): 大陸全体の「長期的な人口動態と経済成長」という壮大なテーマに、分散して投資する選択肢です。より高いリスク許容度を持ち、フロンティア市場の将来性に賭けたい投資家に向いています。

EZAはアフリカへの入口として、AFKはより広い視野での成長への賭けとして、それぞれのETFがポートフォリオ内で果たす役割は明確に異なります。両者の特性とリスクを十分に理解し、自身の投資戦略に合った選択をすることが重要です。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。




配当金(分配金)と利回り

年間配当を1年の平均株価で割り、平均の利回りを計算してみます。


ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、セクター別比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

参考:南アフリカの経済力

最後に、南アフリカ共和国の経済力を見ていきましょう。
ここで、世界銀行のデータバンクから主要統計を閲覧してみます。

実質GDPと成長率

(※実質GDPは2015年米ドル基準。単位は億ドル )

EWC EWW
2024 2.16% 2.6%
2023 2.35% 3.09%
2022 2.08% 2.75%
2021 1.76% 1.66%
2020 2.42% 2.57%
2019 2.3% 2.56%
2018 2.11% 2.25%
2017 1.71% 1.55%
2016 2.04% 2.52%
2015 2.36% 1.51%
実質GDP 名目GDP 実質成長率
2005 2675 2889 5.28
2006 2825 3039 5.60
2007 2977 3331 5.36
2008 3072 3161 3.19
2009 3025 3298 -1.54
2010 3117 4174 3.04
2011 3215 4582 3.17
2012 3292 4344 2.40
2013 3374 4009 2.49
2014 3422 3812 1.41
2015 3467 3467 1.32
2016 3490 3236 0.66
2017 3531 3814 1.16
2018 3583 4048 1.49
2019 3587 3879 0.11
2020 3356 3354 -6.43

一人当たりGDP/人口/失業率

(*失業率はILO方式。一人当たりGDP〔実質〕の単位はドル、人口は万人)

1人当りGDP 人口 失業率
2005 5588 4788 29.12
2006 5827 4849 28.34
2007 6060 4912 26.54
2008 6171 4978 22.41
2009 5992 5048 23.52
2010 6085 5122 24.68
2011 6183 5200 24.64
2012 6232 5283 24.73
2013 6285 5369 24.56
2014 6274 5454 24.89
2015 6260 5539 25.15
2016 6209 5621 26.54
2017 6193 5701 27.04
2018 6200 5779 26.91
2019 6126 5856 28.47
2020 5659 5931 28.74

Posted by 南 一矢