MO(アルトリア)今後の見通し

タバコ株,必需品,株価•決算

アルトリアグループ(Altria Group, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(PMとMOを比較:フィリップモリスとアルトリア)を参照

直近決算

MO(アルトリア)は4月30日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.25$→結果1.32$
・売上高:予想45.8億$→結果47.6億$(前年同期比+5%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想5.62$→結果5.56~5.72$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

アルトリア・グループ(Altria Group, Inc.、NYSE: MO)は、米国を代表するたばこ・ニコチン製品企業であり、グループ傘下のPhilip Morris USA(PM USA)が「マールボロ」「パーラメント」「バージニアスリム」などを展開しています。主力市場は米国で、販売はほぼ米国内に集中しています。[1]

米国たばこ業界で最大手(PM USA)として、紙巻きたばこに加え、葉巻(Black & Mild)、口腔用たばこ(モイスト・スモークレス〈Copenhagen, Skoal〉、ニコチンパウチ〈on!〉)、電子たばこ(NJOY)まで製品ポートフォリオを拡充しています。NJOYは2023年に買収し、2024年にはメンソール系の電子たばこで米FDAのMarketing Granted Orders(MGO)を取得しました。ただし、NJOY ACEはITCの輸入・販売差止命令の影響を受け、会社の2026年通期ガイダンスでは「2026年中に市場へ戻らない」前提が置かれています。[2][3]

かつてワイン事業(Ste. Michelle Wine Estates)を保有していましたが、2021年に売却済みで、現在の事業の中核は米国内のたばこ・スモークフリー製品に集中しています。[4]

主に以下のセグメントで事業を展開しています。2025年通期からは、NJOYを中心とするe-vapor productsが、減損損失の影響で量的基準を満たしたため、従来の「All other」ではなく独立した報告セグメントとして表示されています。[1]

米国内たばこ(スモーカブル)事業:米国市場向けに紙巻き(Marlboroほか)と機械巻き葉巻(Black & Mild)を販売します。2025年通期のセグメント売上(Net revenues)は204.85億ドルで、グループ全体の売上232.79億ドルの約88%を占める主要な収益源です。2026年1–3月期(Q1)のスモーカブル事業売上は47.58億ドルで、前年同期比2.9%増でした。紙巻き数量は減少が続く一方、価格改定とミックス改善が利益を支える構造です。[5]

口腔用たばこ(オーラルタバコ)事業:U.S. Smokeless Tobacco Company(Copenhagen, Skoal)と、子会社Helix Innovations(ニコチンパウチon!)が中心です。2025年通期のセグメント売上は28.02億ドル、営業会社利益(OCI)は18.28億ドルでした。2026年Q1の同セグメント売上は6.69億ドル、OCIは4.35億ドルでした。on! の2026年Q1出荷数量は4,620万缶で前年同期比17.6%増となりましたが、米国ニコチンパウチ市場でのon!のシェアは13.4%で、前年同期から低下しています。[6]

電子たばこ(e-vapor)事業:NJOYを中心とする報告セグメントです。2025年通期のe-vapor製品セグメント売上はマイナス1,300万ドル、営業会社損失は22.97億ドルでした。これは、NJOY ACEの輸入・販売差止の影響、返品・調整、買収後の事業見直し、のれん・無形資産の大規模減損などが重なったためです。2025年通期には、e-vapor報告単位ののれんと耐用年数のある無形資産に対して、合計22億ドル規模の税前減損関連費用が計上されました。[7]

その他(スモークフリー等):Horizon Innovations(後述の加熱式たばこJV)、Helix International、FUMi、非ニコチン領域の実験的取り組みなどが含まれます。2025年時点では、on! と on! PLUS はスウェーデンと英国の一部小売・ECで国際展開を始めており、FUMi は7つの国際市場・4万店規模で展開されています。[8]

(*国際たばこ事業のPhilip Morris International(PMI)は2008年にアルトリアから分離独立し、現在は主に米国外を担当しています。米国内と海外で分業してきましたが、IQOSの米国内販売権は2024年4月30日にPMIへ移管完了しました。2024年には、このIQOS権利移管に伴いアルトリアが税前27億ドルの利益を計上しています。)[9]

アルトリアは強力なブランドと広範なディストリビューションに支えられ、安定的なキャッシュフローを確保しています。2025年通期の調整後希薄化後EPSは5.42ドルで、前年比4.4%増でした。2026年Q1は売上54.28億ドル、物品税控除後売上47.58億ドル、報告希薄化後EPS1.30ドル、調整後希薄化後EPS1.32ドルでした。会社は2026年通期の調整後希薄化後EPSガイダンスを5.56〜5.72ドルに据え置いています。[10]

配当や自己株買いによる株主還元を継続しつつ、スモークフリー領域(ニコチンパウチ、電子たばこ、将来の加熱式たばこ商用化)への投資を進めています。2025年通期には配当として70億ドルを支払い、自社株買いとして10億ドルを実施しました。2026年Q1には配当18億ドルを支払い、自社株を2.80億ドル取得しました。2026年3月31日時点で、2026年末までの20億ドルの自社株買い枠のうち7.20億ドルが残っています。[11]

社名・組織の沿革:2003年に持株会社名を「フィリップ・モリス」から「アルトリア・グループ」に変更。2007年に「クラフト・フーズ」を、2008年に「フィリップ・モリス・インターナショナル」をスピンオフし、事業の専門性を高めました。2022年にはJTグループと米国内の加熱式たばこ製品の商用化を目的とするJV(Horizon Innovations)を設立し、Ploom系デバイスの米国展開を視野に入れています(FDA許認可が前提)。2025年9月にはKT&Gと、現代的な口腔用ニコチン製品、非ニコチン製品、伝統的たばこの運営効率化を対象とする非拘束のグローバル協業MOUを発表しています。[12]


ワンポイント用語解説

  • スモークフリー:煙を出さないニコチン製品の総称です。ニコチンパウチ、電子たばこ、加熱式たばこなどが含まれます。アルトリアは「FDA認可を受けたスモークフリー製品群」を重視しています。[8]
  • PMTA/MGO:米FDAの市場許可制度(Premarket Tobacco Product Application)。MGO(Marketing Granted Order)があると、対象製品を米国で合法的に販売できます。NJOYの一部製品はMGOを取得していますが、NJOY ACEは別途ITC命令の影響を受けています。[3]
  • ニコチンパウチ:たばこ葉を使わず、ニコチンを含む小袋を口腔内で使用する製品です。アルトリアの代表ブランドは on! で、2025年12月には on! PLUS の一部製品がFDAの販売許可を取得しました。[6]
  • OCI:Operating Companies Income の略で、アルトリアがセグメント別収益性を見る際に使う営業会社利益の指標です。2025年通期の調整後OCIマージンは62.4%でした。[10]

【注】(出典リンク)

  1. 会社概要・米国内集中・PM USAブランド・2025年Form 10-K → Altria 2025 Form 10-K(SEC)Altria About(確認日:2026-05-10)
  2. NJOY買収完了・電子たばこ事業 → Altria: NJOY買収完了Altria 2025 Form 10-K(SEC)(確認日:2026-05-10)
  3. FDA MGO・NJOYメンソール製品・NJOY ACEのITC命令 → FDA: Marketing Granted OrdersAltria: NJOYメンソール製品MGOAltria 2026年Q1決算(確認日:2026-05-10)
  4. Ste. Michelle Wine Estates売却 → Altria: ワイン事業売却合意(確認日:2026-05-10)
  5. スモーカブル事業・2025年通期/2026年Q1売上・Marlboro等 → Altria 2025年Q4/通期決算Altria 2026年Q1決算(確認日:2026-05-10)
  6. 口腔用たばこ事業・on!・on! PLUS・FDA認可 → Altria 2025年Q4/通期決算Altria 2026年Q1決算(確認日:2026-05-10)
  7. e-vapor報告セグメント・NJOY関連減損・2025年セグメント再表示 → Altria 2025年Q4/通期決算Altria 2026年Q1 Form 10-Q(SEC)(確認日:2026-05-10)
  8. スモークフリー戦略・on!/on! PLUS海外展開・FUMi・非ニコチン領域 → Altria 2025年Q4/通期決算Altria Smoke-Free Products(確認日:2026-05-10)
  9. PMIスピンオフ・IQOS米国内販売権移管・2024年IQOS権利移管益 → Altria: IQOS権利移管合意PMI: IQOS権利移管合意Altria 2025年Q4/通期決算(確認日:2026-05-10)
  10. 2025年通期業績・2026年Q1業績・2026年EPSガイダンス・調整後OCIマージン → Altria 2025年Q4/通期決算Altria 2026年Q1決算(確認日:2026-05-10)
  11. 配当・自社株買い・株主還元 → Altria 2025年Q4/通期決算Altria 2026年Q1決算(SEC Exhibit 99.1)(確認日:2026-05-10)
  12. 社名変更・Kraft/PMIスピンオフ・JT/Horizon・KT&G MOU → Altria: JTとの戦略提携Altria: KT&GとのMOUAltria Heritage(確認日:2026-05-10)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢