バイオテクノロジーと製薬企業に投資するETFのデータを比較してみます。

このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を整理してみましょう。

(注)本ページの数値は2025年8月27日時点の公表値を主に用いています。各ETFの最新チャートや分配金情報は公式サイトの「Performance」「Distributions」をご覧ください。脚注から公式ページへ飛べます。

【徹底比較】バイオ・製薬ETF「BBH」「IBB」「PPH」の違いとは?

ヘルスケアセクターは、高齢化社会の進展や技術革新により、長期的な成長が期待される分野です。中でも「バイオテクノロジー」と「製薬」は注目の的ですが、個別株投資は専門性が高くリスクも伴います。そこで活用したいのがETFです。今回は、代表的な3つのETF、ヴァンエック社の「BBH」「PPH」iシェアーズ社の「IBB」について、その違いを徹底的に比較・解説します。

【BBH】ヴァンエック・バイオテックETF

コンセプト:選りすぐりの大手バイオ企業への「集中投資」

BBHは、上場バイオ関連のうち流動性・時価総額で選抜された約25銘柄に絞って投資するETF。銘柄数が少ないため、個別の値動きが基準価額に与える影響は相対的に大きく、ややボラティリティが高い点が特徴です。[1]

基本情報と特徴

正式名称 VanEck Biotech ETF
連動指数 MVIS US Listed Biotech 25 Index[1]
経費率 0.35%[1]
純資産総額(AUM) $348.37M(約3.5億ドル)/2025-08-27[1]
上位構成銘柄(例) Amgen、Gilead、Vertex、Alnylam、argenx、Regeneron、IQVIA など(2025-08-27)[1]
国別比率 米国約90%・アイルランド・中国・ドイツなど(2025-07-31)[1]

公式ページ(Holdings/Performance)で最新チャートと全構成一覧を確認

【IBB】iシェアーズ・バイオテクノロジーETF

コンセプト:大中小のバイオ企業への「幅広く分散投資」

IBBは、米国上場のバイオ関連に幅広く投資する大型ETF。現在はNYSE Biotechnology Indexに連動し、250銘柄超に分散します。セクター全体の動きを捉えやすく、個別リスクを抑えたい場合に適します。[2]

基本情報と特徴

正式名称 iShares Biotechnology ETF
連動指数 NYSE Biotechnology Index(Bloomberg: ICEBIOT)[2]
経費率 0.44%(目論見書記載)[2]
純資産総額(AUM) $5.66B(約56.6億ドル)/2025-08-27[2]
上位構成銘柄(例) Gilead、Amgen、Regeneron、Vertex、Alnylam、IQVIA、Mettler-Toledo、argenx、Insmed、Natera など(2025-08-27)[3]
国別比率 米国中心(概ね85%前後)。一部オランダ・中国・デンマーク・ドイツ等へ分散[4]
銘柄数 252(2025-08-26時点の公表値)[2]

公式ページ(Key Facts/Holdings)や外部データで最新構成を確認

【PPH】ヴァンエック・ファーマシューティカルETF

コンセプト:世界の巨大製薬企業(メガファーマ)への投資

PPHは、特許保有の主力薬やパイプラインを持つ大手製薬へ投資。配当・キャッシュフローが安定しやすく、3本の中では比較的ディフェンシブな性格です。[5]

基本情報と特徴

正式名称 VanEck Pharmaceutical ETF
連動指数 MVIS US Listed Pharmaceutical 25 Index[5]
経費率 0.36%[5]
純資産総額(AUM) $603.31M(約6.0億ドル)/2025-08-27[5]
上位構成銘柄(例) Eli Lilly、Johnson & Johnson、Novartis、Merck、Novo Nordisk、AbbVie、AstraZeneca、Pfizer、Sanofi、GSK(2025-08-27)[5]
国別比率 米国65.4%、英国12.8%、スイス7.6%、デンマーク5.5%、フランス4.5%、日本2.8%、イスラエル1.6% 等(2025-07-31)[5]

公式ページ(Holdings/Portfolio)で最新チャートと構成一覧を確認

3つのETFの徹底比較まとめ

ご自身の投資戦略に合うのはどれでしょうか?以下の比較表で違いを確認してみましょう。

項目 BBH(バイオ集中) IBB(バイオ分散) PPH(大手製薬)
投資テーマ 大手・先端バイオに集中[1] バイオ全体を広くカバー[2] 世界の巨大製薬に投資[5]
リスク/リターン ハイリスク・ハイリターン(銘柄数少) ミドルリスク(分散度高) 相対的にローリスク(キャッシュフロー安定)
投資スタイル 集中投資(25銘柄前後)[1] 分散投資(約250銘柄)[2] 集中投資(25銘柄)[5]
国別分散 米国中心(約90%)[1] 米国中心(概ね85%)[4] 米/欧など国際分散(米国65%前後)[5]
経費率 0.35%[1] 0.44%[2] 0.36%[5]
AUMの目安 約3.5億ドル[1] 約56.6億ドル[2] 約6.0億ドル[5]

投資の際の注意点

  • 開発リスク:特にバイオ分野は臨床試験・規制審査の結果に強く左右されます。
  • 特許切れ(パテントクリフ):主力薬の特許満了は収益圧迫要因となります。
  • 規制・政策リスク:薬価・保険償還の変更、薬価交渉、承認制度の見直し等の影響に留意。

まとめ

大きな成長を狙うならバイオETF、安定性を重視するなら製薬ETFが基本戦略。バイオの中でも、選抜銘柄に賭けたいなら「BBH」セクター全体に広く網をかけたいなら「IBB」安定したグローバル製薬に投資したいなら「PPH」が有力です。特性を理解し、ポートフォリオに合う一本を選びましょう。