AMATとLRCXを比較:アプライドマテリアルズとラムリサーチの違いとは
AMATとLRCXの違いを踏まえて比較します。(2026年5月更新)
アプライド・マテリアルズ(Applied Materials, Inc.)とラム・リサーチ(Lam Research Corporation)は、半導体製造装置メーカーの代表格です。その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(SOXX:iShares Semiconductor ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
決算(予想:結果)
マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。
決算については以下の関連記事を参照
★アプライドマテリアルズ(AMAT)決算:予想と結果 売上&EPS
【半導体装置の巨人対決】AMAT vs ラムリサーチ(LRCX)!総合のAMATか、専門のLRCXか?
AI革命を支える「縁の下の力持ち」、半導体製造装置(WFE)メーカー。その中でも業界の双璧をなすのが、アプライド・マテリアルズ(AMAT)とラム・リサーチ(LRCX)です。半導体メーカー(TSMC、インテル、サムスン等)が工場を建設する際に、彼らの装置は前工程の中核を担います。
本記事では、幅広い製品ラインナップで総合力を持つAMATと、エッチング・成膜などの重要工程に強いLRCXについて、業績、株主還元、強み、リスクを比較します。なお、2026年5月29日時点で、AMATの最新決算は2026年度Q2(2026年4月26日終了四半期)、LRCXの最新決算は2026年度Q3(2026年3月29日終了四半期)です。[1][2]
最重要ポイント:事業領域の「幅」と「深さ」の違い
- アプライド・マテリアルズ(AMAT) – 総合力と多様性
半導体製造の幅広い工程に対応する製品群を持つ、総合型の半導体製造装置メーカーです。2025年度の売上高は283.68億ドルで過去最高となり、2026年度Q2も売上高79.1億ドルと過去最高を更新しました。半導体システム、サービス、関連事業を広く展開している点が強みです。[1][3] - ラム・リサーチ(LRCX) – 専門性と技術力
半導体の回路を削り出す「エッチング」と、材料の膜を積層する「成膜」に強い企業です。3D NAND、DRAM、HBM、先端ロジック、先端パッケージングの高度化に伴い、LRCXの得意領域は重要性を増しています。2025年度の売上高は184.36億ドルで、2026年度Q3の売上高は58.41億ドル、GAAP営業利益率は35.0%でした。[2]
比較サマリー:総合型のAMAT、工程特化型のLRCX
| 項目 | アプライド・マテリアルズ (AMAT) |
ラム・リサーチ (LRCX) |
|---|---|---|
| 事業内容 | 半導体製造装置の総合メーカー。半導体システム、サービス、関連装置を幅広く展開。 | エッチング、成膜、洗浄、サポート関連に強い工程特化型メーカー。 |
| 市場での強み | 製品ラインナップの広さ、サービス事業、先端ロジック・DRAM・先端パッケージングへの対応力。 | エッチング・成膜など、微細化・3D化で重要度が増す工程での高い専門性。 |
| 直近通期売上 | 283.68億ドル (2025年度、前年比+4.4%)[3] |
184.36億ドル (2025年度、前年比+23.7%)[2] |
| 直近四半期 | 2026年度Q2売上 79.1億ドル (前年同期比+11%)[1] |
2026年度Q3売上 58.41億ドル (前四半期比+9%)[2] |
| 次四半期見通し | 2026年度Q3売上 89.5億ドル±5億ドル Non-GAAP EPS $3.36±$0.20[1] |
2026年6月期四半期売上 66.0億ドル±4億ドル Non-GAAP EPS $1.65±$0.15[2] |
| 連続増配年数 | 9年 (2026年3月発表時点)[4] |
四半期配当を継続 (2026年5月発表時点で$0.26)[5] |
| 配当利回り (直近参考値) |
約0.47% (年$2.12 ÷ 株価$449.68、2026年5月29日00:15 UTC時点)[6] |
約0.33% (年$1.04 ÷ 株価$318.00、2026年5月29日00:15 UTC時点)[6] |
| PER(TTM) (直近参考値) |
約42.3倍 (2026年5月29日00:15 UTC時点)[6] |
約59.2倍 (2026年5月29日00:15 UTC時点)[6] |
業績と成長性の詳細分析
両社ともAI、先端ロジック、DRAM、HBM、3D NAND、先端パッケージング向け投資の追い風を受けます。一方で、半導体製造装置は設備投資サイクルの影響を強く受けるため、単純な右肩上がりではありません。AMATは2025年度に過去最高売上を更新し、2026年度Q2も過去最高の四半期売上となりました。LRCXも2025年度に大きく回復し、2026年度Q3ではAI関連需要を背景に過去最高水準の売上・EPSを示しています。[1][2]
| 年・期間 | AMAT 売上高 (前年比) |
LRCX 売上高 (前年比) |
|---|---|---|
| 2026 会社見通し |
2026年度Q3:$8.95B ± $0.50B[1] | 2026年6月期四半期:$6.60B ± $0.40B[2] |
| 2026 実績・途中 |
$7.91B (+11%) (2026年度Q2)[1] |
$5.841B (+9% QoQ) (2026年度Q3)[2] |
| 2025 | $28.37B (+4.4%)[3] | $18.44B (+23.7%)[2] |
| 2024 | $27.18B (+2.5%)[3] | $14.91B (-14.5%)[2] |
| 2023 | $26.52B[3] | $17.43B[2] |
※B=10億ドル。各社会計年度に基づく。AMATは10月期、LRCXは6月期です。会計年度が異なるため、同じ「2025年」でも対象期間が完全には一致しません。
AMAT:広い事業基盤とサービス収益が強み
AMATの2025年度売上高は283.68億ドルでした。内訳を見ると、半導体システムが207.98億ドル、Applied Global Servicesが63.85億ドル、その他が11.85億ドルです。半導体システムの中では、Foundry/Logic等が67%、DRAMが26%、Flash/NANDが7%でした。[3]
2026年度Q2(2026年4月26日終了四半期)は、売上高79.1億ドル、GAAP粗利率49.9%、Non-GAAP粗利率50.0%、GAAP EPS 3.51ドル、Non-GAAP EPS 2.86ドルでした。セグメント別では、半導体システムが59.65億ドル、Applied Global Servicesが16.65億ドル、その他が2.80億ドルです。会社側は2026年度Q3について、売上高89.5億ドル(±5億ドル)、Non-GAAP EPS 3.36ドル(±0.20ドル)を見込んでいます。[1]
AMATは2026年度Q2決算で、先端ロジック向けの3D Gate-All-Around関連装置、先端パッケージング向けNEXX事業の買収合意、SynopsysおよびNVIDIAとの材料モデリングR&D連携などにも言及しました。AIインフラの拡大が、前工程だけでなく材料工学・先端パッケージングまで需要を広げている点が重要です。[1]
LRCX:2025年度に大きく回復、2026年度も強いモメンタム
LRCXの2025年度売上高は184.36億ドルで、2024年度の149.05億ドルから23.7%増加しました。会社側は、メモリおよびファウンドリ市場での装置投資増加、アップグレード、スペアパーツ、サービスなどのカスタマーサポート関連収益の増加を理由に挙げています。[2]
2026年度Q3(2026年3月29日終了四半期)の売上高は58.41億ドル、GAAP営業利益率は35.0%、GAAP希薄化後EPSは1.45ドル、Non-GAAP EPSは1.47ドルでした。地域別では中国34%、韓国23%、台湾23%で、アジア向け売上比率の高さが目立ちます。会社側は2026年6月期四半期について、売上66.0億ドル(±4億ドル)、Non-GAAP営業利益率36.5%(±1%)、Non-GAAP EPS 1.65ドル(±0.15ドル)を見込んでいます。[2]
配当と株主還元:低利回りでも「増配+自社株買い」が重要
AMATとLRCXはいずれも高配当株ではありません。株価上昇によって利回りは低く見えやすく、配当だけで評価すると魅力を見落とす可能性があります。両社は配当に加えて自社株買いを活用しており、半導体製造装置の成長企業としては「総還元」で見るほうが実態に近いです。
| 年 | AMAT 年間配当 | LRCX 年間配当 |
|---|---|---|
| 2026 | $2.12ペース (四半期$0.53。2026年6月支払い分から)[4] |
$1.04ペース (四半期$0.26。2026年7月支払い分も発表済み)[5] |
| 2025 | $1.84ペース (四半期$0.46)[7] |
$0.98 (2025年実績、分割後換算ベース)[8] |
| 2024 | $1.60ペース (四半期$0.40)[7] |
$0.92ペース (四半期$0.23、10対1分割後換算)[8] |
補足:規制・地政学リスク
米国の対中輸出規制は、半導体製造装置メーカーにとって重要なリスクです。AMATは2025年度の地域別売上で中国が85.29億ドル、全体の30%を占めました。2024年度の中国比率37%からは低下したものの、依然として大きな市場です。[3]
LRCXも中国売上比率が高く、2025年度は中国が売上の34%を占めました。さらに2026年度Q3でも中国比率は34%でした。対中規制が強化される局面では、受注、出荷、サービス、顧客の設備投資計画に影響が出る可能性があります。[2]
一方で、AIサーバー、先端ロジック、HBM、DRAM、先端パッケージングへの投資は、こうした逆風を一部相殺する要因になります。投資判断では「AI関連需要の強さ」と「中国依存・輸出規制リスク」を同時に見る必要があります。
結論:あなたに合うのはどちら?
両社の比較は、半導体製造装置市場の成長をどう捉えるか、そして「分散」と「集中」のどちらの戦略を好むかによります。
「半導体装置市場全体」に広く賭ける安定感を求めるなら → アプライド・マテリアルズ(AMAT)
AMATは事業領域が広く、半導体システムだけでなくサービス収益も持っています。2025年度に過去最高売上を更新し、2026年度Q2も過去最高の四半期売上となりました。2026年3月には9年連続となる増配も発表しています。幅広い工程を押さえながら、AI、先端ロジック、DRAM、先端パッケージングの成長を取り込みたい投資家に向いています。[1][4]
「最先端工程の深い技術力」に集中投資するなら → ラム・リサーチ(LRCX)
LRCXはエッチング・成膜など、半導体の微細化・3D化で重要度が高まる工程に強みを持ちます。2025年度に売上が大きく回復し、2026年度Q3も売上・利益率ともに強い内容でした。AI関連投資、DRAM、HBM、3D NAND、先端パッケージングの拡大をより集中して狙いたい場合に検討しやすい銘柄です。[2]
ただし、2026年5月29日時点では両社とも株価が大きく上昇し、PERはAMATで約42.3倍、LRCXで約59.2倍の水準です。業績成長への期待はかなり織り込まれているため、短期的には決算ガイダンス、WFE投資サイクル、中国規制、金利の変化に注意が必要です。[6]
※本ページの分析は2026年5月29日時点の公開情報に基づいています。株価・PER・配当利回りは日々変動します。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。
用語メモ:WFE(Wafer Fab Equipment)はウエハー製造装置市場のことです。市況はサイクル性が強く、AI、先端ロジック、DRAM、HBM、3D NAND、先端パッケージング投資の局面で大きく動きやすいのが特徴です。AMATは幅広い工程・サービス収益を持つ「総合型」、LRCXはエッチング・成膜など重要工程に強い「専門型」と見ると整理しやすくなります。
【注】(出典リンク)
- AMAT 2026年度Q2決算・Q3見通し → 一次情報:Applied Materials Q2 FY2026 Results(確認日:2026-05-29) ↩
- LRCX 2026年度Q3決算・次四半期見通し・2025年度売上関連 → 一次情報:Lam Research March 2026 Quarter Results → 一次情報:SEC Form 10-K FY2025(確認日:2026-05-29) ↩
- AMAT 2025年度通期決算・売上内訳・中国売上比率 → 一次情報:Applied Materials FY2025 Results → 一次情報:SEC Form 10-K FY2025(確認日:2026-05-29) ↩
- AMAT 2026年配当増額・9年連続増配 → 一次情報:Applied Materials Dividend Increase 2026(確認日:2026-05-29) ↩
- LRCX 2026年5月発表の四半期配当 → 一次情報:Lam Research Quarterly Dividend 2026(確認日:2026-05-29) ↩
- 株価・時価総額・PER・配当利回り計算前提(2026年5月29日00:15 UTC時点) → 二次情報:Yahoo Finance AMAT → 二次情報:Yahoo Finance LRCX(確認日:2026-05-29) ↩
- AMAT 2025年度株主還元・配当方針 → 一次情報:Applied Materials Cash Dividend 2025(確認日:2026-05-29) ↩
- LRCX配当履歴・2025年配当実績 → 一次情報:Lam Research Dividend History(確認日:2026-05-29) ↩
- LRCX 10対1株式分割・100億ドル自社株買い枠 → 一次情報:Lam Research Repurchase Authorization and Stock Split(確認日:2026-05-29) ↩

