VIS・XLI・IYJ・EXI(資本財セクターETF)を比較する

セクターETF





資本財ETF徹底比較【2026年7月更新】

米国の資本財・サービスセクター(インダストリアル)に投資するETFのデータを比較してみます。

その代表は、バンガード社の【VIS】、ステート・ストリート社の【XLI】、ブラックロック社の【IYJ】です。あわせて、世界各国の資本財企業に投資する【EXI】の内容も紹介します。

ブラックロック社の世界投資型ETFは、グローバル分散をうたっていても米国比率が高くなる場合があります。EXIも2026年7月14日時点で米国企業が56.50%を占めており、海外へ均等に分散する商品ではありません。[1]

このページでは積立や資産運用の参考となるように、各ETFの概要、連動するインデックス、経費率、保有銘柄数、ポートフォリオの違いを整理します。

【徹底比較】資本財ETF VIS vs XLI おすすめは?景気敏感セクターを解説

航空宇宙・防衛、産業機械、電気設備、建設、鉄道、物流など、経済活動の基盤を支える企業群にまとめて投資できるのが、資本財・サービスセクターETFです。

景気拡大や設備投資の増加から恩恵を受けやすい一方、景気後退、金利上昇、貿易摩擦、原材料価格の上昇などによって業績が悪化する可能性があります。

この記事では、まず資本財セクターの景気敏感性を確認し、そのうえで代表的なETFを投資戦略ごとに分類します。

【はじめに】資本財セクターは「景気の羅針盤」

資本財セクターは、景気拡大期には企業の設備投資、建設、輸送、人の移動が増えて業績が伸びやすく、景気後退期には受注や設備投資が減少しやすいという、典型的な景気循環セクターです。

ただし、現在の資本財セクターには、防衛、電力設備、データセンター建設、物流自動化など、景気循環だけでは説明しにくい長期的な成長分野も含まれます。ETFごとの業種配分を確認することが重要です。

主要 資本財ETF 比較一覧表

まずは、今回紹介するETFの個性が分かる比較表をご覧ください。特に重要なのは、投資対象の範囲指数の分類方法経費率です。

主要資本財ETFの比較(確認日:2026-07-16)。保有銘柄数や資産構成は日々変動します。
ティッカー 投資戦略 経費率 銘柄数 キーワード
XLI 米国大型株集中型
(S&P 500由来)
0.08%
(2026-07-16確認)[2]
81
(2026-07-15時点)[2]
S&P 500の資本財企業へ低コストで投資
VIS 米国全規模分散型
(大型・中型・小型)
0.09%
(2025-12-19時点)[3]
397
(2026-05-31時点)[3]
米国資本財セクター全体を広く保有
IYJ 米国大型株分散型
(Russell指数)
0.38%
(2026-07-16確認)[4]
212
(2026-07-14時点)[4]
金融サービスなども含む広義のインダストリアル
EXI 世界大型株分散型
(米国+海外)
0.39%
(2026-07-16確認)[1]
216
(2026-07-14時点)[1]
米国56.50%+日本・欧州などへ分散

※経費率は各運用会社の公式表示、銘柄数は各ETFの記載時点に基づきます。VISだけ銘柄数の基準日が2026年5月31日となっています。

ミニ解説:XLIとVISは「似て非なる」設計

XLIはS&P 500の構成銘柄から資本財・サービス企業を選ぶため、大型株への集中度が高くなります。一方、VISは大型・中型・小型株を含むため、より米国資本財セクター全体に近い構成です。

IYJはXLIやVISと分類方法が異なる

IYJはRussell 1000 Industrials 40 Act 15/22.5 Daily Capped Indexに連動します。2026年7月14日時点の公式分類では、資本財が59.22%、金融サービスが18.98%、輸送が8.37%でした。XLIやVISと同じ「資本財ETF」として紹介されることが多いものの、実際の投資対象は完全には一致しません。[4]


米国市場への投資戦略:集中か、分散か

【XLI】巨大企業に集中投資

XLIはIndustrial Select Sector Indexへの連動を目指し、S&P 500に採用されている資本財・サービス企業へ投資します。経費率は0.08%、保有銘柄数は81です。経費率は2026年7月16日確認、銘柄数は2026年7月15日時点です。[2]

2026年7月15日時点の上位銘柄は、キャタピラー7.53%、GEエアロスペース6.72%、GEベルノバ5.07%、RTX4.72%、ボーイング3.07%でした。上位10銘柄の合計は約40.5%です。[2]

業種別では、2026年7月15日時点で航空宇宙・防衛が25.94%、機械が20.91%、電気設備が13.96%、陸上輸送が10.05%を占めています。防衛、航空機、電力設備、大型機械などの有力企業へ効率よく投資できますが、上位企業や特定業種の影響を受けやすい構成です。[2]

2026年7月15日時点の純資産総額は約335.1億ドルです。規模、経費率、取引のしやすさを重視する場合、米国資本財ETFの代表的な選択肢といえます。[2]

【VIS】セクター全体に分散投資

VISはMSCI US Investable Market Industrials 25/50 Indexへの連動を目指します。米国の大型・中型・小型企業を対象とするため、S&P 500の大型株だけで構成されるXLIより投資範囲が広くなっています。[3]

経費率は2025年12月19日時点で0.09%、保有銘柄数は2026年5月31日時点で397です。保有銘柄数はXLIの約5倍で、中小型企業の成長も取り込みやすい設計です。[3]

ただし、時価総額加重型であるため、397銘柄を均等に保有するわけではありません。キャタピラー、GEエアロスペース、RTX、GEベルノバ、ボーイングなどの大型企業が引き続き上位を占めます。銘柄数が多くても、ファンドの値動きは大型株から相応の影響を受けます。[3]

巨大企業への集中をやや抑えつつ、「米国資本財セクター全体」の値動きを取り込みたい場合に適した選択肢です。

【IYJ】同じ資本財ETFでも中身は異なる

IYJは、2026年7月15日時点で純資産総額が約19.7億ドル、経費率が0.38%、2026年7月14日時点の保有銘柄数が212です。[4]

投資対象はRussell 1000に含まれる米国大型・中型企業が中心です。ただし、前述のとおり金融サービスが2026年7月14日時点で18.98%を占めており、GICSに基づく資本財セクターへ投資するXLIやVISとは構成が異なります。[4]

経費率もXLIやVISより高いため、単純に「より幅広く分散された資本財ETF」と考えるのではなく、指数の分類方法と構成銘柄を確認したうえで選ぶ必要があります。

米国資本財ETFの選び方

  • 低コスト、規模、流動性を重視:XLI
  • 大型株から小型株まで広く分散:VIS
  • 金融サービスなどを含む広義のインダストリアルへ投資:IYJ

グローバル市場への投資戦略

【EXI】世界のインダストリアルに分散投資

米国企業だけではカントリーリスクが集中しすぎると考える場合、EXIはグローバル分散の選択肢になります。

EXIは2026年3月23日ごろに連動指数を変更し、現在はS&P Global 1200 Industrials(Sector)Capped Index(Net)への連動を目指しています。従来のS&P Global 1200 Industrials Indexから、特定銘柄への集中を抑える上限付き指数へ変更されました。[1]

経費率は2026年7月16日に確認した公式表示で0.39%、保有銘柄数は2026年7月14日時点で216、純資産総額は2026年7月15日時点で約14.0億ドルです。[1]

EXIに投資する主なメリット

  • 国際分散:2026年7月14日時点で、米国56.50%、日本13.01%、フランス6.51%、ドイツ5.28%、英国4.16%などへ投資しています。[1]
  • 海外の有力企業を取り込める:日本や欧州の機械、電機、航空宇宙、輸送関連企業も投資対象になります。
  • 銘柄集中を制限:2026年3月の指数変更により、特定銘柄への過度な集中を抑える上限付き指数となりました。[1]

注意点:米国比率とコスト

EXIは世界各国へ投資しますが、2026年7月14日時点でも米国比率が56.50%あります。「米国を除く資本財ETF」ではなく、米国を中心に日本・欧州などを加えた商品です。[1]

経費率は0.39%で、XLIの0.08%、VISの0.09%より高くなっています。グローバル分散のメリットと、長期保有時のコスト増を天秤にかける必要があります。

また、EXIは米ドルで売買するETFですが、米国外の企業にも投資しています。日本円、ユーロ、英ポンドなどに対する米ドル相場の変化が、ETFの米ドル建て価格に影響する可能性があります。

グローバル分散の意味

EXIを選ぶ主な理由は、米国以外の資本財企業も保有できることです。ただし、米国比率は過半数を占めます。米国への投資を避ける商品ではなく、米国中心のポートフォリオへ海外企業を加えるETFと考える方が実態に近いでしょう。


投資前に確認すべき資本財セクターのリスク

景気動向に敏感な資本財・サービスセクターには、次のようなリスクがあります。

  1. 景気後退リスク:景気が悪化すると、企業の設備投資、建設需要、貨物輸送、旅行需要などが減少します。受注から売上計上までの期間が長い企業も多く、受注残や新規受注の変化が将来の業績に影響します。
  2. 金利上昇リスク:金利が上昇すると、企業の設備投資や不動産・インフラ開発の資金調達コストが増えます。高いPERで評価されている銘柄では、金利上昇によるバリュエーション調整も起こり得ます。
  3. サプライチェーンリスク:半導体、特殊金属、航空機部品などの供給が滞ると、受注が豊富でも製品を完成できない場合があります。物流費や原材料費の上昇も利益率を圧迫します。
  4. 地政学・貿易リスク:関税、輸出規制、制裁、紛争などが、グローバルに展開する製造業や輸送企業へ影響する可能性があります。防衛関連企業には追い風になる場合もありますが、民間航空、物流、機械などには逆風となることがあります。
  5. 業種集中リスク:2026年7月15日時点のXLIでは、航空宇宙・防衛と機械だけで合計46.85%を占めています。資本財ETFであっても、幅広い業種へ均等に分散されているわけではありません。[2]
  6. 為替リスク:EXIのようなグローバルETFでは、米国外企業の株価だけでなく、各国通貨と米ドルの為替変動もリターンに影響します。
  7. 指数分類の違い:IYJのように金融サービスを相応に含む商品もあります。ティッカー名やETF名だけで判断せず、連動指数と業種構成を確認する必要があります。[4]

結論:どのETFが選びやすいか

XLIは、低コスト、資産規模、取引のしやすさを重視し、米国の大型資本財企業へ集中投資したい場合に分かりやすい選択肢です。

VISは、経費率を低く抑えながら、中小型株を含む米国資本財セクター全体へ分散したい場合に向いています。

IYJは、XLIやVISとは異なる指数分類による広義のインダストリアルへ投資します。経費率も高いため、構成内容に明確な投資意図がある場合に検討しやすい商品です。

EXIは、日本や欧州を含む国際分散を重視する場合の候補です。ただし、米国比率が過半数を占め、経費率と為替リスクも大きくなります。

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。ETFの経費率、保有銘柄数、純資産総額、国別・業種別構成は変動するため、投資前に各運用会社の公式ページや目論見書で最新情報を確認してください。

【注】(出典リンク)

  1. EXIの指数・経費率・銘柄数・純資産・国別構成 → iShares Global Industrials ETF公式ページEXI公式ファクトシート(確認日:2026-07-16)
  2. XLIの指数・経費率・銘柄数・純資産・構成銘柄・業種配分 → State Street XLI公式ページ(確認日:2026-07-16)
  3. VISの指数・経費率・銘柄数・構成 → Vanguard VIS公式ページVanguard VIS保有銘柄情報(確認日:2026-07-16)
  4. IYJの指数・経費率・銘柄数・純資産・業種構成 → iShares U.S. Industrials ETF公式ページIYJ公式ファクトシート(確認日:2026-07-16)


株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。




配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*当サイトは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されることがあります)

VISの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 1.06% 3.02 -26.2% 285.0 16.7%
2024 1.67% 4.09 37.2% 244.3 24.0%
2023 1.51% 2.98 8.4% 197.0 9.1%
2022 1.52% 2.75 23.3% 180.5 -6.4%
2021 1.16% 2.23 -4.7% 192.8 36.4%
2020 1.66% 2.34 -8.9% 141.3 -1.4%
2019 1.79% 2.57 13.2% 143.3 2.3%
2018 1.62% 2.27 0.4% 140.1 8.6%
2017 1.75% 2.26 5.6% 129.0 20.3%
2016 2.00% 2.14 9.7% 107.2 2.6%
2015 1.87% 1.95 16.8% 104.5 2.3%
2014 1.63% 1.67 57.5% 102.2 20.5%
2013 1.25% 1.06 -28.4% 84.8 24.9%
2012 2.18% 1.48 22.3% 67.9 5.1%
2011 1.87% 1.21 42.4% 64.6 13.9%
2010 1.50% 0.85 19.7% 56.7 30.9%
2009 1.64% 0.71 -36.0% 43.3 -29.6%
2008 1.80% 1.11 61.5

XLIの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 1.38% 2.00 5.3% 144.7 14.3%
2024 1.50% 1.90 3.8% 126.6 22.6%
2023 1.77% 1.83 15.1% 103.3 7.8%
2022 1.66% 1.59 22.3% 95.8 -4.4%
2021 1.30% 1.30 -3.7% 100.2 34.0%
2020 1.80% 1.35 -13.5% 74.8 -2.0%
2019 2.04% 1.56 13.9% 76.3 2.4%
2018 1.84% 1.37 3.8% 74.5 9.2%
2017 1.94% 1.32 3.9% 68.2 20.7%
2016 2.25% 1.27 13.4% 56.5 3.3%
2015 2.05% 1.12 9.8% 54.7 2.4%
2014 1.91% 1.02 20.0% 53.4 20.3%
2013 1.91% 0.85 1.2% 44.4 22.0%
2012 2.31% 0.84 20.0% 36.4 4.6%
2011 2.01% 0.70 25.0% 34.8 13.4%
2010 1.82% 0.56 -11.1% 30.7 31.2%
2009 2.69% 0.63 -11.3% 23.4 -28.9%
2008 2.16% 0.71 32.9

IYJの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 0.85% 1.22 3.4% 144.0 14.4%
2024 0.94% 1.18 -1.7% 125.9 22.6%
2023 1.17% 1.20 22.4% 102.7 5.4%
2022 1.01% 0.98 18.1% 97.4 -10.2%
2021 0.76% 0.83 -13.5% 108.5 35.3%
2020 1.20% 0.96 -11.1% 80.2 3.5%
2019 1.39% 1.08 20.0% 77.5 5.3%
2018 1.22% 0.90 -3.2% 73.6 11.0%
2017 1.40% 0.93 13.4% 66.3 20.8%
2016 1.49% 0.82 6.5% 54.9 4.2%
2015 1.46% 0.77 1.3% 52.7 3.3%
2014 1.49% 0.76 35.7% 51.0 18.1%
2013 1.30% 0.56 -5.1% 43.2 24.1%
2012 1.70% 0.59 22.9% 34.8 6.4%
2011 1.47% 0.48 0.0% 32.7 14.3%
2010 1.68% 0.48 9.1% 28.6 29.4%
2009 1.99% 0.44 -6.4% 22.1 -27.8%
2008 1.54% 0.47 30.6

EXIの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 1.39% 2.31 11.1% 166.0 19.3%
2024 1.49% 2.08 -10.7% 139.2 20.4%
2023 2.02% 2.33 35.5% 115.6 9.1%
2022 1.62% 1.72 -1.1% 106.0 -10.6%
2021 1.47% 1.74 29.9% 118.6 32.1%
2020 1.49% 1.34 -19.8% 89.8 -0.7%
2019 1.85% 1.67 -2.9% 90.4 0.1%
2018 1.90% 1.72 26.5% 90.3 6.7%
2017 1.61% 1.36 3.8% 84.6 19.5%
2016 1.85% 1.31 0.0% 70.8 0.6%
2015 1.86% 1.31 -2.2% 70.4 -0.8%
2014 1.89% 1.34 25.2% 71.0 13.8%
2013 1.71% 1.07 -14.4% 62.4 20.5%
2012 2.41% 1.25 9.6% 51.8 -1.5%
2011 2.17% 1.14 44.3% 52.6 11.0%
2010 1.67% 0.79 2.6% 47.4 26.7%
2009 2.06% 0.77 -40.8% 37.4 -27.5%
2008 2.52% 1.30 51.6


ポートフォリオの比較

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、組入れ上位10銘柄はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢