C3AIの業績
【2026年版】C3.ai (AI) 徹底分析:エンタープライズAIのリーダー – FY2022-FY2026財務データと成長戦略
【2026年2月更新】
FY2026第2四半期決算結果(2025年12月3日発表)を反映。新CEO Stephen Ehikian氏就任、FedRAMP認可取得、米陸軍との契約など重要なアップデートを追加。FY2026ガイダンスの大幅修正も反映済み。
【重要】経営体制の変更
2025年9月1日付で、創業者のThomas M. Siebel氏がCEOから執行会長(Executive Chairman)に移行し、Stephen Ehikian氏が新CEOに就任しました。同社は営業・サービス組織の大規模な再編を実施しており、FY2026ガイダンスは大幅に引き下げられています。[1]
はじめに
C3.ai (シースリーエーアイ) は、エンタープライズ規模のAIアプリケーション開発・導入を支援するプラットフォームとSaaSソリューションを提供するリーディングカンパニーです。石油・ガス、製造、航空宇宙、政府機関など、多様な産業におけるデジタルトランスフォーメーションとAI活用を推進しています。
この記事では、C3.aiの過去の会計年度 (主にFY2022~FY2026) の財務データを基に、その成長の軌跡、ビジネスモデル、そして将来の展望を、投資家の視点から分かりやすく解説します。
【免責事項および出典について】
- 本記事に掲載されている財務情報は、主にC3.ai, Inc.が米国証券取引委員会 (SEC) に提出している年次報告書 (Form 10-K)、四半期報告書 (Form 10-Q)、及び株主向け決算発表資料といった公式IR情報に基づいて作成されています。特にFY2026第2四半期のデータは、2025年12月3日発表の「C3 AI Announces Fiscal Second Quarter 2026 Results」に基づいています。[2]
- 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券の購入や売却を推奨または勧誘するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
- C3.ai社 投資家向け情報ページ: https://ir.c3.ai
- スマートフォンでご覧の場合、表は横にスクロールしてご確認ください。
会計年度について: C3.aiの会計年度は、毎年4月30日に終了します。例えば、本記事で「FY2026」と表記する会計年度は、2025年5月1日から2026年4月30日までの期間を指します。
1. C3.aiの業績:転換期を迎えた成長と課題
C3.aiはIPO(2020年12月)以降、エンタープライズAI市場の拡大と生成AIへの関心の高まりを背景に事業を展開してきました。しかし、FY2026に入り、経営体制の移行と営業組織の再編の影響で成長が一時的に鈍化しています。
1.1. 売上、利益、キャッシュフローの推移
C3.aiの主要な業績の移り変わりを見てみましょう。FY2026は第2四半期までの実績と通期ガイダンスを含みます。
| 会計年度 | 総売上高(百万$) | 売上成長率 | サブスク売上(百万$) | 営業CF(百万$) | 純損失 (GAAP)(百万$) |
|---|---|---|---|---|---|
| FY2022 | 252.8 | 38.0% | 206.9 | (19.0) | (192.1) |
| FY2023 | 266.8 | 5.5% | 230.4 | (117.4) | (268.9) |
| FY2024 | 310.6 | 16.4% | 278.1 | (62.4) | (279.7) |
| FY2025 | 389.1 | 25.3% | 327.6 | (41.4) | (288.7) |
| FY2026 Q1 | 70.3 | — | 60.3 | — | — |
| FY2026 Q2 | 75.1 | +7% QoQ | 70.2 | — | (104.7) |
| FY2026 ガイダンス | 289.5〜309.5 | ▲20〜26% | — | — | — |
出典: C3.ai Inc. 公式IR資料より筆者作成。FY2026ガイダンスは2025年12月3日発表時点。[3]
- FY2026の課題: FY2025に25%超の成長を達成したものの、FY2026は経営体制移行と営業再編の影響により、通期ガイダンスが$289.5〜$309.5百万ドルと前年比で大幅減収見込み。[4]
- Q2の改善: FY2026 Q2は売上$75.1Mと前四半期比+7%。受注額は前四半期比+49%増の$86.4Mを記録し、回復の兆しが見え始めています。[5]
- 連邦政府事業の急成長: Q2の連邦・防衛・航空宇宙向け受注は前年同期比+89%増加し、全受注の45%を占めるまでに拡大。[6]
1.2. 収益性:構造的改善への取り組み
| 会計年度 | GAAP営業利益率 | Non-GAAP営業利益率 | Non-GAAPグロスマージン率 |
|---|---|---|---|
| FY2022 | -74.0% | -34.5% | 79.3% |
| FY2023 | -100.8% | -24.4% | 71.0% |
| FY2024 | -102.5% | -30.5% | 69.4% |
| FY2025 | -83.4% | -22.7% | 69.5% |
| FY2026 Q1 | — | -82.3% | 52% |
| FY2026 Q2 | — | -56.2% | 54% |
出典: C3.ai Inc. 公式IR資料より筆者作成。[7]
- グロスマージンの変動: FY2026 Q1-Q2はグロスマージンが52-54%と、過去の70%前後から大幅に低下。これは一部顧客との契約条件や収益認識の変動によるもの。
- Non-GAAP営業損失の改善: FY2026 Q2のNon-GAAP営業損失は$42.2Mと、Q1の$57.8Mから改善傾向。
1.3. 投資家向け指標:1株あたりの価値
| 会計年度 | SPS ($)(1株当たり売上高) | EPS ($)(1株当たり純損失) | BPS ($)(1株当たり純資産) |
|---|---|---|---|
| FY2022 | 2.38 | (1.84) | 8.46 |
| FY2023 | 2.41 | (2.43) | 8.02 |
| FY2024 | 2.62 | (2.34) | 7.31 |
| FY2025 | 3.19 | (2.24) | 6.87 |
| FY2026 Q2 | — | (0.25) Non-GAAP | — |
出典: C3.ai Inc. 公式IR資料より筆者作成。FY2026 Q2のNon-GAAP EPSはアナリスト予想$(0.33)を上回る$(0.25)。[8]
2. ビジネスモデル:エンタープライズAIの実現を加速
C3.aiのビジネスモデルは、大企業や政府機関向けに、AIアプリケーションの開発・展開・運用を効率化する包括的なプラットフォームと、すぐに利用可能なSaaS型AIアプリケーションを提供することにあります。
- C3 AI Platform: データ統合、モデル開発、運用管理まで、AIアプリケーションのライフサイクル全体をサポートするPaaS。
- C3 Agentic AI Platform:
- エージェント型AIアプリケーションの開発・展開を支援する最新プラットフォーム。
- 【新製品】 C3 AI Agentic Process Automation(2025年12月発表): 自然言語で複雑なワークフローを記述すると、数分で自律型AIエージェントとして構築・展開できるソリューション。[9]
- C3 AI Applications: 特定業界や共通業務課題に対応したSaaSアプリケーション群。
- C3 Generative AI: 企業データと連携した信頼性の高い生成AIソリューション。
主要KPI (FY2026 Q2時点)
- 受注額: $86.4百万ドル(前四半期比+49%増)。17件が$1M超、6件が$5M超の大型契約。[10]
- 連邦政府事業: 全受注の45%を占め、前年同期比+89%増。
- パートナー経由契約: 全受注の89%がパートナーエコシステム経由。[11]
- サブスクリプション比率: FY2026 Q2で総売上の93%。
- 現金・現金同等物・有価証券: FY2026 Q2末で約$675百万ドル。[12]
3. 財務の健全性:豊富な手元資金を維持
C3.aiは成長のための投資を継続しつつ、潤沢な現金残高により財務基盤を維持しています。
3.1. 資産・負債・資本の推移
| 会計年度末 | 総資産(百万$) | 総負債(百万$) | 株主資本(百万$) | 自己資本率 |
|---|---|---|---|---|
| FY2022 | 1,101.8 | 182.4 | 919.4 | 83.4% |
| FY2023 | 1,022.5 | 139.5 | 883.0 | 86.4% |
| FY2024 | 1,038.2 | 164.9 | 873.3 | 84.1% |
| FY2025 | 1,025.9 | 187.6 | 838.3 | 81.7% |
出典: C3.ai Inc. 公式IR資料より筆者作成。[13]
- 自己資本比率: 80%以上と非常に高い水準を維持。
- 現金残高: FY2026 Q2末で約$675M(FY2026 Q1末の$711.9Mから減少)と、依然として潤沢な流動性を確保。
4. 経営体制の変更と戦略転換
2025年9月1日付で、C3.aiは重要な経営体制の変更を行いました。
- 新CEO就任: Stephen Ehikian氏がCEOに就任。元Salesforce製品担当VP、公共・民間セクター双方でのAI分野における豊富な経験を持つ。[14]
- 創業者の役割変更: Thomas M. Siebel氏はExecutive Chairman(執行会長)に移行。戦略的パートナー・顧客関係と製品戦略に注力。健康上の問題が経営移行の一因とされる。
- 営業・サービス組織の再編: グローバル営業・サービス組織を全面的に再構築。新しいリーダーシップチームを配置し、成長加速と顧客成功の改善を目指す。[15]
5. 連邦政府事業の急成長と戦略的進展
C3.aiにとって、連邦政府・防衛分野が最も急成長している事業領域となっています。
5.1. FedRAMP認可取得(2025年12月)
C3.aiは2025年12月11日、FedRAMP(連邦リスク・認可管理プログラム)の認可を取得しました。[16]
- FedRAMP Moderate認定により、連邦機関が機密性の高いワークロードにC3 Agentic AI Platformを使用可能に。
- 既存のIL5/IL6認可に加え、FedRAMP Marketplaceへの掲載により連邦市場でのアクセスが加速。
5.2. 主要な連邦契約(FY2026 Q2)
- 米陸軍: 戦闘環境における物流AI ソリューションの提供契約(部品・燃料・弾薬の予測改善)。[17]
- 米保健福祉省 (HHS): NIHおよびCMSにまたがる統合的データ基盤の構築。C3 Agentic AIによる行政ワークフローの自動化。[18]
- その他: BAE Systems、米情報機関、海軍航空戦センター、海軍海上システムコマンド、米海兵隊、ロスアラモス国立研究所との新規・拡張契約。
5.3. パートナーエコシステムの強化
- Microsoft: 戦略的提携1周年を迎え、17業界で100件超の顧客契約を締結。C3.aiの受注額で$130M超を創出。FY2026 Q2は24件の共同契約、パイプライン前年比+146%増。[19]
- AWS: 9件の共同契約、パイプライン前年比+172%増。
- Booz Allen Hamilton: C3 AI Strategic Integrator Program (SIP) に参加し、連邦向けCOTSソリューションの開発・販売を推進。[20]
- 12ヶ月パイプライン: パートナーとの共同パイプラインが前年比+108%増。
6. 市場での強みとライバル:競争環境
C3.aiは急成長するエンタープライズAI市場で事業を展開していますが、競争も激しい環境にあります。
- 主な競合: AWS, Microsoft Azure, Google Cloud(AI/MLプラットフォーム)、Palantir Technologies、Snowflake, Databricks、Salesforce (Einstein AI)、SAP、Oracle等。
C3.aiの強み:
- エンドツーエンドのエンタープライズAIプラットフォームと豊富なSaaSアプリケーション群。
- C3 Agentic AI Platformによる自律型AIエージェントの先進的実装。
- FedRAMP認可による連邦市場での競争優位。
- パートナーエコシステム(Microsoft、AWS、Booz Allen Hamilton等)の拡大。
- Verdantix社によるIndustrial AI Analytics Software部門のリーダー評価(2025年)。[21]
7. FY2026年の見通しと今後のポイント
C3.ai経営陣は、営業再編の効果が表れ始め、成長への回帰と収益性改善を目指しています。
FY2026年度 ガイダンス(2025年12月3日発表時点):
- 通期売上高: $289.5~$309.5百万ドル(前年比▲20〜26%)
- 通期Non-GAAP営業損失: $(180.5)~$(210.5)百万ドル
- Q3売上高: $72~$80百万ドル
- Q3 Non-GAAP営業損失: $(44)~$(52)百万ドル
上記ガイダンスはC3.ai社発表に基づく。当初のFY2026ガイダンス($447.5~$484.5M)からCEO交代・組織再編に伴い大幅に修正されている点に注意。[22]
投資家が注目すべきリスク:
- 経営体制移行と営業組織再編の実行リスク。
- 大幅な売上減少ガイダンスと収益性回復への道筋の不透明さ。
- 大手クラウドベンダーや他のAI企業との競争激化。
- 大口顧客への依存度と契約更新リスク。
- 株式報酬費用が高水準であること。
- 現金残高の減少ペース(四半期あたり約$35-40M)。
投資家が注目すべきポジティブ要因:
- 連邦政府事業の急成長(受注+89% YoY)とFedRAMP認可取得。
- パートナー経由の受注が89%に達し、スケーラブルな成長モデルへ移行。
- Q2の受注額が+49% QoQと回復の兆し。
- 豊富な現金残高(約$675M)により、変革期を乗り越える財務的余裕。
8. まとめ:C3.aiは転換期を乗り越えられるか?
C3.aiは、エンタープライズAIという巨大な市場機会において、独自のプラットフォームとソリューションで挑戦を続けています。しかし、FY2026は経営体制の移行と営業組織の再編により、一時的な成長鈍化を余儀なくされています。
- 強み: 包括的なAIプラットフォーム、C3 Agentic AIによる先進機能、FedRAMP認可、強力なパートナーエコシステム、潤沢な現金残高。
- 課題: 売上ガイダンスの大幅引き下げ、経営移行期のリスク、継続的な損失計上、グロスマージンの低下。
- 今後の鍵: 新CEO Stephen Ehikian氏のリーダーシップのもと、連邦政府事業の成長モメンタムを維持しつつ、商業顧客への営業実行力を回復できるか。Q2の受注増加が持続的なトレンドとなるかが重要な指標。
エンタープライズAI市場の成長は続いており、C3.aiが持つ技術基盤とパートナーネットワークは依然として強力な資産です。しかし、投資家は経営移行期のリスクと、ガイダンスが示す厳しい短期見通しを十分に考慮する必要があります。
【注】(出典リンク)
- CEO交代・組織再編 → C3.ai FY26 Q1決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- FY26 Q2決算 → C3.ai FY26 Q2決算発表(一次情報) → Yahoo Finance報道(確認日:2026-02-01)↩
- FY2026ガイダンス → C3.ai IR発表(確認日:2026-02-01)↩
- ガイダンス詳細 → Yahoo Finance Q2 Earnings Call Highlights(確認日:2026-02-01)↩
- 受注額+49% → C3.ai FY26 Q2決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- 連邦受注+89% → C3.ai FY26 Q2決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- 利益率データ → C3.ai Quarterly Results(確認日:2026-02-01)↩
- EPS実績 → AInvest報道(確認日:2026-02-01)↩
- C3 AI Agentic Process Automation → C3.ai FY26 Q2決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- 大型契約数 → C3.ai FY26 Q2決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- パートナー経由89% → C3.ai FY26 Q2決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- 現金残高 → AInvest報道(確認日:2026-02-01)↩
- バランスシート → C3.ai IR(確認日:2026-02-01)↩
- Stephen Ehikian CEO就任 → C3.ai FY26 Q1決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- 営業再編 → Stock Titan報道(確認日:2026-02-01)↩
- FedRAMP認可 → C3.ai発表(一次情報) → Business Wire(確認日:2026-02-01)↩
- 米陸軍契約 → C3.ai発表(確認日:2026-02-01)↩
- HHS契約 → C3.ai FY26 Q2決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- Microsoft提携 → C3.ai IR発表(確認日:2026-02-01)↩
- Booz Allen Hamilton参加 → C3.ai FY26 Q2決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- Verdantix評価 → C3.ai FY26 Q2決算発表(確認日:2026-02-01)↩
- ガイダンス修正 → TipRanks(確認日:2026-02-01)↩
本記事は、公開情報に基づき筆者の分析を加えたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行うようにしてください。本分析は、C3.ai, Inc.の公式IR情報および信頼できると考えられる情報源に基づいていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。常に最新の公式情報をご参照ください。
最終更新日時: 2026年2月1日

